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2022年7月19日 (火)

出口戦略がない、この代理戦争

2022年7月14日
ケイトリン・ジョンストン

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 アメリカ民主社会主義者DSA国際委員会は、ウクライナで進行中のアメリカ政府代理戦争に反対し、「普通のアメリカ人が住宅や食料雑貨や燃料の支払いに苦闘する中」軍産複合体に注がれる何十億ドルもの金は「労働者に対する侮辱」だという声明を発表した。この声明は、この国に兵器を注ぎ続けることは「不要に戦争を引き延ばし、更なる民間人の死をもたらし」「核戦争も含め、戦争を拡大する危険を冒す」と述べ、話し合いによる和平解決を提唱している。

 この全く妥当な、穏健な立場に対し、DSAは現在、Twitterのブルーの認証済みバッジを得ている物語管理者連中から、クレムリン支持者という非難と殺人と流血の促進だと酷評されている。誰であれ大きな影響力を持った人で、この戦争について唯一許される立場は、現在の代理戦争作戦継続の支持から、NATOとロシアの間の直接戦争を始めることまでに限られるためだ。

 この紛争に関する討論が許容される範囲が、どれほど狭められているかを示している。現状維持タカ派から、核兵器皆殺しタカ派。その範囲を超える何であれ、急進的過激派と決めつけられる。ノーム・チョムスキーはこう言った。「人々を、受動的で、従順にしておく賢い方法は、許容される意見の範囲は厳密に制限するが、その範囲内では非常に活発な討論を許すことだ。より批判的なものや、反体制的意見さえ奨励するのだ。それは人々に、自由な考えがあると感じさせる一方、支配体制の前提は、討論の範囲に設定された制限によって強化される。」

 討論のこの範囲制限は、帝国のスピン・ドクターによって、どんな段階的縮小や外交的解決に対する支持も、「宥和政策」であり、ロシアへの同情を示すと絶えず強調され、他方、タカ派の評論家や政治家は、この戦争に対し、可能な限り異様に攻撃的な対応を要求する。戦争挑発過激主義の方向に可能な限り激しく押しやりながら、帝国物語の管理者は、平和に向かおうとする議論の許容範囲を禁じ、平和への呼びかけを今や窓の外に押し出して、唯一許される議論は、いかに直接に強力にロシアと対決すべきだというオーバートンの窓を、まんまと作ったのだ

 

 ロシアとNATOの直接戦争も、帝国の現在の路線に沿ってウクライナでの行動を継続するも愚かだから問題だ。核保有国間の直接紛争は、おそらく非常に急速に、核による第三次世界大戦を意味し、現状の代理戦争手法は、ウクライナが勇敢に邪悪な侵略者を打倒しているという欧米の主張と全く裏腹に、東部で益々多くの領域が占領され、ロシアを止められない。バイデン政府高官は、ウクライナは、既に失った領域の奪還が可能とは思えないとさえ報道機関に述べている。何か重要なことが変化しない限り、ウクライナには、近いうちに、この戦争で勝利する明らかな道はない。

 要するに、この代理戦争には出口戦略がないのだ。プーチンを早々敗北させる計画がなく、バイデン政権は、モスクワとの外交に対する最もわずかな素振りさえ断固否定的なままだ。報道によれば、ボリス・ジョンソンは、ウクライナのゼレンスキー大統領や、フランスのマクロン大統領や他の誰彼に、ウクライナの平和に向けて取り組まないよう戒めて飛び回っていた。勝つか、和平交渉合意かして、早急に、この戦争を終わらせるドアは閉じられ、鍵をかけられ、血まみれの長くつらい仕事を保証している。

 それは結果的に、ワシントンにとっては結構なのだ。狙いはウクライナ戦争を、ロシアを「弱める」ために利用することだとバイデン政府高官は述べ、アメリカには、既にアフガニスタンシリアで我々が目にしたように、モスクワを金食い虫の軍事泥沼に引き込むために働く確立された手口がある。世界からロシアを切断しようとしながら、ウクライナに兵器と軍事情報を注ぎ続けるので、時宜を得た形で戦争を終わらせる見込みはないが、それは、モスクワに出血させ、弱める上では、かなり可能性がある。

 そして、これは帝国が選んだ行動方針なので、これは望んだ結果だと我々は想定するしかない。勝利ではなく、平和ではなく、長い厳しい戦争だ。

 

 イラク侵略に対し、再三繰り返される主要な批判の一つは、ブッシュが出口戦略なしで突入したこと、戦争を終わらせる計画なしで飛びついたことだった。ロシアとの、この代理戦争は、戦争を終わらせる戦略が欠けているだけでなく、どうやら、戦争を終わらせない戦略しかない。出口戦略は今回の戦略ではないのだ。

 このやり方の狂気を指摘すると、帝国擁護者が今までしている唯一の議論は、アメリカが標的に定められた、あらゆる政府をナチスドイツになぞらえて、アメリカ代理戦争を非難し、交渉による解決を支持するのは「宥和政策」のかどで有罪で、ネヴィル・チェンバレンとまったく同じだと、常に帝国の有用なばか者が反対する。

 これらプロパガンダで撹乱された帝国ロボットによれば、プーチン-ヒトラーと妥協せず、「宥和政策」の罪を犯さないためには、ウクライナ人全員を犠牲にする価値があるのだ。連中は家で安全に座り、ファニオン・オニオンリング・チップスを食べ、Twitterに投稿し、連中の精神的暖炉上に「我々はプーチンと妥協しなかった」という話を掲げ、全てのウクライナ人の命を、この戦争の歯車に喜んで投げこむだろう。

 この連中は欧米意図的起こした勝てない戦争に、更に一体何人の命を投げ込む用意があるのだろう? 連中は更に一体何人、他人々の子を犠牲にする用意があるのだろう? 連中の「宥和政策」物語が連中にとって価値が無くなる前に、どれだけ長い間流血が続く必要があるのだろう? 人々が、それらプロパガンダに引き起こされた昏睡から目を覚まし、普通の人々には本当の形で役に立たず、実際我々を貧しくし我々の命さえ脅かす代理戦争を支持するよう操られていると悟るまで一体どれだけかかるのだろう?

 現状の形で、この代理戦争を続けることに対し、道徳的に整合性がある議論などあり得ない。もし皆様が実際に命と平和を高く評価するなら、唯一の解決法は交渉と妥協だ。私がこれを指摘するのは、それが起きると信じているからではなく、だまされている事実に、もう少し多くの人々が目を開くのを支援したいと願うがゆえだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/07/14/this-proxy-war-has-no-exit-strategy/

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 大型書店に出掛けて、驚いた。
 一階の一番目立つ台と棚、なぜか共産党批判本だらけ。
 ところが、社会科学本の階では、統一教会関連本、品揃え極めて貧弱。
 属国の腐敗は、傀儡政府や、大本営広報部、出版界、巨大ネット書店だけではない。現実の大書店まで言論統制推進中。人は、見えないものは気がつかない。簡単に目に見えるものを現実と理解する。

 検索エンジンと称されるもの、個人的経験からは、隠蔽エンジン。書店自体も、本を探すためではなく、本を隠すための存在に化している。

 統一教会に操られているのは、与党、ゆとうだけではない。国民そのもの。

 「統一教会」という言葉を含む記事を、書いているかどうか確認してみると、一番古い記事は2010/6のもの。ホワイトハウス記者クラブの有名ベテラン女性記者が記者クラブを追放された話題。彼女も、間接的な意味で、このカルトの被害者の一人かもしれない。そして、反ユダヤ発言を取り締まる連中も立派なカルト。

ヘレン・トーマス、反ユダヤ主義発言で記者クラブ追放

 芳ちゃんのブログ

 “How Western arms find their way onto the black market through Ukraine — RT EN”, May/17/2022の翻訳記事

ロシアに勝つために武器の供与を要求? いや、そうじゃない。転売するためさ!

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名 日本は次のウクライナ

あえて著者不明で紹介。「自民党は比較的争点になるような政策を掲げていた。 経済は「新しい資本主義」、安保防衛は「防衛費GDP2%へ増」、憲法改正。 問題は、これと真っ向対決野党がなかったことだ。

 デモクラシータイムス

【横田一の現場直撃 No.172】◆統一教会に焦点 自民支援日常化 ◆国葬反対・規制強化で野党は?? ◆鴻巣市長選、ここにもゴミ焼却場問題  20220718 47:05

 日刊IWJガイド

「統一教会を摘発しなかったのは『政治の力だった』! 有田芳生氏が警察幹部の証言を暴露!!」

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