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2022年6月 5日 (日)

ウクライナのナチ問題をロゴ変更で解決する帝国

2022年5月31日
ケイトリン・ジョンストン

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 あー、それはずっと良い。問題解決だ。

 大英帝国の汚らわしいぼろ新聞タイムズが「アゾフ連隊、ロシアのプロパガンダ屋に利用されたネオ・ナチのシンボルを廃止」という見出しの新記事を掲載したが、これまでのところ2022年で最もこっけいな主要ニュースのはずだ。(私はThe Onionや他の意図的におかしな主要ニュースも、候補に含めたい。)

 「ウクライナが極右民族主義に支配されているというロシア・プロパガンダを永続させるのに役立ったネオ・ナチシンボルを、アゾフ大隊は記章から削除した」とタイムズは書いている。「ハルキウの新しい特殊部隊のお披露目で兵士に手渡された記章には、ナチが採用し、2014年から大隊が使ってきた中世ドイツのシンボル、ヴォルフスアンゲルはなかった。代わりは他の連隊も着けているウクライナ国の象徴、黄金三叉槍だった。」

 そう、それが、ウクライナのナチ問題解決法だ。ロゴの変更。

https://twitter.com/taseenb/status/1531324958776995840

 アゾフ大隊がネオ・ナチ記章を使い、イデオロギー的に、ネオナチだと言うのは「ロシア・プロパガンダ」だという主張は、それ自体プロパガンダだ。1カ月前、Moon of Alabamaが、様々なウクライナの準軍事組織を、そういうものだと書いていた多くの主流欧米メデイアの不完全なリストを発表した。もしアゾフ大隊がネオ・ナチだと言うのが「ロシアのプロパガンダ屋」なら、シリコンバレー・ソーシャルメディア・プラットホームは即座にNBCニュースBBCガーディアンロイターなどのメデイアを禁止すべきなのだ。

 二月に、この戦争が始める前は、帝国の最も敵意に満ちた歪曲宣伝プロ連中の反響室を除いて、ウクライナにはナチ問題があると言っても論争の的にならなかった。紛争の初期でさえ、歴史は書き直されたのだというメモを受け取っていなかった主流メデイア報道では、「たとえプーチンの「非ナチ化」主張がそうではないにせよ、ウクライナのナチ問題は本当だ」という題の、三月のこのNBCニュース記事のように報じられていた。

抜粋:

 ウクライナで拡大しつつある志願兵大隊で、ネオ・ナチが、その一部だというのは気がかりだ。2014年のプーチンのクリミア侵略後、東ウクライナでモスクワに支援される分離主義者に対する厳しい市街戦を何度か行って、彼らは戦闘で鍛えられた。その一つは、ウクライナの国家的目的は、国からユダヤ人や他の劣る人種を排除することだと主張する公然の白人優越論者が設立したアゾフ連隊だ。2018年、アメリカ議会は、ウクライナへの支援は「アゾフ連隊に兵器や訓練や他の支援を提供するために」使うことはできないと規定した。たとえそうであれ、今やアゾフはウクライナ国家警備隊の正式メンバーだ。

 だからウクライナには、アメリカや同盟諸国から武器を得ているネオナチ準軍事組織があるという確固とした事実を強調するのは決して「ロシア・プロパガンダ」ではない。記章変更は誤解を改めるためではなく、正しい認識を曖昧にするため行われているのだ。

 記章変更は、旧商標がジム・クロウ人種差別を想起させたため(Aunt Jemima)『ジェミマおばさん』をPearl Milling Companyに商標変更したのとほとんど同様、主流メデイアに一層なじむロゴへの商標変更だ。主な相違はPearl Milling企業幹部は、おそらくアメリカをアパルトヘイト状態に戻すことに興味を持っていないことだ。

 シリアのアルカイダがまさに同じ理由で最近同様な商標変更をしたとジャーナリストのアレックス・ルーベンスタインがTwitterで指摘した

 

 そうした連中が所与の地域で、そのような狙いを推進するのに必要な、同国人に残忍な暴力行為をするのをいとわない派閥であることが多いので、アメリカと同盟諸国が帝国の狙いを推進するために、ファシスト過激派を支持するのは極普通のことだ。

 中南米の極右民兵から、中東の暴虐なジハード戦士まで、殺人ファシストを支持し、更に彼らの悪行が大衆に見えないよう認識管理する、このパターンは長年行われている。アメリカ連合が、シリアで政権転覆を推進するため、アルカイダと連携する派閥と活動を始めた後、最終的に彼らのイメージについて、国民の懸念をなだめるため、商標変更が必要になった。左翼的サンディニスタを踏み消すために、アメリカが支援するコントラがニカラグアで人権的残虐行為を犯していた時、レーガン政権は人々の状況認識を操る大規模認識管理作戦を開始した。

 ウクライナでは、たまたま、ネオナチ準軍事組織が、帝国が現地でする必要があることをするのに十分下劣な武装凶悪犯だった。ウクライナ系アメリカ人の平和主義活動家ユーリー・ドゥボヴィクがMultipolaristaで説明したように、彼らは国の東部で同国人を砲撃するのをいとわなかった。

 ドネツクとルガンスクの人々はそれほど幸運ではなかった。クーデター政府は彼らの反乱を鎮圧するため軍を緊急派遣した。

 最初、多くのウクライナ兵士が、アメリカに支援される政府が始めたこの内戦で同国人に発砲するのを拒否した。

 ウクライナ軍のためらいを見て、極右集団(と連中を支持するオリガルヒ)がアゾフ、アイダール、ドニプロ、トルネードなどの、いわゆる「地域防衛大隊」を組織した。

 中南米諸国で、アメリカが支援する暗殺団が、左翼政治家、社会主義者や労組活動家を殺すのとほとんど同様、これらウクライナのファシスト大隊は、ロシア語話者のウクライナ人を殺し、ドネツクとルガンスクの民兵に対する攻撃を先導するため派遣された。

 

 アゾフ大隊のような派閥がウクライナで、手を汚すのをいとわない連中だった事実が、彼らの人数を遙かに超えて、国の問題への影響力を支える能力の主因、グレーゾーンのマックス・ブルメンソールとアレックス・ルーベンスタインが詳細に記述した原動力だった。ジャーナリストのアーロン・マテが指摘しているように、ウォロディミル・ゼレンスキーがウクライナ大統領に選ばれた時、もし彼がすると誓っていた通り、ロシアと和平を結ぶため働いたら、リンチにかけるとこれら過激派は公然と脅した。

 こうした説明に加えて、ゼレンスキーを、そうした派閥から保護することで、彼が実行すべく選出された平和への付託を実施できるようにして、アメリカは容易にこの戦争全体を阻止できたはずだったと言っておく価値がある。だが、もちろん、アメリカは常にこの戦争を望んでおり、アメリカは実際に民主的統治を信頼せず、アメリカは実際ナチズムに反対ではないので、アメリカは決してこのようなことをするはずはない。

 それが、ウクライナでネオ・ナチ民兵を武装させることについて懸念が起きた際、唯一提案されたものがロゴ変更だった理由だ。

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講演・憲法とウクライナ問題・日本国憲法三つの柱、①戦争しない、②民主主義、③自由主義。これらいずれも壊れつつある。ウクライナ問題国会で全員スタンディングオベーションは大いに疑問。和平は可能性ある。だが西側の武器支援でこの可能性遠のいている。

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コメント

 実に現実世界をはっきり記述する、素晴らしい記事だと思います。
 アメリカ、イギリス帝国は、気に入らない体制があれば、現地の極右民兵組織、暴力団に多大な援助をして、これを潰そうとしてきました。
 欧米や日本のインチキマスコミは、米英が資金援助する暗殺団を英雄扱いし、現地の人々から多くの支持を得ている社会主義は、こきおろすのです。
 資本主義世界には、自由だの民主主義だのは存在せず、ただ、大富豪による専制政治だけがあることを、如実に証明しています。

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