アメリカ、イギリス、オーストラリア取り引きには多くの落とし穴がある
2021年9月24日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
フランスの通常動力型潜水艦を買う取り引きの代わりに、オーストラリアが原子力潜水艦を購入するという最近のオーストラリア、イギリスとアメリカの発表が、オーストラリアの同盟諸国間で影響波を生じ、いわゆる欧米同盟の加盟諸国間に衝撃波を起こした。
この新たな取り引きの詳細の多くは未公開のままだ。フランスの潜水艦を買う合意を破棄する表向きの理由の一つは、途方もない900億ドルにものぼる経費だった。その代わりとして、8隻の原子力潜水艦を購入するオーストラリアの実際の経費については全く言われていないが、それよりもずっと少ない可能性はなく、契約破棄に関わる経済的議論が衰え、消滅することはありそうにない。
取り引きの背後の主な推進者が、フランスを当惑させることなど全く意に介しないイギリスのボリス・ジョンソン首相だったという、いくつかの証拠が出現している。だがジョンソンでさえ、彼の傲慢さをもってしても、激しいフランスの反撃、おそらく、特にアメリカにとって厄介なことになると予想していたはずはない。
最近、アメリカ大統領ジョー・バイデンは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領に電話したが、これはホワイトハウスの会話記録から、フランスとの彼らの関係を再構築しようというアメリカの明白な試みだ。話し合いの一つの結果が、今年11月、バイデンの次回ヨーロッパ訪問時、二人で会うという合意だった。会談の開催場所は発表されなかったが、彼らは、ベルギー、ブリュッセルの欧州連合本部で会う可能性が高いと思われる。
イギリス・オーストラリア・アメリカ取り引きは、(アメリカとオーストラリア)と、いわゆるクアッドの加盟国を構成する他の二つの国の首都、ニューデリーと東京両方を多少怒らせた。この結果としてのインドの立場は実に興味深い。
インドは、クアッド加盟国として困難なゲームをしている。周知の通り、クアッドは明白に反中国の協定だが、それは、アジア地域では、インドの他の協定とは、うまくなじまない。特に、インドが2017年に加入した協定で、中国が明らかに重要な役割を演じている上海協力機構SCOと、明らかに反中国のクアッド加盟を、インドが、一体どう調和させるつもりなのかという議論は、私が知る限り存在しない。
SCOのもう一つの加盟国はロシアで、インドが長年良い関係を維持しており、ロシアは中国と、両国とも、そうしたものと記述するのを避けるよう気を使ってはいるが、実際軍事同盟の関係を持っている。ロシアとの親密な継続的な結びつきを認めながら、同時にクアッドを通して、アメリカとインドの同盟を調和させるのは、率直に言って非常に困難だ。インドのモディ総理は最近モスクワを訪問しており、最近インドは、ロシア戦闘機のフリートを購入する協定を含め、ロシアの軍装備品を買い続けている。
インドは近い将来、明らかに、一体誰に忠誠なのか決めなければなるまい。最近の、オーストラリアが8隻のアメリカ潜水艦を購入する取り引きは秘密裏に行われ、捨てられたフランスのみならず、アメリカオーストラリアのクアッド加盟国インドと日本も排除されていた。この取り引きがインドをアメリカに一層好意的にさせる効果が皆無なのは確実だ。
新しいオーストラリア取り引きの主要推進者がイギリスのボリス・ジョンソン首相だったという一連の証拠が増えている。イギリスがフランスに打撃を与えるのには、何の動機も必要ではないが、ジョンソンでさえフランスの反応の猛烈さには驚いたかもしれない。取り引きでアメリカは既成事実を認めさせられた証拠も増えている。非常に機密性が高いアメリカ潜水艦データをオーストラリアのような第三者に公表した前例はない。アメリカ広報担当はこの取り引きは前例がなく、繰り返されることはありそうにないと慎重に述べた。
発表されたプロジェクトの実際の影響がどのようなものか明らかにされていない多数の詳細がある。発表によれば、潜水艦はオーストラリアで組み立てられる計画になっている。この発表は、原子力潜水艦組み立ての上で、オーストラリアが全く専門知識を持っていない事実を無視している。建造がアメリカからの労働力投入に大きく依存するのは不可避に思われるが、オーストラリア政府は、慎重にそれに触れるのを避けている。
この商談で、ほとんど注目されていない他の要素もある。一つはオーストラリアの港町におけるアメリカ海軍の駐留拡大だ。これら船舶が、おそらく核兵器を搭載していることは、全く議論されていない、もう一つの要素だ。
オーストラリア海域でのアメリカ海軍プレゼンス拡大は、アメリカ・中国戦争の際、オーストラリアに影響がある。これが起きる可能性は小さくないが、中国を主要敵国としているアメリカは、リスクを減らすことは何もしていない。中国政府は、既にアメリカと中国で起きる戦争の場合、オーストラリアは軍事標的と想定されると発表した。
オーストラリアとアメリカ間のより親密な結びつきの結果に国民は準備できていない。既に中国は、どのオーストラリアの都市にでもミサイルを発射する能力を持っており、一部オーストラリア人解説者による、それと逆の妄想的発言は、国民をその現実に備えさせるため何の役にもたたない。
中国ロケットの実際の標的になっている現実は、政府が論じたがらない話題だ。アメリカと協力関係にあれば、アメリカ・中国間の全面戦争の結果の現実から、何らかの形で、守られると、政府は信じているように思われる。
反中国言説で、アメリカは、特に二つのことを見逃している。一つ目は、中国のロシアとの同盟だ。ロシアは、中国に対するどんなアメリカ攻撃も、報復を受けずに済ませないはずだ応。結果は衝撃的だろう。二つ目の要因は、中国が世界中から大きな好意を得ていることで、それは常に増加しておりい、最少130以上の国を取り囲む一帯一路構想の活動があれば、なおさらだ。
世界は、20年前のものとは全く違う場所だ。アメリカは、世界が変化しており、おかげで、変化の決定要因である彼らの力が、我々の将来の幸せに対する大きな脅威であり続けているのを認めるのがいやなのだ。
オーストラリアを原子力核潜水艦で武装するのは、危険を減らすのには何も役立たず、実際、目に見える形で、危険を増しているのだ。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
----------
原子力潜水艦を配備させられる国もあり、空母を配備させられる国もあり。
ワクチン担当大臣、武勇伝?
昔外国人に対する日本語教育に興味をもったことがある。日本語教育施設、低賃金外国人労働者を招くための隠れ簔と化しているような話を見かける。日本語学校から出てくる方々を見ると勝手に心配してしまう。ウイシュマさん問題で活躍しておられる弁護士のお話を拝聴した。
偶然拝聴した番組・アフガニスタンからタリバンや政府陣を日本に招待し、一緒に鍋をつついたキリスト教研究者のお話にビックリ。
衆議院選挙を前に、緑のタヌキ再稼働。「小池」ファーストの会。都民はまたひっかかるのか?小生の幼なじみ熱烈な支持者。
日刊ゲンダイDIGITAL
デモクラシータイムス
【横田一の現場直撃 No.131】都ファ・国民 ‟希望の党”の夢?/アベ仮面岸田内閣、疑惑にフタ/横浜旧市庁舎、激安契約締結 20211004
« リストから外された「死からよみがえる」反中国テロ集団 | トップページ | 急速に変化する地域における役割を定義すべく模索するインド »
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- バイデンのF-16の動きは絶望を意味する空想飛行(2023.06.04)
- モスクワでのドローン攻撃-ウクライナでのミサイル攻撃(2023.06.02)
- トルコ大統領選挙結果でロシアは何を期待できるのか?(2023.06.01)
- ウクライナへのF-16供与(2023.05.27)
「中国」カテゴリの記事
- アジア太平洋地域にしっかり照準を合わせているNATO軍産複合体(2023.05.29)
- 日本と韓国を中国と戦争させたいと望んでいるアメリカ(2023.05.26)
- 広島原爆の記憶を冒涜するG7戦争挑発サミット(2023.05.21)
- 欧米の極めて複雑な中国分析の世界を理解する(2023.05.19)
- 我々に信じるよう帝国が要求する一つの最も愚かなこと(2023.05.06)
「オセアニア・クアッド」カテゴリの記事
- アジア太平洋地域にしっかり照準を合わせているNATO軍産複合体(2023.05.29)
- 戦争への助言のためワシントンの沼地怪物に謝礼を払うオーストラリア(2023.04.30)
- アメリカの戦争目的のためにオーストラリアを一層奴隷化する新国防計画見直し(2023.04.28)
- 存在自体によってもたらされるリスクを管理するために存在するAUKUS(2023.04.04)
- オーストラリアは国ではない。カンガルーがいる米軍基地だ(2023.04.05)
「イギリス」カテゴリの記事
- バフムート陥落-アルチョモフスク解放(2023.05.21)
- 広島原爆の記憶を冒涜するG7戦争挑発サミット(2023.05.21)
- ウクライナ状況報告:フメリニツキーでの爆発-バフムート待避-長距離ミサイル(2023.05.18)
- イラクに対するイギリスの火遊びは罰を免れている(2023.04.19)
- ウクライナ状況報告:漏洩した要旨説明、道路確保、分割訓練(2023.04.13)
« リストから外された「死からよみがえる」反中国テロ集団 | トップページ | 急速に変化する地域における役割を定義すべく模索するインド »
コメント