タジキスタンで軍事基地を構築する中国
2021年11月4日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook
アメリカのアフガニスタンからの下手な撤退と、カーブルでの(ロシア連邦で活動を禁止されているテロ集団)タリバンの権力掌握後、中央アジアの地域安全保障体制で急激な再構成が始まった。伝統的にロシアが影響力と責任を持っている旧ソビエト共和国諸国に新しいプレーヤーであるアメリカ、トルコと中国が入ろうとしているのだ。
NATOブロックの正式同盟国であるアメリカとトルコは、とりわけ積極的で、中央アジア内に拡張しようとする最近の試みで、直接の競争相手となっている。この問題で、アンカラは、「大トゥーラーン」の考えを推進し、積極的に、汎チュルク戦術を使って、この地域の国々と関係を強化しようとしている。アメリカは依然、軍事基地を一部の中央アジア諸国に置いて、地域に留まりたいと願っている。アメリカは、既に中央アジアでの軍事駐留の経験はあるが、2014年の出来事の後、モスクワは、その急所からアメリカ軍基地を追い出すことに成功した。
中央アジア内に、アメリカとトルコの影響力の浸透を制限するロシア政策に不満で、両国は、この地域での中国の活動を実に熱心に監視しており、彼らの能力で、それを制限し、更には損なおうとさえしている。当然アメリカは、特にこの地域で積極的で、諜報能力を中国の地域政策を傷付けるために使い、多数の政治的「フェイク・ニュース」を発表し、中国の行動を邪魔しているとされている。
そういうわけで、そのような挑発的活動の一つが、一部のアメリカ・メディアによる、中国がタジキスタンに多くの軍事基地を建設中だという情報の発表だ。具体的には、ワシントン・ポストによれば、2017年の昔に、アフガニスタンとの国境に近いタジキスタンのゴルノ・バダフシャン自治州のムルガブ村に中国の秘密軍事基地が出現したとされている。アメリカ・メディアが発表した情報によれば、新彊ウイグル自治地域からの中国兵士たちがそこで軍務についているとされる。
だが、中国が以前に外交チャネルを通して、軍事目的ではなく、アフガニスタンから中国へ、あるいはその逆に、あり得るウイグル過激派戦士の動きを制御する物流上の目的だと説明して、ロシアと、その行動を話し合っていたため、アメリカは、このようなほのめかしで、ロシア・中国間の口論を起こすのに失敗した。問題の軍事施設は規模も最小で、そこにはタジク人の他に、中国とアフガン側の代表もいる。
タリバンがカーブルで権力の座についた後、全てが変化し、ゴルノ・バダフシャン自治州のムルガブ村で、タジク-アフガン国境の封鎖策を強化し、タジク特殊部隊用の新軍事基地建設が必要になったのだ。
この状況と、中央アジア諸国が、米軍基地の地域配置を認めるのを明らかに嫌がっていることが、アメリカに、別の中国軍事基地建設を主張する新たなプロパガンダ攻勢を開始するよう強いた。もし、例えば(アメリカに資金供給される中央アジア版ラジオ・リバティー。このメディアはロシアでは外国の代理人と見なされている)Azattykのタジク編集委員会情報を信じれば、ドシャンベが、領土内に中国新軍事施設建設を承認したのだ。既存の基地の中国による完全所有を申し出て、完全に支配する形で引き渡す準備ができている。
だが、アメリカ合衆国による、この最近の主張は、中国が本当に、中国とアフガニスタンと国境を接するゴルノ・バダフシャン自治州に基地を構築すると発表したタジク当局の公示で早々泥を塗られてしまった。だが、それはタジキスタン内務省組織犯罪対策局の緊急対応特殊部隊に属する予定だ。未来の基地の人員数は、まだ発表されていないが、軍事専門家によれば、分遣隊は300人から500人の軍人、数台の軽装甲車両と、多分無人航空機 (UAV)で構成されるかもしれない。アフガニスタンでのタリバンによる権力掌握のさなか、この治安施設はタジキスタン内務省と中華人民共和国国家安全部間の契約の一環として建設される。施設の経費は1000万ドルと見積もられ、建設はプロジェクトに必要な機械、装置と資材提供に責任を負う中国による無償ベースで割り当てられた資金により実行される。
この軍事基地建設計画は、ドシャンベと新タリバン政府間の緊張の中、出現した。タジクのエモマリ・ラフモン大統領は、アフガニスタン民族集団の中で二番目に大きいタジク人の、より適切な代表を要求して、タリバン政府を認めるのを拒否した。ロイターによれば、タリバンは北アフガニスタンに本拠を置く、エモマリ・ラフモン政権打倒を狙うタジク過激派組織と同盟を結んだとされている。
確かに、ゴルノ・バダフシャン自治州に基地を建てることに決めて、この地域は常に中国当局に重要だったから、中国は主に自身の権益を追求するのは確実だ。この基地を通って、(ロシアで禁止されている)東トルキスタンイスラム運動のウイグル過激派戦士が中国に入り、妨害工作を計画できる。必要とあらば、中国はタジク内務省のこの基地を、その国境をアフガニスタン武装集団による攻撃から守るために使うつもりだ。更に、アフガニスタン国境上のこのような軍事基地の存在は、カーブルの新当局との協力交渉で、中国にとって追加の切り札になる。
加えて、この基地は、アジアとヨーロッパ間の経路で、ある種の物流大国を作り出し、ヨーロッパ市場向け中国商品の主要通過国になろうとしているトルコの中央アジアにおける積極的な外交拡大に対する北京の対応でもあり得る。
ゴルノ・バダフシャン自治州に新軍事基地を築く上での中国の先に述べた役割は、特にタジキスタンのファルホール空軍基地の活動で特定の地位を築こうとしている、タジキスタンにおけるインドの影響力拡大を防ぐための、北京の明確な措置かもしれない。中国と、特に現在の同盟国パキスタンは確かにこれを望むまい。
新しいタジク軍事基地建設経費の中国による肩代わりは、中国が以前にもタジキスタン防衛部門に資金を割り当てたことを想起するべきだ。例えば、中国は以前タジク-アフガン国境沿いの治安強化に交付金を与えていた。それは司令官事務所三棟、前線本部四箇所、前線駐屯地四箇所と、一つの訓練センター建設計画だった。2016年、将校の家は、中国の資金援助1900万ドルででドシャンベに作られた。2018年11月、テロ、過激主義や分離主義と戦うためのセンターが中国資金でタジクの首都に開設された。
ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/11/04/china-is-building-a-military-base-in-tajikistan/
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ウイグル人権問題を言う前に、外国人に対するとんでもない人権無視をしている自分の頭のハエを追え。このまま放置していれば、誰も来てくれなくなるのは確実。
デモクラシータイムス
茨城県集団買収で応援演説聴衆にカネを払った人物、よく見ると、報道番組で野党によるコロナ対策批判に難癖をつけていた御仁。
彼がいう「新しい資本主義」は、やはり何のことはない新自由主義。
LITERA
岸田首相が竹中平蔵を「デジタル田園都市構想」委員に抜擢で批判殺到! どこが”新自由主義と決別”? またぞろパソナの食い物に
今日の孫崎氏メルマガ題名
3A(安倍、麻生、甘利)+S(菅)の長い支配体制が終焉へ。そもそもは2008年サミットでアフガン支援要請を断った福田首相を倒す勢力として結束。岸田氏は総裁選で安倍、麻生に依存。だが要の甘利幹事長が選挙で敗北。岸田氏、外相指名等、独自政治展開の余裕発生。
一部をコピーさせていただこう。大本営広報部洗脳機関は決してこれを報じないので。
国家緊急権は、国家が、国民の意志とは無関係に超法規的な強大な権力をふるえるようになる、「悪魔の魔法の杖」の如きものです。
しかし、国家緊急権という万能の「魔法の杖」を国家に渡さないように、これまでもずっと、この問題に警鐘を鳴らし続けてきました! IWJは、しかしこの問題は、マスコミではタブー扱いになっています。選挙前も、選挙後も、必ず、です。
選挙後も、「改憲」の話は出ても、「緊急事態条項」については大きく取り上げたり、コミットしないよう、各政党の政治家も、御用記者クラブメディアも、慎重にふるまっています。口裏もあわせずして、大手メディアがことごとく、「緊急事態条項」については黙り続ける、こんな芸当がどうしてできるのでしょうか?
多くの国民は世間の話題にもならないため、その危険性に気づかず、眠るように忘れさせられてゆくのです。
その点の危うさを、IWJはずっと「炭鉱のカナリア」のように、近づく危機を1人でも多くの方に知らせるべく、叫び続けています!
戦後憲法は、明治憲法に書き込まれていた、この危険な国家緊急権を取り除きましたが、自民党をはじめとする現在の改憲勢力は、再び憲法に書き入れようとしています。もしも書き込まれれば、どうなるのでしょうか。暴力的な愚行を一度やらかした政府です。二度とやらないなどと誰が保証できるのでしょうか。
こうして、マスコミが沈黙し続けている自民党改憲案の危険性を訴え続けているIWJが、今、活動費が足りずに沈没しかけています! 市民の皆さんからの緊急のご支援がどうしても必要です!
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