バイデンの大詰めはウクライナ勝利であってはならない
ウクライナが勝てる現実的シナリオはない。ワシントンは和解を主張すべき。
トゥルシー・ギャバードとダニエル・L・デイビス
6月19日、ウクライナのヘルソン付近の前線訪問から戻った後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「クリミア半島も開放する」意志を以前明らかにしていたが、彼の軍はロシアと戦い続け「我々のもの全てを奪還する」と述べた。それら目標は理解できるが、東ウクライナの血まみれの戦場に出現している厳しい現実は、キーウが軍事的勝利を達成しようと長く努めれば努めるほど、究極的に敗北す可能性が益々高まる。アメリカの権益に方向付けられている、アメリカ政策は、この現実を反映して変化すべきだ。
戦争当初、ロシアの何千輌もの戦車や他の装甲車両や、特にキーウとハルキウ戦線での何万人もの兵士の損失で明らかなように、キーウを征服し、政府に降伏するよう強いるクレムリン軍の明確な失敗に、ウクライナと欧米の多くは勇気づけられた。ウクライナ軍は、それと対照的に、期待以上に、勇ましく効果的に戦った。これに答えて、アメリカと他の多数の西側諸国はキーウに武器と弾薬の送付を加速した。
だが、ウクライナは、あらゆる装置を歓迎しているが、送付されたものは、最新と、時代遅れの、欧米とソ連製の奇妙な混合だった。多数のシステムは、専門的訓練、特定の保守体制や、それぞれの武器システム間で、往々にして相互に排他的な様々な口径の弾薬が必要だ。この全ては、武器を供給し、機能させておく大規模で複雑な物流体制を必要とするが、現在ウクライナには存在せず、間に合わせで続けられている。
一方、ウクライナ大統領は、より多くの武器を強く要求し、送られたか、これまで約束された量では甚だしく不十分だと警告している。ウクライナ大統領顧問のミハイル・ポドリャクは、既に約束された装置の他に、ウクライナは更に「口径155ミリ曲射砲1000門;MLRS[多連装ロケット砲]300門;戦車500輌;装甲車両2000輌;[そして]ドローン1000機」が必要だという手紙を先週書いた。これら要求の規模は、潮目を変えることは言うまでもなく、ウクライナ軍にとって、国の東部でロシアの猛攻撃に抵抗するのがどれだけ困難かを示している。
ドンバスの戦いで、ロシアが方針を変え、作戦よりも、火力を優先したため、ロシア軍は、一日に70,000発以上の砲弾と、相当な数の強力なロケットで、ウクライナ部隊を猛撃している。さらに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の軍は、ウクライナに1日に約300回の航空出撃を行っている。ウクライナは、対照的に、推定10分の1の砲弾を放ち、1日に3回から5回の航空出撃しかしていない。
この火力の相違は、持続可能と我々が考えるものを越えてウクライナ人犠牲者を増やしており、報道によれば毎日兵士が最高200人死亡し、約500人の負傷者が出ている。キーウの装備に対する被害も同じぐらい衝撃的だ。戦争の初めにウクライナが保有していたソ連時代の装置の大部分が破壊され、あらゆる種類の弾薬を使い果たしている。最近ロシア侵略者に対し、ウクライナがいくつか町村を失い、ドンバス戦線の包囲に近いものでも分かるように、それだけ大損害を被っては、どんな軍も効果的抵抗を維持し続けることはできない。
キーウとワシントンの政策はこれら戦場の現実を無視しているように思われる。先週、ゼレンスキーは、2014年最初の侵略以来、ロシアに奪われた全てのウクライナ領を奪還する計画を繰り返した。それは現在ウクライナの約20パーセントだ。話し合いによる解決の可能性について、彼は、ロシアと「話をする時間はない」と一日後に付け加えた。
最近、キャスリーン・ヒックス国防総省副長官は、ペンタゴンは今後5年、10年、あるいは20年、ウクライナを支援する「十分用意がある」と語った。だが戦闘に配備された我々自身のかなりの経験から、ウクライナが、10年や20年は言うまでもなく、5カ月から10カ月耐えられるか疑問に思える。
まだ時間はあり、キーウがまだ領土の80パーセントを支配しており、アメリカ政策の変更は、ウクライナ人の命を救い、それ以上の領土喪失を防ぐ可能性をもたらすはずだ。最小限、バイデン政権はロシアを弱めるという目標を強調するのをやめ、その代わりに、外交に優先順位をおき、キーウとモスクワが交渉による戦争終結を見いだすよう支援すべきだ。戦争がウクライナでエスカレートしたり、それを越えて広がったりするのを阻止することはアメリカの国益になる。核戦争による世界的に悲惨な結末ゆえに、アメリカ・ロシアや、NATO-ロシア直接対決のリスクを避けることは極めて重要だ。既に世界は1962年のキューバ危機以来、より大きな核戦争のリスクにある。
この記事の意見は、もっぱら著者のものであり、必ずしもInformation Clearing Houseの意見ではない。
記事原文のurl:http://www.informationclearinghouse.info/57097.htm
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筆者二人とも元軍人。トゥルシー・ギャバードは、元ハワイ州選出議員。
寺島メソッド翻訳NEWS RT記事翻訳
UNZ Reviewで見たJeffrey Sachs講演、コロナ起源の驚くべき話を聞いた。下記で読める。
Covid possibly came out of a U.S. biotechnology lab, says Columbia professor
今朝の孫崎享氏メルマガ題名
AFP:ウクライナ向け武器が「中東や闇市場に」 ロシア国防相、この問題は過去も提起「ユーロポールは、EUからウクライナに供給される武器を誰が最終的に入手するかについて懸念している」
植草一秀の『知られざる真実』
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第27回参議院選挙投開票日まであと3日!『朝日新聞』は、1人区は32選挙区のうち、28選挙区で自民が有利、13の複数区でも「与党が堅調」、維新は改選議席を倍増、自公維国の改憲4党で、改憲の国会発議に必要な3分の2を超える可能性が高まっていると分析! 防衛費倍増、戦時独裁体制をつくる緊急事態条項へと突き進む日本に、元自民党副総裁の山崎拓氏、海上自衛隊総監が警鐘!
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