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2022年4月19日 (火)

ウクライナでの戦争は世界の権力の転換点

2022年4月13日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 ウクライナで進行中の戦争の興味深い特徴の一つは、オーストラリアの主流メディアが、ウクライナで進行中の戦争で実際に起きていることの客観的評価を提供するのほとんど完全にやめた度合いだ。最近の例は、ブチャ町でのロシア兵による市民殺害とされるものだ。ウクライナ軍の主張は、何の疑問も抱かず受け入れられている。事件の真実は違う構図を示している。

 その大半が両手を縛られ、銃で頭を撃たれていた被害死者発見の4日前、ロシア軍は町から撤退していた。ロシア兵士の撤退と死者発見の間隔は少なくとも3日、あるいは4日がより可能性が高い。ロシア軍撤退後の初日の、この市からの報道で遺体発見の言及はなかった。

 この間隔は欧米の主流報道記事から完全に消えている。同様に報道から消えているのは、この都市がその(被害者だった)ロシア語話者に対する憎悪がしっかり確立しているネオ・ナチ大隊メンバーに再占拠されたことだ。欧米主流メディアは、明白な問題を指摘せずに、ロシアが撤退して数日後の、これら遺体の発見を「ロシアがそれをした」公式言説で報じている。ウクライナ政府を支持する欧米政府(NATOのほとんど全ての加盟国)は、ロシアの残虐行為とされること恐怖を表現する理由として、この事件に飛びつき、ロシア商品購入への更なる制限を提案している。

 4月6日と7日にブリュッセルでNATOが会議を開催したのはこの文脈だ。NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務局長は、NATO同盟国は「武器提供を含め、ウクライナへの更なる支援を提供する決意が固い」と述べた。オーストラリア政府もそうしている。それで、彼らは進行中の戦争の関係者となり、そのため合法的攻撃対象となることは、オーストラリア外務大臣の限られた脳細胞には入らなかったように思われる。

 ロシアに対する攻撃を強化するだけでは満足せず、ストルテンベルグは、NATOは「世界的な舞台で増大する中国の包摂的で威圧的な政策の影響力が、我々の安全保障や、我々の民主主義に対する体系的挑戦となっているのを考慮する必要がある」と述べた。かつてNATOは北大西洋条約機構の頭字語だった。ストルテンベルグ発言はNATOの野心が実際は世界規模である事実に注意させる。それは世界支配というアメリカの自負を拡張するためのアメリカの道具以外の何ものでもない。

 ストルテンベルグ演説は、時期的にチャールズ・リチャーズ海軍大将がアメリカ議会国防予算小委員会に与えられた証拠と同時だ。彼の証言は中国の勃興によってもたらされる「体系的挑戦」と関係している。彼は中国が「それらの使用に関する意図が不透明なまま、戦略、核兵器の驚くような拡大を続けている」と述べた。

 リチャーズは「戦略上の安全保障環境は、今や三者間の核対等が現実だと述べ、そこで中華人民共和国とロシアは、あらゆる分野で、国際法や、ルールに基づく秩序に圧力をかけ、侵害している。この国は、かつて一度も同時に阻止しなければならない二つの保有対等者に直面したことがない。今日、中華人民共和国とロシア両国は、世界的に、あらゆる国力を駆使して、どんな分野でも、いつでも、暴力のどんなレベルにでも、紛争を一方的にエスカレートさせる能力を持っている。」

 海軍大将は、ロシアは「その多くが極超音速と飛行経路調整能力がある斬新な先進的兵器運搬システムでアメリカ・ミサイル防衛システムを回避するよう設計されている。彼らはアメリカに対する脅威の範囲を拡大するため更なる新極超音速弾頭の戦略システムを開発し続けている。」と述べた。

 海軍大将の結論で、最も重要だったのは、中国とロシアが共に「アメリカと我々の同盟諸国とパートナーがそれを擁護しようと努める中、ルールに基づく秩序を変えようと積極的に努めている」という主張だ。

 ストルテンベルグとリチャーズによるこれら声明は、ウクライナにおける現在の紛争の決定的重要性を強調している。アメリカ率いる欧米同盟の能力欠如に関して、皆様が新聞で読むことはないはずだが、紛争でのロシアの敗北は(現在圧倒的にロシア支持の)非欧米国際社会に再考を強いるだろう。逆に益々事実の可能性が高く見える、ロシアの戦勝は、必然的に主要世界プレーヤーとしての欧米の没落を速めるだろう。

 それがアメリカとヨーロッパ属国からウクライナに対して与えらている支援の本当の理由だ。世界中で、紛争が注目されているから、紛争の結果は決定的に重要だ。あり得る結果は二つある。一方で、ロシアがアメリカ率いる欧米同盟に敗北すれば、下落しつつある権力としてのアメリカに対する世界中の現在の認識は反転するだろう。他方、紛争でロシアが勝てば、恐るべきアメリカ、一目置くべき勢力としての欧米権力構造の下落という世界認識を必然的に加速させるはずだ。

 要するに、世界の目から見たアメリカとヨーロッパの崩壊を反転させるためには、欧米はウクライナで勝つ必要があるのだ。このような勝利は益々ありそうもなく見える。世界では権力バランスが大規模な変化を遂げつつあるのだ。強さは西から東へ移行し、移行の速度はウクライナの紛争に著しく影響を受けている。ロシアの回復力と、出来事の行方を完全に誤解し、自身の立場への影響を誤解する注目に値する傾向を欧米は示している。

 我々が目撃しているものには歴史的意義がある。ウクライナでの戦争は本当に一時代の終焉を示している。ロシアの動きの非難に対する発展途上諸国の拒絶に、欧米は気付くべきだった。その効果の帰結的意味は深遠だ。欧米覇権は、とうとうお払い箱にされたのだ。遅ればせながら。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/04/13/the-war-in-ukraine-marks-a-turning-point-in-power-in-the-world/

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【横田一の現場直撃 No.159】◆れいわ山本の危機感 ◆ 帯広相乗り、残る火種 ◆ めげない宗男節  20220418

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時事放談(2022年4月) 鳩山友紀夫×孫崎享

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コメント

同感です。80年すら持ちこたえることができなかったなあと。
NHKなどは過去にマイダンクーデター後のウクライナ情勢を伝えていたのに、大手海外支局は外電頼みと忖度揺洩で全滅、長く紛争地を歩いてきた独立系ジャーナリストですら現地でウクライナ右派セクターの物語りに取り込まれてしまっている。頑迷な予断の前では、事実は現実はなんと無力なんだろうと思います。

忖度メディアではない海外記事の洞見を、こうして一言一句翻訳して伝えて戴けることに心より感謝しております。加藤周一氏の言葉が胸に突き刺さります。語学が苦手などと言っている場合かと。戦時の情報言論統制が、これほど呆気なく目前に迫るとは想像していなかった、本当に痛恨の思いです。
反戦平和を叫ぶなら8年前でした。平和は祈るものではなく実現するものであるのに止めることができない。策動は止むことが無く振り返れば、世界が平和であった時など一度もありません。

 日本のマスコミのインチキ報道は、全く、ひどいです。
 キエフの極右ネオナチや、傭兵がやらかした犯罪を、人のせいにする。
 戦前の、大本営発表と、何も変わっていない。

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