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2021年11月 2日 (火)

新軍事ブロック-アジアの平和と安全に対する新たな脅威

2021年10月26日
ドミトリー・モシャコフ
New Eastern Outlook

 2021年9月、アジア太平洋とインド・太平洋地域で、オーストラリア、アメリカとイギリスで構成される新軍事ブロックが出現したと発表された。これは、国際関係で進行中の再編の画期的な出来事であり、大きな国際的反響を起こした。多くの評論家は、この新軍事ブロックは、中国に向けたアジアNATOの原型と見なし、他の人々は、新しい連合は「古い」NATOが、アメリカにとって、もはや関心事でなく、注力の対象が大西洋から太平洋に移動していることを示すと述べている。結果的に、オーストラリアがフランスから潜水艦を買う数十億ドルの契約を拒否し、アメリカの「助言に従って」アメリカの設計に基づく8隻の原子力潜水艦を建造すると決定したので、この見解は非常に説得力があるように見える。フランスの抗議は行き詰まり、ホワイトハウス報道官によれば、AUKUSの出現は「インド・太平洋地域で平和と安定を促進する」ため三国にとって戦略上の利益になる。新軍事ブロックの創設は「いかなる特定の国」にも向けられていないことも強調された。

 これら全ての言葉には、いかなる重要性も欠如しており、中国に対してのみならず、ロシアに対する積極的な計画を隠蔽するだけなのは明確だ。ちなみに、ASEANも、新軍事同盟の意志決定過程から除外され、連合の加盟諸国が、いきなり既成事実に直面させられ、もう一つの新軍事ブロックの被害者になりかねない。AUKUS出現への彼らの反応は時に正反対で、ASEANの団結に対する本物の脅威となりかねない。

 一方で、インドネシアは、控えめながら、明らかに否定的に反応している。「新同盟で、オーストラリアが、トマホークミサイルや潜水艦を所有するのを認めるのは懸念だ」とインドネシア外務省のアブドゥル・カディール・ジャイラニ・アジア・太平洋・アフリカ総局長が述べた。彼は、この状況は、近隣諸国の不安に拍車をかけ、結局、この地域における軍拡競争のリスクを増す可能性を指摘した。彼の考えでは、AUKUSは、核不拡散条約と関係する、それぞれの国(つまりアメリカとイギリス)の義務を無視している。兵器自体以外の軍事目的の原子力利用を明記しない条約の既存の欠落が問題だと、このインドネシア外交官は述べた。インドネシアのレトノ・マルスディ外務大臣はAUKUSがインド・太平洋地域の緊張、軍拡競争と冷戦を引き起こしかねないと述べた

 この軍事ブロックに対して、ベトナムは、インドネシアとは少し異なる姿勢だ。例えば、これら三国の協定は東南アジアにも関係するのだから、アメリカ、イギリスとオーストラリアは、AUKUS提携の話をASEANと議論すべきだったと、ベトナム外交アカデミー副学長グェン・ホン・ソンが指摘した。「即効的影響は、アメリカとイギリスさえ、インド・太平洋地域に長期的に本格的に関与するという感覚だ」と強調し「他方ASEANは、ASEAN領域に関するこの協定が、ASEAN自身が知らずに、なぜ生じたの自問すべきだ」と指摘した。同時に、このベトナム外交官は、アメリカに「表敬」し、「AUKUSは、中国の攻撃性という脅威に対応して、東南アジアで彼らの影響を増強する三国の道具だ」と認めた。

 AUKUSに対するインドネシアとベトナムの一般に否定的姿勢は、マレーシアも支持しており、ハイスマイル・サブリ・ヤアコブ首相は、AUKUSは、南シナ海で、より積極的に活動するよう他の勢力を刺激しかねない懸念を述べた。他方、シンガポールは、この同盟は、この地域の平和と安定に貢献する可能性があると考えている。フィリピンも同様に、この同盟は、インド・太平洋地域で、中国の力に対しバランスをとることができると考えている。フィリピンのテアドロ・ロクシン外務大臣は、最も近い外国同盟の能力強化は、力の均衡を、逆転するのではなく、復活させ、維持すべきだと指摘した。彼は、地域に対する脅威や現状を混乱させようとする試みに対抗する、ASEAN友好諸国、同盟諸国の軍事力強化を歓迎した。

 上記のすべてから、新軍事ブロックの出現がASEANにとって予想外だったと我々は結論できる。誰も、この地域の状況がそれほど速く変化するとは予想していなかった。まだAUKUSに対する共通のASEAN見解はなく、そうしたものが現れるかどうかも不明だ。この全てから引き出される結論は、ASEAN団結がますます見掛け倒しとなり、現地指導者のあらゆる保証にもかかわらず、この地域での平和と安定をめざす戦いで、ASEANに頼るのが可能だと、ロシアは期待すべきではないということだ。

 ドミトリー・モシャコフは、教授、歴史学博士、ロシア科学アカデミー東洋学研究所東南アジア 、オーストラリア、オセアニア研究センター所長。オンライン誌「NewEasternOutlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/10/26/new-military-bloc-new-threats-to-peace-and-security-in-asia/

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 属国化推進、新自由主義ファシズム化を前に、哲学入門チャンネルの下記番組を遅ればせながら拝聴。ファシズムの問題については、明治以降の教育にも詳しい前川氏のお話は貴重。残念ながら前川氏の音声がたびたび途切れる。彼が挙げたフロムの『自由からの逃走』『正気の社会』学生時代に読んだがすっかり忘れた。押し入れを探す必要がありそう。

前川喜平さんと開票速報ライブ

 そして、植草一秀の『知られざる真実』最新記事。 自民大勝立憲惨敗維新躍進総選挙

 毎回のように「日本の未来は暗い」という趣旨の記事書いている。実は森嶋通夫説の受け売り。

 十年前に書いた「腰抜けと売女マスコミ」後書きをもじって引用する。恐れていたことが実際起きたので妄想でなかったと思うが、恐ろしい。妄想であって欲しかった。ファシズム集団、益々勢いを増すだろう。

 小生のこの発言の源の一つは『なぜ日本は没落するか』岩波現代文庫 960円+税 2010年7月発行。(最初に読んだのは1999年3月刊本。)世界的経済学者の発言、メタボ・オヤジの戯れ言とは比較にならない重みがあるだろう。

 陰鬱な結論、外部的な影響、天災は考慮にいれていないと116ページで明言しておられる。右傾、宗主国用傭兵準備の急な動き、全て予言通り。ただし今回は、海外侵略どころではなく、列島丸ごと、進んで弁慶の立ち往生になる

 最後に若干つけ加えておくべきことがある。それらについては後にも触れるが、その一つは没落が始まると国民の気質に変化が生じるということである。没落に際して、日本経済が二極分解すれば、組織された経済騒動や無組織の暴動が無秩序に起こり、国全体が一層深く没落していく。このことはマルクス以来周知のことである。それと同時に他方では国民の自信を高めるために、「心ある」人々による右傾化の動きが生じるだろう。すでにその徴候はある。後にもみるように私は、日本の現在の情況では前者より後者の方に気をつけなければならないと思っている。さらに付け加えれば、こういう動きは国際的に連動していることが多い。

 この点に関連してさらに言っておくべきことは、私の没落論では、外部からの影響を全く無視しているということである。一つの外生的要因は天災地変であり、もう一つは人為的災害─戦争─である。今もし、アジアで戦争が起こり、アメリカがパックス・アメリカーナを維持するために日本の力を必要とする場合には、日本は動員に応じ大活躍するだろう。日本経済は、戦後─戦前もある段階までそうだったが─を通じ戦争とともに栄えた経済である。没落しつつある場合にはなりふり構わず戦争に協力するであろう。

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