シリアとイラクの分割に失敗した後、ウクライナをばらばらにすると決めたアメリカ
2022年3月30日
ウラジーミル・オディンツォフ
Strategic Culture Foundation
あらゆる侵略者に良く知られている「分割して支配する」戦術は、ワシントンもその政策で積極的に使っている。
中東を分割する必要性という考えは、2006年、全ての中東諸国国境を引き直した地図を公表した有名なアメリカ人「戦略家」ラルフ・ピーターズによりアメリカで促進された。
2003年のアメリカ率いる国際連盟によるイラク侵略から、19年間、ワシントンはかつてホワイトハウス政策に同意しなかった大いに影響力を持った国だったもののをばらばらにするため一生懸命働いた。クルド地域はクルディスタン独立宣言で分離するはずだった。南とアラビア湾のシーア派は隔離されるはずだった。スンニ派にはバグダッドが残されるはずだった。
シリアの分割は、2016年2月にジョン・ケリー前米国務長官が最初に公然と論じた。アメリカは今や、シリアの広大で、戦略的に重要な、石油がある地域を支配すると主張している。シリア-ヨルダン国境とイラクとのアル・タンフ国境検問所沿いの広大な北シリアは、アメリカが政治的影響があるクルド部隊に支配されている。積極的な軍事基地建設は、この地域における長期駐留というワシントンの計画を示しており、隣接するイラクのクルディスタンをモデルにした北シリア連盟プロジェクトに基づくクルド分離主義への支援を通して合法化する予定だ。トルコは「ユーフラテスの盾作戦」完了後、クルドの州を分離する北シリアの小さい地域を支配するのをワシントンに許されると期待している。だが、これらの計画は、シリア国民の積極的反対と、シリア軍とロシアの支援のために実現する運命にない。
同様に、ワシントンは中東の全ての国々をばらばらにし「アメリカの監督下」強力な軍隊があるイスラエルに支配される多数の小さな国々になるはずだった。だがアメリカはイラクのみならず、シリア、アフガニスタンとリビアでこれら計画を実現し損ねた。
失敗と実現しない願望を背景に、ワシントンはウクライナに取りかかった。2014年以来、以前は裕福で強力な国を搾れるだけ搾り取り、屈服させ、既に主な利益は得たので、今やワシントンは、もはや不要なウクライナの分裂に取りかかっている。ワシントンは、この国を、ワシントンが画策したウクライナ人難民の流れの犠牲と、現在のウクライナ・エリートからの益々多くの金に対する要求で、ロシアもヨーロッパも今後何年間も平和に暮らせない反ロシアの潰瘍に変えた。既に全員に明らかなように、キーウは決して債権者に返済できない。そして、他の理由に加えて、ワシントンがウクライナに押しつけた、著名なモンサント社のGMO種子を使う政策のため、ウクライナ・ナチが至る所に仕込んだ地雷だらけの焦げたウクライナの土地からは、何十年も、ウクライナ予算補充の主要項目だった農産品を生産することは不可能だろう。今日、ジョー・バイデン大統領が、G7指導者会議後に公的に述べたように、このようなアメリカによる行動が、ウクライナのみならず、ヨーロッパでも、世界的にも食品安全を悪化させる事実は言うまでもない。
アメリカに画策された、ウクライナのインフラや物流破壊、生産年齢人口の大部分がヨーロッパとロシアに追い出された後、この「祖国」の地位と生命維持装置がほぼ完全に崩壊したので、今後数年、あるいは、おそらく数十年、ウクライナ人が家に帰ると期待するのは到底賢明とは言えない。ウクライナ移民は、売春や犯罪やネオ・ナチ部隊の増加は別として、ヨーロッパが期待すべきものはほとんどない。アメリカ自身も、このようなウクライナを全く必要としていない。
そこで自然な疑問が生ずる。我々はこのような「国」をどうすべきか?
2017年、欧州委員会地域政策担当ヨハンネス・ハーンが、ウクライナと不正な当局者は信頼できないと述べた通り「マーシャル・プラン」はウクライナには明らかに全く不適切だ。
それで「ワシントンの賢明な幹部連中」はウクライナでの「プランB」に切り換え、すなわち、欲しい人に誰でも小さな断片で国を売り払うと既に決めている。この理由で、ホワイトハウスは、彼らが、ゼレンスキーと「ウクライナのパイの一部」に合意するよう願ってポーランド、チェコ共和国とスロベニア指導者によるキーウへの「友好任務」で3月中旬の列車旅行を認めた。
アメリカがウクライナの一体性を犠牲にして、現在の状況で、国を分割するのをいとわない事実は、この旅行後、ポーランドのチャンネルTVP1が示した「ウクライナ最新地図」で証拠づけられる。この意見は彼のTelegramチャネルで、この地図を出版した元ベルホーヴナ・ラダ(国会)議員のイリヤ・キヴァが確認した。地図は中央と北部地域だけがウクライナの一部のままであることを示し、他方リヴィウ、イヴァーノ=フランキーウシク、ヴォリーニ、リウネとテルノーピリ地域は、既にポーランドの印が付けられている。ザカルパッチャはハンガリーになった。ドンバス共和国と同様、オデッサ、ムィコラーイウ、ヘルソン、ザポリージャ、ドニプロペトロウシクとハルキウ地域はロシア連邦の一部という印を付けられている。
しかしながら、ウクライナのTelegramチャンネルも、ウクライナ分割が始まったことを示唆している。そしてアメリカは、この国の西部、バンデラ主義部分の支配を維持したいと望んでいるように思われる。このような変化は、ウクライナ軍が、ロシア軍を弱体化した後、アメリカに受け入れられる条件で平和条約が署名されるという「欧米の希望」が完全に失敗した後、理解可能だ。同時に、キエフが譲歩できる唯一のことは、ウクライナの中立と2月24日以前の境界でLDPRの現状に同意することだと信じられていた。だが特別作戦Zが限界点にあり、今時間の問題であるウクライナ軍完全敗北で、ワシントンは明らかに、「取っ手がないウクライナ・スーツケース」の少なくとも何がしかを維持しようとしている。それがジョー・バイデン大統領がG7会議前日、ウクライナ自身がロシアに領土譲歩をすべきかどうか決めるべきだと明示的に述べた理由だ。
「アメリカはウクライナから手を引きつつあり、ウクライナの運命は決まっていることは明らかだ」とキヴァは別のTelegram投稿で、ワシントンの決定について発言した。
ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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日刊ゲンダイ、しっかり忖度記事を掲載。
「岸田政権ウクライナ支援続々の陰に“超ヤリ手”駐日米大使 着任以来当然政策の主導者」が正確だ。
The Vyneyard of the Sakerに下記二本のGonzalo Lira氏の音声・映像が紹介されている。どちらも長いが聞くしかない。スコット・リッター氏の分析は、大本営広報部の真っ赤なウソと大違い。ヌーランド編は今の事態に至る歴史を実にわかりやすく説明している。大本営広報部の一日24時間、毎日続く真っ赤なウソ情報から頭を洗浄するには必聴。実に不思議なことに、というか当然のことに、Wikipediaには日本語でも、英語でも、今の戦争を取り仕切っている最高主役の説明が極端に少ない。スカスカ。彼の話を聞けば大半の疑問が氷解するかもしれない。しつこく繰り返すが、英会話を習う興味も、お金も皆無だが、こうした話を聞き取れる英語力は必要だろうと思う。文部破壊省の英語教育方針は、つまらない会話のレベルで止める狙いのはずだ。こうした話を聞き取る力をつけては傀儡政権が危なくなるので。
彼の話へのリンク・コメント、当然ながら絶賛また絶賛。「聞き始めたら引き込まれた」
- Gonzalo Lira going live with Scott Ritter March 30, 2022 52分
- Gonzalo Lira on Victoria Nuland (MUST SEE!) March 28, 2022 1時間51分
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