ウクライナに関する考え12項
2022年2月24日
ケイトリン・ジョンストン
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プーチンはウクライナの全面的侵略を開始し、目標はこの国の占領ではなく「非武装化」と「否ナチ化」だと主張している。我々はそうした主張のいずれも盲信する理由はない。時がたてばわかるだろう。
本記事執筆の時点で、これまでのところ多数の人々が亡くなったと報じられている。あらゆる戦争は恐ろしい。我々は今回、戦争がそうなり得る中でも、恐ろしさが最少のものとなるよう願うばかりだ。
若干の考え:
1.事態全体、もう少し外交があれば非常に容易に避けられたはずだ。そうならなかった唯一の理由は、そうすれば、アメリカ帝国が、全世界支配という狙いから、ほんのわずか、ささいな後退をすることを意味するためだった。
欧米諸大国が、ウクライナにNATO加盟を保証しないことや、キエフにミンスク合意を尊重させることのように、基本的に安価で高利回りの譲歩をしなかったのを、人々は「悲しい」とか「残念だ」と言っているが、それは悲しくなく、残念でもない。これには激怒するしかない。連中がこれをしたのは、純粋な全くの激烈な怒り以外何にも値しない。
2.だが、言説の支配者は#1のあらゆる議論をもみ消すべく猛然と働いている。我々の良き友人マイケル・マクフォールも、こう言っている。
Please don't give Putin propagandists a platform on your media platforms. There is a time and place for hearing two sides of an issue. This tragic moment in European history is not one of them. Do not give false equivalency to voices of evil and voices of good.
— Michael McFaul (@McFaul) February 24, 2022
プーチン・プロパガンダ屋には皆様のメディア・プラットホームの場所を与えないよう願いたい。ある問題に関し双方の言い分を聞くべき時間と場所がある。ヨーロッパ史上この悲劇的な瞬間は、その一つではない。悪の声と善の声を平等に扱うのは間違いだ。
- マイケル・マクフォール (@McFaul) 2022年2月24日
欧米世界で最も影響力があるロシア「専門家」の一人がプロパガンダを非難しながら、メディアにプロパガンダを実行するよう要求しているのだ。真実の客観的報告の代わりに、自国政府が言って欲しいと思っていることを言うのは、プロパガンダだ。
どうかあなたのメディア・プラットホームで事実を報じないでくれ。専門家たちがこういう状況になるだろうと長いこと警告していたNAT諸大国とキエフによる周知の行動に関して誰にも話をさせるな。我々をこの状態に至らせた周知のアメリカ/NATO/ウクライナの行動について、あなたが話すことは許されない。あなたは、彼が悪で自由を憎むから、プーチンが、理不尽に、他と無関係にウクライナを攻撃したと言うことだけ許される。
真実にではなくアメリカ帝国に忠誠を。誰であれ言説を支配する者が世界を支配する。
3.「アメリカ風侵略」の代わりに、これを「第二次世界大戦風侵略」と皆が呼び続けている様子は滑稽だ。それは1940年代で終わった軍事侵略の見本のようではない。
それを言うなら
4.これをご覧願いたい。
Kyiv and Kharkiv are being bombed. The largest invasion on our planet since WW2. Republicans are rooting for the Russians. God be with Ukraine and democracy.
— Rep. Eric Swalwell (@RepSwalwell) February 24, 2022
キエフとハリコフは爆撃されている。第二次世界大戦以来、世界最大の侵略。共和党員はロシアを応援している。神がウクライナと民主主義とともにありますよう。
- エリック・スウォルウェル下院議員 (@RepSwalwell) 2022年2月24日
これらの人々は実際これを「第二次世界大戦以来、世界最大の侵略」と呼ぶのが正当だと信じている。歴史本から1950年から2003年まで全てのページを消して、欧米帝国主義者を気分良くさせよう。信じがたいことだ。
5.核戦争の主なリスクは、誰かが戦争を始めると決めるということではなく、核戦争はエスカレートする冷戦緊張の混沌、混乱の中、聞き違いや誤動作や誤解によって引き起こされかねないのだ。これは先の冷戦で、何度も、すんでのところで起きるところだった。
冷戦瀬戸際外交は、核攻撃の応酬を引き起こさずに攻勢を強化できると確信できるとよ感じるには余りに多くの小さな、予想できない不確定要素がある。この核の度胸比べで安全だと感じている誰も、それが本当に一体何か理解していない。
我々は全くの、ただの運で、冷戦を生き伸びたのだ。我々は一度たりとも主導権を握ったことはない。我々は単に幸運に恵まれたのだ。我々が再び幸運に恵まれると確信する理由はない。我々はこの狂気を放棄し、即座に緊張緩和を追求する必要がある。
https://twitter.com/KyleKulinski/status/1496708592619110404?s=20&t=jgPpaLgDrfUSO1jWAZPnAA
6.爆弾が落ち、私が放射能で死につつあり、息を引き取る際、私は、ウクライナがNATOに加入しないという保証でプーチンに事実上の勝利を与えるのを拒否したことに対しジョー・バイデンに感謝するつもりだ。
7.おそらく言わずもがなだろうが念のため。ロシアとのどんな種類の欧米の軍事対決であれ支援する人は誰であれ人類全員の敵だ。
8.今アメリカ権力同盟には(A)世界を脅かすレベルまで、ロシアに対する攻勢をエスカレートする、あるいは(B)反帝国主義者が何年も、彼らにするよう懇願していたことをして、緊張緩和を追求するか、いずれかの選択があるように思われる。これは何年もの間、クレムリンの代理人やら、プーチン愛好家と呼ばれながら、反帝国主義者たちが、もしアメリカがロシアとの緊張緩和に向かって動かなければ、まさにこういう状態になりかねないと警告していた状態だ。
冷戦瀬戸際外交は熱い戦争をもたらしかねないと警告していた我々を、長年狂っていると呼んでいた連中は、我々の警告が本当だと分かった今、ロシアに対して瀬戸際外交を強化しろと要求している同じ連中だ。おそらく多少の本格的再評価が必要だ。
冷戦瀬戸際外交に引き起こされた危機に対する解決策は、より多くの冷戦瀬戸際外交ではない。冷戦瀬戸際外交に引き起こされた危機に対する解決策は緊張緩和だ。
9.機密諜報情報に基づいて秘密主義の行政機関がする主張は、たまたま本当と分かる事実にかかわらず、常に100パーセント、例外なく、断りなく積極的にしっかり精査されるべきだ。
10.政府とメディアによって、欧米人がロシアを憎むよう説得されて、これまで数年を過ごしたのは確かに幸運な偶然の一致だ。さもなければこの侵略行為に対する欧米の劇的な対応は、彼らに同意させるのは困難だったかもしれない。
11.ウクライナから出るあらゆるニュースに対し極めて懐疑的であり続けていただきたい。2016年以来、欧米帝国は、ロシアに関し、我々がこれまで一度も同様のものを見たことがない極端に攻撃的な言説支配キャンペーンを行っている。この大規模心理作戦にニュース・メディアは完全に共謀している。なされる全ての主張の確かな証拠をじっと見守って頂きたい。2014年のクーデター中、抗議行動参加者を殺し、追い出されたヤヌコーヴィチ政府のせいにするため、キエフで狙撃兵がどのように使われたか想起願いたい。
12.不人気な意見だが、これは多極世界の夜明けを告げるものだと自慢げに言う人々は、いささかフライング気味かもしれないと私は思う。もしアメリカ帝国がロシア経済に壊滅的打撃を与え、そこで不穏状態やバルカン化や崩壊を煽動するのに成功すれば、それは中国支援体制の大黒柱の倒壊で、中国はこれらあらゆる一極主義策略の究極目標となる。
もし帝国がこれ(それが全くもしもの話なのを私は分かっている)ができれば、その時点で、帝国は、それを守る見張り熊のいない中国に取りかかることができる。それはもちろん、そもそも始めからの計画だったはずだ。それは、もちろん帝国とそのプロパガンダ・エンジンが、ここ数年、実に奇妙な動いていた理由のはずだ。
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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2022/02/24/twelve-thoughts-on-ukraine/
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スコット・リッター氏が下記記事を書いている。
気になって、Vetrans Todayというアメリカの退役軍人集団が運用しているサイト記事を翻訳した『キエフと右派セクターによるオデッサ水晶の夜 (写真・閲覧注意!)』元記事を確認してみた。リンクしておいた凄惨な写真が表示されないのが不思議で。何のことはない、リンクも元記事も完全に削除されている。真面目な反戦組織と錯覚していたが、残念。RTには、さすがに当時の現場映像が残っているので、映像リンクを加えた。
読者の方から魚拓ページをご教示いただいた。この問題のページの凄惨な写真が全てみられる。
ウクライナ・ファシスト政権の悪辣さと、それを見過ごす大本営広報部洗脳機関の罪が瞬間にわかる画像。凄惨だが是非ご覧頂きたい。
日本の大本営広報部洗脳機関、このオデッサ虐殺事件報じたことがあっただろうか?そもそもウクライナ政権転覆が、宗主国アメリカが組織したクーデターだったことを報じている大本営広報部洗脳機関を知らない。ファシスト政権がロシア語を公式言語から外し、ロシア系住民を迫害したことを真面目に報道しただろうか? 独立を宣言した二州の民間アパートをウクライナ軍が絶えず砲撃してきた事実を日本の大本営広報部洗脳機関、大きく報じていただろうか?
武蔵大学で「第11回 江古田映画祭 3.11福島を忘れない」が開催されている。初日の野に叫ぶ人々・鉱毒に追われて トーク:赤上 剛氏(田中正造研究家 著書『田中正造とその周辺』)を拝見。日本の公害の原型、企業、政府、学者、マスコミの無責任さの全てが、あの古河足尾銅山鉱害時に形成されたというお話。下記番組、新手のダイキン公害。似たような物質による公害が沖縄や本土の米軍基地でも起きている。そもそも原爆製造のため開発された材料だ。岩波ブックレット No.1030『永遠の科学物質 水のPFAS汚染』pdfで物質の概要は分かる。
デモクラシータイムス
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