ウクライナ状況報告 煮えたぎる大がま、リシチャンシク 沈滞する士気 更なる挑発
2022年6月20日
Moon of Alabama
元CIA・諜報機関の大物グラハム・フラーがウクライナにおけるアメリカ-ロシア代理戦争の暗い結果を予測している。ウクライナ、アメリカとヨーロッパにとって暗いのだ。
ワシントンの勝ち誇る宣言に反し、ロシアは戦争に勝っており、この戦争でウクライナは負けている。ロシアに対する、どんな長期的損害も議論の余地がある。
アメリカの対ロシア制裁は、ロシアよりヨーロッパにとって遙かに破壊的なことが分かっている。世界経済は鈍化し、多くの発展途上国が重大な食糧不足と広範な飢餓の危機に直面している。
いわゆる「NATO団結」というヨーロッパのうわべには既に深いひびが入っている。西欧は、アメリカというハーメルンの笛吹きによる対ロシア戦争への誘いに無分別について行った日々を益々後悔するだろう。実際、これはウクライナ-ロシア戦争ではなく、最後のウクライナ人まで行われるアメリカ-ロシア戦争だ。
楽天的な宣言に反し、NATOは実際、究極的に、弱体化する可能性がある。西ヨーロッパ人は、ロシア、つまりアメリカのもう一つの「競合相手」との、より深い長期的対決を引き起こした大きな代償について、長年、懸命に考えこむだろう。
ヨーロッパは、遅かれ早かれ高価でないロシア・エネルギーの購入に戻るだろう。ロシアは戸口にいるので、ロシアとの自然な経済関係が結局は圧倒的に論理的なはずだ。
アメリカは、世界に対する「アメリカ指導力」を維持する自暴自棄な必要性を前提にした、不安定で偽善的な外交政策「構想」を持った既に下落しつつある権力だとヨーロッパは既に認知している。これを目指して戦争するというアメリカの意欲は、他の人々にとって益々危険だ。
上記全て、二月下旬 と 三月に、既に当ウェブサイトで述べた。だが今や経験豊かな知的な人々が類似の結論に到達しているのを見ることは良いことだ。
二週間前、ウクライナは間もなく限界に達するだろうと私は書いた。今日のロシア国防省「攻撃実績リスト」は、その解釈を裏付けるウクライナ部隊損失に関する追加だ。
5月19日以来、一ヶ月で、ウクライナ軍第14機機甲旅団だけでも、死亡と負傷の結果として2,100人を失った。士気と心理的状態の低さから、この損失を補充するよう命じられた800人の人々が作戦地域に行くのを拒否し、無能と賃金支払いにおける賄賂と縁故主義で士官を訴えた。
第10山岳攻撃旅団偵察部隊の兵士約100人が、調査のため、戦闘任務から外され、クレメンチュグに移送された。
ウクライナ軍第30機甲旅団指揮官のかなりの部分が、部隊管理を止めて、戦闘任務実行を拒否している。病気を装うためあらゆる口実が使われている。大多数の部隊は、既に士官がいない状態になっている。
機甲旅団には約3,500人の兵士がいる。ウクライナ第14機甲旅団は、一ヶ月で人員の三分の二を失った。代替は、おそらく、もはや存在していない機甲装置(戦車、装甲兵員輸送車)で訓練を受けられず、無防備な歩兵隊としてしか使えない。彼らが絶望的な状態に送られるのを拒否するのは驚きではない。
ウクライナ指導部は、東部のリシチャンシク大がまに依然新部隊を送っている。ロシアはそれを気にかけない。彼らの仕事はウクライナを「非武装化する」ことだ。一挙に、より多くの兵隊を包囲すれば、それが一層容易になる。
一番上のロシアが占領している赤い地域と、一番下の部分との最も短い間隔の距離は、わずか15キロ、つまり約9マイルだ。リシチャンシクのウクライナ軍に再供給するために使える西から東まで通っている道路は一つしかない。
現在、戦闘は、この詳細地図の一番下、ミコライフカで行われている。その5キロ北はリシチャンシク精製所だ。それは次の標的だろう。リシチャンシクへの最後の道は、すぐその北にある。その道路が直接のロシア攻撃を受ける時、大がまは閉じられ、その中にいる人々にとって、沸騰が始まるだろう。大がま内の20,000人ほどの兵士にとって、それは降伏か死を意味するだろう。
もしそれがまだ可能なら、他のウクライナ部隊の士気は更に下がるだろう。
アナンケ・グループ @AnankeGroup - 2022年6月20日15時01分 UTC -
「我々はセヴェルスク市近くに基地を置く、第10旅団第8大隊の兵士だ。我々はあなた方、大統領、ザルジニー総司令官とウクライナ国民に訴える。我々は残った部隊の即座の交代を要求する。物理的、精神的に、これ以上の部隊はいない。
埋め込まれた動画
兵隊が、ウクライナ軍最高指揮官のザルジニー総司令官に訴えたのは興味深い。そういう例を私は初めて聞いた。リシチャンシクで、最後まで戦うという考えは、ゼレンスキーと彼の民間人顧問のものだ。報道によれば、ザルジニー総司令官は、それに反対だった。彼は、この部隊や他部隊を撤退させ、より機動性のある作戦をしたいと望んでいた。それは前線を減らし、休んで、後の反撃が準備できる保護区を作る機会になっただろう。彼がメディアの登場が増すにつれ、今ゼレンスキー顧問が、ザルジニー総司令官を置き換えるロビー運動中だといううわさがある。彼らはおそらくクーデターを恐れているのだ。
ロシア側はミサイル攻撃で50人のウクライナ軍将官と高官を殺害したと昨日報じた。この集団は南部地域のオデッサとヘルソンでの今後の戦いを計画するため会合していた。これは今確認されたように思われる:
マネージメント・インパクト・ソリューション・コンサルティングLP - @MiExecSearch - 2022年6月20日 15:10 UTC -
ロシア軍は、後部で潜伏していたウクライナ軍将官を打倒した。ザポロジエ地域の軍民政権は、シロカヤ・ダーチャ村付近のウクライナ軍指揮所に対するミサイル攻撃の結果を確認し、57人の最高級士官が殺害された。
昨夜、おそらく、この士官に対する攻撃に応えて、ウクライナは、クリミア半島付近近海域のガス・石油採掘プラットホームにミサイルを発射した。設備は破損した。ロシアはロシア領内の貴重なインフラへの直接攻撃と見なし、多分強烈な対応をするだろう。
昨日リトアニアは、EU制裁下のロシア商品が、ベラルーシから、ロシア領のバルト海カリーニングラード飛び領土へ通過するのを即座に禁止すると発表した。それは、この都市への妨げられないロシアのアクセスを保証する、いくつかの国際協定に違反している。ロシアは、まだこの新しい挑発に対する回答を発表していない。
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筆者は更に新しい記事を書いている。
今朝の孫崎享氏のメルマガ題名
ウクライナ問題を契機に、日本国中、防衛費増額の雰囲気である。つまり、防衛費増額に反対なら、ウクライナ問題を正当に評価することが必要である。解決策:NATOをウクライナに拡大しない、②東部に自決権を与える。ウクライナ問題は極めてウクライナ特有の問題。
全くおっしゃる通りなのだが、現実は、ハワード・ジンが語った通り、ゲーリングがドイツ人に戦争を支持させただましのテクニックが、そのまま通用する悲しさ。
ハワード・ジン「歴史の効用とテロリズムに対する戦争」を語る 2007/3/31 該当部分だけ複写する。是非全文お読み願いたい。
ゲーリングは言っています。「もちろん国民は戦争を望んではいない。なぜ畑にいる貧しいまぬけが、自分の命を戦争にさらそうなどと望むだろう?だが、結局、政策を決定するのは国家指導者だ。国民はいつでも指導者達の命令に従わせることができる。連中に、我々は攻撃されているのだと言って、平和主義者は愛国心に欠けると非難するだけで良いのだ。これはどこの国でも同様に機能する。」
私には最後の行が興味深いものでした。「これはどこの国でも同様に機能する。」つまり、ここで、彼らはナチスです。あれはファシスト体制です。アメリカはデモクラシーです。けれども、自分の国を何制度と呼ぼうと、これはどこの国でも同様に機能するのです。自分の国を全体主義国家と呼ぼうと、あるいは自国をデモクラシーと呼ぼうと、同じように機能するのです。つまり、国家指導者達は国民を、丸め込んだり、無理強いしたり、唆したりして戦争をさせることができるのです。国民を脅かし、国民が危険な状態にあると言い、もしも支持しなければ、非愛国的と見なされるぞと国民を脅迫し、無理強いして。そして、これが9/11直後にこの国で本当に起きたことなのです。これがブッシュがイラクの大量破壊兵器という妖怪をよみがえらせた直後に起きて、しばらくの間アメリカ国民がこれを支持するようにさせたわけです。
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