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2022年4月 9日 (土)

トルコのバイラクタル・ビジネスを叩くワシントン

2022年4月2日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook

 アメリカで、無人機(UAV)を使用するサービスの市場は、様々な広範な用途ゆえ、大きな発展の可能性があると長い間考えられていた。

 UAV市場は2025年までに500億ドルに達すると予想されている。CAGR(累積年間成長率)によると、2020年以来13.8%だ。絶対数の点では、おおざっぱな見積もりで、金額は2020年の225億ドルが、2025年には、ほぼ500億ドルに増加する。更に、ワシントンが世界中にしかける様々な武力紛争が悪化する傾向を考慮して、アメリカは、特に軍用無人飛行機の生産と販売の大幅増加の「可能性」を見ている。

 2015年-2016年、軍用無人飛行機の開発、生産と使用で、アメリカが圧倒的な世界首位だと考えられている。2020年には、アメリカには、主に偵察用に、11,000機のドローンが使われていたが、多目的無人飛行機(攻撃機)もあった。だが現在は、米軍無人飛行機の大半は、防空システムを持っていない国々や、防空システムを鎮圧した後に使用するよう意図されている。防空システムの攻撃から守り易い超音速無人飛行機の開発は2016年に中止された。だが最高0.9マッハの速度が可能な戦闘爆撃機が開発されている。

 依然首位にあるものの、アメリカにとって、数年前には存在していた差を減らしつつある、より積極的な軍用UAV製造業参加者が国際市場にいるのを認めなければならない。これらは何より、中国、トルコ、イスラエルとロシアだ。例えば、National Interestはウクライナでの特別作戦で、ドローンをロシアの主要兵器と呼んでいる

 手に入れることが可能などんな武器の助けを借りてでも常に戦っている中東諸国に続いて、益々多くの国々が近年無人機を入手しようとしている。更に、シリア、リビア、そしてカフカスでの軍事行動における「トルコ・ドローンの圧倒的成功」をトルコが積極的に宣伝し、他の国々のUAVと比較して、非常に安い価格(無人飛行機六機のセットで約7000万ドル)、最近特に大人気を享受しているのはバイラクタルだ。バイラクタルTB2の最初の外国顧客は、2018年に無人飛行機六機セットと、二つの地上管制局と他の関連サブシステム装置を設置したカタールだった。カタールに続いて、2019年に、ウクライナが類似の「セット」を購入した。

 だが実際には、バイラクタルのシリアとリビアでの経験はそれほど成功ではなく、ドローンの損失はかなりなことが判明し、トルコはドローン使用戦術を調整するよう強いられた。それでも、明らかな低価格のため、NATO加盟諸国さえ含め、益々各国に買われ始めた。例えば2021年5月27日、ポーランドのマリウシュ・ブワシュチャク国防大臣は、トルコのバイラクタルの目前に迫ったポーランドの武器庫への到着を厳かに宣言さえした。

 この条件下で、アメリカは不要な競争相手を排除するいつもの手口で、長い間トルコUAVの威信を傷つけようと努めている。それで、旧式で、廃兵器にされたアメリカの戦闘UAV MQ-9リーパーと、トルコのバイラクタルTB2がほとんど同じである事実を考慮に入れて、アメリカはメディアで、これらドローンの積極的批判を開始した。特に米空軍司令部は、公式に、この種のUAVは、ロシア軍や中国の人民解放軍は言うまでもなく、イランや北朝鮮の軍に対してさえ、戦闘活動には、不適切で、役に立たず、並の機能の防空システムさえ構築できない劣った軍に対使用できるだけだと論じた。これは、一年前に、特に中東でアメリカ作戦を監督したケネス・マッケンジー大将と統合参謀本部議長マークミリー大将が発言していた。

 アメリカのMQ-9リーパーUAVとトルコのバイラクタルTB2は、大きさと些細な詳細が違うだけだ。MQ-9Reaperは際だって大きく重い。バイラクタルTB2の翼幅が12メートルなのに対し、アメリカの無人機は翼幅20メートルだ。バイラクタルTB2の最高離陸重量は650キログラムで、MQ-9リーパーは4.76トンだ。両方とも攻撃ドローンと偵察機あるいは観的手として使用可能だ。トルコ無人飛行機は150キログラムの弾薬あるいは機体外装置が搭載可能で、アメリカ無人飛行機は1,700キログラム搭載可能だ。MQ-9リーパーの巡航速度は313 km/hで、バイラクタルTB2の速度は130km/hだ。アメリカのMQ-9リーパーは敵レーダーによるドローン照射の機内警告システムと、ジャミング装置があり、保護装置に関しては、トルコ製品より一桁優れている。この全てにもかかわらず、米空軍司令部は、既にこのタイプの新UAV購入を拒否し、新世代無人飛行機の製造を要求している。

 アメリカのMQ-9リーパーとトルコのバイラクタルTB2両方とも、過去「無防備な獲物」に対して軍事行動で成功裏に使われた。だが、2020年春、トルコがシリア軍に対してドローンを大規模使用した際、シリア軍がかなり旧式の防空システムを使って「傘」を設定した後、バイラクタルTB2の欠陥は明白になった。それはトルコからの空の脅迫を無力にするのに十分であることが判明した。

 アメリカの軍事専門家連中は、トルコのUAVの購入者に、バイラクタルTB2のこれらの故障がトルコ軍がまだ完全な防空システムを持っておらず、トルコ地上部隊の戦車と機械化歩兵部隊の防空手段は、自動車と無限軌道車に搭載されたスティンガー対空ミサイル・システムに限定されている事実に帰せられると説明する。ようやく、トルコで、地上部隊を援護するためのHISAR A+対空ミサイル・システムが開発され始めた。加えて、もちろん、最近トルコの防空システムはロシアのS-400によって明らかに強化された。

 この市場でトルコから顧客を誘惑するのに、バイラクタルTB2を「より効率的なアメリカ・ドローン」に替えるよう提案し、トルコUAVの欠点をワシントンは積極的に使い始めた。とりわけ、ウクライナや他の「アメリカ同盟諸国」のトルコ製品の買手に基づいて、Breaking Defenseがこのような「申し出」を最近公式に掲載した。「ウクライナが、アメリカUAVを使用していたら一層効果的であり得たはずだと知っているのはいらだたしい」と出版物は言う。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/04/02/washington-knocks-down-turkey-s-bayraktar-business/

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 岩波書店の月刊誌『世界』5月号

 「メディア時評」を最初に拝読。

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