AUKUSは中国に対する犯罪的臨戦態勢
Finian Cunningham
2021年9月24日
Strategic Cutlure Foundation
この狙いは、対中国戦争計画のために、ワシントン指揮下で、オーストラリアとイギリスを、一層従属的にすることなのだ。組み合わせからフランスを排除することで、ワシントンにとっては、命令系統が、より直接になる。
オーストラリア、イギリスとアメリカの新軍事同盟-AUKUS-発表は、中国に対する宣戦布告だ。この攻勢の目安は、アメリカとイギリスによるオーストラリアへの原子力潜水艦供給だ。
この新インド・太平洋軍事同盟発表から、わずか数日後、今週ジョー・バイデン大統領は、国連総会で、異常な気候変動から「地球を救う」と真面目くさって訴えたのだ。このうぬぼれた偽善的な二重思考には驚かされる。彼がイギリスとオーストラリアと一緒に、中国に対する挑発的戦争計画を明らかにした、わずか数日後、バイデンは、本来、侵略と戦争を防ぐために設立された場で、敬意をもって演壇にたったのだ。
オーストラリアへの原子力潜水艦供給は明確に攻撃の動きだ。このような艦船は通常潜水艦と比較して、パトロール範囲がより広く、彼らはオーストラリア海軍が、中国にこっそり近付くのを可能にするよう意図されている。彼らは、公式にはオプションだといって否認しているが、核弾頭ミサイル搭載可能だ。オーストラリアは不拡散条約下で義務を持つ非核国家だ。だから、条約義務違反で状況を変えるのは、中国ではなく、彼らだ。
アメリカとイギリスから原子力潜水艦を獲得するため、オーストラリアは、既存のフランスとのディーゼル-電動潜水艦の560億ドルの購入契約を破棄した。この決定は、パリを激怒させ、同盟国に「背中を刺された」と非難した。だが、この決定で重要なのは、言い争って、ある同盟国が別の同盟国から儲かるビジネスを卑劣に盗んだことではない。従来型潜水艦からアメリカ原子力潜水艦への、この動きは、戦争計画がどれほど本格的になっているかを理解する鍵だ。
9月15日、イギリスとオーストラリア首相とのバーチャル共同記者会見で、バイデンが明らかにしたAUKUS協定は明確には中国に言及しなかった。だが、その欠落は、むしろ新同盟が、どれほど悪意あるかを裏付けるものでしかない。それにもかかわらず、北京は、太平洋地域を不安定化する挑発だと早速非難した。アメリカとイギリスとの、この軍事協定の結果、中国は今後オーストラリアを核兵器の標的に定めると警告した。
必然的に形を表わしつつあるのは、アメリカとイギリスとオーストラリアによる対中国臨戦態勢だ。だが卑劣にも、英米指導者は、その代わり、身勝手に、AUKUS協定は誰に対する脅威でもないと主張し、犯罪的な思惑を軽く扱っている。オーストラリアのスコット・モリソン首相は、AUKUSと原子力潜水艦のニュースの後、厚かましくも、中国と「話し合う」用意があるとさえ述べた。
欧米主流メディアは犯罪的気休めにも共謀している。このような挑発的軍事協定について、メディアの一つたりとも、理論的根拠を問題にしたり、批判したりしなかった。メディアは、中国が「増大する脅威」で、「だから」対抗しなくてはならないという裏付けがない言説をオウム返しするだけだ。中国が、どれほど世界の安全保障を脅かしているかについて正確な説明はない。それは、この国が「影響力を増大している」やら「足跡」などのあいまいな用語で表現されている。この脅威だという誤った前提が、更に、アメリカ、イギリスとオーストラリアによる未曾有の侵略計画を正当化するため、事実であるかのように使われる。第二次世界大戦の残酷さの後、まさに、それを違法とすべく、1945年に国際連合が設立された種類の攻勢だ。
ピッツバーグ大学の国際関係名誉教授マイケル・ブレナーは欧米の二心と自己満足に批判的だ。
彼はこう言う。「またもや、アメリカ大統領は、戦争と平和という重大な問題について我々にウソをついている。バイデン・チームは深刻な戦争の危険を冒す中国との対決に夢中になっている。正直に認めよう。戦争は核戦争になる。我々はウソと欺瞞の連鎖の被害者だ。ニューヨーク・タイムズや他の主流メディアは共謀者だ。アメリカと中国との戦争は、なぜほぼ避けられないと考えるか誰か説明しただろうか?我々は反対の見方を提示されているか?いや。我々はアルマゲドンに向かって足並み揃えて行進している。」
ブレナーは、AUKUS発表2日後-9月17日のニューヨーク・タイムズの目立つ記事を指摘し、アメリカの対中国戦争計画の危険と犯罪を隠す典型的プロパガンダ記事だと言う。
原子力潜水艦への転換は、オーストラリア政府の主導だとNYタイムズ報道は説明しようとしている。感覚的に、原子力潜水艦のほうが「より静寂で」、航続距離がより長く、探知がより困難なので、キャンベラはフランスの従来型でなく、原潜を得たいと望んだというのだ。そして、より良い選択肢を提供できるのはアメリカとイギリスしかなかったかのように暗示している。ロンドンの協力を得て、バイデン政権は、オーストラリアが、より劣るフランス潜水艦の契約義務から脱出するのを親切に助けたという話を、ニューヨーク・タイムズがでっち上げているのだ。
だがブレナーが指摘する通り、フランスは元来オーストラリアに原子力潜水艦を提案していた。「フランス潜水艦は原子力で、性能はアメリカ潜水艦と同等だ」と彼は指摘している。元来、金を節約するため、従来型を選んだのはオーストラリアだった。もしキャンベラに、オーストラリアが何らかの形で原子力潜水艦を入手する新たな戦略上の必要性があったなら、最も容易で、最も安上がりな選択肢は、現行契約を破棄し、アメリカとイギリスとの新契約を進めるのではなく、フランスがオーストラリアに原潜を供給することだ。言い換えれば、経済的にも、後方支援上も、AUKUSによる原潜提供協定は、オーストラリアにとって意味がないのだ。すると一体本当は一体何が起きているのだろう?
NYタイムズ報道は、ここで本当のことを、うっかり漏らしている。フランス潜水艦契約を破壊するに至るまでに、どのように「バイデン政権が、対中国新戦略で、オーストラリアとイギリスを本格的に引きこみ始めた」か言及している。
記事はこう補足している。「12年前、オバマ政権が「アジアへの旋回」と呼んだものを、バイデンが実行し始めるにつれ、ヨーロッパの古くからの伝統的同盟諸国が取り残されたように感じて、政治的地雷を踏む危険がある」。
だから、フランスの契約を破棄したり、原潜にしたりするのはオーストラリアの主導ではなかった。主導したのはバイデン政権だった。
狙いは、対中国戦争計画のために、ワシントン指揮下で、オーストラリアとイギリスを、一層従属的にすることなのだ。組み合わせからフランスを排除することで、ワシントンにとっては、命令系統が、より直接になる。それがAUKUS代理とのアメリカの戦争計画を、一層意図的で、差し迫ったものにする。そして犯罪的に。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしも Strategic Culture Foundation のものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/09/24/aukus-is-a-criminal-war-footing-towards-china/
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選挙を前に、連合の新会長も典型的ゆ党行動。記事見出しを読めば十分。
デモクラシータイムス
今日の孫崎氏メルマガ題名
岸田政権のどこが安倍・菅政権と変わったか。決断求められる(反対が存在)問題は安倍・菅時代と変化なし。担当大臣等発言「森友問題の再調査考えず」「GoToトラベル再開時期を検討」、「原発再稼働は進める」甘利幹事長汚職疑惑に[説明責任は果たした」、学術会議任命
日刊IWJガイド 昨日は米山氏インタビューの再配信だった。今日は緊急インタビュー。「無名閣僚ばかりの臨時岸田内閣は選挙対策内閣か!?」冒頭のみオープン。
【IWJ_Youtube Live】18:30~「岩上安身による前新潟県知事・医学博士・弁護士 米山隆一氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867
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