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2022年5月30日 (月)

ウクライナの平和は選択肢にないと連中は実に露骨に言った

2022年5月24日
ケイトリン・ジョンストン

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 月曜日、世界経済フォーラムで、ウクライナとロシア間の、いかなる平和協定にも反対するとジョー・マンチン上院議員は述べた。

 現時点でワシントン最有力議員の一人であるマンチンは、ウクライナ中から全ロシア人の完全強制追放しか受けいれられず、戦争は理想的にはプーチンを権力の座から排除するため使われるべきで、彼と話した戦略家はこの戦争を「好機」と見ていると補足した。

 「私は一人の人間として、基本的に何らかの条約でなく、ウクライナの徹底的勝利を見るべく取り組んでいる。我々はそういう立場で、そうあるべきだと思う」とマンチンは述べた。

 「私は基本的にプーチンをロシアに戻し、願わくはプーチン排除を狙っている」とウクライナにとって勝利という言葉は何を意味するか尋ねられてマンチンは補足した。

 

 プーチンを「2月前」に押し戻すというのは、ロシアが依然、モスクワに忠実なクリミア半島とドンバス分離主義領域を支援する状態ではなく、キーウと完全に全地域の奪還を意味することだとマンチンは明らかにた。

 さらに明確にするように問われると「ウクライナは国を取り戻すと固く決意していると思う」、更にロシアでの政権交代という彼の呼びかけが「ロシアの人々」に実行されることを願うとマンチンは述べた。

 「私はこれまで一度も見たことがなく、話をした人々も戦略上一度も見たことがなく、する必要があることをする今以上の機会はないと固く信じている」とマンチンは補足した。「ウクライナにはそうする強い意志がある。我々はそれを支持すると誓約すべきだ。」

 

 アメリカに中央集権化した帝国のウクライナにおける本当の狙いについて我々が知っていることとマンチンの発言は完全に一致する。

 今月早々、ウクライナ・メディアは、イギリスのボリス・ジョンソン首相がNATO諸国を代表して、「たとえウクライナがプーチンの保証で何らかの協定に署名する用意があっても、我々はにはない」とウォロディミル・ゼレンスキー大統領に言ったと報じた。

 先月、アメリカ国防長官ロイド・オースティンは、「我々はロシアが、今回のウクライナ侵略のようなことができないほど弱体化するのを見たい。」と言って、この戦争の目的はウクライナの平和や、ロシアの単なる軍事的敗北でなく、実際、国としてのロシア弱体化だと認めた。

 先週ニューヨーク・タイムズが、バイデン政権は「世界エネルギー経済における中心的役割を破壊する長期目標でロシア石油収入を窒息させる」計画を立案中と報じた。

 先日、任務は、既に侵略者ロシアを打倒するという目標から、2014年ロシア連邦に併合されたクリミア領奪還へと前進したとウクライナ軍諜報機関の長官が発表した。

 二ヶ月前、バイデン自身「どうあっても、この男は政権に留まることができない。」とプーチンについて言い、政権転覆という露骨な要求で、本当の狙いが何か認めた。

 バイデン政権の声明は、実際、この戦争が長引くことを期待しており、死と破壊を最小にする速やかな終結は、アメリカ帝国にとって興味がないのみならず、望ましくないことを極めて明確に示している。

 これは視野のどこかに選択肢として平和がある代理戦争ではない。ウクライナ人の命を救うことが狙いではない。ウクライナでロシアを破ることさえ狙いではない。いくつの命がその過程で破壊される必要があろうと、モスクワ政権転覆実現が狙いだ。

 平和はメニューにない。

 

 この戦争は、わずかな外交と合理的な妥協で簡単に防ぐことができたはずだ。最近オタワ大学のイワン・カチャノフスキーがThe Mapleに説明したように「ウクライナは中立のまま、ミンスク協定の実行を約束した合意で、プーチン侵略を止められたはずだ」。

 クレムリンがウクライナに対し計画していたことをアメリカ諜報カルテルが重々承知していたのを我々は知っており、彼らは侵略を防ぐため何ができるか知っていたはずだ。目標がこの戦争を引き起こし、モスクワに対し、それを兵器として利用することだったので、彼らは承知の上で、それらのどれもしないと決めたのだ。

 それが、バイデン政権が、この戦争終焉交渉の外交努力を妨げていた理由であり、平和を確保するのを助けるための制裁や他のアメリカ措置緩和に関し、何らかの外交交渉力をウクライナに与えるのを拒否した理由で、国務大臣が、モスクワでのロシア外務大臣とのいかなる対話も終始際だって避けていた理由だ。

 帝国の報道対策顧問連中や洗脳された犠牲者はウクライナ軍隊がウクライナの「平和」のために戦っていると主張したがる。先日、ネオ・ナチ・アゾフ大隊を「戦友」と呼んだキーウ・インディペンデントのイリヤ・ポノマレンコはTwitterにこれを投稿した:

https://twitter.com/IAPonomarenko/status/1527982921625346049

 だが、この戦争を理解している人は誰でも、これがばかばかしいことを知っている。平和はウクライナでの目標ではない。確かに戦っているウクライナ人の大部分は国の平和のために戦っていると信じ、平和は確かに彼らの意図だが、帝国が、この件で発言の機会を与えられたら、帝国が許すものではない。

 アフガニスタンとシリア両国でしたと、アメリカ当局者が認めたように、モスクワを長く高価で辛い仕事に引きずり込むため使われる砲弾の餌食になるのを、たとえウクライナが何らかの方法で避けるにせよ、たとえ彼らが何らかの方法で、近いうちに、モスクワに、すさまじい決定的敗北を与えることに成功しても(欧米メディアが人々に信じさせようとしているほど、ありそうにないが)それは終戦ではないはずだ。帝国と代理人がモスクワに対する攻撃に向かうから、戦争は形を変えるだけのはずだ。

 この戦争は、ロシアがウクライナから追いだされても終わらず、政権転覆とロシア連邦の小国分裂で終わる。本当に、中国の勃興が止められ、アメリカの一極覇権が安全に確保されるまで終わらないのだ。あるいは帝国が崩壊する時。あるいは我々全員核による大量殺戮で死ぬ時まで。

 今後見える限りの未来軌道で、この戦争の全ての動きは、暴力以外何もない。この紛争に、どれほど富や戦争兵器を注ぎこんでも、地平線に向かって死と破壊の軌道は広がり続けるだろう。最近クリス・ヘッジズが説明したように、戦争は帝国が自身のために開けておいた唯一の道なのだ。

 ピューリッツァ賞受賞者のクリス・ヘッジズ、この国の本当の権力の真実を語る。戦争以外の逃げ場なし。

 私は人生で様々な気の利く人々を見たが、誰も、平和を実現するためアメリカが外国に武器を注ぐと思っている人々ほど愛らしくはない。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/05/24/theyre-just-outright-telling-us-that-peace-in-ukraine-is-not-an-option/

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