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2022年3月11日 (金)

歴史が始まる時 ロシア、ウクライナとアメリカ

シェルダン・リッチマン
2022年3月7日
InformationClearinghouse

 偽善的なアメリカ支配者と、連中の忠実なマスメディアが言っていることと逆に、二つの命題は、共に真実であり得、実際、真実だ。

  1. ロシアは、ウクライナに関して直面した状況の処置を、はなはだしく、残酷に、犯罪的に、誤った
  2. アメリカ政府は、1990年代後期以来、ロシアにその状況を課した責任が完全にある。

 もし皆様が詳細をご希望であれば、リバタリアン研究所の私の同僚スコット・ホートンによる、この最近の講義で、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプとジョセフ・バイデンらの大統領連中の無責任な悪事目録をご覧頂くに限る。この衝撃的な明白な事実の実績を理解された後、ロシアとの良い関係の歴史的好機を逸するためにアメリカ政府がしたことに皆様の腹の虫が治まらなくとも、それは全く当然だ。(シカゴ大学の尊敬される「現実主義」外交政策アナリスト、ジョン・ミアシャイマーによるこの2015年の講義をご覧願いたい。)

 アメリカの超党派外交政策が何を引き起こしたかを評価するには、夢にも思わなかった、事実上無血でソ連帝国解体が始まった1989年をお考え願いたい。その時点で、人類は、世界最大の核保有超大国同士が全員を人質にして、お互い対決しない新たな章に今にも入る間際だった。それについて考えてから、結果は悲惨なことになるという、あらゆる警告にもかかわらず、アメリカ政府が意図的にどうそれを吹き飛ばしたか学んで頂きたい。

 どうしてそうなのか?彼らが70年の共産主義で動揺していた時に、あらゆる方法で繰り返しロシアの人々をひどい目に遭わせることによって。もしアメリカ政府の意志が、この歴史的岐路の好機を破壊することだったら、これ以上見事な仕事はない。

 アメリカ人は、歴史が最近の危機の日から始まったという面白い考えかたをする。政治家とメディアは、この悪癖を飯の種にしている。だから、もしロシアがウクライナを侵略すれば、唯一の説明は、ただの狂気でければ、彼が支配欲に狂っているということだ。アメリカがお膳立てをしたかもしれないという考えを抱くことは赦されない。ソーシャルメディア大物連中がパワーエリートにおべっかを使う状態だから、これは深刻だ。

 ロシアがなぜ戦争をしたのか、アメリカ人は知りたいと望んでいるのだろうか?彼らは"自分達の"政府が、かなりの責任を負わなければならないことを耳にすることを好まないかもしれないが、第二次世界大戦以来、北米中部を占拠している政権は、事実上、世界のあらゆる地域を厳しく支配しているのは否定し難い。全ての国が守るはずの国際法の規則が、アメリカ合州国には適用されないのだ。昔の1950年代初期は言うまでもなく、2001年以来起きた侵略と政権交代をご覧願いたい。それが「例外的な国」が意味することだ。規則はアメリカ支配者以外全員に適用される。(ロバート・ライトの“In Defense of Whataboutism”「そっちこそどうなんだ論法擁護」をご覧願いたい。)

 この歴史が、ウクライナに対し、無辜の人々に対するあらゆる恐怖をともなう法外なロシア戦争が行われているより大きな文脈を形成している。アメリカの恥ずべき実績を考えれば、アメリカ大統領が国家主権侵害でロシア政府を敬虔そうに諭すのは不適当だ。

 1991年ソ連終焉以来、アメリカ大統領連中は、新時代にロシア人が欧米を信用しないようにすべく意図されたと思われる一連の行動をとった。これは後知恵ではない。ご承知の通り多くの評判の高い体制派の外交政策関係者がこのような措置に反対して警告していた。

 この措置には、1990年代後期のロシア同盟国セルビア爆撃も含まれる。ソ連に対抗するため設立された二次大戦後の連合、NATOによる、旧ソ連同盟諸国や共和国を包摂するため繰り返された拡大。欧米同盟に旧ソ連共和国のウクライナとジョージアを包摂するという公的言説。ロシアと長く存続していた核兵器条約の破棄。(攻撃的発射装置に転換可能な)防衛ミサイル発射装置のポーランドとルーマニアへの配備。ロシアからドイツへのノルドストリーム2天然ガスパイプライン協定を破壊する試み。(その前のウクライナとジョージアでの政権転覆作戦に続く)ウクライナでの2014年政権転覆推進。2017年以来のウクライナ武装。ロシア国境付近おにけるアメリカ兵士とのNATO軍事演習。ドナルド・トランプを当選させるため2016年大統領選挙をロシアが操作したとアメリカ人を説得する長く続く証拠のない取り組み。更に色々。トランプもNATO加盟諸国に、もっと軍事支出するようせき立てたことを想起すれば、攻撃者の一人だった。彼の反ロシアの動きは、21世紀の彼の前任者連中のNATO拡大を含め、手足の長いバスケット選手ウィルト・チェンバレンの腕と同じぐらい長いリストになるはずだ。もし彼が民主党や諜報機関や主流メディアが我々を信じさせたがっていたようなロシア傀儡だったら、ロシア人は人を操る手法について大いに学ばねばなるまい。

 戦争に対する最大の拍車の一つを見よう。ソ連が終焉に向かって進んでいる中、アメリカ政府と西ヨーロッパが約束した、ドイツ再統一後、NATOの東方向の拡大は起きないという約束だ。とにかく、拡大は起きたが、ロシアが欧米に、ひどい振る舞いをしたからではない。ロシアはそうしていなかった。実際、9/11事件後、ロシア大統領ウラジーミル・プーチンが、息子ブッシュに最初に支援を申し出たのだ。後にプーチンはジョージ・H・W・ブッシュ大統領が一度言及したことがあったロシアのNATO加盟招待さえ示唆した。ソ連がなくなった状態で、なぜNATOが必要だったのだろう、ロシアが参加できたとすれば、本当に、これにどんな意味があったのだろう?

 ロシア方向へのNATOの1,920キロ拡大は、アメリカ支配者が、いかに近視眼的か明示している。ロシアが今はなきワルシャワ条約機構にメキシコとカナダを招くのを、大統領は決して容赦するまいとアメリカを批判する人々は繰り返し指摘した。ところがNATOは今やバルト諸国、ロシア国境の旧ソ連共和国、リトアニア、ラトビアとエストニアという、かつてワルシャワ条約機構にいた東ヨーロッパ諸国を包摂しているのだ。

 本当に安全保障上の懸念が無視された場合、アメリカ政府がどのように反応するか我々は既に知っている。1962年、ソ連が核弾頭ミサイルをキューバに配備した時、ジョン・F・ケネディ大統領はソ連に対し核戦争を開始する準備ができていた。世界は何日間も終わりが近いかどうか思いながら席の端に座っていた。(私はそれを覚えている!)最終的に、ソ連のニキタ・フルシチョフ首相がミサイルを撤去したが、ケネディがアメリカの核搭載ミサイルをトルコから撤去すると密かに同意してのことだった。

 後のアメリカ大統領連中は、その危機を忘れた。クリントンは二期目の任期末に、ワルシャワ条約諸国を加えた。次に息子ブッシュの方向転換があった。2008年4月のブカレストサミットで、NATOは「ウクライナ、ジョージアのNATO加盟へのヨーロッパ・大西洋願望を歓迎すると宣言した。我々は今日これらの国々がNATO加盟国になることに同意した。」これは決定的な動きだった。周知の通り、外交政策界の大黒柱、ジョージ・ケナンからポール・ニッツ、ロバート・マクナマラに至るまで、既にバルト諸国を含む最初のNATO拡大に対し、強く反対意見を述べていた。息子ブッシュのロシア大使で、今バイデンのCIA長官の、ほかならぬウィリアム・バーンズが2008年にこう述べていた

 ウクライナのNATO加盟は全てのロシア・エリート、(プーチンだけではなく)にとって、あらゆる越えてはならない一線の中でも最もめざましいものだ。2年半以上のクレムリンの奥まった暗い場所にいる図体ばかり大きく頭の悪い連中から、プーチンに対する最も厳しいリベラル批判者まで、主要なロシア当事者との会話で、私はNATO内のウクライナが、ロシアの権益に対する直接攻撃以外のものと見なす人を誰も見たことがない

 プーチンは、サミット宣言に対し、ロシアに対する「直接の脅迫」とみなすと言って対応した。数カ月後、ロシアの南国境にあるジョージアの大統領は勇気づけられて、以前ジョージアから分離していた南オセチア共和国で、EUが認めたロシア平和維持軍を攻撃した。ロシアは、ジョージアを侵略し、占拠して対応した。グルジアのミヘイル・サーカシビリ大統領は、確実にアメリカ政府にそそのかされて、欧米は彼を支援するはずだと考えたのだが、そうはならなかった。ワシントン、ロンドン、パリと他のNATO諸国は、南オセチアを巡って、ロシアとの核戦争の危険を冒すのは気が進まなかった。(ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はサーカシビリを模倣しているように思われる。

 これは全て今日起きていることと余りに似ているが、更にもっとある。ウクライナをNATOに加盟させることについて話した後、アメリカとEUは、2014年2月、キエフでクーデターを引き起こし、それにより、ネオ・ナチを含め、反政府派が、民主的に選出され、ロシアに友好的だったヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領を、大統領の座から追放した。アメリカ国務次官補(現バイデン政権当局者)ビクトリア・ヌーランドと、駐ウクライナ・アメリカ大使ジェフリー・パイアット間の電話会話の漏洩記録が、クーデターと、国の新指導体制が、アメリカ国務省に画策されていたことを明らかにした。これは「民主主義支持派」、すなわち反ヤヌコーヴィチ組織へのアメリカの何十億ドルもの支援が続いた。

 ヤヌコーヴィチは欧州連合と進んで交渉するつもりだったが、彼が提案された融資条件に難色を示したとき、ロシアは、より好ましい条件で、ウクライナに150億ドルを申し出た。EUとアメリカ政府は、これが許せなか。ヤヌコーヴィチは去らねばならなかった。

 東ウクライナとクリミア半島にはロシア語話者が多く、多くがヤヌコーヴィチに投票しており、西部が彼の競争相手を支持していたことに留意願いたい。だから選挙で選ばれた大統領の打倒は、民族的ロシア人に対する直接の平手打ちだった。新政府が権力の座に就いた時、ロシア語を公用語の地位から外し、東部の州で、ロシアと国境を接するドンバス地域の自治を弱めようとした。紛争が勃発し継続した。一方、18世紀以来ロシアの安全保障上の鍵で、唯一の通年温水の海軍基地があるクリミア半島をロシアは併合した。ロシアはクリミア半島がNATO軍の基地になる危険を許せなかったのだ。クリミア半島の主に民族的ロシア人は併合を承認した。だがロシアはドンバスの人々の併合希望受け入れは拒否したのだ。

 結果として、アメリカ政府はウクライナに大量支援を送ったが、対立をエスカレートさせるのを望まなかったので、オバマは武器を送ったり、ロシアとの直接戦争の危険を冒したりするのは拒否した。彼は、適切に、ウクライナは、アメリカにとってではなく、ロシアにとって根本的に重要な安全保障の利益で、アメリカの遙かに大きな軍にもかかわらず、近くのウクライナでの紛争では、ロシアの方が、アメリカに対して、ずっと優位なことが分かっていた。だがトランプは、オバマ政策を反転させ、対戦車用兵器、対空兵器を含め、大量の武器をウクライナに送った。

 近年ロシアが国境の近くの部隊を増強して、ウクライナに対する圧力を増やすにつれ、その要求を明らかにした。ウクライナのNATO加盟はなし、東ヨーロッパのミサイル発射装置を無くす。就任以来、バイデンは、強気な発言をし、アメリカはウクライナの主権を支持すると主張し、第一に、アメリカ軍は関与するつもりはない、第二に、ウクライナは、すぐにはNATOに加入しない、第三に、攻撃用核弾頭ミサイルを東ヨーロッパに配備しないと宣言した。にもかかわらず、彼はロシアの要求をあざ笑い、誰がメンバーになるかNATOが決めると強く主張した。これは、バイデンがロシアのために既にしないと言っていた否認を正式のものにするのを拒否するもので、偏狭に聞こえた。

 バイデンが、それほど片意地でなかったら、ロシアは侵略計画を棚上げしただろうか?誰にもわからない?だが、それで失うべきものなどあっただろうか?

 それで我々はこういう状態にある。戦争の霧の中では事故が起きるものなので、この状況は世界的な意味で危険だ。依然少数派の若干の著名アメリカ人が、アメリカ政府が制裁を課す以上のことをして、更に多くの部隊を隣接するNATOメンバー国に送り、さらにウクライナを武装させることを望んでいるが、その全てをバイデンがしており、役にはたたない。ゼレンスキー大統領など一部は、ロシアとアメリカの直接軍事衝突に至らせるウクライナ上空への飛行禁止区域をアメリカが設定するよう要求している。一部はロシア政権転覆さえ主張している。我々は、アメリカ政府同様、ロシアには発射する準備ができている何千という水素爆弾を持っていることを想起する必要がある。これら連中の気は確かだろうか?

 いや、歴史は2022年2月24日、あるいはロシアがクリミア半島を併合した2014年3月18日でさえ始まったわけではない。

 それでどうする?それをと1.5兆ドルのGDP(イタリアより、テキサスより小さい)と600億ドルの軍事予算(アメリカ軍事予算総計の6パーセント)という条件のもとで、ロシアが昔のロシア帝国あるいはソ連を再確立しようとしていると考えるのはばかばかしい。大局的に物事を見れば、ロシア軍事予算全体を超える、最近の軍事出費年間増をアメリカ政府はしているのだ。

 目標は停戦でなければならない。バイデンは、ずっと前にすべきだったことをすることで、それを促進できる。ウクライナとジョージアはNATOに加盟しない、ミサイル発射装置を東ヨーロッパから撤去する、ロシア国境での軍事演習を終わらせる書面にするのだ。ウクライナは、領土をロシアに対する攻撃に使用させないというフィンランドのような保証で中立を受け入れて協力できる。息子ブッシュとトランプが破棄した軍縮協定は、ロシアとの協議で回復可能だと、バイデンは提案すべきだ。

 ロシアは、もちろん、ウクライナ撤退を誓い、補償を申し出るべきで、東部の多くが民族的ロシア人の地域はロシアに加わる自由を与えられる。

 我々は、たとえ新冷戦であっても、ロシアに対して戦争をする必要はない。

 シェルダン・リッチマンは、リバタリアン・インスティテュート編集長、センター・フォー・ステートレス・ソサエティの上級研究員で議長、Antiwar.comの寄稿編集者。ケイトウ研究所とInstitute for Humane Studiesの元編集長、Foundation for Economic Educationが発行するFreemanの元編集者、Future of Freedom Foundationの元副社長。彼の最新の本はWhat Social Animals Owe to Each Other

 この記事で表明される意見は著者のものであり、必ずしもInformation Clearing Houseの意見ではない。

記事原文のurl:https://www.informationclearinghouse.info/57038.htm

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