« ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画 | トップページ | この紛争を選んだのはアメリカだ:言説のマトリックスの端からのメモ »

2022年3月14日 (月)

価格ショックで麻痺したEUを犠牲に儲けるアメリカ

2022年3月9日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook

 ヨーロッパは、ここ数ヶ月急速に上がるガス価格に揺さ振られ、旧世界で財政的、社会政治的不安定が起きている。

 これには、いくつか理由があり、その一つは、彼らのあからさまなロシア嫌悪政策の結果、ヨーロッパ当局者が、ガスプロムと安いガスをEU国内市場から遠ざけることに成功した時に、速く豊かになろうと望んだヨーロッパ国内投機家の駆け引きだ。結果として、これら投機家は、ガスプロムが夏に彼らの貯蔵庫に送り込んだ安いガスを300、400あるいは500パーセントの利幅で売る。そうすることで、彼らはヨーロッパ消費者から彼らの超利益を絞りとるのだ。そして彼らは、これらの備蓄資源を売るまで、彼らはロシア・ガスをヨーロッパに入れさせないだろう。

 ロシア・ガスのヨーロッパ投機家以外に、アメリカも、異常に高い価格で利益を得て、ここ数ヶ月途方もなく儲けている。一方、この問題に関して本当の状況から世論の目をそらすため、その下落がワシントンにとって絶対に利益を生み出さないから、ジョー・バイデン政府高官は、彼ら自身全く価格を下げようとせず、偽って、ガス価格を引き上げたと言ってモスクワを非難しようとしている。

 そしてこれはロシア連邦関税局とアメリカ経済分析局データの、アメリカによるヨーロッパへのガス輸出に関する報告で、ここ数ヶ月の超高いガス価格で、ロシアより多くの金をもうけているのがアメリカであることが明らかに証明される。それで、2021年1月-8月、ロシアが輸出した天然ガスとLNGの価値は、331.97億ドルで、同期間にアメリカが輸出したLNGは429億ドルに相当する!

 ヨーロッパへの大半のアメリカ・ガス供給は、12月と1月、ヨーロッパでの相場が最高記録に達していた時に締結された(特定の日付まで、速い購入と支払いで送付する交換価格)現物契約だ。結果的に、ヨーロッパに今アメリカのガスを供給している業者は素晴らしい利益を生んでいる。1月、彼らはヨーロッパにアメリカで生産されたガスを供給することで利益を受けただけではなく、アジア太平洋地域(APAC)のより安いガス価格の結果、中東やアジア経路から、大量に向け変えた。

 ガスプロムは、長期契約下の契約義務を果たして供給している。つまり取引所の価格より際立って安い価格で。

 もしLNG供給でヨーロッパガス価格がより低下すれば、市場はアメリカ輸出業者にとって自動的に面白くなくなり、ヨーロッパ自身伝統的な供給元からのガス購入に戻らなければならないだろう。従ってヨーロッパのパニック・ムードは、今人為的に、ウクライナを巡る状況のエスカレーションから、ロシアがガス供給を削減しかねないという主張で維持されている。だがアメリカからの全てのLNG供給が、ヨーロッパで一度もガス相場を本格的に押し下げるのに成功したことがないのは注目に値し、他方ロシアとアメリカ、あるいはヨーロッパ指導者間の交渉成功のどんなニュースでも価格を100-150ドル下げる。

 我々が知っている通り、ヨーロッパ・ガス市場は、市場が物理的により大きいアジア太平洋諸国に依存する世界LNG市場の裏庭だ。価格がアジアで下がり始めるとすぐ、ヨーロッパでも下落し、逆もまた同様だ。2021年、アメリカ・ガス輸出の半分がアジア太平洋、4分の1だけがヨーロッパに行った。だが、アメリカからヨーロッパ向けへのLNG転換は、アジア太平洋で、より高いガス価格を招き、アメリカ・ガス運輸会社がアジアに戻り、ヨーロッパの価格が、再び同じヨーロッパ投機家とアメリカ業者の利益の記録を破る状態で、ワシントンのギャング風ガス政策に価格を支払うヨーロッパ人にとっての不幸となる。

 ヨーロッパは膨大なガス消費量と、十分利用されていない多数のLNG輸入ターミナルゆえに、長い間輸出インフラに合計600億ドルも使ったアメリカ企業にとって、大いに関心があった。ワシントンの影響で、ヨーロッパでもLNGターミナル建設で実際ブームがあり、リトアニアやポーランドさえ建設した。だがLNGはロシアからのパイプラインガスと比べて高価なのは誰も否定できない。これが最近まで、ヨーロッパがなぜロシアからのパイプラインガスを安く買うのに非常に熱心だったか、ヨーロッパのLNG最終収容能力の75-80%がなぜ空の状態だったかの理由だ。いずれにせよ、ヨーロッパでのアメリカLNGをガスプロムに対する競争相手だと評価する主な基準は価格だ。

 だが、ここ数週間、ガス市場は、かなり悪化した。とりわけ、2月下旬、安全保障に関するモスクワとの対話を、NATOとアメリカが拒否する確認書をロシアが受け取った後だ。欧米が、2014年にワシントンが仕掛けたクーデターで権力の座についたキエフの凶暴なネオ・ナチ当局を説得するのをワシントンが露骨に拒否した背景で起きていた。不完全な情報によれば、欧米の暗黙の支持を得て、キエフ当局は8年間、終始ドンバスで大量虐殺政策を推進し、13,000人以上のロシア語話者文民を殺して、ロシア嫌悪政策を推進している。加えて、キエフ当局は最近ネオ・ナチ活動を強化し、使う願望からキエフはロシアを攻撃する遠大な計画を開始すべく、ウクライナの核兵器開発能力恫喝を強化している。

 こうした条件下で、キエフ当局の活動に対する欧米の適切な回答がないので、2月下旬、モスクワは自衛のため、非武装化し、非ナチ化するため、ウクライナで特殊策戦を始動するよう強いられた。これに対応して、ワシントンと西洋同盟諸国はロシアに対する情報戦争を開始し、厳しい制裁をした。ブリュッセルはロシア嫌いのアメリカ政治支配層を喜ばせるため、ヨーロッパ・ガス市場の状況を大きく緩和できたはずの既に建設済みのノルドストリーム2の証明書発行を拒否した。だが他のロシア・パイプラインは稼働しており、ヨーロッパにガスを送り続けている。更に、ワシントンに浴びせられる紛らわしい反ロシア情報戦争にもかかわらず、ウクライナ配送システム運用者の報告によると、ロシア・ガスはウクライナ・ガス配送システムで絶えること無く流れ続けている。ヨーロッパへのガス供給はウクライナ・パイプラインを通して流れているだけでなく、増加している。ヨーロッパは供給要請を増やし、ガスプロムはウクライナ・パイプを通して、ウクライナでロシアの特殊作戦が始まる前の1日5000万立方メートルではなく、1日に1億900万立方メートルのガスをポンプで送り始めたが、これは供給倍増だ。

 だが冬の気候と、ヨーロッパの地下貯蔵庫枯渇のため、EUにガスはほとんど残っておらず、現在、輸入に切り替えるようヨーロッパを強いているが、それは、そもそもウクライナ危機でガス価格引き上げておいて「親切に」アメリカが提供するガスなのだ。公然と「ワシントンのご相伴に預かる」ボレルのような政治家連中が、ホワイトハウス方針を支持し、ガス部門でもロシアに追加制裁を課すことを話し始めたが、これまでの所、ヨーロッパはロシア炭化水素の供給を制裁対象からはずそうとしている。同時に、これらヨーロッパ当局者はロシアがガスをヨーロッパに対する手段として使わないのを十分過ぎるほど知っている。ついでながら、EUは代替策がなく、世界のガス輸出業者の多くが既にそれについて率直な意見を述べている。現在のヨーロッパ当局の反ロシア政策は国民の貧困化のみならず、多くのヨーロッパ企業と経済部門全体の破産も脅かし、これが継続すれば、ヨーロッパの状況は住民にとって一層悪化するなるだろう。

 同時に、ヨーロッパの対ロシア制裁政策が拡大し続けるにつれ、ロシアが欧米の制裁はロシア経済にとって破滅的だと考えれば、最終的に自身の安全保障を確保するため、炭化水素供給を報復措置として使う可能性は排除できない。だがこのような行動はヨーロッパに対するアメリカの明確な勝利で、ガスを含むワシントンへの依存の更なる増加がロシアとの関係を悪化させ、事前計画されたヨーロッパ・ガス価格上昇を通して、アメリカを一層豊かにするだけだろう。

 ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2022/03/09/us-enriches-itself-at-the-expense-of-the-eu-paralized-by-the-price-shock/

----------

 議会で、ヌーランドが、ウクライナに生物学研究施設があると認め、ロシア軍に材料を接収されないよう手配していると述べた。ウクライナで生物兵器攻撃があれば、それはロシアが仕掛け敵のせいにする典型例だとも述べた。これからアメリカ・NATO・ウクライナが仕掛けるという宣言に思えた。

 対ソ制裁は同盟諸国の墓穴

 大本営広報部呆導だけでなく、日本語youtubeも見る時間が減った。代わりに、海外のwebやyoutubeを長時間見ている。

 興味深い記事を読んだ。

War Plans Were Leaked On Purpose By Russia 4 Months Ago — and that is why Dems kept predicting war

 Mike Whitney氏のUnz記事も興味深い。ウクライナを売った男

 The Man Who Sold Ukraine

 Moon of Alabamaに列記されているリストで、下記ビデオを知った。簡潔。

 ゼレンスキー大統領も、ハンター・バイデンもコロモイスキーの手駒。

Zelensky, Hunter Biden — and Their Sugar Daddy, Kolomoisky

 日刊IWJガイド

「ロシア制裁で失われる日本の国益! 資源開発用機械は制裁で中国にシェアを奪われる!? プーチン大統領は撤退の海外企業資産の国有化を表明」2022.3.14号~No.3469号

 デモクラシータイムス あのフッソ化合物汚染が話題。

東京の水も危ない⁉ 汚染源は横田基地? 隠された令和の水俣「PFOA」NO.3【Tansa報道最前線】20220310

« ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画 | トップページ | この紛争を選んだのはアメリカだ:言説のマトリックスの端からのメモ »

アメリカ」カテゴリの記事

NATO」カテゴリの記事

ロシア」カテゴリの記事

シェール・ガス・石油」カテゴリの記事

ウクライナ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画 | トップページ | この紛争を選んだのはアメリカだ:言説のマトリックスの端からのメモ »

お勧め

  • IWJ
    岩上安身責任編集 – IWJ Independent Web Journal

カテゴリー

ブックマーク

最近のトラックバック

無料ブログはココログ