来たる民主主義サミットはタイムマシン
2021年11月29日
Saker
はじめに
2021年12月9-10日に予定されているバイデン「民主主義サミット」は招待国の最終リストを発表した。
ちょっと見てみよう。
Albania Angola Antigua and Barbuda Argentina Armenia Australia Austria Bahamas Barbados Belgium Belize Botswana Brazil Bulgaria Cabo Verde Canada Chile Colombia Costa Rica Croatia Cyprus Czech Republic Democratic Republic of Congo Denmark Dominica Dominican Republic Ecuador Estonia European Union Fiji Finland France Georgia Germany Ghana Greece Grenada Guyana |
Iceland India Indonesia Iraq Ireland Israel Italy Jamaica Japan Kenya Kiribati Kosovo Latvia Liberia Lithuania Luxembourg Malawi Malaysia Maldives Malta Marshall Islands Mauritius Mexico Micronesia Moldova Mongolia Montenegro Namibia Nauru Nepal Netherlands New Zealand Niger Nigeria North Macedonia Norway |
Pakistan Palau Panama Papua New Guinea Paraguay Peru Philippines Poland Portugal Republic of Korea Romania Saint Kitts and Nevis Saint Lucia Saint Vincent and the Grenadines Samoa Sao Tome and Principe Senegal Serbia Seychelles Slovakia Slovenia Solomon Islands South Africa Spain Suriname Sweden Switzerland Taiwan Timor-Leste Tonga Trinidad and Tobago Tuvalu Ukraine United Kingdom Uruguay Vanuatu Zambia |
カーネギー国際平和基金も非常に役立つ招待された国の地図を公表した。
最終的に、アメリカ国務省が説明する、このサミットの目的を想起しよう。
- 独裁主義を防ぐ
- 収賄に対処し、戦う
- 人権尊重を促進する
次に、我々がするべき最初のことは、上記の事項を平易な英語に翻訳することだ。私はこの全てをこう翻訳した。
- (既に死んだが、どうでもよい、連中は、それがまだ生きているふりができるのだ)英米シオニスト帝国単極世界覇権を忠実に支持し、多極世界を作るのを阻止する、あらゆる反ロシア、反中国作戦に従順に参加する.
- 1で言及した作戦に参加するのを拒み、そして/あるいは本当に無用で余りに恥ずかしい「我々のSOB」(ゼレンスキーか?)を追い出すのを拒否する政府を打倒する
- サミットに招待しなかった人々を悪者にする戦略的心理作戦に参加し、招待された連中が政権に留まるために必要などんな抑圧/反対意見弾圧も使うのを認める。
このサミットは、現実的に、どれほど意味があるのだろう?
もし単一の(しかも気の抜けた)思惑を巡って、全く異なる状況にある国々を結び付けようとするなら、このようなサミットの価値はそれ自身ではゼロだ。この壮大な見世物で発表される全てが「全て良いことで、あらゆる悪に反対する」(ロシアの表現)の退屈な発表なのは、かなり明白だ。
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ベネズエラの地方選挙と首都選挙の結果 |
一つのわかりやすい例は、この取り組み全体が、どれほど現実に通じていないかを示している。ホワイトハウスは完全敗者フアン・グアイドさえ招待している!ベネズエラ国民が最近グアイドと彼が代表する全てを圧倒的多数で拒絶した事実にもかかわらず。
ちなみに、例えば、ほぼ全ての中南米諸国がサミットに招待されたが、この参加は中南米支配階級の買弁的本質の非常に良い例証であることを示唆している。もし人々が「ヤンキー/グリンゴ」帝国を従順に支持したいと望むかどうか決める権利を与えられたら、万一いるとしても、招待された国々の極めて少数しか代表者を送るまい。
換言すれば、このサミットは何より「見てくれ」、世界の各政府に強制的に単純な選択をさせるよう仕組んだPR活動、息子ブッシュが「あなた方は、我々側か、テロリスト側だ」と言った時に与えたのとまさに同じ選択だ。最新版は「あなたは我々側か、悪のロシアと悪の中国側だ」だ。
[ちなみに-これは(様々な理由で)招待されなかった国のリストだ:アフガニスタン、アルジェリア、アンドラ、アゼルバイジャン、バーレーン、バングラデシュ、ベラルーシ、ベニン、ブータン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルネイ、ブルキナファソ、ブルンジ、コートジボアール、カンボジア、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、中国、コモロ諸島、コンゴ、キューバ、ジブチ、エジプト、エルサルバドル、赤道ギニア、エリトリア、エチオピア、ガボン、ガンビア、グアテマラ、ギニア、ギニアビサウ、ハイチ、教皇庁、ホンジュラス、香港、ハンガリー、イラン、ヨルダン、カザフスタン、キルギスタン、ラオス、レバノン、レソト、リビア、リヒテンシュタイン、マダガスカル、マリ、モーリタニア、モナコ、モロッコ、モザンビーク、ミャンマー、ニカラグア、北韓国、オマーン、パキスタン、パレスチナ、カタール、ロシア、ルワンダ、サンマリノ、サウジアラビア、シエラレオネ、シンガポール、ソマリア、スリランカ、スーダン、スワジランド、シリア、タジキスタン、タンザニア、タイ、トーゴ、チュニジア、トルコ、トルクメニスタン、ウガンダ、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、ベネズエラ、ベトナム、イエメン、とジンバブエ。]
本物の(人々の)地図は全く違って見えるはずだ。
本物の地図はどんなふうに見えるだろう?
まず、中南米諸国代表は、ほぼゼロのはずだ。
第二に、ヨーロッパの全てが参加するだろうが、それは主にEU買弁エリート連中が(経済、エネルギー、COVID、犯罪、移住や、ウォーキズムなどで)驚くべき、私としては自殺的とさえ言いたいほどのEU加盟諸国の方針のため自国で益々失いつつある正当性を、このサミットで得たいばかりに必死で参加するのだ。
次に、全てのアフリカ諸国が(軍事、経済、政治などで)できる限り多くの支援を得るため、全てのアフリカ政府が依然植民地のご主人にどれほど卑屈に服従的か示すための必死の試みで参加するだろう。これは実際ほとんど彼らの罪ではないが、それはアフリカ政治の惨めな現実を変えはしない。
次に、中東全体、インドとパキスタンも、非常に異なる理由で参加するだろう。これらの政府は全て、若干の相違はあっても、災いの前兆を感じていて、アメリカが落ち目なのを知っているが、その「衰退」が自分達に有利な条件で進展するのを望んでいるのだ。誰も「次のエルドアン」になって、アメリカ中央軍に打倒されるのを望まない。アメリカ中央軍は、もはや大した軍隊だと私は思わないが、アメリカをこれらの国々に依然結びつけている何十億ドルもの契約があり、それはサミットに参加し、適当なことを言って、国に帰り、いつもの仕事に戻る十分な理由だ。
そこで、ロシア、中国、中央、極東アジアを含め、アジア大陸丸ごと抜ける。この地図は単純だ。ロシアと中国に親しい国は招待されず、オーストラリアに近い国々は招かれる。アジアは現在圧倒的に多くの国がある大陸で、最も明るい未来があり(人間と自然の)膨大な資源のみならず、二つのアジア大国(ロシアと中国)が共有する大陸で、最終的には世界的にも実現したいと望んでいる多極世界を協力して作り始めている事実のせいだ。ロシアと中国は世界(特にまとめて数えれば益々そうである)最強の軍も持っている。
もしマルコム・Xがまだ生きていたら、おそらく彼は「黒人の召し使いは全員招待されたが、畑で働く黒人は全員招待されなかった」と言っただろう(ここを参照):-)
タイムマシンとしての民主主義サミット?
来るサミットはタイムマシンのようなものだと私は言いたい。実際に我々が時間を旅行するのを可能にするのではなく、誰が世界の未来を形成するのか、誰がそうしないのかを我々に示すのだ。(既に死んだ)英米シオニスト帝国に招待された連中は、買弁エリートか、本当の行為主体がない(従って本当の正当性がない)か、文字通り現在のご主人を喜ばせることなら何でもするのをいとわない少数の絶望的に貧しい国々のいずれかだ。語るべき本当の未来がない国々だ。
未来について言えば、予見可能な将来に関する限り、アジアが重要課題を設定する最重要な大陸なのはかなり明らかだ。個人的に、次は中南米だと私は思うが、必要なのは、少数の精選された「ドミノ」が倒れて、大陸全体があっという間ひっくり返されることだ。本当に、まさに今我々が公式地図だけを見れば、ベネズエラやキューバやニカラグアやホンジュラスやエルサルバドルやボリビアは孤立しているように見える。だが違う見方をしよう。これらの国々が親米政権に包囲されているのに生存できている事実は、それ自身、非常に明示的なサインだ。更に中南米には二つの大国もある。アルゼンチンとブラジル、特に後者だ。もしブラジルが「ひっくり返れ」ば、大陸の他の国々に巨大な影響を与えるだろう。
次に「倒れる」二つの地域は、まずは中東で、ヨーロッパは2番目で最後だ。
帝国あるいはアメリカが中東にできることは皆無ではないにせよ、ごくわずかしかない。地域の未来は、イラン(地域超大国)とロシアに設定されるのが真実だ。そう、優しい国の枢軸(アメリカ+サウジアラビア王国+イスラエル)は依然広大な地域の戦争を起こすことが可能だ。だが彼らはそれで勝てないのだ。遅かりし。船は既に出航した。
だがEUでは、ことはずっと複雑で「差し迫った」ロシアによる侵略について我々が現在見ている歌舞伎芝居は全て、この二つだ。まず「優雅に」ウクライナを始末して(ロシア侵略が最善だ)ヨーロッパ大陸で英米支配を再確立するのだ。その計画は、イギリス+バルト三国、プラス、ポーランド・ウクライナの徒党がEUの決定に依然持っている実際の政治権力(そうイギリスさえその財力で、EU支配階級に依然多くの影響を持っている!)を思えば成功するかもしれない。
オセアニアとアフリカは、さほど重要ではなく、前者は好都合に孤立しており、後者には代表がなく、言わばある種、外国のご主人に完全に依存している。
一方、何年も前に自殺監視対象にされるべきだった脳死状態のEU政治家は依然現役だ。アメリカは「あらゆる選択肢がある」と宣言し、NATOは「重大な結果」でロシアを脅している。我々はロシアではプーチン自身や他の全員このような言葉を確実に*怖れている*と確信するが、それが絶対「差し迫った」ロシア侵略が実現しない理由なのに(死んで久しい)帝国指導者連中は「プーチン政権」に対する「勝利」を宣言するのだ!万歳!
たとえウクライナがロシア介入を強いるのに成功しても、そこでNATOは誇らしげに無敵の軍隊がロシアに思いとどまるよう強いたと(正確に、どこでかは決して重要ではない)と宣言するのだ。またしても、万歳!
想像上の戦争だけが、これら敗者が「勝つ」ことができる唯一のものなので、あらゆる狂気は実際全く意味があるのだ。
アンドレイ
記事原文のurl:https://thesaker.is/the-upcoming-summit-for-democracy-as-a-time-machine/
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帝国主義サミット、あるいは属国サミット、なら理解できる。こんなものに集う指導者連中、正気ではない。聞く耳男を含めて。
属国は益々きな臭い。というより、きな臭くしての宗主国ポンコツ兵器爆買いが狙いなのだろう。
長周新聞
報道陣の質問が「敵基地攻撃能力の保有」に及んだ時
日刊ゲンダイDIGITAL
「差別がエンターテインメントのようにネットで消費され続けていく」「ヘイトスピーチは矛先を向けられた側の命や日常の尊厳を削り取っていく」~12.8 安田菜津紀氏ヘイトスピーチ名誉棄損訴訟についての記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/500005
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国連中心主義からの脱却を狙う米国のサミット
ブリンケン主導のバイデン政権は,なぜ急に「民主主義サミット」へ各国を招待したのであろうか。ワシントンからの情報に疎い小生はこのサミット開催の狙いが Saker氏らが考える目的とは別のところにあるような気がしてならなかった。なぜならアメリカはすでにならず者国家であり,民主主義の国家でないからである。もちろん民主主義の国家でないから「民主主義サミット」を開いて各国に教えを乞うという狙いがあったのかもしれない。しかし9日と10日の僅か二日間で約110の国々がアメリカに民主主義の何たるかを教え垂らすことは難しいだろう。
したがって一つのサミットだけを論じていては大きな流れをつかむことはできない。今後のサミットが何かを予想することによってブリンケン一派の動き乃至狙いをつかむことができるのではないだろうか。文芸評論家の故・加藤周一が教えてくれたように「細かいことを論じていては相手の思うツボ。大きな流れを掴むことが大事。」つまり例えば,1997年の日米ガイドライン法案成立以降,自衛隊が戦争を出来にくくなる法律が通ったことは1回もないことにも明らかである。さらに2014年の安保関連11法案つまり自衛隊が米軍の後方支援を行うことができるという憲法違反の法案にも明らかである。
では「民主主義サミット」に始まるサミットが今後続くとすれば次はどんなサミットであろうか。二つ目は「自由」サミット。 三つ目は「人道主義」サミットであろうと推測される。Saker 氏が紹介されているように,アメリカ国務省によるサミットの目的は次のようである:
1. 独裁主義を防ぐ
2. 収賄に対処し、戦う
3. 人権尊重を促進する。
1.独裁主義に対する民主主義は符号が合う。2.の収賄に対処し、戦うと自由主義とは呼応しないから小生の間違いだろう。しかし3.の人権尊重を促進すると人道主義とは波長が合う。まとめると2.のサミットは予測不可能だが,3.のサミットは当たらずとも遠からずというより人道主義と人権尊重とはほぼ同義。したがってブリンケンーバイデン政権は三つ目に人権尊重サミットを開くだろう。この3つのサミットの間に多くの国々は入れ代わるだろう。しかし主催者は常にブリンケンのアメリカであり,国連やロ-マ教皇庁ではない。アメリカこそが主催者だという印象を世界の人びとに与え,教皇庁や国連を思い出させることは少ない。
しかし3つのサミットをやってアメリカには何の利益があるのだろうか。それは分からない。そこで細かいことは抜きにして米英やNATOのやってきたことを振り返ってみれば,ユ-ゴスラビア侵略があった。その原因はユーゴによる大量虐殺があったということであったが実際にそういうことは無かった。しかし人権擁護の名目で攻撃が仕掛けられたことを否定しない。つぎにイラク侵攻。大量破壊兵器は存在しなかったが米英軍はイラクを攻撃した。そして次にリビアに狙いを定めてガダフィ政権を倒した。このとき飛行禁止空域設定に英米仏は賛成し,中ロは棄権した(メドベ-ジェフ大統領のときで拒否権を発動しなかった)。人権蹂躙があるからという理由で米英軍に攻められた。しかし事実無根。シリアも同じ。べネスエラは不正選挙があったという理由で米軍侵攻直前までいった。しかし国連や教皇庁及び米州機構の反対で米軍による侵攻はなかった。
以上のように振り返ってみると,不正選挙や人権蹂躙がお題目であったがそれらの証拠はなく米英の一方的な攻撃が対象国を破壊した。しかし特に米国は人権蹂躙に反対,人権擁護の名目でそれらの国々に侵攻し,殺人と破壊の限りを尽くした。他方,国連とロ-マ教皇庁は米英仏軍の侵攻に反対して紛争を留めようとしていた。そこでアメリカ政府から出てきたのは国連中心主義を止めて,米国の判断一つで人権擁護に限って軍事行動を起こせるという考えであった。
しかし国連中心主義からすれば,つまり国連憲章からすればアメリカの一国例外主義は許されない。安保理の決定に従うべしというのがこれまでの世界の流れであった。その流れを変えようとする考えが民主主義サミットや人権尊重サミットを思いついたのである。
追記;2.の収賄のないという項目であるが,これは何を意味するのだろうか。推測だが,習主席は腐敗分子を200万人ぐらい処分したそうだからこのサミットには招かれるかもしれない。他方,プ-チン大統領はクリミアに別荘をただでもらったという噂があった。それが事実であれ事実でなかれ,【証拠なし】で断定するのが米英だからプ-チン大統領は招待されないだろう。
投稿: 箒川 兵庫助 | 2021年12月14日 (火) 12時16分