クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は現代の報道の自由にとって天王山の戦い
2021年10月29日13時02分
RT
クリス・ヘッジズはピューリッツァー賞受賞ジャーナリストで、アメリカの社会、外交政策、経済の現実や市民的自由に関するRTの週一度のインタビューシリーズOn Contactホスト。彼は数冊の「ニューヨーク・タイムズ」ベストセラーを含め、14冊の本の著者。
もしウィキリークス創設者が引き渡され、機密資料を公にした容疑で有罪と裁決されれば、それは実質的に国家安全保障報道を終わらせる判例になる。
過去二日、私はロンドンからのビデオリンク経由で、ジュリアン・アサンジの犯人引き渡し審理を見ていた。不幸にも、法廷の目から見て、彼が無罪だからではなく、1月に、バネッサ・バライスター判事が、アサンジの不安定な心理的状態が非人道的なアメリカ刑務所システムの「過酷な状況」で悪化するだろうから「彼を自殺させる。」と結論し、アサンジを引き渡し要請を拒否した下級裁判所の判決に対してアメリカは控訴しているのだ。アメリカ合衆国は防諜法下の17の訴因と、政府コンピュータに不法アクセスしようとした1つの訴因で、彼が175年間投獄されるのを可能にする罪状でアサンジを告訴した。
初日、アサンジは、長い白髪で、ベルマーシュ刑務所のビデオ会議室から画面に現れた。彼は首の周りにほどけたタイをつけ白シャツを着ていた。彼はやせ衰えていて、疲れているように見えた。彼が「大量の薬」をとっているので、彼は法廷に出廷しないと裁判官が説明した。2日目彼は見たところ刑務所のビデオ会議室にいなかった。
彼の組織ウィキリークスが、2010年10月、2人のロイター記者と10人の他の非武装の一般人を射殺する「巻き添え殺人」ビデオ、イラク人捕虜のありふれた拷問、何千人もの民間人死亡の隠蔽、アメリカの検問所に近づき過ぎた約700人の一般人殺害を含む、アメリカ合衆国の多数の戦争犯罪を記録したイラク戦争ログを公開したためアサンジは引き渡されようとしている。彼は、特に諜報機関が自動車やスマートTV、Webブラウザや、大半のスマートフォンのオペレーティング・システムやマイクロソフトWindows、macOSやLinuxのようなオペレーティング・システムを標的に定めて侵入できるようにするVault 7として知られるCIAが使用するハッキングツールの漏洩でも、アメリカ当局によって標的にされている。
もしアサンジが引き渡され、機密資料を公にしたかどで有罪と裁決されれば、それは、事実上、機密文書を所有するどんな記者も、機密情報を漏らすどんな内部告発者も告訴するために政府が防諜法を使うことを可能にし、国家安全保障報道を終わらせる判例になるだろう。
もしアメリカ合衆国による上訴が受け入れられれば、アサンジはロンドンで再審理されるだろう。上訴の裁決は、少なくとも1月まで予想されていない。
2020年9月のアサンジ裁判は、ロンドンのエクアドル大使館での七年を含め、12年の拘留後、彼が痛々しいほど傷つきやすくなったことを暴露した。過去、彼は手首を切って自殺未遂をした。彼は幻覚とうつ病で苦しみ、抗うつ薬と抗精神病薬クエチアピンを服用している。倒れるまで獄房を行ったり来たりし、自身の顔をげんこつで殴り、苛立ちで壁に頭をぶつけるようなことをしているのが気付かれた後、彼は数カ月間ベルマーシュ刑務所の医療棟に移された。刑務所当局は彼の靴下に「かみそりの刃の半分」が隠されているのを発見した。彼は繰り返し、「一日に何百回も」自殺について考えて、Samaritansが運営する自殺防止ホットラインに再三電話をしていた。
ところが、2020年9月に法廷に提出されたアサンジに関する詳細な憂慮すべき医学的、心理的報告を、アメリカ側弁護士ジェームズ・ルイスは、彼をうそつきで、仮病使いと表現し、信頼を損なおうと試みた。彼は犯人引き渡しを禁じる裁定を糾弾したバライスター判事の能力を疑い、快活に退けられて、アサンジのような特別行政措置(SAM)対象者のアメリカのスーパーマックス刑務所囚人が、心理的苦悩をこうむるという証拠の山を、あっけなく切り捨てた。ロンドンのエクアドル大使館での亡命中、アサンジが婚約者のステラ・モリスと、2人の子供の父親となったのを「秘密にした」ことに対し、アサンジを調べ、弁護のために証言したキングス・カレッジ・ロンドン精神医学研究所の神経精神医学の名誉教授マイケル・コペルマン医師を、彼はぺてんで告発した。彼が言った、もしオーストラリア政府がアサンジを求めるなら、彼は、上訴終了後、母国オーストラリアで刑期をつとめることができるが、アサンジが隔離されたり、特別行政措置対象になったりしないことは保障しなかった。
アメリカで、その下にアサンジがおかれ裁かれる状態を説明するため繰り返しルイスが言及した権威者はバージニア州東地区の連邦検事補ゴードン・クロムバーグだった。クロンバーグは、テロと国家安全保障の裁判における政府の異端審問官だ。彼はイスラム教徒とイスラムに対し公に軽蔑を表現し、「アメリカ司法制度のイスラム化」と呼ぶものを非難した。彼はラマダンの宗教的休日の間にパレスチナ人活動家で学者のサミ・アル・アリアン博士の9年にわたる迫害を監督し、ある時点で公判日を延期する彼の要請を拒否した。アリアンの弁護士の一人ジャック・フェルナンデスの宣誓供述書に、2006年の会話で「彼らはラマダンの間にお互いを殺すことができる、彼らは大陪審に出頭できる。彼らができないのは日没前に食べることだけだ」とクロムバーグが言ったとある。
クロムバーグは、無人機による一般人の無差別殺害についての情報を漏らしたかどで、最近スーパーマックス刑務所で45カ月の刑を宣告された元空軍アナリストのダニエル・ヘールを、公的議論に貢献しておらず「戦争をしている人々」を危険にさらしたと批判した。ウィキリークスを捜査する大陪審の前で証言するのをチェルシー・マニングが拒否した後、彼女を刑務所に投獄するよう彼は命じた。マニングはバージニア刑務所に拘束されていた間の2020年3月、自殺を試みた。
2006年にロンドンで逮捕されたSyed Fahad Hashmiの裁判を報じた私は、もし彼が引き渡されるたら、何がアサンジを待ち受けるかよく分かっている。Hashmiもベルマーシュに拘束され、2007年にアメリカに引き渡され、SAMの下独房監禁で三年過ごした。彼の「罪」は、ロンドンの大学院生だった時に、彼のアパートに滞在した知人が、手荷物にレインコート、ポンチョと防水靴下を持っていたことだった。知人はアルカイダに品物を発送することを計画していた。だが私は政府が、防水靴下がパキスタンに出荷されるのを懸念していたことを疑う。Hashmiが標的にされた理由は、パレスチナ人活動家のサミ・アル・アリアン医師や、アサンジのように、ブルックリン大学の学生だった間に、イスラム世界で、爆弾を投下され、撃たれ、威嚇され、殺された人々の擁護を恐れず、熱狂的だったと私は思う。
Hashmiは深く宗教的で、アフガンの抵抗に対する称賛を含め、彼の意見の一部は論争の的だったが、彼にはこれら意見を表明する権利があった。もっと重要なのは、彼は、大衆に、権力の内部機構を知らせる権利を持っている、あらゆる発行人同様、アサンジが自由を得るべき持であるのと全く同様、彼は、その意見ゆえに、迫害や投獄からの自由を期待する権利があったのだ。刑務所で70年の刑期の可能性に直面し、既に4年の禁固刑を過ごして、その大半が独房監禁で、Hashmiはテロに物的支援を提供する陰謀の一つの訴因で司法取り引きを受け入れた。ハッカージェレミー・ハモンドと人権弁護士スティーブンDonzigerに判決を下したロレッタPreska裁判官は彼に最高15年の刑期を与えた。Hashmiがグアンタナモのような状態で9年間持たれた中に入った アサンジが、アメリカ法廷で有罪と裁決されれば、ほとんど確かに投獄されるでフローレンス、コロラドにおけるADX[管理上の最大限]能力を最大に最大にする.Hashmiは2019年に解放された。
Hashmiが耐えた事前審理の拘留条件は彼を破壊するよう意図されていた。彼は1日24時電子的に監視されていた。彼は近親とのメール送受ができただけだった。彼は壁を通して他の囚人と話すことを禁じられた。彼は集団で祈りに参加するのを禁止された。彼は新鮮な空気のない、寂しい独房で、1日1時間の運動を許された。起訴の下で、法律上の訴訟手続きを操るために、アメリカ情報局員が国家機密を明らかにすると脅すのを阻止するため制定された機密情報刑事手続き法の下で機密扱いされた、彼を起訴するため使われた証拠の大部分を彼は見ることができなかった。過酷な状況は、彼の肉体的、心理的健康をそこなった。彼が有罪答弁をするために最終の法廷手続きに出廷した際、彼は明らかに自分を巡るの手続きに従うことができない、ほとんど緊張性昏迷状態にあった。
もし政府が、アルカイダに防水靴下を送ることに関与したとされる人物を迫害するためにこれだけ努力するのなら、我々は政府がアサンジに何をすると期待できるだろう?
真実を語る能力を禁止する社会は、公正に暮らす能力を消滅させる。アサンジの自由のための戦いは、常に、一人の出版者の迫害より遙かに重要だ。それは現代の報道の自由にとって最も重要な戦いだ。もし我々がこの戦いで敗北すれば、アサンジと彼の家族にとってのみならず、我々にとっても壊滅的だろう。
圧制的権力行使は、法による支配を逆転させる。連中は法律を不正の道具に変える。彼らはエセ合法性で彼らの罪を覆い隠す。彼らは法廷と裁判の礼儀作法を彼らの犯罪を覆い隠すために使う。正当性の口実がなければ、圧制的権力行使は信頼性を失い、不安、強要と暴力以外、何もその兵器庫に残らないから、そうした犯罪を大衆に暴露するアサンジのような人々は危険なのだ。アサンジとウィキリークスに対する長年のキャンペーンは、法による統治の崩壊、政治哲学者シェルダン・ウォーリンが、我々の体制を『裏返された全体主義の』と呼んだものの勃興、機関、図像、愛国的象徴や言説を含め、古い資本主義の民主主義の虚構を維持しながら、内部では、グローバル企業の命令と、安全保障・監視国家の全面支配に屈服した、一種の全体主義の覗き窓なのだ。
アサンジを刑務所に入れる法的根拠はない。アメリカ防諜法の下で、オーストラリア国民を裁く法的根拠はない。CIAは、大使館に安全提供を請け負うスペイン企業UCグローバルを通して、エクアドル大使館で、アサンジを秘密裏に捜査した。このスパイ行為には、弁護のためのアサンジと弁護士間の秘密会話記録を含む。この事実は、それだけで裁判を無効にする。拷問に関する国連特別報道官ニルス・メルツァーが証言した通り、下劣な虐待と拷問の継続は、彼の身体ではなくとも、心を破壊する。帝国主義の設計者、戦争のご主人、大企業支配下にある立法、司法、行政府と、連中の従順なメディアは、言語道断な犯罪のかどで有罪だ。この単純な真実を言うだけで、我々の多くがそうだったように、人はメディア風景の周辺に追いやられる。アサンジや、チェルシー・マニングや、ジェレミー・ハモンドやエドワード・スノーデンが、我々が権力の内部機構内を凝視するのを可能にしたように、この真実を証明すれば、その人物は追い詰めて捕まえられ迫害される。
アサンジの「罪」は15,000人以上のイラク民間人の報告されない死を暴露したことだ。彼はグアンタナモでの約800人の男性と14歳から89歳の少年や老人の拷問や虐待を暴露した。彼は2009年、ヒラリー・クリントンが、アメリカ外交官に、潘基文国連事務総長や中国、フランス、ロシアやイギリスの国連代表を秘密裏に捜査し、DNA、虹彩スキャン、指紋や個人パスワードを入手するよう命じたことを暴露したが、これは、2003年、アメリカ率いるイラク侵略前の数週間に、コフィ・アナン国連事務総長の盗聴を含む非合法監視の長いパターンのスパイ行為だ。不正な殺人軍事政権に変わって、民主的に選出された大統領マニュエル・セラヤを打倒したホンジュラスで、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントンとCIAが、2009年6月の軍事クーデターを計画したことも彼は暴露した。彼はジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマとデイビッド・ぺトレイアス大将が、イラクで、ニュルンベルグ後の法律下で、侵略戦争と定義される戦争を行い、イエメンでアメリカ市民を含め何百人もの標的暗殺を認可したことを暴露した。彼はアメリカが密かに、多数の一般人を殺し、ミサイル、爆弾とイエメンに対する無人飛行機攻撃を発射したことを暴露した。彼はゴールドマン・サックスが、ヒラリー・クリントンの講演に対し、賄賂としか思われないほど大金の657,000ドルを支払い、彼女が公的な金融規制と改革を約束しながら、企業幹部に、彼らの命令を実行すると保証したのを彼は暴露した。自身の党メンバーによるイギリス労働党党首ジェレミー・コービンの信用を失墜させ破壊する国内キャンペーンを彼は暴露した。CIAや国家安全保障局に使われるハッキング・ツールが、我々のテレビや、コンピュータ、スマートフォンやウィルス対策ソフトの全面的政府監視を可能にし、政府が暗号化されたアプリケーションからさえ、我々の会話や画像や個人メールを記録し、保存するのを可能にしているかを暴露した。
彼は真実を暴露した。アメリカ固有の違法性、世界支配層エリートを定義する堕落と不正直さについて疑いようがなくなるまで、彼は何度も何度も繰り返しそれを示したのだ。そして、こうした真実だけで、彼は有罪なのだ。
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記事原文のurl:https://www.rt.com/op-ed/538822-assange-battle-for-press-freedom/
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今回の件について、彼がホストを務めるRTの番組「On contact」で、Consortium News編集長Joe Lauriaと対談している。
選管の悪意さえ感じる衆院選。
東京新聞朝刊一面の見出し
比例東京 「民主党」28万票 立民・国民で案分
「連合は敵」という表現が、ネットで目につく、ような気がする。しかし、政府を支持しない一国民にとって、最大の敵はマスコミだと思っている。一つの政党の葬祭選をしつこく報じた大本営広報部、Dappiについて同じ熱意で報じているだろうか?飼い犬はご主人を噛まない。
日刊IWJガイド
「本日午後8時から、『衆院選で、改憲勢力が3分の2超えを確保! 野党共闘は失敗!?』岩上安身による立憲・小西洋之参院議員インタビューを生配信!」2021.11.8号~No.3343号
【IWJ_YouTube Live】20:00~
「大手メディアがネット工作を行っていたDappi問題を無視! 偏向報道の下で行われた衆院選で、改憲勢力が3分の2を余裕で超える議席を確保! 野党共闘は本当に失敗なのか!?」岩上安身による立憲民主党・小西洋之参議院議員インタビュー
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured
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