(アメリカがしているのと同様に)ヨーロッパは制裁のごまかし方を学ぶべき
2022年4月1日
Moon of Alabama
今日、欧州連合と中国は事実上のサミットを行なう予定だ。サミット開始前、ブリュッセルは、ロシアを支援しないよう中国に圧力をかけるという噂をまき散らした。
もちろん中国は、どんな圧力も拒否し、ヨーロッパの戦略的に弱体な自治を指摘して報復している。
金曜日、中国-EU指導者会談の何時間も前に、中国人アナリストが、中国-EU関係は、ウクライナ危機によって損なわれてはならない、そうなれば景気回復や人々の暮らしを保証するのが大いに困難になり、EU自身の利益に悪影響を及ぼし、戦略的に独立を追求するヨーロッパの目的にも反するので、ヨーロッパは、もうアメリカに外交政策を引き回されるべきではないと警告した。
・・・。
ロシア・ウクライナ対立が一カ月以上続いており、ヨーロッパはロシアに対する制裁と、アメリカ率いるNATO安全保障構造への過度の依存から継続する大きな圧力を受け続けている。「EUは安全保障で、アメリカに引き回されているが、EUが追求している戦略的独立と合致しない」と[中国国際問題研究院欧洲研究部長崔洪建Cui Hongjian]が述べた。
再び苦境に立たされるのを避けるため、EUは自身の運命を支配しなければならない。中国との結びつきを発展させることが、長期的に、EUに発展の機会を提供する一層バランスがとれた包括的な道だと彼は述べた。
アメリカ/NATOへの依存は、ヨーロッパの戦略上の中核的弱点だ。アメリカは、それをヨーロッパの意志決定構造に潜入するために利用している。
現在のウクライナ危機が始まった際、アメリカはロシアに対する特定の制裁を起動したと発表し、ヨーロッパも同じようにするよう言った。ヨーロッパは、そこで、するように言われた以上の制裁を行なうと決めた。制裁が実行されると、ヨーロッパに圧力をかけるために使った後、アメリカは自身の制裁の一部を、静かに葬り去るか、回避したのだ。
3月8日、ホワイトハウスはこう発表した。
今日、バイデン大統領は、アメリカがロシアの石油と液化天然ガスと石炭の輸入を禁止する政令(E.O.)に署名する。不要な戦争を続けるのに使う経済資源を、プーチン大統領から更に奪う広範囲にわたる超党派支持を得た重要な動きだ。
アメリカは、両党の連邦議会議員と世界中の同盟諸国やパートナーとの緊密な協議をして、この決断をした。
・・・。
今日の政令は下記を禁止する。
- ロシアの原油と特定石油製品と液化天然ガスと石炭のアメリカへの輸入。去年、アメリカはロシアから、一日ほぼ700,000バレルの原油と精製石油製品を輸入したが、この措置は、毎年アメリカの運転手と消費者からの何十億ドルもの収入をロシアから奪うだろう・・・。
政令はここにあり、それはロシアの原油輸入を禁じているように思われる。
しかしながら、3週間後も、アメリカは依然ロシア原油を輸入している。米国エネルギー情報局は、毎週、国別原油輸入リストを発表している。
3月26日で終わる週、アメリカは一日100,000バレルのロシア原油を輸入していた。
3月7日に、アメリカは、なぜロシア石油が必要なのか私は説明した。
南海岸にいくつかあるアメリカ精製所は重油だけを加工処理している。2019年以来、アメリカはベネズエラからの重質原油輸入を封鎖し、ロシアのウラル重質原油輸入で置き換えた。ベネズエラ石油を再び輸入できるようにしようとして、カラカスに二人担当者を派遣した。それには、もちろんベネズエラに対する全制裁を撤廃し、企業やベネズエラ国が所有する没収した全ての金を返済することが必要だ。それは近いうちには起きるまい。
軽油と灯油は長鎖炭化水素でできている。より軽い原油は、これが欠けている。より短いものから長鎖炭化水素を生成する方法はあるが、その加工処理は費用がかかる。重質原油から必要に応じて分離するほうが遙かに容易だ。
ロシアのウラル重質原油なしでは、アメリカには軽油と灯油を作る効率的な方法がない。我々は世界的軽油危機のさなかだ。
軽油は商品を消費者に届けるため貨物輸送で使うが、工業輸送でも燃料として使っている。いくつか続く欧米制裁の波で、ロシア精製業者は処理量を削減しており、既に厳しい軽油供給は一層厳しくなるだろう。
「工場に出入りする、ほぼ全てのものが軽油を使っているので、軽油とGDPの間に明確な関連があるのを政府は非常に明確に理解している」とヨーロッパ石油精製協会の一部であるFuelsEurope会長が今週ロイターに述べた。
今週早々、Vitolのラッセル・アルディが述べたように「ヨーロッパはロシアから軽油の約半分を、中東から軽油油の約半分を輸入している。そこで軽油は体系的に不足している。」
だが、軽油ピンチを感じているのはヨーロッパだけではない。アメリカでも中間留分在庫が減少しているとロイターのジョン・ケンプが最新コラムで書いた。
昨日、アメリカの戦略的石油備蓄(SPR)から一日百万バレルの原油を放出するとバイデン政権が発表した。この有権者に対する賄賂は、おそらく高いガソリン価格を下げるだろうが、戦略的石油備蓄が、軽油市場でも相違を生じさせるのに十分な重質原油を含んでいるかは疑わしい。
ガソリンより、軽油こそインフレーションを促進しているのだ。
そのためアメリカは、制裁を、ごまかし続ける可能性が高い。ヨーロッパはそれを認識すべきで、自身への経済的影響を減らすため制裁に同様に対処すべきだ。さもなければ国民を破滅させるだろう。
アメリカやウクライナ-ロシア混乱は別として、最大貿易相手国である中国との関係も同様に対処すべきだ。そうしなければ、間もなく経験する可能性が高い景気後退の規模が増すだけだ。
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