トルコがバイデンから離れ、プーチンを向き、シリアにおけるアメリカの野望のおかげで行き詰まるアメリカが率いるNATO軍事同盟
2021年10月10日12時56分
Glenn Diesen
RT
ほぼ500年間にロシアとトルコはお互いに12回以上戦争をした。今、ロシア皇帝やオスマントルコなしでさえ、二つの仇敵は、またしても対立している。今回はシリアで。
しかしながら、中東全土での血まみれの戦いで、競合派閥を支持しながら、この対立は逆説的に、この二つの大国を一層近づけている。余りに近づき過ぎて、NATOがそれを懸念しているようにさえ思われる。
トルコがアメリカの恫喝を無視して、ロシアのS-400防空システムを購入した際に、モスクワとアンカラの関係における本格的急進展が明白だった。アメリカは、その後アンカラに制裁を課し、F-35統合攻撃戦闘機計画からトルコを排除した。レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領と、アメリカのジョー・バイデン大統領間の会談は関係改善には十分ではなかった。
だが最近のソチでのエルドアンとウラジーミル・プーチン大統領の会談は、大規模なロシア-トルコ協定が発達過程にあるかもしれないことを示している。二回目のS-400防空システム、潜水艦、航空機エンジン技術と戦闘機の開発と貿易を含む防衛協力のための本格的な協定も、ありそうだ。
このような規模の軍事提携は、シリア紛争の政治的解決を伴う可能性が高い。一方、シリアに関する軍事的取り決めと、あり得る政治的合意の広大な範囲は、アメリカからトルコを更に遠ざけ、ワシントンは、このNATO「同盟国」に更に多くの制裁を課さなければならないように感じる可能性が高い。
すると、我々は、いかにして、ここに至ったのか?
シリアのミス
アフガニスタンやイラクでの戦争とほとんど同様に、シリア政府に対するアメリカの戦争は悲惨な結果をもたらしている。トルコは以前ダマスカスと良好な関係を持っており、当初は、アメリカが、この政権転覆戦争を支援するよう説得しなければならなかった。アサドは早々打倒され、トルコはワシントンが据えた新政府と友好関係を維持すると期待されていた。ところが、ロシアが2015年に介入して、不意に、効果的に戦争の流れを変えて、中東におけるアメリカに率いられた政権転覆戦争の連鎖は切断された。
アメリカとトルコの間の緊張の主な理由は、シリアのクルド人に対するワシントンの支持だった。ロシアがアメリカの将軍連中に戦略を変えるよう駆り立てて、アメリカにとって、クルド人との提携の重要性は更に増加した。アサドを打倒し損ねたが、アメリカは違法に、その領土の3分の1、アメリカが石油と小麦を盗む北東シリアの資源豊富な地域を占領することで、この国の政治生命で発言権を持とうと努めている。シリアのクルド人との協力はこの目的に向けて重要だ。ワシントンはクルド人民防衛隊が地域で最も有効な軍事パートナー、トルコ自身のクルド地域を不安定にできる、アンカラがテロ集団と見なす集団と見なしている。
トルコは、アメリカがクルド独立カードを使う選択肢を維持していることも懸念している。自立した、あるいは独立したクルドの国を推進するのは、クルド人人口が多数いる四カ国、イラン、シリア、イラクとトルコを不安定化し、弱めるだろう。イスラエルは、このような政策を支持する可能性が高く、アメリカ政策当局は、シリアを公然と分裂させる考えで動いている。
トルコでの2016年7月クーデターの企みの背後にいたと言って、トルコ当局は既にワシントンを非難している。エルドアンは、大西洋主義・ギュレン主義者、約140,000人の公務員と30,000人の軍人を追放して、それに対応した。要するに、トルコ内の多数の親米NATO政府支持者は消え去ったのだ。ジョン・ボルトンに導かれたアメリカのネオコン・タカ派の陰謀団が、この粛正とロシアに友好的な政策に対して激怒し、2021年に、アンカラでの政権交代を狙う「トルコ民主主義プロジェクト」を立ち上げた。それで関係の悪化は継続している。
「NATO-同盟国」トルコの言葉は未曾有だ。アンカラはシリアのクルド人と提携して、トルコに対するテロを支持したと言ってアメリカを非難し、アンカラはワシントンがシリア領域の占領を終わらせて、撤退するよう要求している。
ロシア-トルコ和解に向かって?
シリアの対立の複雑さはどんなロシア-トルコ合意も困難にするが、それでも誘因は存在している。ロシアは対シリア戦争の終わりと、政府の領土支配の回復を切望している。一方トルコは、シリアのクルド問題が解決されるのを望んでおり、シリアの領土主権の確保を達成するには、これが最良だと考えている。国内的には、トルコ大衆と巨大なシリア難民共同体の間に緊張があるが、紛争を終わらせることで解決できる。さらに、トルコはシリア政府が近い将来奪還しようと努める可能性が高い地域イドリブで代理勢力として利用しているジハード戦士を抑え、飼いならすことができていない。
アメリカの軌道から離し、ロシア影響力圏へアンカラを移行させようと試みるモスクワについてのワシントンの言説は、権力が多極化する国際傾向を正当に評価し損ねている。冷戦の二極性は去って久しく、アメリカに率いられた軍事同盟から、ロシアに率いられた同盟に移行することをトルコは考えていない。むしろ、トルコは多極体制の中で、自由に動ける国として確立し、全ての主要諸国と関係を持とうとしている。ロシアも覇権を追求する能力も意志も、いずれも持っていない。
ロシアの大ユーラシア・パートナーシップ構想は、反覇権プロジェクトとして概念化されたものだ。ロシアは、中国との協力で、大ユーラシアの諸大国が彼らの経済の接続性を多様化することができるようにすることで、アメリカの野心に対抗することを目指している。独立した多角的外交政策というトルコの野心は、NATOを含め、冷戦ブロック政治を置き換えることが可能な大ユーラシア・パートナーシップ構想で容易に受け入れ可能だ。
大ユーラシア・パートナーシップ構想に従ったロシア-トルコ大協定は実現しないかもしれないが、かつての単極秩序は、もう一つの悲惨な政権転覆戦争のため急速に崩壊しつつある。
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ノルウェーUniversity of South-Eastern教授で Russia in Global Affairs 編集者Glenn Diesenによる記事。ツイッター @glenn_diesenで彼をフォローする
本欄で表明される声明、見解や意見は単に著者のものであり、必ずしもRTのものを意味しない。
記事原文のurl:https://www.rt.com/russia/537042-russia-turkey-partnership-syrian-conflict/
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日本記者クラブ 講演と質疑、合計1時間50分。
ネット工作スキャンダル。
LITERA
ネトウヨDappi運営との取引を報じられた自民党ダミー法人の実名! 岸田首相、甘利幹事長が代表、いまも自民党から年間4000万円
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