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2022年1月 3日 (月)

ノルド・ストリーム2を取り巻く地政学

2021年12月27日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 複数のアメリカ権益がノルド・ストリーム2プロジェクトの完成と、ドイツ/ヨーロッパへの中断されないガス供給を妨げ続けている。アメリカにとっては、ノルド・ストリームプロジェクトは、大いに、アメリカ・ガス供給のためにヨーロッパ・ガス市場を民有化する道具なのだ。ジョー・バイデン政権が速かった間にトランプ政権が課していたプロジェクト制裁を早々に撤回したが、この撤回は、我々が今知っている通り、EUの年間ガス需要の最大15パーセントを送れるプロジェクトを破壊する、より間接的な戦略の前兆にすぎなかった。この文脈で、アメリカがロシアのあり得るウクライナ「侵略」について引き起こしているヒステリーもアメリカがプロジェクト全体を破壊したいと望んでいる道に直接合流する。

 例えば、バイデン政権がドイツのアンゲラ・メルケルと制裁を撤回する協定に取り組んだ際、ワシントンは、ロシアがウクライナに対し、それを武器として使った場合、パイプラインを阻止することをベルリンに義務づける条項を挿入するほど抜け目なかった。ロシアが実際パイプラインをウクライナに対して武器として使用するかどうかは問題外だが(プロジェクトはまだ稼働していない)、ウクライナ-ロシア国境周辺でアメリカが作り出している進行中の危機は、ドイツをガスパイプラインを阻止することを「考える」よう駆り立てるため、ワシントンが、ロシアを地域の「侵略者」と表現するのを可能にした。

 この危機は、ロシアを包囲するため、ウクライナにNATOを拡張するというアメリカ/NATOの協力の直接の結果以外の何ものでもないが、この危機をノルド・ストリーム2と、どれほど結びようとしているアメリカの取り組みが、アメリカがどれほど、ヨーロッパを自分の影響下に維持したがっているか多くを物語っている。ドイツ新政権は、まんまとアメリカの罠にはまったように思われる。この文脈で、最近のベルリンに配属されたロシア外交官二人の疑わしい根拠による追放はロシアを更に後退させる可能性が極めて高い。最近モスクワのNATOとアメリカとの緊張という文脈でドイツ閣僚はロシアについて厳しく語っている。

 実際、アメリカは、EUをワシントンに縛り付けておいて、ヨーロッパ自身の軍隊を開発するのを阻止するため、NATOを拡大して、ヨーロッパの危機を作り出したいと望んでいる。更に、その領域を通っているパイプラインからの10億米ドルの収入に対するウクライナの依存を考えれば、この収入を失った途端、ウクライナは一層アメリカとEUにとって債務になることに議論の余地はない。これを防ぐため、ドイツ新政権はロシア制裁の枠組みを開発するため、既に懸命に協議している。

 言い換えれば、ヨーロッパの地政学を支配する上でのアメリカの権益に関する限り、ウクライナ問題はアメリカにとって既にうまく機能している。進行中の危機は、時宜に適ったノルド・ストリーム2の事業家を混乱させ、ヨーロッパの「ガス危機」を引き起こした。アメリカは、この状況から十分に恩恵を得ている。既に、少なくとも30隻のアメリカ液化天然ガス・タンカーが進路をヨーロッパに変えている。

 EU全体でのガス価格上昇は、アメリカのガス供給業者が他のどこよりヨーロッパで多くの金を儲けることを意味する。これは要するに、ロシアからの「不自由な」ガス供給に対する、ワシントンが「自由ガス」と呼ぶものの、ヨーロッパでの事業化なのだ。

 歴史的に、ロシアがヨーロッパの最大ガス供給元で、アメリカのシェアは地味だった。ワシントンは、従って、そのシェアを高め、儲かる市場を取り込むことを目指している。それ故に、ヨーロッパの既存供給源の「信頼性の欠如」に対してのプロパガンダなのだ。これが常に計画されていたことは、2021年9月に、アメリカ・エネルギー省のジェニファー・グランホルム長官が物価騰貴が「ヨーロッパの既存供給源と安全保障の信頼性に重大な懸念と疑問を高めている」と言ったことからも明白だ。「我々とパートナーは、自身に有利になるよう供給を操作しかねない当事者がいる場所で反対し続ける用意を整えていなければならない」と彼女は補足した。だから、ノルド・ストリーム2の意図的悪魔化は、モスクワに対するヨーロッパの依存を減らし、ワシントンに対する大陸の依存を強めるワシントン政策の一環だ。

 換言すれば、ワシントンは、EUがモスクワとの関係を再定義する方法を見いだすことを恐れており、EUへの自身の供給を強化することで、すなわちヨーロッパをアメリカに依存させて、ロシアが追求しているとアメリカが言う狙いを実現することを目指しているのだ。この依存はNATOが、アメリカ武器輸出にとって売り手を選択する余地がない市場である方法に非常に似たものになるだろう。

 NATOのウクライナへの拡大、ノルド・ストリーム2プロジェクトの問題、いずれも、ヨーロッパ政治を支配するというアメリカの主要メカニズムを伴っている事実は、ヨーロッパを、軍事的、経済的安全保障で、アメリカにより広範囲に依存する、アメリカに捕われた領域にするだろう。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/12/27/the-us-geo-politics-surrounds-nord-stream-2-pipeline/

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 NHK BSで「河瀬直美が見つめた東京五輪」という番組があったという。彼女の映画にもオリンピックにも興味なく、この番組も見ていない。ネットで見られる彼女の発言スクリーンショットには驚く。炎上商法だろうか?どんな映画になるのだろう。決して見ないが。

日本に国際社会からオリンピックを招致したのは私たちです。
そしてこれを喜んだし、ここ数年の状況をみんなは喜んだはずだ。

 小生は招致していない。喜んでいない。一切見ていない。

 西谷文和 路上のラジオ 2022/01/01

Vol.76 田村智子さん「次こそ政権交代。99%の私たちが幸せを感じる政治をめざして」

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