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2021年10月13日 (水)

アフガニスタンで自滅したアメリカ

2021年10月5日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 アメリカのマーク・A・ミリー統合参謀本部議長の最近の証言が、アメリカがアフガニスタンでの戦争でどのように敗北したかを裏付けた。アメリカ合衆国とNATO軍の統合した武力と20年間耐えたタリバンの能力もさることながら、ミリーによれば、主にブッシュ、オバマ、トランプとバイデン政権になされた一連のまずい判断のせいで戦争に敗れたのだ。見たところではジョー・バイデンは、トランプ政権によるドーハ協定の誓約を果たしたが、米軍はアフガニスタンから完全撤退することに賛成ではなかった。ミリーが確認した通り、米軍幹部は、アフガニスタンに2,500人の兵士を維持するよう助言していた。だが、撤退し、タリバンが権力を奪取するにまかせるバイデンの決定は、タリバンを打倒し「新」アフガニスタンを築くアメリカ活動に対する最後のとどめの一撃だった。

 ミリーが主張した通り、アフガニスタンでの戦争は「過去20日間や20カ月間で負けたわけではない。イラクを侵略し、アフガニスタンから資源を移すというアメリカの決定を含め、遙か昔の一連の戦略決定には非常に累積的効果があるのだ。アメリカ上院の別聴聞会で、アメリカ中央司令部指揮官ケネス・F・マッケンジー大将は、この戦争をアメリカの「戦略的失敗」と呼んだ。ミリーとマッケンジーの証言は、アメリカはアフガニスタンにおける目的を達成したと言って、アメリカ国民をバイデン政権が誤導したことを裏付けた。証言は、彼が8月31日以降、軍隊をアフガニスタンに駐留させておくようにという助言を受けなかったというバイデンの主張も否定している。

 バイデンは、アメリカはアルカイダを打倒するという重要な目的を達成したと強く主張したが、ミリーは、彼の最高司令官に従うことを何とも思っていなかった。ミリーは「タリバンはテロ集団だったし、今もそうであり、彼らは依然アルカイダとの関係を断ち切っていないことを我々は想起しなければならない」と述べ「誰と対処しているか我々は幻想を持っていない」と付け加えた。タリバンが権力を強化できるのか、あの国が更に内戦に落ち込むのか、まだ分からない。」

 アフガニスタンを混沌とした不確実な状況に陥らせた主要原因として、まずい意志決定を指摘する証言によるアメリカの不適切な統治の冒険物語は、一部の軍事的判断に限定されない。アフガニスタン復興担当特別監察官(SIGAR)の2021年8月報告は、特定のアメリカの政治的選択が、どのように「賄賂を増し」、アメリカが確立しようとして何十億ドルも費やした体制全体の破たんに貢献したかを示している。報告書を引用しよう。

 「アメリカ政府は、実現したいと望んでいたことのため、首尾一貫した戦略を開発し、実行するのに終始苦闘していた。アメリカ政府は、アフガニスタン再建に必要な時間を終始過小評価し、速く支出するのを優先し、非現実的な予定と期待をでっち上げた。こうした選択は賄賂を増し、計画の有効性を減らした。アメリカが構築した組織やインフラ計画の多くは持続可能ではなかった。」

 アメリカCIAは民兵構築のみならず、賄賂にも直接資金供給した。2013年のニューヨーク・タイムズ報道によれば、CIAはアフガニスタン大統領事務所に現金袋を送りつけていた。この「秘密資金」は政治的影響力を得るために使われ直接賄賂に流れた。報道で引用された当局者によれば「アフガニスタンの賄賂の最大源はアメリカ合州国だった。」

 だから、アフガニスタンでのアメリカの戦争目的は決して「国造り」や「再建」ではなかったとバイデンは主張したが、アフガニスタンで、まさに、その国造りと再建の努力を会計監査するために設立されたアフガニスタン復興担当特別監察官SIGAR事務所は、アメリカ活動の失敗を実に詳しく文書化した。2021年8月報告によれば、アメリカが始めた開発計画さえ賄賂を煽った。主な理由は監督の欠如だった。

 アメリカ合州国が、アフガニスタンで直接賄賂を支援し、占領下で、この国に注ぎ込んだ金の大半は、アメリカに環流した。たまたま違法資金にとって、アメリカが世界最大の場所である事実による便宜で、一部の報告によれば、多くの腐敗したアフガン当局者がアメリカで家を買うことが可能だった。

 かつてアメリカのトップ司令官マイケル・マレンを補佐し、現在たまたまアフガニスタンにおける賄賂の主要専門家の一人、サラ・チェエスによれば、アフガニスタンでの賄賂の大半が「アメリカ製」だった。アフガニスタンで賄賂を抑制するため彼女が立てた全ての計画は決して実行されず、アフガニスタンで賄賂が充満するのを可能にする上で、米軍や外交当局者の直接共犯を示唆している。賄賂まみれの体制は、決して現実にタリバンに耐えられるはずはなく、様々なアメリカ政権で、バイデンや他の誰も見逃すはずがない事実だ。だから、アフガニスタンがタリバンに陥落した責任は、完全に、アフガン国家安全保障部隊にあるというバイデンの主張は、これに直面して維持できない事実であるだけでなく、厄介な政治的影響を避けるため、国民に向けて、アメリカ当局幹部が意図的に繰り出した真っ赤なウソでもある。

 だから、ミリーが証言で、アフガニスタンにおけるアメリカの失敗の「根本原因」は、ドーハラ・ウンドや、アメリカ自身がアフガニスタンで構築し、過去20年間修正し損ねた構造的腐敗、空虚な政治、経済体制だと主張するのは、あの体制が、なぜアメリカ撤退から数週間内に倒れたか、アメリカ自身が直接行った判断が、どのようにアフガニスタンでの失敗に寄与したかを直接説明している。

 だから、アメリカは、言葉の典型的な意味では、戦争で負けておらず、つまり、アメリカは軍事的に負けておらず、敵軍に占領されなかったが、再建と、その主要目的(アルカイダ打倒)を達成し損ねたアメリカの失敗は到底否定できず、たとえそれを「勝利」だと呼ぶ人物が、たまたまアメリカ大統領/米軍最高司令官であるにせよ、アフガニスタンは、桁違いに大きな失敗であり、意味の上で、決して勝利には変換できない。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/10/05/us-defeated-itself-in-afghanistan/

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 東京新聞、特報面で詳しくDappi問題を論じている。立派。

 最近気になる記事を見た。これで益々検索エンジンの隠蔽が強化される。ノーベル物理学賞も罪深い。

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 問題の組合の一員だった経験から「自民党別動隊」と確信している。昔つとめた会社の組合副委員長も同じことを言っていた。

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