異教徒陣営を訪問して剣を汚さずに去った十字軍戦士ビクトリア・ヌーランド
ティム・カービー
2021年11月2日
Strategic Culture Foundation
何とか関係を「改善する」ために、アメリカは意図的にロシア嫌いソフト・パワーの権化である人物をモスクワに派遣したとティム・カービーが書いている。
「今回、それは起きる、彼らは、これまでにない勢力を寄せ集めた、もしバイデンが勝てば、彼らは大攻撃を始める。」アメリカ大統領選挙直前に私はこうした破滅的な言葉を(ロシア語で)言われた。ロシアの主流メディアも代替メディアも、バイデン登場で「それがとうとう起きるはずだ」と確信していた。「それ」というのは、密かに、あるいは明らかにNATOに後方支援されたキエフ軍による大規模攻撃だ。私がドンバスで知っている「部内者」タイプの人々全員、侵攻が差し迫ってることに彼らが持っている全てを賭けるのをいとわなかった。結局、ロシアに対し理屈抜きの本能的憎悪を持っているのは民主党員であるのに対して、共和党員のわずか2分の1だけが冷戦モードで受動的に立ち往生している。だが、第45代大統領に対するバイデンの「勝利」で、これら恐ろしい予言のいずれも起きなかった。その合図は決して来なかった、キエフは決して兵士を送りこまず、第三次世界大戦(あるいは、もし彼らがまばたきして、反撃しなければ、ロシアにとって精神的ダメージをもたらす敗北)は避けられた。こうした最近の状況と不可解にトランプ風のバイデン対外政策を背景に、我々はモスクワへのビクトリア・ヌーランド大訪問を見るべきなのだ。
欧米中心の主流メディアで決して論じられない本当の大問題は、もし望ましい目標がロシアとのより良い関係を作ることなら、ビクトリア・ヌーランド国務次官(政治担当)はモスクワに送るのは不可解な選択だということだ。アメリカ政府は巨大で、ロシアは言うまでもなく、アメリカ内でさえ、どんな特定の意味においても自身に重大な悪評を与えるだけ十分際立っている政界実力者は、ほんのひと握りだ。つまり、モスクワに派遣できたはずの多数の匿名の人物や、ロシア人が否定的に反応しない何人かの「準有名人」がいたはずなのだ。ところが、その代わりに、彼らは、資格はあり、このような任務を正当化する地位にいるが、ロシアの影響圏の中ではアメリカ国務省の「悪」の象徴であるヌーランドを選んだのだ。
写真:ロシア語話者の間で悪評を獲得したヌーランド。
アメリカやEUの多数の政治家が、リベラル・ネオ・ナチ・マイダン見世物小屋に対する支援を示すため訪れたが、ロシア国内で複数世代から悪評を獲得したのは、抗議行動参加者に象徴的なクッキーを配ったヌーランドだった。彼女は今や完全に植民地化されたウクライナの未来の政治構造を露骨に考え出した「くそ食らえ!EU」電話でロシアでも欧米でも有名になった。
つまり、どうにか関係を「改善する」ために、アメリカは意図的にロシア嫌いソフト・パワーの権化である人物をモスクワに派遣したのだ。ヌーランドは(一発も発砲せずにウクライナを失った)共産党後ロシア最大の失敗と、事を成し遂げるためには何であれ(ネオ・ナチ、アパルトヘイト、ロシア語者殺人推進)進んでする国務省の意思の深さの象徴だ。これはセルビアで交渉をするためにビル・クリントンを送るようなものだ。実際この会談を可能にすべく、入国のためヌーランドをロシアの制裁ブラックリストから外さなければならなかった。
ヌーランドが疑わしい選択だったことが分からないほど国務省は尊大なのだろうか?あるいは、おそらく彼らは「我々はお前たちを潰す」というモスクワへのメッセージあるいは何か似た主旨のことを送りたかったのだ。ある意味、私はこの種の純粋な優位の主張は尊敬するし爽快なほど誠実だが、それはごく僅かしか変化しないことを意味する。
写真:ロシア語話者にとってドンバスでの戦争は心臓発作と同じぐらい深刻だ。
本質的に、現在のウクライナ領に、二つの国家があることを保証し、つまりロシアが豚脂のおいしい部分を手に入れることを意味するので、ヌーランドとバイデン政権は、おそらくミンスク合意の条件が気に入らないのだ。だがロシアは決してこの立場から引き下がらないだろうから、たとえ彼らが、それほど極悪でない人物をロシアの首都に行かせても交渉の余地は本当にないのだ。
国務次官は、誰もが予想する、いつもの無意味な社交辞令で彼女の訪問と交渉を説明した。彼女は「生産的」だったと言ったが、政治的二重語法では、意味ある結果は何もなかったことを意味する。彼女は「率直」とも呼んだが、それはロシア人が出来事に関する意見で実際に立場を固守し、彼女にとって好ましくないことを言ったことを意味する。
ヌーランドの評判に悪影響を与えるだけの、このような訪問の全体的目的は再び不可解だ。過去、アメリカは、相手に「オリーブの枝を差し出し」ておいて、それから進んでし、相手を裏切る戦術を使ってきた。ヒラリー・クリントンの大きな赤い「リセットボタン」はこの典型的な例だ。彼らが心が広く、正しい側にいるいように見えるように、戦争の準備しながら、公式には平和を語るのだ。この腐ったオリーブの枝戦略は今回はあてはまらず、動機は何か別のものだ。あり得る理由はいくつかある。
- ウクライナは、アフガニスタンよりは遙かに安上がりだが、ヨーロッパのジンバブエを破産せずに持ちこたえるのは、おそらく余りに面倒で高価なのだ。冷戦後アメリカ帝国の世界的摩耗が起きているように思われ、覇権国はベルトを締めなければならないのだ。ウクライナは、アメリカにとって関心の末端でしかないが、ロシアにとって重要肝な重要性を持っているのは、地政学的な理由でまな板の上にあることを意味するかもしれない。余りにも遠く、余りにも東で、余りにも腐敗し、余りにも高すぎ、余りにも危険で。
- ウクライナ領のロシア語話者部分は、モスクワに、ほとんど何でも承諾させるための大きな交渉の切り札のはずだ。おそらく、マイダンでの勝利のこの権化の派遣は、ロシアに、失地を取り戻すため支払いという、ある種の考えを売るために使われたのだ。イスラエル人とパレスチナ人にとって聖地が意味するものは、ウクライナがロシア人にとって意味するものだ。
- バイデンはトランプの自我列車に飛び乗り、静かに彼と彼の息子のウクライナに関連するあらゆるスキャンダルを、脚光を浴びないよう、そっとしておきたいのだ。キエフは今彼に後味を悪くさせており、彼は口を洗いたくなっているのだと考え向きがある。
- これは全て「我々は働くふりをし、彼らは我々に支払うふりをする」という古いロシアの論理を使うワシントンにとって全くのお決まりだった。これは上記の腐ったオリーブの枝戦術の少ない労力の自動操縦装置例に過ぎない。官僚のチェックボックスをクリックするだけで、交渉は時に行われることがあるのだ。
これら会談の本当の意味は、今後数カ月で確実に明らかになるだろうが、重要な問題は、あらゆる手を使って、バイデンをホワイトハウスに入れても、ウクライナに、アルマゲドンの種は植えられなかったのだ。これは彼の最初の100日間で既に明白だった。ヌーランドは、何も大規模なものをテーブルに置かなかったが、キエフに対する情熱的支持は今後の四年の一部ではないように思われる。今後数年にわたり、ミンスク合意の条件に根ざす、一層厄介で成果がない交渉を見る可能性が最も高いように見える。
ティム・カービーは独立ジャーナリストで、TVとラジオ司会者。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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『さよなら!一強政治 徹底ルポ 小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』三井まりこ著 旬報社刊を読んでいる。天国と地獄。大本営広報部は野党の失敗を喜んで報じるが、自分たちが率先して導入した悪魔の制度、小選挙区比例代表並立制の問題点には決して触れない。『小選挙区制が日本をもっと悪くする』に、支援者への供応の手口がかかれていた。本書では38ページから、「閨閥に彩られたブランド代議士でも」で「桜を見る会」の様子が詳しく書かれている。大本営広報部、政府をよいしょし、野党をくさすたいこもち連中を出演させるが、逆の発言をする評論家、学者は決して出さない。白痴洗脳箱。
デモクラシータイムス
京都在住の白井氏、関西のテレビ番組のひどさを体験しておられる。コロナ政策の大失敗を、頑張っていると描き出して異神をもちあげる洗脳。その結果が壊憲。
日刊IWJガイド・日曜版「だから言わんこっちゃない緊急事態条項が改憲の本丸! 新幹事長・茂木敏充氏が「本音」をむき出しに! 改憲の最優先は緊急事態条項! 」2021.11.14号~No.3349号
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