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2021年10月21日 (木)

コリン・パウエル:忠僕を哀悼するアメリカ支配階級

パトリック・マーティン
2021年10月19日
wsws.org

 コリン・パウエルほど、40年以上にわたりアメリカ帝国主義の実に多くの犯罪を行ったと思われる人物はいない。国の安全保障機構で、それほど多くの高位についた人物、他には誰もいない。将軍、国家安全保障担当大統領補佐官、統合参謀本部議長、国務長官。


 2003年2月5日、国連安全保障理事会で、対イラク戦争を主張する際、炭疽菌が入っているという小瓶を示すコリン・パウエル国務長官の写真。(AP写真/エリス・アメンドラ、ファイル)

 それが、月曜早朝、彼が84歳でCOVID-19合併症で亡くなった際、多数のアメリカ・メディアや世界メディアが大統領や議会幹部や評論家の大げさな称賛だらけになった理由だ。

 ジョー・バイデン大統領は、パウエルを「アメリカ軍の最高位に出世し、四人の大統領に助言した」「比類ない名誉と品位の愛国者」として称賛する声明を述べ、アメリカ国旗を週末まで半旗掲示するよう命じた。彼はパウエルは「我が国を強くする民主主義の価値観に個人的に貢献し」「人種偏見の障壁を何度も破壊した」と述べた。

 民主党絶賛の多くは、アメリカ軍事機構の最高位に出世した最初のアフリカ系アメリカ人としてのパウエルの役割に焦点を当てた。「アメリカ民主社会主義者」メンバーのジャマール・ボウマン下院議員は「世界を理解しようとしている黒人男性にとって、コリン・パウエルは素晴らしい刺激だった」とTwitterで書いた。

 コリン・パウエルが一体何に対する刺激だったのか彼は詳細には述べなかった。イラン・コントラ疑惑でロナルド・レーガンを救うのを支援するコリン・パウエル大将か、1991年にイラク徴集兵を焼き尽くすコリン・パウエル統合参謀本部議長か、あるいは、2003年、差し迫るアメリカのイラクの侵略を正当化するコリン・パウエル国務長官か。国連安全保障理事会でイラクが大量虐殺兵器を保有していると主張する彼の演説は「大きなウソ」の代名詞として歴史に残っている。

 40年間で、コリン・パウエルが重要な役割を果たさなかった主要な米軍攻撃は一つもない。ニューヨークのシティー・カレッジでROTC(予備役将校訓練部)に登録した後、パウエルは少尉として米軍に入り、最初に1963年、南ベトナムの大隊「顧問」として、1968年には、テト攻撃後、米国師団の作戦士官として、ベトナムに派遣された。

 国防総省に戻り、MBAのため学校に戻った後、彼はニクソン・ホワイトハウスに才能を見いだされ、行政管理予算局のホワイトハウス特別研究員に選ばれた。そこで彼は、1981年に共和党ロナルド・レーガンの下で権力の座に戻った際、彼を最高の地位につかせるニクソン補佐のキャスパー・ワインバーガーとフランク・カールッチに会った。1983年、ワインバーガー国防長官は陸軍准将パウエルを彼の最高軍事補佐官に指名した。

 パウエルはイラン・コントラ疑惑で最初に注目を浴びた。ブレティン、WSWSのアメリカにおける先駆、Bulletinが、当時、安全保障担当大統領補佐官オリバー・ノース中佐の証言についてこう報じた。「ノースはイランへの秘密武器出荷について少なくとも4人の国防総省当局者と話したと言った。キャスパー・ワインバーガー国防長官、彼の補佐であるコリン・パウエル大将、ノエル・コッホ国防総省特殊作戦部長と[リチャード]アーミテージ国防次官補。パウエルは以来安全保障会議で第二位の地位に引き上げられた。」

 言い換えれば、パウエルは違法にニカラグアの反政府派を武装させる資金を調達するためイランへの秘密兵器販売の暴露後、オリバー・ノースに取って代わったのだ。1年以内に、スキャンダルは、違法活動を監督していた国家安全保障担当大統領補佐官ジョン・ポインデクスター海軍大将の辞任を強いた。パウエルは、レーガン最後の国家安全保障担当大統領補佐官として交替させるため、昇進させられた。

 後継のジョージ・H・W・ブッシュ政権は、この政治的奉仕に対して、恩知らずではなかった。1989年8月、ブッシュは、より上級の将官14人のを跳び越えて、パウエルを、米軍における最高の地位、統合参謀本部議長に任命した。その地位で、米軍が急に小国を征服し、ワシントンともめごとを起こしていた残虐な軍指導者で長年のアメリカ諜報機関の手先マニュエル・ノリエガを逮捕した1989年12月のパナマ侵略・占領時、パウエルは大統領の最高軍事顧問だった。

 これは遙かに大きく、一層重大な侵略行為のためのリハーサルのようなものだった。米軍がイラクのサダム・フセイン大統領による(アメリカが承認したと彼が信じこむよう仕向けられてした行動である)クウェート侵略に応えて、中東に500,000人を派兵したペルシャ湾岸戦争だ。最新兵器で全面的爆撃攻撃し、それに続く全面的な地上戦で、自身を守る能力を持たない、訓練不十分で、武装が不備なイラク軍の米軍による虐殺を画策する上でパウエルとリチャード・チェイニー国防長官は主な役割を果たした。

 この一方的な大量殺人の中、パウエルは宣言した「この軍を追う上での我々の戦略は非常に単純だ。最初に我々はそれを切断し、次に我々はそれを殺す。」彼の露骨な大量殺人の提唱は「パウエル・ドクトリン」として、ベトナムの特徴だった漸進的戦争の対照として知られるようになった。圧倒的武力を用い、素早く敵を壊滅し、撤退する。

 これはジャングルで活動する闘志満々のベトナム解放戦士に対するよりも、砂漠に閉じ込められたサダム・フセインの徴用兵士に用いるのは、ずっと容易だったが、軍事的勝利はパウエルの才能の証明だと主張された。ブッシュ政権最後の侵略行為、1992年のアメリカによるソマリア侵略を監督した後、メディアの称賛と、二大資本主義政党からの大統領への立候補をしたという嘆願の中、彼は引退した。パウエルは自身を共和党員だと宣言したが、次の共和党大統領になるまで時間を待ちたいと望み、立候補しないと決めた。

 2000年12月、ジョージ・W・ブッシュは、パウエルを国務長官に任命した。それは極めて重要な時期のことだった。悪名高いブッシュ対ゴア裁定で、連邦最高裁が、フロリダでの投票計算を止め、州の票を、それと共に大統領職を共和党候補者に与えたわずか数日後だ。ゴアは顧問たちに、軍の願望を越えて、大統領になることはできなかったと言って、敗北を認めた。ブッシュが最初の任命として元将軍を選択したことは、アメリカの政治的危機における軍の決定的役割を示している。

 パウエルは、ブッシュ第一期の国務長官で、その間、9/11攻撃、アメリカのアフガニスタン侵略、アメリカのイラク侵略と占領があった。それは、戦闘兵で圧倒的武力の擁護者のパウルが、外交政策の軸として侵略と軍事征服に満ちている政権の、最後の外交擁護者として終わったアメリカ支配階級の右への徹底的移行に多くを物語っている。

 ブッシュ政権内の内輪もめは、お決まりの「良い警官、良くない警官」の形だったように思われ、パウエルは、時にディック・チェイニー副大統領と、他の時に、ドナルド・ラムズフェルド国防長官と衝突していた。ほとんど確実に、これは、右翼軍国主義政策が実行されて終わるのだ。時々、もしパウエルが思い通りにしていれば、多少は外交的詭弁があっただろうが、ブッシュは恥知らずな傲慢さを選択することが多かった。

 国務省を率いるパウエルの四年間で最悪の出来事は、2003年2月のもので、その時彼は国際連合に派遣され、サダム・フセインは「大量虐殺兵器」を所有しており、密かにアルカイダと同盟しており、従って究極的に9/11攻撃に責任があるというブッシュ政権の見解を主張した。チェイニーとドナルド・ラムズフェルド国防長官の身の毛もよだつような言説を避ける彼が、政権の「合理的」人物で、「ハト派」でさえあるとメディアに称賛されていたから、パウエルに主張させるのをブッシュが好んだのは疑いようがない。

 「私が今日述べる全ての声明」は「情報源、確実な情報源に裏付けされるとパウエルは安全保障理事会で述べた。これは主張ではない。我々があなた方に示しているのは確かな証拠に基づく事実で結論だ。」数カ月後に証明された通り、アメリカによるイラク侵略と征服後、「事実」と「証拠」はウソのかたまりだった。大量虐殺兵器はなかった。アルカイダは同盟者ではなく、バグダッドの非宗教的バース党政権の激しい敵対者だった。アメリカ帝国主義は、この国と中東全体を、戦争と、それによってまだ出現していない大規模な苦しみと社会規模破壊の大がまに陥れたのだ。そしてコリン・パウエルは主要扇動者の一人だった。

 パウエル演説は、主にアメリカで世論を怖じけさせることを狙っていた。当時、WSWSが指摘したように、上院外交委員会の主要民主党員、デラウェア選出のジョー・バイデン上院議員を含め、民主党は即座に戦争支援に飛び乗った。

 だがパウエルにとって、それはブッシュ戦時内閣における彼の政治的有用性の終わりの初まりだった。ブッシュが再選で勝利し、コンドリーザ・ライス国家安全保障担当大統領補佐官と交替させられ、いきなりドアから外に押し出されるまで、彼はその職にいた。彼は、2012年、AP通信に「私は、我々は大成功だったと思う」と言い、更に「イラクのひどい独裁者はいなくなった。」と述べ、イラク戦争を弁護し続けた。百万人のイラク人や5,000人のアメリカ兵や何十万人もが負傷し、精神的に障害を受けている。

 その後、パウエルは2008年に大統領としてバラク・オバマを支持するため共和党との関係を断ち、次に2020年8月、バイデンとカマラ・ハリスの特別講演者として、民主党全国大会に現れて、資本主義政治で多少の波を起こした。

 パウエル出世の最も重要な特徴は、将来とって実に不吉だ。彼は、それも同様に憂うつだが、戦争における成功のためではなく、国防総省とホワイトハウス内での内部の争いで成功して出世した政治将官のプロトタイプだった。彼はベトナムにおけるアメリカ敗北の屈辱で苦しむほどの高官ではなかった。その後、彼はワインバーガー、カールッチとジョージ・H・W・ブッシュのような有力な後援者の支援で恩恵を得た。彼らの投資は双方にとって大いに有利だった。

 今日、同様な軍事・政治実力者は多数いる。デイビッド・ぺトレイアスなど一部は失墜した。他の連中は、マーク・ミリーのように、メディアの悪評を買ったが、トランプのファシスト統治への衝動に抵抗することで民主主義の救済者として称賛されている。WSWSが指摘した通り、トップ将官の忍耐に依存する民主主義国家は決して本当の民主主義国家ではない。単に「右翼」独裁者を待っているだけだ。より陰険なことに、より下級の軍将校と情報局員が、今や議会民主党のかなり大きな部分を構成し、バイデン政権の政策に関して事実上の拒否権を行使している。

 コリン・パウエルの死からアメリカ支配層エリートは最後の奉仕を絞り出す。彼の生涯を賛美し、少数派の青年の役割モデルとして、アメリカ民主主義の腐敗を芳香で満たすのだ。アイデンティティー政治の言説を使って、アメリカ帝国主義は、捕食性の本性を隠す方法を探しているのだ。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2021/10/19/powe-o19.html

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 購読している東京新聞の一面コラム筆洗も、早速よいしょ記事。属国与党、彼と同じ価値観のはず。

 ケイトリン・ジョンストンさんも、この話題の記事を書いている。Creator Of World’s Most Effective Anti-War Meme Dead At 84

 末尾を引用させていただこう。

 今後しばらく、パウエルが社会病質的に人間大虐殺を推進したことを、やかましく言って皆に是非想起させよう。結局、世論こそが、欧米の戦争犯罪人を、ハーグ裁判所から守っている唯一のもので、戦争犯罪人連中は、この事実を十分承知している。人の死が、連中のとんでもなく残忍な犯罪を宣伝する機会となり、世論を変えかねないので、時々、連中は今回のように、生きている、あるいは死んだ、どんな人物であれ尊敬しているからでなく、普通の人々が必ず「死者を尊敬する」よう突然大いに尽力するのだ。

 今後数日間巨大な言説管理の動きが展開するはずだ。真実で、それを徹底的に混乱させよう。

 LITERA

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 デモクラシータイムス

問題は甘利と安倍政治!! 【山田厚史の週ナカ生ニュース】

 Niftyで「与党単独過半数」というニュース見出し!

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コメント

いい記事ですね。戦争犯罪人を偉人に仕立て上げるあたりは、帝国主義の武器としてのマスメディアの圧倒的な支配力を認めざるを得ません。しかし、それが真実であるかは別問題です。どんなに巨大でも、真実を覆すことはできません。ただ、愚直に真実を突き付けるしかないのでしょう。

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