ジョー・バイデンが間もなくムハンマド・ビン・サルマーンと交渉する理由
2021年11月10日
Moon of Alabama
ハフィントン・ポストのある筆者が、サウジアラビアのピエロ皇子ムハンマド・ビン・サルマーンに対するバイデンによる行動の欠如と見なされることに関し極端な長文を書いた。
アクバル・シャヒド・アフメド @AkbarSAhmed 2021年11月9日 12:23 UTC
新規:バイデン時代が始まって9ヶ月で、カショギ・ファイルは「紛失し」、サウジアラビアは10億ドル以上の新しい兵器を手に入れている。バイデンが、どのように議会で民主党を裏切り、人権侵害に対するサルマーンの説明責任を問う最良の機会を台無しにしたかは、こういうことだ。
ジョー・バイデンはジャマル・カショギを巡り、サウジアラビアと戦うと約束した。サウジアラビアが勝った。
バイデンは、外交政策で、人権のような価値観を基本にすると誓ったが、その基準を、長く道徳的に疑わしい、アメリカ・サウジアラビア関係に適用しなかった。
私はこの記事は妄想だと思う。
大統領として、バイデンはサウジアラビアに関する選挙公約を守ることで始めた。
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そして、2月、バイデンはカショギ政策というものを明らかにした。それには、皇太子に対する制裁も、アメリカ当局が彼に責任があると判断した、どんな証拠の詳細もなかった。影響を受けるべく人々の大半をあげず、下っ端のサウジアラビア人だけを罰した。
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カショギの最後の雇用者、ワシントン・ポストがバイデンを酷評した。大統領は「殺人犯を無罪放免にした」とニューヨーク・タイムズのニコラス・クリストフが書いた。
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バイデンが外交政策で人権のような価値観を基本にすると誓った三週間後、彼はその基準をサウジアラビアとアメリカの長期の道徳的に疑わしい関係に適用しないことを示した。
アクバル・シャヒド・アフメドのためのニュースがある。国際関係は、決して価値観や人権を目的にしていない。目的は権益だ。
また、バイデンの個人的理由で、サウジアラビアとの関係を更に悪化させても、アメリカにとって利益にならない。
バイデンには、ピエロ皇子を悩ませるのを控える正当な理由があるのだ。一つは、サウジアラビアが世界金融システム上、アメリカ・ドルの優位にとって、主要因であることだ。もし彼らが中国元で石油を売ると決めれば、米ドルは、もはや主要準備通貨ではなくなる。アメリカの納税者は、政府の赤字に対し、実際に支払わなければならないだろう。(そんなことが起こる前に、アメリカは、おそらくサウジアラビアを侵略するだろうから、この可能性は低い。)
現在の生産量を越えて石油を汲み出す利用可能な能力を最も持っているのはサウジアラビアだ。そして、MbSが、そこでアメリカに対し、直接の権力を持っているのだ。
ウルフ・ブリッツァー @wolfblitzer 2021年11月9日 16:55 UTC
参考。今日、ワシントンDCのガソリン価格はこうだ。
ガソリン価格が現在高値で、まだ上昇しているので、バイデンの支持率が38%まで下がり、民主党員が中間選挙で負ける可能性が高いのは少しも不思議ではない。
先週バイデン政権はサウジアラビアとロシアにもっと多くの石油をポンプで汲み出すよう圧力をかけようとした。両国は言った。「いやだ!」
価格は急上昇し、世界経済は燃料を欲しがっているが、木曜日、OPEC石油輸出国機構と、お仲間の石油産出諸国は、遙かに多く石油を汲み出し、アメリカ人運転手のためにガソリン価格を下げるというジョー・バイデン大統領の圧力を拒絶し、慎重な毎月の増加計画を継続すると決めた。
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もっと多くの石油を汲み出すようにという要求を繰り返したバイデンには、それは気に入らなかった。アメリカは、先週末のローマでのG20サミットを、他の石油消費諸国と、生産諸国に、いかに影響力を行使すべきか、もしサウジアラビアとロシアが生産を抑制し続けたら、どうするか相談するために利用した。
OPEC+プラスの決定は、バイデン政権によるサウジアラビアへの新しい兵器販売承認と同じ日になされた。この「賄賂」は手遅れだったか、機能しなかったのだ。
同胞団の宣伝屋ジャマル・カショギ殺害に対し、バイデンがピエロ皇子を疎外し続けているのだから、彼が、より多く石油を汲み出してジョー・バイデンに手を貸す誘因はない。
ファイナンシャル・タイムズは、ワシントンは、これを十分承知していると指摘する。
アメリカの圧力に屈するのをいやがっているのは、市場の動的関係だけが原因ではなく、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子に対するバイデンの冷淡さで、リヤドが、ひどく感情を害され続けているからだという疑いがある。
「これは単に石油を巡るものではなく、ムハンマド皇太子が、バイデンが個人的に彼に電話をせず、十分な敬意を示さないことにいらだっており、国王になる前に、もっと評価されたいと望んでいることを、ワシントンは、はっきり認識している」と、あるエネルギー・アナリストが言った。
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今、アメリカのガソリン価格がバイデン就任式以来約40パーセント上がった状態で、ムハンマド皇太子がホワイトハウスを助けたり、妨げたりする力がある操縦桿を支配している。大統領のいらだちが強調している通り、アメリカが過去10年間にわたり湾岸原油に対する依存を著しく減らし、中東から徐々に撤退しているにもかかわらず、世界市場の力から免れることはできない。そしてサウジアラビアこそ主役なのだ。
いわゆる「価値観」や様々な「道徳的な怒り」は選挙遊説では耳障り良く聞こえるかもしれない。だが現実的な外交政策を追求しなければならない時、それは助けにならない。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2021/11/why-biden-will-soon-talk-with-mohammed-bin-salman.html#more
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日刊ゲンダイDIGITAL
上記記事で『小選挙区制が日本をもっと悪くする』阪上順夫著 ごま書房 1994年7月刊をまた思い出した。160ページの記述。引用させていただこう。正確な予言というか、現実の表現?都知事選が恐ろしい。
組織力を武器に"営利団体"が政界に進出する時代になった
四章において、公的助成が導入されることによって新しい政党が国会に進出しにくくなるという話をした。この項の話はそのことと矛盾するのではないかと思われる方もいるだろうが、前章で申し上げたことには、じつはまだ続きがあるのだ。
政党助成法では、公的助成を受ける政党は、「国会議員を五人以上有する」か、あるいは「国会議員を一人以上有して、国政選挙で得票率二パーセント以上のもの」という条件が設けられている。たしかにこれは、まだ誕生して間もない小さな政党には達成困難な条件ではある。現在、多数存在するミニ政党のほとんどが公的助成の恩恵にあずかることができないだろう。
ところが、すでにある程度の組織力がある団体が、候補者を立てて政界に名乗りをあげれば、この条件のどちらかは容易にクリアできるのである。そうなれば公的助成を受け取ることになるわけだが、組織力をフルに発揮して票を確保すれば、その額は二億円にも三億円にも達することが考えられる。しかも、このような団体が選挙を行う場合、既存の組織力だけで選挙運動をするため、選挙費用はあまりかからない。つまり、国から支給される政党助成金はそのまま丸儲けということになる。利点はそれだけではない。選挙運動を通じて、その組織の宣伝をすることができる。ポスターはあちらこちらに貼られ、選挙カーで堂々と主義主張を連呼でき、しかもテレビの政見放送や新聞広告までが利用できる。
それらの費用はすべて税金から支払われる。たしかに選挙に立候補するには供託金を払わなくてはならないが、その宣伝効果を考えればタダみたいなものである。
日本には、それだけの組織力を持った団体がいくつもある。それらが政党助成金を得ることを目的につぎつぎと政治に進出してきたら、日本の政界はひどい混乱を招くことになるだろう。
植草一秀の『知られざる真実』最新記事もこの話題。
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