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2022年3月 2日 (水)

専門家は何年もNATO拡大はこういう事態をもたらすと警告していた

2022年2月25日
ケイトリン・ジョンストン

 クリス・ヘッジズはシーア・ポストに「Chronicle of a War Foretold 予言された戦争の年代記」という題で最新記事を書いている。

 「ソ連崩壊後、政治指導者の間には、NATO拡大はロシアに対する愚かな挑発だというほとんど普遍的な理解があった。軍産複合体がこのような正気が普及するのを許すだろうと思った我々なんと世間知らずだったことか。

 帝国言説の支配者連中は、ロシアのウクライナ侵略が、却下し、くつがえそうと努力してつまずいた帝国の話術極めて主にモスクワのNATO拡大とワシントンとキエフの拒絶の不安にウクライナが同盟に加えられない政策を固めることになっていたという考えを証拠づける.

 ロシアのあらゆることに関してマスメディアが頼りにしている評論家マイケル・マクフォールを見よう。

 プーチンの恐ろしいウクライナ侵略はNATO拡大には無関係だ!止めてくれ。
 あるいは@JoDemocracyでお読み願いたい。https://t.co/YHXPvoL2Xc
- マイケル・マクフォール (@McFaul) 2022年2月24日

 あるいはニュージャージー下院議員のトム・マリノフスキー:

 @マリノフスキー下院議員:「プーチンの仮面は完全に剥がれ落ちた。万一誰かが何らかの疑問を持っている場合のために言うが、これはNATO拡大と全く無関係だ。それは全てウクライナには生存権がないという彼の信念に関係している。ウクライナの存在そのものが彼にとって不快なのだ。」pic.twitter.com/i0VS3ChMHG
- The Hill (@thehill) 2022年2月23日

 あるいは Just Security編集者ライアン・グッドマン。

 もしあなたが#ロシア侵略がNATO拡大に大いに関係があると思われるなら、この分析は再考のための多くの事実を根拠に理由を提供するものだ。この話題の偉大な専門家に感謝。@PopovaProf@OxanaShevel #Ukraine https://t.co/M0UpxzgKC7
- ライアン・グッドマン (@rgoodlaw) 2022年2月24日

 彼らがこれをしたかったのは辻褄は合う。結局、もし欧米人が、ウクライナ中立化政策を強化し、決してNATOに入れないと保証することで、このひどい戦争全体回避できたはずだったと理解すれば、彼らはなぜそうならなかったか問い始めるはずだ。NATO諸国は、この同盟にウクライナを加えるのに興味皆無だったのだから、もし唯一の代替案が大規模軍事虐殺だったら、このような低コストの譲歩をするのを拒否するのは本当に意味をなさない。つまり、目標が、戦略地政学的狙い推進するため大規模軍事虐殺を引き起こすことでない限り。

 それで、この侵略はNATOと全く無関係で、もっぱらプーチンが自由を憎む邪悪な狂人で、民主主義を破壊したいとを望むから起こったのだといという言説を提示するため連中は懸命に働いているのだ。大半の欧米の分析はこれ以上深まらない。

 プーチンはなぜウクライナを侵略したいと望むのだろう?
彼はウクライナだけでなく民主主義の失敗を望んでいるためだ https://t.co/ome1TZMvn
- アン・アップルバウム (@anneapplebaum) 2022年2月11日

 だがこれらの超人的プロパガンダの取り組みには、一つ、かなり重要な欠陥がある。ウクライナに対する攻撃がNATO拡大に何も関係がなければ、なぜそれほど多くの欧米専門家が何年もNATO拡大がウクライナに対する攻撃をもたらすと警告して来たのだろう?

 例えばジョン・ミアシャイマーによるこの2015年のビデオクリップをご覧願いたい。

 2015年、ロシア・ウクライナ紛争を解決する、誰も聞かなかった最良の助言をジョン・J・ミアシャイマーがしていたのだ。「欧米がウクライナを甘い誘惑に乗せた最終結果がウクライナの破壊だ。」#RussiaUkraineCrisis pic.twitter.com/kcRnuhncfu
- Buddhi (@buddhimedia) 2022年2月24日

 あるいは、2010年の昔、偉大な故スティーヴン・F・コーエンによるこれ。

 2010年、歴史家故スティーヴン・コーエン。「1990年代半ば以来、終始アメリカ勢力圏の途方もなく大きな拡大があるのに、全てのアメリカ政権が、ロシアに、それは古い考えだから、お前たちは勢力圏を持つことができないと言っている。」pic.twitter.com/99vw2SlW0N
- ヒューマンライツ・ウォッチ視聴者 (@queeralamode) 2022年2月22日

 あるいは2017年の「20年のNATO拡大は誰かをより安全にしただろうか?」という題のコーエンとジョン・バチュラーの対話要点の「ネイション」による抜粋。

 NATOが、ジョージアが、いつか加盟国になれるかもしれないと約束したことが、2008年のジョージア-ロシア戦争、実際はアメリカ-ロシア代理戦争の根本原因だった。結果はジョージアのすんでの破滅だった。今日NATOはジョージアで積極的なままだ。

 似たようなウクライナへのNATO提案が、ウクライナでの2014年の危機に起因するロシアによるクリミア半島併合や、依然ドンバスで進行中のウクライナ内戦、実質的に、もう一つのアメリカ-ロシア代理戦争をもたらした。一方アメリカに支援されたキエフは深刻な経済的、政治的危機にあり、ウクライナはアメリカ-ロシアの直接軍事衝突の可能性に満ちたままだ。

 あるいは2015年のスティーヴン・M・ウォルトのこれ

 今日、ウクライナを武装させることを望んでいる人々は、ロシアがウクライナで全ての活動を終わらせ、クリミア半島から撤退し、ウクライナが望むなら、加盟の必要条件を満たすなら、EUと/あるいはNATO加入させるよう要求している。言い換えれば、彼らはモスクワがウクライナで、自身の権益を放棄することを期待している。欧米外交がこの奇跡をうまくやりとげることができれば素晴らしいだろうが、それはどれぐらいありそうだろう?ロシア史や、ウクライナへの近さや、ロシア長年の安全保障上の懸念を考えると、プーチンがウクライナに対し巨大な追加損害を与える長い高価な戦いなしで我々の要求に屈服すると想像するのは困難だ。

 この危機に対する解決策は、アメリカと同盟諸国が果てしないNATO拡大という危険で不必要な目標を断念し、我々は、ウクライナが永久に中立緩衝国であることを望んでいるとロシアに確信させるのに必要なことを何であれすることだ。それから我々は、この不幸な国を自立できるよう戻す経済計画を開発するため、ロシア、EUとIMFと協力すべきだ。

 あるいは1998年の昔、アメリカ上院がNATO拡大を承認した直後のジョージ・ケナンのこれ

 「私はそれは新冷戦の始まりだと思う。私はロシアは次第に極めて敵対的に反応し、それは彼らの政策に影響を与えると思う。私はそれは悲劇的な過ちだと思う。これには、全く何の理由もない。誰も他の誰をも脅迫していなかった。この拡大はこの国の建国の父祖たちを草葉の陰で泣かせるはずだ。もちろんロシアの良くない反応があるはずで、すると[NATO拡張論者]が、我々は、あなた方に、ロシアがどのようなものか常に言っていただろうと言うだろう。だがこれは全く間違いだ。」

 あるいは当時の国務長官コンドリーザ・ライス宛ての現CIA長官ウィリアム・バーンズの2008年のメモ

 「ウクライナのNATO加盟は全てのロシア・エリート、(プーチンだけではなく)にとって、あらゆる越えてはならない一線の中でも最もめざましいものだ。クレムリンの奥まった暗い場所にいる図体ばかり大きく頭の悪い連中から、プーチンに対する最も厳しいリベラル批判者まで、鍵となるロシア当事者との2年半以上の会話で、私はウクライナ のNATO加盟が、ロシアの権益に対する直接攻撃以外の何かと見なす人を誰も見ていない」。

 あるいはソビエト社会主義共和国連邦最後のアメリカ大使ジャック・マトロックが、ウクライナ紛争について最近書いて「予測可能で、実際に予想され、意図的に引き起こされたが、常識を適用すれば容易に解決、回避可能な危機」と呼んだもの。

 1997年、北大西洋条約機構(NATO)に、より多くの加盟国を追加する問題で、上院外交委員会で証言するよう私は依頼された。前置きで、私はこう陳述した。「現時点でNATOに新加盟国を入れるという政権の推薦は見当違いだと私は思う。もしそれがアメリカ上院に承認されるようなことがあれば、冷戦終結以来、最も深刻な戦略的大失敗として歴史に残るだろう。アメリカと同盟諸国や、この同盟加入を望む国の安全保障を改善するどころか、それはソ連崩壊以来、この国に対する最も重大な安全保障上の脅威を作り出す一連の出来事を促進しかねない」。

 ロシア政府の理解を得るべく一生懸命働いた非常に多くの人々が、長年NATO拡張主義が、悲惨な対立をもたらし、その紛争に発火しかねない火薬樽としてウクライナを強調して、警告していた。ところが我々は、ウクライナで目にしているものが、NATO拡大には全く関係せず、むしろウラジーミル・プーチンが全てを破壊したいと望む卑劣で間抜けな結果だと信じろといわれているのだ。

 前述のマイケル・マクフォールは、何十年間も我々が警告されてきたこのことが何でもなかったふりをするため、昨年末まで、誰も言及しなかったとさえ言っている。

 一体なぜNATO拡大に関して、2009年?2010年?2011年?2012年?2013年?2014年?2015年?2016年?2017年?2018年?2019年?2020年、考えず/討論せず/書かず/Twitterに投稿しなかったのだろう?なぜ今か?ブリュッセルで何か変化したのだろうか?いや。プーチンがウクライナ国境に彼の軍隊を集結させ、この「NATO拡大」危機を発明したのだ
- マイケル・マクフォール (@McFaul) 2022年2月9日

 帝国のスピン・ドクターは、誰もそれを事実確認しないと期待し、偽って、ウクライナ介入に関する演説で、プーチンがNATOに言及をしておらず、領土を奪うだけのヒットラーのような怪物に過ぎないと主張して、引用している。

 全ての後、このプーチン演説は、NATOとは全く無関係で、もっぱら国家としてのウクライナの正当性に関係しているのだ。
- イザベル・フルシュジャン (@ikhurshudyan) 2022年2月21日

 間違いなく彼は言及しているのに。

 私は無数のタカ派評論家が、今日のプーチン演説を、全てが帝国野心だと指摘し、プーチンが再び演説で具体的にNATO拡大に言及しているのに、NATOには全く関係ない決定的証拠として見ている。不正直なのか怠惰なのか - pic.twitter.com/57Nwlpu2qu
- ブランコ・マーセティック (@BMarchetich) 2022年2月22日

 そして、こう続く。

 クレムリンはウクライナに二つの要求をしている。
1) Minsk2 合意に従って、武装解除しろ
2) 中立のままでいろ; #NATOに加盟するな
#Volodymyr Zelenskyの退任要求はない。#ukraineがロシア連邦に加わる要求もない。#プーチンは条件さえ合えば侵攻は今止められると言っている。#BREAKING #news #Russia
- マニラ・チャン(@ManilaChan)2022年2月24日

 専門家たちが長年NATO拡大は攻撃を挑発するはずだと警告しており、攻撃を開始した人物が、NATO拡大が彼の行動の原動力だと引用しているのに、多分それが言わばまあNATO拡大に関係しているように思われるのだが、良く分からない。

 それは、アメリカと同盟諸国が、実際彼らが放置している以上に、この戦争を終わらせる遙かに多くの力を持っており、すぐそうしない良い理由がないことを意味するのだから、これは大ニュースのはずだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/02/25/experts-warned-for-years-that-nato-expansion-would-lead-to-this/

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 全面戦争なぞ支持しない。だからといって、ゼレンスキー大統領を英雄視するのには賛成できない。この虐殺をご存じだろうか?大本営広報部、報じたのを知らない。

キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)

 ミンスク合意を無視し、東部の二つの分離州の民間住宅を砲撃し続けた人物だ。彼が意図的に、ミンスク合意を実行しなかったことが、今の事態の遠因。

 植草一秀の『知られざる真実』

ウクライナ紛争経緯を正しく知る

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

「家族と国、自由と民主国家の為に戦うウクライナ国民。何も守れない日本人」に「お国の為にに死にます」を賛美した戦前。何故戦いが発生か、戦いにいく政策に問題なかったか、問題の政策策定に誰が関与したかを考える習性もたないと、簡単に銃を持たされ戦場送りになります」

 日刊ゲンダイDIGITAL も大本営広報部だった。

ゼレンスキー大統領をコキおろした鳩山由紀夫氏と舛添要一氏に非難殺到!専門家もバッサリ

 日刊IWJガイド

「ゼレンスキー大統領、EUに加盟申請し、即時承認を求めたとたんEU側が『加盟には長い年月がかかる』と手のひら返し!」

<本日のタイムリー再配信>本日午後6時から、2月18日収録「ウクライナ東部独立は悪? 東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第3回)~岩上安身によるインタビュー 第1068回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏」を再配信します! 明日は3月3日岩上安身による孫崎享氏連続インタビュー4回目を生配信! ぜひ、ご注目を!!

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コメント

世は、狂気状態ですね。このサイトが、まだ正気を保っている気がします。ネオナチがウクライナで幅をきかせるようになり、ドンバスの住民を殺戮し、そうしたウクライナを米国が「共同防衛」の対象国にしようとしてロシアを脅かし、始終ロシアの周辺で挑発的な軍事演習をNATOが繰り返していたときに、「国際世論」とやらは何をしていたんでしょうかね。今頃になってプーチンを「悪の権化」に仕立てるのは、偽善的で卑劣でしょう。

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