アメリカの武装「歩哨国家」による包囲
アラステア・クルック
2022年1月27日
Strategic Culture Foundation
「包囲」と「封じ込め」が、事実上、バイデンの基本外交政策になったとアラステア・クルックは書いている。
アメリカに対する中国の安全保障反撃の鍵は、アメリカの公式政策文書では表明されていない二語と結びついており、その無言の存在は、2022年国防授権法の文書全面に、にじみでている。
「封じ込め」という言葉は決して現れないが「包囲」という言葉もそうだ。それでもマイケル・クレア教授が書いている通り、この法案は「米軍基地や軍隊や、益々軍備強化する同盟諸国の窒息させるようなネットワークによる中国包囲の詳細な青写真になっている。狙いは、ワシントンが中国軍を領土内にバリケード包囲することだ。そして可能性として、どんな未来の危機においても中国の経済を損なえるにようにすることだ」。
以前のアメリカの対中国対策施策で欠けていたのは、中国の勃興を封じ込め、それによってインド・太平洋地域でのアメリカの永久支配権を保証する包括的計画だった。だが「今年の国防授権法の著者」は「驚くほどこの欠陥に注力し、法案のいくつかの条項は、もっぱら、そのような基本計画のためになるように意図されている」。
これらの中には、中国を包囲するアメリカ防衛体制に台湾を取りこむよう意図された一連の措置も含まれる。そして「あらゆる面で」中国を封じ込める包括的「大戦略」を立案する要求だ。
この法案中の「議会の見解」措置が、これらの様々な構想に対する包括的助言として、北太平洋の日本と韓国から、南のオーストラリアや、フィリピン、タイやシンガポールや中国の東側面ではインドにまで広がる、中華人民共和国を包囲し、封じ込めることを意図したアメリカが武装させた「歩哨国」の切れ目のない連鎖を規定している。不気味なことに、台湾もこの計画された反中国ネットワークに含まれている。
その結果、この措置は、「二国」間のより緊密な軍事協調や、台湾への益々先進的な兵器システム販売や、そうした兵器の一部を生産する技術の販売を提唱している。
「そして、ここがバイデン時代の新たな現実だ」とクレアは書いている。「[台湾]は今やアメリカの事実上の軍事同盟国に転換されつつある。これ以上の中国にとっての決定的問題への直接攻撃は、まずあり得ない。つまり台湾は遅かれ早かれ平和裏に本土との再統合に同意するか、軍事行動に直面しなけばらないのだ。
これは決して目新しいことではない。中国封じ込めという考え方は、オバマのアジア基軸(そして更にそれ以前に)遡るが、台湾という口実が本気で強化された始めたのはトランプ政権時代だった。ポンペオは政府幹部の台北訪問を認める大胆な行動に出た。
今違っている点はバイデン政権がトランプ-ポンペオ政策を反転させなかっただけでなく、むしろポンペオの包囲政策を徹底的に取り入れたことだ。これは、「台湾への器移転の品質と量を減らすという1982年の合意は、中国の台湾に対する益々威圧的で攻撃的な行動のため、もはや適切ではない」と主張するこの法案中の条項により強調されている。
肝心なのは「包囲」と「封じ込め」が事実上バイデンの基本外交政策になったことだ。このメタ教義を強固にする試みは、ロシアを経由し(最初の措置として)実行されつつある。ヨーロッパによる極めて重要な合意は、ロシアの物理的封じ込めと包囲という「最も得意な出し物」だ。
EU幹部が何が彼らの「越えてはならない一線」と思うかを決める中、制裁を金融「モード」から包囲に転換すると誓約するようEUはワシントンから強烈な圧力を受けている。だが昨年11月、ジェイク・サリバンは、こう言って新ドクトリンとヨーロッパに期待することをはっきりさせた。「我々は[国際的]体制の条件は、アメリカの権益と価値観に優位なことを望む。これは、むしろ、基本的に[アメリカ]国民にとって基本的に重要な問題について、アメリカと同盟諸国が国際規則を形成できる好ましい体制だ」。
だがバイデンの未曾有の厳しい制裁の脅威を全く思いがけない組織が警告した。構想されている制裁は、ロシアを傷つける以上にアメリカの同盟諸国(すなわちヨーロッパ)を傷つけ、既に記録的なアメリカのインフレ率に影響を与えているエネルギー価格高騰が、アメリカとヨーロッパ消費者両方に影響する反生産的なグローバル経済危機さえ引き起こしかねないとアメリカ財務省と国務省両方がブリンケンに警告したのだ。
要するに、ヨーロッパも、その地域でのアメリカ率いる反政府戦争が溢れ出て他の国々に広がることに直面しかねないのだ。新種の過激「ジハード戦士」が産まれ、それがヨーロッパ中に広まるのだ。しかも(アフガン戦争の後に起きたように)精巧な兵器の新たな波が反政府派内に広まり、スティンガー・ミサイルが誰に売られたか(そして後に彼らから買い戻さなければならなかったか)誰も知らないのだ。
やらせ記事らしきもので、NYタイムズは、こう報じている。
何年もの間、ロシアを挑発するのを恐れて、アメリカ当局者は、ウクライナにどれほど軍事支援を提供するかに関する問題を用心深く扱ってきた。
今、主要な方向転換で、バイデン政府高官は、プーチンがウクライナを侵略すれば、アメリカがウクライナ反政府派を支援する可能性を警告している。
アフガニスタンでの20年戦争から脱出したばかりのアメリカが、終えた場所から別の反政府派に資金供給、支援に転換する方法は依然開発中だ。「アメリカが、どのようにウクライナで反政府分子を武装させるか、あるいは、ロシア軍事占領に対して、誰がゲリラ戦を行うかバイデンはまだ決めていない。同様に、ロシアの次の動きがどんなものかも明確ではないが、バイデン政府高官は、[最終的に]軍事的損失で、侵略の代償が法外に高価なことに気づくはずだという信号をロシアに送り始めた。
「プーチンが大規模軍でウクライナを侵略し、それがウクライナ反乱に変われば、20年、我々自身、反政府派と戦った後、我々が、いかに彼らを武装し、訓練し、元気づけるべきか知っているのをプーチンは悟るはずだ」と退職4つ星海軍海軍提督、元NATO欧州連合軍最高司令官ジェイムズ・スタヴリディス提督が述べた。
ウクライナで開始される反乱のこの話はアメリカで熱狂的特質を得た。アメリカの大半が民主主義と自由主義の価値感の大義を売りつくしたという、どんな示唆でも崩壊るにつれ、議論はノイローゼへとゆっくり移行した。タッカー・カールソンのゲストがこう言ったときの反応を、ここでご覧願いたい。「世界は奈落の底の瀬戸際だ。間もなく我々は第二次世界大戦以来ヨーロッパ最悪の戦闘を見るかもしれない。何千人もが死に、核戦争の可能性が高まる。こうならずとも良いはずだ」。
バイデン政権の全あらゆる多くの失敗が「ウクライナを救う」という贖罪に向かって発散されているかのようだ。
当然、それがアメリカ・プロジェクトの終わりではない。「封じ込め」と「我々の民主主義」をワシントンのリベラル思考の最前線に置いて、ロシアを身動きできなくし、中国に通知した後は、次のイランの封じ込めと包囲は必然的結果に思われる。
特に、中国包囲プロジェクトは既に進行中だ。それはインド・太平洋に限定されない。今日それは中東で、イランと中国の二重封じ込めが試みられている。(フーシ派が実行を主張する)UAEに対する最近の無人飛行機攻撃は、アメリカに包囲を打ち破る、それら標的に定められた国々のより大きな戦いと無関係ではない。
ここ数年、グローバル貿易の一つの重要な要素は中国の海のシルクロードだ。必然的に、アフリカの角や、その要衝、バブ・エル・マンデブ海峡、イエメン沖を中心とする輸送経路だ。従ってイエメンは中国を「封じ込め」海のシルクロードの力を否定するアメリカの重要中枢になっている。
この文脈で、UAEは、全て現在UAEが支配している、インド洋、アラビア海、紅海、アフリカの角とバブ・エル・マンデブ海峡を見下ろし、太平洋における「台湾」に対応する、中東での地理的な錨としての「歩哨」港の島、戦略的要衝だ。
イスラエルとアメリカにとってUAEの戦略上の重要性が高まっているのは、紅海をアデン湾と結ぶ海峡の「監督責任」を掌握して過大な役割を確立する機会として、全く露骨にイエメン戦争を使用したことから生じている。イブラーヒム・アル・アミンはレジスタンス寄りのレバノン日刊紙(彼が編集者の)Al Akhbarで「イエメン戦争の「出口戦略」を再考するようUAEに強いる[最近の]アメリカの決定」を説明している。
「新たな進展はマアリブ陥落を防ぐという戦略的決定で示された、アメリカ-イギリス決定の本格的修正だ。アメリカは、こうした戦争に直接介入したのだ。詳細を振り返れば、イスラエルの関与という点で、一層深く危険な本質に気がつく。諜報活動の本質は、これまでの攻撃部隊のあらゆる仕事に似ていない。現時点の戦局は地上兵士を必要としており、それ故アメリカがUAEに戦争の「出口戦略」を再考を強いると決めたのだ」。
だから、アデン港、バブ・エル・マンデブ海峡とソコトラ島は、中国とアメリカ間の冷戦強化の極めて重要な要素になる。この不可欠な海峡を支配できるアラブ同盟国は、アメリカ合に中国の海のシルクロードを危険にさらす影響力を与える。それ故の、イエメンで進行中の紛争に対するアメリカ支援なのだ。
それ故、フーシ派のUAEに対する無人飛行機攻撃は、フーシ派はこのような重要地点を譲るつもりはないという信号だ。フーシ派はUAEに困難な選択を強いているのだ。イエメンの都市を攻撃するか、バブ・エル・マンデブ海峡という戦略的資産を引き渡すか。イランと中国は、この「大ブレーク」構想を注視しているはずだ。
これを認識して、2022年国防権限法に書かれている政策は、中国の安全保障と、より大きな国際的役割に対する願望に対する基本的な脅威で、議会は、今後9カ月で、米中関係「大戦略」を考え出し、アメリカが中国の勃興を鈍らせるのに必要な経済的、外交的、軍事の能力の目録を準備するよう大統領に指示した。
米軍の歴史学者アンドリュー・ベースヴィッチは現代ワシントンの外交政策官僚内で「勢力圏」は忌み嫌われる物になっていると書いている。だが現在それが翻訳されているように、まさにその言葉には妥協の雰囲気がある。それはアメリカ政府の外交政策支配体制に対して、アメリカ当局幹部がひどく嫌う罪である、自由と民主主義という大義を裏切気配があるのだ。これは今日の過熱したアメリカの主流言説から全て余りに明白だ。
10年前、ヒラリー・クリントンは「アメリカは勢力圏を認めない」と断固宣言した。最近、ブリンケン国務長官が同じ声明を断言した。「我々は勢力圏の原則を受け入れない。まさに勢力圏の概念は「第二次世界大戦後、無くなるべきだった」。
もちろん!明白ではないか?ある国を自身の領土内にバリケードで閉じ込め、後日、どんな未来の危機の際も、経済を窒息させる自由裁量を享受しながら、同時にロシアと中国が、まさに彼らの封じ込めに対処し、軍事的包囲による脅迫に対処するために作り出す越えてはならない一線線を設定するのを認めることはできない。
国防権限法が(おそらく、そうと意図せず)しているのは、まさにロシアと中国の状況が、いかに、お互いの苦境の相互に入り組んだ反映かをはっきり示すことだ。封じ込めと包囲を打ち破る「戦争」は既に進行中だ。
Alastair Crookeは元イギリス外交官、ベイルートに本拠を置くConflicts Forum創設者、理事長。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2022/01/27/americas-armed-sentinel-state-encirclement/
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テレビをつけると新日本紀行。越前ガニや杜氏の話に見入った。越前ガニは無理でも、番組で紹介された方のお酒は飲みたいもの。
迷惑な御仁、韓国や中国は「妄言製造機」「極右勢力代表」と評価している。
一方大本営広報部や忖度評論家、タレントなどは、こうした冷静な批判を拒絶している。
敗戦時の一億層懺悔を繰り替えしてはならないと思うが、国民性は変わらない。というより虚報を流す大本営広報部こそ悪の根源。
「新型コロナ感染者急増で東京都が緊急事態宣言要請の基準を変更!」
【タイムリー再配信 1054・IWJ_YouTube Live】19:00~「『戦争はどちらがより長くより多く、被害に耐えられるか。その認識なく戦争の話をするのは危ない』 ~岩上安身によるインタビュー第1061回 ゲスト 元内閣官房副長官補 柳澤協二氏(1)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
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