« 人はアメリカ・戦争機構を過大評価し、アメリカ・プロパガンダ機関を過小評価する | トップページ | インドは今クァッドを脱退すべき! »

2022年3月26日 (土)

ウクライナにある唯一の「政府機関」はCIAの類い

2022年3月21日
ケイトリン・ジョンストン


この記事を英語音声で聞く。

 「あなたはウクライナの政府機関を否定している!」

 もし皆様が、この戦争への道を開く上で欧米大国が果たした役割に関するオンライン討論に携わっておられたら、これがおそらく洗脳された帝国家畜としてブツブツ言っていたセリフだ。

 言説を支配する連中の衝撃的熱狂的キャンペーンで、ウクライナで起きていることに関し、帝国広報顧問連中が帽子から取り出した実に多数のトリック中の一つは、ウクライナ「政府機関」を否定することになるから、ウクライナがアメリカに集権化した帝国の壮大なチェス盤策略の捨て駒として使われつつあると示唆するのは、法外で汚らわしい、と強く主張することだ。ウクライナは、自由に、全くいかなる外圧や影響なしで、今ウクライナがある状況を始めると決めた、というのが連中の主張だ。

 「NATO拡大」に関する、これら全て広まっている議論はウクライナに政府機関があることを無視している。
- Nassim Nicholas Taleb (@nntaleb) 2022年3月13日

 この戦争を起こす上で覇権国アメリカが一役演じていただけでなく、実際とんでもなく醜悪で邪悪だと言うのは、一夜にして、間違っているだけではなくなったようだ。現在私のオンライン・コメントは、欧米権力構造に、何らかの度合いで、この紛争における責任があるということに対し、激怒した帝国擁護者連中が、通常ホロコースト否定論者や、小児性愛擁護論者のために確保している種の辛らつな非難の金切り声で溢れている。

 帝国の言説支配者は「westsplaining欧米のせいにする」という単語を定着させるため残業さえしているが、それは「欧米諸大国が東欧以東の出来事に影響を与えている」という自明な発言をする時、進歩的に聞こえさせる用語だ。大多数の欧米人は「ウクライナ人に、クーデターや代理紛争についてwestsplaining欧米のせいにするのをやめろ!あなたは彼らの政府機関を否定している!」のようなセリフをおうむ返しするよう徹底的に訓練されている。

 これを、ロシアとアメリカ間の「代理戦争」だと呼んだり、キーウをワシントン「傀儡政権」と呼んだりするのは今や完全にタブーだ。この戦争と、それに至る出来事で、ウクライナに独立政府機関に欠如していたと言うことは決して許されない。

 そう、私はそれを言っている。これは代理戦争だ。キーウは傀儡政権だ。ウクライナには意味ある形の独立政府機関がない。これは明らかに、ロシア侵略の最大の被害者であるウクライナの人々ではなく、この侵略が起きる何年も前に、この国の政府機関を取り去るべく意図的に活動してきた巨大な欧米権力構造の責任だ。

 つまり、ああ。アメリカと同盟諸国は世界中からウクライナに何十億ドルもの武器を注ぎこみ、ロシア人を殺すようウクライナ人をCIAが訓練し、我々が今話をしている時も、アメリカ諜報カルテルは、キーウと軍事諜報情報を直接共有しているが、これは2014年と、その前の2004年アメリカが支援したウクライナ・クーデター以来続いている。

 これは代理戦争だ。これは、まさに代理戦争そのものだ。ウクライナが持っている唯一の「政府機関」はCIAの類だ。

 この記事で、左翼のウクライナ人活動家が、アメリカ政府が、どのように危機を引き起こし、10年間に二度クーデターを支持し、14,000人を殺した衝撃的内戦に拍車をかけ、ロシアに対する「砲弾のえじき」として彼の国を利用しているかを説明している。https://t.co/4G5FjLC48S
- ベンジャミン・ノートン (@BenjaminNorton) 2022年3月15日

 「ウクライナの左派が、欧米の、ロシアとの戦争のドライブを批判:アメリカは、ウクライナを「砲弾のえじき」として利用している」という題のMultipolaristaの素晴らしい記事で、ウクライナ系アメリカ人ユーリー・ダボヴィクは、こう書いている。

 他のあらゆるアメリカ傀儡政権同様、ウクライナには本当の独立はない。キエフは、大多数のウクライナ国民の意志に反し、全てのアメリカ政権によって、ロシアと対決するよう積極的に駆り立てられている。

 今欧米メディアに満ちているウクライナに対する支持は、ウクライナ国民との本当の団結心からのものではない。もしそれが本当だったなら、アメリカは10年間に二度も我々の政府を打倒していたはずがない。我々をヨーロッパ最貧国にした政策を支持しなかったはずだ。これまでの8年間、残忍な内戦に拍車をかけなかったはずだ。

 アメリカ・メディアや政治家全員が今ウクライナを支持している理由は、彼らが政敵との代理戦争で、ウクライナ軍や民間人を砲弾のえじきに使いたいからだ。

 まさにそのとおり。あらゆるいんちきプロフィール写真活動家や、ウクライナ「政府機関」の否定に関するアラシの懸念で、アメリカに集権化した帝国によるウクライナの独立に対する、実際の周知の攻撃に対し、全く懸念は示されていない。

 ガーディアンが「オレンジ色で飾りたてられた「クリ革命」の成果はウクライナのものだが、この組織的活動はアメリカが創造した、精巧で鮮やかに考え出された実行で、四年間に四カ国で、不正操作された選挙から救い、腐敗政権を打倒するため使われたブランド戦略とマスマーケティングだ」と報じていた2004年、ウクライナ「政府機関」に対する全ての敬意は一体どこにあったのか?

 2014年(今バイデン政権下でウクライナ担当の)ビクトリア・ヌーランドと駐ウクライナ・アメリカ大使ジェフリー・パイアット間の電話会話漏洩が、キーウでのアメリカが支援するクーデター後、アメリカ当局者が、気軽に誰をウクライナの次期首相に選ぶか気軽に論じるのを示した時、ウクライナ「政府機関」への敬意はどこにあったのか?

 2018年に、ジョー・バイデンが外交問題評議会CFRで、ウクライナ司法制度に厚かましく干渉するため、オバマ副大統領としての彼の権力を使ったと、公然と自慢した際、ウクライナ「政府機関」への全ての敬意はどこにあったのか?

 ウクライナ司法制度を、どのように不正操作したかに関し自慢するオバマ副大統領ジョセフ・バイデン。pic.twitter.com/BC4u7AUPHB
- Defend Assange Campaign (@DefendAssange) 2018年1月27日

 アメリカ権力連合は、ウクライナ主権については、積極的にそれをくつがえすために必要な措置以上、全く気にしていない。ウクライナ人から、どんな実際の政府機関も積極的に奪った帝国の手口に対する批判に人々が反対する際、彼らが実際しているのは、不正を強調しようとする取り組みから、今までに存在した最強力な帝国を擁護することだ。

 ここオーストラリアの私の安全な家から遙か遠くの国について、アリバイのため、まくしたてているわけではない。これは直接私の国に影響を与える動きで、帝国の中国との「大国間競合」が激化するにつれ遙かに大きな影響を与える可能性が非常に高いのだ。

 そう遠くない未来、帝国の壮大なチェス盤策術で、中国の勃興を止めるため、オーストラリアが重要な役割を果たすことになる可能性は非常に高そうだ。そうなれば、我々は代理紛争の駒として使われていると私は確実に言っているはずで、この問題で、我々の行為主体性は、我々から盗まれたと私は確実に言っているはずだ。

 ウクライナでと同様、オーストラリアでは、アメリカが支援するクーデターが一度でなく、二度あった。この国は、今や機能的に、ほんの少しの郊外とカンガルーがいる、米軍と諜報機関の基地以上のものではなく、それが我々の首都キャンベラの傀儡政権が、オーストラリア人ジャーナリスト、ジュリアン・アサンジに対するワシントンの残忍な迫害を終わらせるため全く何もしなかった理由だ。アメリカとNATOの行動が、まさにウクライナでのこの戦争をもたらすという、何年も前の実に正確な予想のおかげで、今や大変な論争の的であるジョン・ミアシャイマーは、2019年、もしキャンベラが、北京に対する帝国方針に協調しなければ、アメリカはオーストラリアを破壊するだろうとあるオーストラリアのシンクタンクに言った。そして彼は正しかった。

 そして、そう、モスクワに対する帝国のセリフを支持するウクライナ人がいるのと全く同様、オーストラリアがアメリカ一極主義者の対中国政府方針のため大きな犠牲を払う時が来れば、絶対それを支持するオーストラリア人がいるだろう。この国でマードックに支配される報道機関に推進される大規模プロパガンダ攻勢や、帝国に資金供給されるオーストラリア戦略政策研究所のような帝国言説支配の活動のおかげで、まさに今中国を強烈に嫌悪する多数のオーストラリア人がいる。私は知っている。彼らに会ったことがある。

  だが、それは、大規模寡頭政治心理作戦によって、CIAクーデターによって、秘密取り引きによって、もし我々が北京に方向転換したり、あるいはただ中立の態度を支持したりさえしようとすれば、即座に殺人帝国に攻撃されると知っている脅威によって、我々の主権が我々から奪われなかったことを意味しないはずだ。ウクライナにあてはまることは、オーストラリアにもあてはまる。我々はこの国によってなされる最も重要な決定に、意味ある行為主体性がないのだ。

 ウクライナの主権を破壊する上での欧米の役割を否定しても、普通のウクライナ人のためにはならず、彼らを傷つけるだけだ。人は自分が理解できない問題を解決することはできず、世界的支配という狙いのを推進するアメリカ帝国が代理を利用する方法が、広範囲に理解されるまで、これら醜い代理戦争が起きるのを何も阻止できるまい。

___________________________________

 私の記事は完全に読者の支持によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、FacebookTwitterSoundcloudあるいは、YouTubeをフォローするか、Ko-fiPatreonPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい

ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/03/21/the-only-agency-ukraine-has-is-the-central-intelligence-kind/

----------

 今朝の孫崎享氏メルマガ題名

プーチンは現在ウクライナ戦線で苦境に直面。「米政権高官らの内部評価では、プーチンは追い詰められた場合、引き下がるのではなくエスカレートする傾向がある。プーチン大統領の選択肢に攻撃の質的なエスカレートの可能性」(ブルムバーグ)。

 寺島メソッド翻訳NEWSに新しい翻訳記事が掲載されている。

ウクライナで野党が禁止され、「情報の一本化」が目指されている

「ウクライナには25カ所以上の米国が資金提供した生物研究所が存在する」。トゥルシー・ギャバードが動画で訴え

 何度も貴重な情報のコメントをくださった方から「今後コメントは止める」とコメントいただいて残念に思っていた。「今回は例外」ということで貴重な情報を頂いた。1時間29分映画。 ロシアとも良好な関係を維持していた野党政治家ヴィクトル・メドヴェチュクViktor Medvedchukと夫人のインタビュー、以前のプーチン大統領とのインタビューと、実写動画。2019年。ヴィクトル・メドヴェチュク氏は自宅軟禁状態だったが、現在居場所は不明のようだ。

 一カ所だけ、この素晴らしいドキュメンタリーに異議がある。最後の方のコメント一言。

 「操り人形も自分の意思で動き始める可能性がある。」というような趣旨だった。これはあり得ない。

 「操り人形は自分の意思で動き始めれば、糸を切られるだけ。」

 以下が頂いた情報。

オリバー・ストーン監督の続編の日本語字幕版が登場しました。続編2019年制作の日本語字幕版新登場!!!

Revealing Ukraine 2019(乗っ取られたウクライナ)字幕ONでご覧下さい。(2022/3/15)

https://www.youtube.com/watch?v=A6gKKlNQDQg

https://www.youtube.com/watch?v=EKYYR-7FtaQ(←最初から字幕付きだがログイン必須)

 日刊IWJガイド

「米CIAは丸8年間も秘密の『CIA訓練プログラム』でウクライナ軍に関与! このプログラムは、ドンバス戦争でのウクライナ軍支援が目的!」2022.3.26号~No.3481号

<インタビュー報告>「米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 岩上安身による国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー」をお送りしました。3月30日水曜日、午後7時から岩上安身による六辻彰二氏の第2弾をお送りします。

« 人はアメリカ・戦争機構を過大評価し、アメリカ・プロパガンダ機関を過小評価する | トップページ | インドは今クァッドを脱退すべき! »

アメリカ」カテゴリの記事

アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事

NATO」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

WikiLeaks」カテゴリの記事

Caitlin Johnstone」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

コメント

ご紹介いただいた
オリバー・ストーン監督の「ウクライナ・オン・ファイヤー」続編
Revealing Ukraine 2019(乗っ取られたウクライナ) が
ログイン無しには閲覧できなくされていました。

下記で閲覧可能です。

■Revealing Ukraine 2019『乗っ取られたウクライナ』日本語字幕
https://rumble.com/vxurg7-revealing-ukraine-2019.html


別件で、下記の動画もロシア、ウクライナ間の事情が詳しい動画です。
削除されることを覚悟して、タイトルにも付いてます。

youtubeで、この短さでバイデンの息子ハンター・バイデンにまで言及している
勇気ある動画だと思います。

■【削除覚悟】この世界「最大の闇」について (2022/12/07)
https://www.youtube.com/watch?v=Dxd58_f_kfk


コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 人はアメリカ・戦争機構を過大評価し、アメリカ・プロパガンダ機関を過小評価する | トップページ | インドは今クァッドを脱退すべき! »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ