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2022年4月18日 (月)

制裁の反動は「欧米」をロシアの要求を受け入れるよう駆り立てるだろう

2022年3月9日
Moon of Alabama

 アメリカは多くの国々を不平を言うがままにする政策を何年も推進した。今アメリカはロシアを「罰する」結果を緩和するための支援を必要とするから、それら政策はしっぺ返しを食う。「欧米」がロシアに課した制裁の二次的効果も同様だ。

 今日一つの報道は、アメリカが管轄するウクライナ生物兵器研究所のニュースを伝え、他のニュースは、ビクトリア・ヌーランド国務次官が上院議員に、これらの研究所の「研究材料」がロシアの手に落ちるのを非常に懸念していると言ったと伝えている。もし「研究試料」が武器等級でないなら、彼女はなぜ心配しているのだろう?

 それは進行中の反ロシア・プロパガンダ攻勢とうまく合わない。

 これらの地図もそうだ。

 最初のものは領空のロシア飛行機を禁止した国を示す。ロシアも、それらの国々の航空会社に領空を否定した。それは典型的にロシア領空を通って飛行するアメリカとEUの航空会社にとって、アジアへの行き来に、大変な飛行時間と費用になるだろう。アジア諸国の航空会社が、この航路でアメリカとヨーロッパ航空会社を容易に打ち負かすだろう。


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 二番目の地図は対ロシア制裁を発動した国々を示す。制裁の二次的影響は彼らがロシアを傷つけたと同じぐらい、これらの国々に打撃を与える可能性が高い。アフリカ、アジア、中東、中南米の国の欠如が多くを物語っている。

 「世界」にも「国際社会」が「欧米」を支持しているようにも見えない。


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 アメリカはロシア石油製品全ての輸入も制裁した。バイデン大統領は必然的に続く物価上昇をロシアのせいにした。中間選挙で、有権者がその口実を受け入れるだろうと私は思わない。彼らの経済はロシアからの石油とガス輸入に依存しているから、ヨーロッパ諸国はその措置に従うことができず、今後何年間もそうし続けるだろう。

 ホワイトハウスにとって非常に屈辱的だったに違いない動きで、サウジアラビアとUAEの指導者はアメリカ大統領のアメリカ大統領の電話に出るのを断った。彼らはアメリカに、鎮圧できないイエメンのフーシ運動をテロ集団に指定して欲しいのだ。

 バイデン政権がこの汚らわしい賄賂計画に引っかからぬよう願うが、彼は、ウクライナでの人道的危機に対しプーチンを罰するため、ロシア石油を断ち、イエメン人の運命を巡って地球の裏側の独裁者を駆け引きする以外の選択肢なしで、自身を窮地に追い込んだのだ。もしこれが地政学なら、天は我々を許す。

 上記だけがサウジアラビアとUAE指導者が持っている唯一の要請だと私は思わない。彼らは今もっと要求できる立場にある。

 同様に屈辱的なのは、この政権が、政権転覆の試みで制裁していたベネズエラと協議を開始したことだ。カラカスは刑務所からアメリカ国民を二人釈放した。彼らは対話をいとわない。だがアメリカ市場に石油を供給する前に、全ての制裁撤廃とアメリカとイギリスが没収した全ての資産返却が必要だろう。バイデンはこのような措置を支持する議会大多数を見いだすのに苦労するだろう。

 更に多くの石油生産を可能にするイランとの核合意復活は、ロシアがイランとの貿易のため制裁免除を要求するから、どうなるかわからなき状態だ。

 アメリカは、ポーランドにウクライナに古いミグ29戦闘機を送るよう強く要求していた。ロシアの目からは、ロシアに対するポーランドの直接侵略だ。ワルシャワはそれを避ける賢い方法を発見した。ドイツのアメリカ空軍基地にジェット機を届けようと申し出たのだ。それによってアメリカ自身が抜き差しならなくなるはずだ。国防総省はそれを受けるのを断った。ジェット移転は今や潰れた可能性が極めて高い。

 アメリカとヨーロッパは、ロシアに対し、せわしく始めた全面的経済戦争の二次的な結果を感じ始めている。戦争はロシアだけでなく「欧米」いたる所で景気後退を起こすだろう。ロシアがまだ対制裁策を発表していないうちからこうだ。ロシアが、あれこれ資源を保留することで、「欧米」を傷つけるためにできる多くの措置がある。それは一歩一歩ゆっくりと圧力を増やし始める可能性が高い。

 「欧米」制裁が持つ二次的影響について、全く考えていたように思われない。

 一方ウクライナでのロシア介入は穏やかなペースで続いている。ゼレンスキーが「妥協」について騒音を立てているが、ロシアは急いでいない。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は無条件に戦争を終わらせることに対するロシア要求を受け入れるまいが、NATO加盟を追求しないことを含む妥協を見いだそうとするのを許容している。
・・・
 NATOに加入する考えの「冷却」とともに、ゼレンスキーはABCニュースに、占領地と、認められていない共和国について交渉の余地があると言った。

 ロシアも同様に応えた

 進行中の軍事行動で、モスクワは隣国ウクライナの現指導体制打倒を目指していないとロシア外務省報道官マリア・ザハロワが述べた。

 水曜に「ウクライナ占領や、国家の破壊や、現政府の打倒は目的に含まれない。それは一般住民を対象にしていない」とザハロワが定例記者会見で記者に述べた。

 2014年キエフでのクーデター直後、ウクライナから分離したドネツクとルガンスク人民共和国を守ることをモスクワは望んでいると報道官は繰り返した。彼女はロシアがウクライナの「非武装化と非ナチ化」を求めていると付け加えた。

 ゼレンスキーが、その道を更に進むのをアメリカが許すかどうか見るのは興味深い。制裁が「欧米」に対して持つだろう二次的効果は、最終的にそれに導く可能性が高い。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2022/03/the-sanction-backlash-will-push-the-west-to-accept-russias-demands.html

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 The Sakerの非常に気になる新記事。マリウポリから状況を報じていた彼が不明!

Gonzalo Lira is missing!

 一月以上前の記事を翻訳するのは、内容をお読み頂きたいからではなく、地図をご覧頂きたい為。

 『私の闇の奧』の下記最新記事を拝読して、この地図を思い出した。上記記事の時期も内容も違うので、国名必ずしも一致しないが、おおまかな感覚は把握頂けるのでは?

米欧の傲慢は許されるべきではない

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コメント

nobara様

お役にたてて何よりです。

 とても興味深い記事を翻訳していただきありがとうございました。2つの地図をコピーしました。早速「お婆さんのおしゃべり会」に持参して、友人たちに見てもらいます。アメリカの恫喝も効かなくなっていることですね。嬉しいですね。やっと世界史上最も残虐な国アメリカの、他国を侵略し傀儡政権を作り暴利を貪る構図が、世界史的転換点を迎えるときが来るなんて、この年まで生きていて良かったと思います。メタボカモ様(失礼!)がご紹介くださった藤永先生のブログに、「私はプーチンに与します」と書かれていたこと、胸迫る感動を覚えました。より良い世界に向かう一歩を踏み出したのですね。その最終の姿を私も見ることはできません。子どもたち、孫たち、その孫たちがより良い世界に生きることができると想像するだけで満足です。
 

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