ウクライナ軍にとって、いかに事態がまずいかという主流メディアによる希な一瞥
2022年5月27日
ケイトリン・ジョンストン
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皆アメリカでの最近の銃乱射事件に注目しているが、ワシントン・ポストが掲載したのは、ロシアに対するウクライナの戦争が、彼らが国民に信じさせていたような楽勝でなかったのを主流欧米メディアが初めて認めた記事かもしれない。
「見捨てられたように感じている東部のウクライナ志願兵」という題のワシントン・ポスト新記事は、欧米世界に吹き込まれている勝ち誇る言説に反し、一日ジャガイモ一つで生き延びている東部ウクライナの兵士の多くは、幹部は自分たちを見捨てており、自分たちは死に追いやられていると感じて、持ち場から脱走しつつあると報じている。
「ロシア軍が大砲とグラート・ロケット砲弾を打ち込む中、重要な東部前線で、ウクライナ志願兵は塹壕で立ち往生し、一日ジャガイモ一つで生きている。劣勢で、訓練されておらず、軽火器をつかんで、兵士は砲撃が終わるよう祈っていた」と複数情報提供者を名出しで引用してワシントン・ポストが報じている。
「ロシアの猛攻に、勝ち誇って立ち向かう志願兵と職業軍人の不死身のイメージを、ウクライナ指導部が作り上げ、推進している」と記事にある。「だが、志願兵のラプコと仲間の経験は、この紛争とドンバス地域でロシアの前進を止めるウクライナ人の苦闘の希な、より現実的な姿だ。ウクライナは、ロシア同様、死者や負傷や軍装備品の喪失についての情報提供は乏しい。だが3カ月の戦争後、120人のこの隊は死者、負傷者と脱走のため54人まで減っている。」
Ukrainian leaders project an image of military invulnerability against #Russia. But commanders offer a more realistic portrait of the war, where outgunned volunteers describe being abandoned by their military brass and facing certain death at the front. https://t.co/YLu9M28Cx8
— Sudarsan Raghavan (@raghavanWaPo) May 26, 2022
ワシントン・ポストは、ウクライナのその地域の志願兵部隊は「素早く、自身が戦争の十字照準線を当てられていることに気づき、軍幹部に見捨てられたように感じ、生きるのに苦闘している」と報じている。
「我々は死に追いやられている」と、ある志願兵が言った。「これは我々だけではない、多数いる。」
「ポストがラプコとフルスにインタビューした数時間後、ウクライナ軍治安部隊隊員が彼らのホテルに到着し、脱走のかどで、それら男性の一部を拘留した」とワシントン・ポストが報じている。「男たちは自分たちは見捨てられたのだと主張している。」
一部の解説者が、ようやく主流報道機関で、この戦争の多少現実的報道が見られるようになった事実について意見を述べている。
「私が初めて見た、ウクライナ軍の壊滅的状態、前線でのウクライナ人の士気喪失を報じる主要アメリカ・メディア報道だ。我々の政府が深く関与している戦争について、我々が知るべき明白に思われる真実だ」とウクライナ軍の状態に関するマスメディア報道管制をしばしば批判しているジャーナリストのマーク・エームズがツイートした。
「これはアメリカが助成している外国軍のPR歪曲と秘密に穴を開ける主流メディアの最初の記事かもしれない。ワシントン・ポストに極めて厳しい様子の話をした後、二人の指揮官は逮捕された」とジャーナリストのマイケル・トレーシーがツイートした。
これは、情報源が完全にイギリス政府と軍産複合体が資金供給するネオコン・シンクタンクの戦争研究所による根拠の無い主張で「ロシアが間違いをおかす中、殲滅されるプーチンのエリート兵士たちとイギリス」というという題のこの最近のニューズウィーク記事と通常一致するはずの標準的主流メディア報道からの大きな変化だ。
First major US media I've seen to report catastrophic condition of Ukrainian forces, collapsing Ukrainian morale on the front. Seems obvious we should know the truth about a war our government is so deeply invested in.https://t.co/sYYwdm1p62
— Mark Ames (@MarkAmesExiled) May 26, 2022
とにかく、そういうことだ。それが、交渉による和平合意を提唱する人を誰であれ、プーチン擁護者やクレムリンお雇いのあらし屋と呼んで、快適な自宅から欧米人が声援している紛争前線の現実だ。
好きなテレビ番組のCMの合間に、これら勇敢な安楽椅子戦士は、口いっぱいのオニオン・リング・スナックで、ロシアに完全勝利し、クリミア半島とドンバスを奪還するまで、ウクライナ人が、このように戦い続けるのを要求して、小さな青と黄色の国旗絵文字で「ウクライナに栄光あれ」とTwitter投稿しているのだ。
戦争の恐ろしさを本当に理解していれば、完全勝利まで戦い続けるよう外国人に要求するのに欧米人はそれほど無神経でないはずだ。不幸にも彼らがまさにそういう理解をするのを阻止して何世代も過ごしている未曾有な精巧さのプロパガンダ機関がある。
それが彼らが果てしない数のウクライナ人の命を帝国戦争機構のギアに投げ入れるのが、それほどうれしい理由で、我々がここで論じているワシントン・ポスト記事が、この記事執筆時点で、オンラインで多数注目を極わずかしか受けない理由だ。それは「ふーん、あんたは近頃、良い砲弾の餌食を雇えないんだな」と帝国支配者と、彼らに洗脳された一団に切り捨てられ、無視されるだろう。
"So you think Ukraine should just GIVE Putin the Donbas and Crimea and neutrality, to end a war Putin started??"
— Caitlin Johnstone ⏳ (@caitoz) March 24, 2022
No I think Ukraine should sacrifice rivers of blood serving as US proxy cannon fodder for years to drain Moscow while you sit at home eating Pop Tarts and tweeting.
起きていることと、これらの人々が経験していることを結びつける本当の評価がないのだ。欧米のいわゆる中道主義者の頭の中にある、この戦争の子供クレヨン画版では、映画やテレビで起きる、悪人の大群をたたきのめす正しい英雄的善人チームなのだ。
だが、これは映画ではなく、TVでもない。アメリカに中央集権化した帝国に意図的に挑発されたアメリカ代理戦争で人々は死につつあり、あらゆる言説と歪曲の背後で、究極的にアメリカ一極覇権を確保する高尚な狙いのため連中はそうしている。
青と黄色の国旗を振る人々の多くは善意で、本当に自分はウクライナの自由と主権を擁護していると思っている。だが彼らが実際声援しているのは、帝国へのウクライナの服従と奴隷化、ウクライナ人の苦難と、地球上の全員の命を脅かす核保有超大国間の危険な代理戦争の継続だ。
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The Jimmy Dore Showで、マイダン・クーデター時のヌーランド・パヤットの誰を閣僚にいれるかの電話会話漏洩録音をYouTubeが削除したと知った。この記事と合わせると「頭隠して尻隠さず。」
ミアシャイマー教授のThe Great Delusion講演、一つの文章が気になっている。
ナショナリズムとリアリズムは、ほとんどの場合、リベラリズムに勝る。
ナショナリズムとリアリズムが無い国は?
百々峰だより
「シリーズ<オリガルヒとは何者か>その2 オリガルヒの富の成立に米国が深く関与! オリガルヒの不正蓄財は、米国なしにはありえなかった!ロシア・ウクライナの国有財産の民営化=私物化はウォール街とハーバードの経済学の教授たちの企画だった!? その驚くべきユダヤ的な起源!
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コメント
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このようの正しい記事の拡散に努力しよう。マスス塵界にも正しい人間はいるのだろう。ただし金が欲しいから正論は言えないんだろうな。鳩山さんに頼もう。
投稿: 瑠東東治 | 2022年5月30日 (月) 08時27分