疲憊したアメリカとEUが制裁で中国攻撃
2021年12月5日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook
中国と欧米間の齟齬が増大し、2020年、マイク・ポンペオが北京とワシントン間の対立を、自由世界とマルクス・レーニン主義体制間の戦いと呼んだ演説によって、イデオロギー的に色づけされたが、両者間の対立は益々複雑化している。
ワシントンとその西洋同盟諸国は、主に台湾に関し挑発的措置をとることで、インド・太平洋地域(IPR)で事態を一層悪化させるのに必要などんな行動でもする用意ができている。バイデン大統領のために国防長官が作成した、中国と対決する米軍のグローバル・ポスチャー・レビュー内容についてCNNが報じているが、国防総省はグアム島とオーストラリアでのインフラ強化、太平洋諸島での軍事施設建設優先、この地域での軍事提携拡大を命じている。このパートナーシップは、とりわけ、オーストラリアにおける戦闘機と爆撃機の新規交替制配備、地上部隊の研修と兵站分野の協力強化や、グアムやインド・ヨーロッパ地域全体での多くのインフラ整備を含んでいる。
中国と対決するこのグローバル・ドクトリン開発の上で、特に最近の太平洋地域におけるAUKUS編成で例証されるように、アメリカは軍事分野を含め益々多くの連合を作っている。他の国々を天下(「普天の下」)との対決に引きずり込もうとして、ワシントンは同盟者の助けを借りて、中国との戦争を起こす予定なのだ。アメリカ、イギリスとオーストラリア間の同盟であるAUKUSと、アメリカ、日本、インドとオーストラリア間の安全保障対話クアッドは、アジア太平洋地域における長期的普遍的協力をそこない、地域の安定を傷つけている。
それだけでなく、アメリカは、自身の国民に影響を与えるのみならず、支配下の様々な外国メディアを通して、世界の多くの国で中国嫌悪情報キャンペーンを強化している。この情報とプロパガンダ活動の結果を、フォックスニュースチャンネルが報じたが、アメリカ国民(52%)の半分以上が、今日中国におびえている。そしてこれはロナルド・レーガン研究所が発表した世論調査でも確認できる。わずか三年前、調査したアメリカ人の21%が中国を恐れていたことは指摘する価値がある。ところが中国嫌悪情報キャンペーンのおかげで、ホワイトハウスは国民のかなりの部分を反中国陣営に変えるのに成功した。この点に関し、ロナルド・レーガン研究所のアナリストたちは、おそらくこの種研究の全期間で初めて、アメリカ人が主敵の理念に結束し、一つの国、中国の名をあげたと報じた。
ワシントンの中国嫌悪政策プロパガンダのおかげで、中国に対して否定的感情を持つヨーロッパ人の数が最近増加したのは考慮する価値がある。ダス・エルステ紙によれば、ドイツ国民の26%が中国が大きな脅威だと考え、調査された人々の55%が中華人民共和国の増大する影響を否定的現象だと感じている。
中国との対立で、政治、経済、最近では軍事産業における最有力地位を失ったことに気がついて、アメリカは、中国を世界(あるいは、むしろワシントンが依然支配している、わずかなもの全て)から孤立させることによって、中華人民共和国と中国社会の発展を止める死に物狂いの対策をとっている。中国と対決するこのグローバル・ドクトリンで、ホワイトハウスに使われる多数の道具の中でも、制裁政策は最近一層積極的に使われ始めた。中華人民共和国の個人や法人に対する制裁導入に加えて、ワシントンは益々欧州連合や他のパートナーをこの政策に参加させている。このような西側諸国の親交関係確立は既に着手されている。2020年12月、EU諸国と中国は包括的投資協議交渉で妥結し、関係が飛躍的に進歩したが、EU諸国はアメリカ、イギリスとカナダと協力して、3月に中国に対する制裁を導入した。それ故、中国学生が1989年に天安門広場で抗議した時以来、初めてEUは中国に制裁を課したのだ。ブリュッセルの北大西洋理事会27カ国が、議論なしでこの措置を認可し、12月に大臣が最終的に承認するだろう。これらの制裁は中国新疆維吾爾自治区(XUAR)での人権侵害とされていることに責任がある中国当局者を標的にしている。
加えて、欧州議会は、例えば、化学工業のみならず、高性能コンピュータやソフトウェア開発で、中国-ヨーロッパ協力の進展を複雑にする、中国への軍民両用可能品輸出に新たな規制を採択した。それゆえ、西側諸国は、中国の成長に対処する上で、アメリカ制裁に協力し、彼らの政治意志を公然と示したのだ。
北京は、これらEU行動をうやむやにはせず、対抗措置を発表し、EUとイギリスの代表者に対する個人制裁を導入し、制裁が撤廃されるまで、ヨーロッパとの投資取り引き批准を拒否している。中国外務省によれば、EUの行動は「ウソと誤報」に基づくもので、中国の内政に対する重大な干渉、国際法と国際関係の基本水準の違反であり、中国とEU間関係に重大な悪影響を及ぼす。
ヨーロッパが制裁を復活させると決めたと同時に、ワシントンが、これら企業が、中国軍専門家が量子コンピュータを完成するのを支援していることを示して、一ダース以上の中国企業を貿易ブラックリストに追加したのは、ほとんど偶然とは考えられない。加えて、中国国内や、日本やパキスタンやロシアにある中国企業や科学団体もアメリカ制裁網に落ちた。アメリカのジーナ・レモンド商務長官は、この問題に関して「新リストはアメリカの技術が、中国とロシアの軍事的進歩発展を支援するのを阻止するのに役立つ。」と述べた。パキスタンについては、イスラマバードがワシントンの露骨な属国の一員から、北京同盟国仲間に移行したがゆえに、ホワイトハウスの不興を買ったのは明らかで、その結果、アメリカが、ブラックリストに核兵器と弾道ミサイル生産に関係するパキスタン機関を加えたのだ。
偽善に浸りきったヨーロッパは既に千回上、人権が彼らにとって外交的棍棒であることを証明しており、連中の政治的利益の文脈で使うか、使わないかを決め、法律分野での他の共通の人的価値を無視し、例えば、バルト諸国でのロシア語住民に対する人権の欠如や差別は見て見ぬ振りをしている。
今EUと中華人民共和国間で行われている制裁のやりとりは、おそらく孤立事例ではないだろう。アメリカは、北京がワシントンとの関係で、ヨーロッパのパートナーをバランスとして使うのを阻止するため、欧州連合と共同で導入した制裁メカニズムを通して、中国を阻止する包括的システムを作り出す方法を探している。同時に「統合欧米」の反中国行進を拡大する上で、ワシントンは、ヨーロッパ属国の一部を、北京の政策に反対して露骨な挑発を実行するために使うことができるが、それは、特に台湾の状況で「ワシントンに自身の力量を証明するための」リトアニアによる最近の挑発的試みで示されている。
ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/12/05/totally-exhausted-usa-and-eu-hit-china-with-sanctions/
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日刊ゲンダイDIGITAL
話題としては愚民にふさわしいだろう。しかし本当に報ずべきは「思いやり予算」という婉曲表現の「宗主国ぶんどり予算」。戦争をするようけしかければ、日本のような理想的属国ができると味をしめて宗主国は侵略戦争を止められないのに。
東京新聞
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