嵐の前の静けさ。世界は間もなくアフガニスタン難民に圧倒される
2021年8月27日
ドミトリー・ボカレフ
New Eastern Outlook
2021年8月16日、世界中がカーブルからのぞっとするような映像にぼう然とした。現地の人々は、国から出ようと苦闘し、(ロシアで禁止されている)イスラム主義テロリスト運動タリバンに制圧されたアフガニスタンを去るため、何とか乗り込もうとして米空軍飛行機を追って走る。ワシントンの失敗した政策は、アフガニスタンからの難民の大規模な流れをもたらしている。タリバンは、全ての国民が今生きることを強いられるアフガニスタンの新法を命じている。自身の安全を危惧して、4000万人のアフガン住民の大部分が国を去ることを望んでいる。一部の国々の代表は、既にアフガン難民を受け入れる準備ができていないと宣言し、他方、一部の国の指導者は、既に、国を去るよう強いられた人々を助けるプログラムを開発している。
2021年8月、アフガニスタンの大部分の支配を掌握したタリバンは、彼らのシャリア法の理解に基づいて、市民権と自由を大幅に制限している。多くの日常のものごとが禁止された。タリバンは音楽を認めないので、国歌は違法とされた。シャリアの下で、高利貸しは恥ずべきことと見なされて、銀行制度全体が禁止令下におかれた。女性に、働き、大学レベルの教育を受ける権利を与えるよう一部の譲歩をするとタリバンは約束するが、多くのアフガニスタン人は、まだこの組織を信頼していない。多くの市民が、このような声明をすることで、海外大国が彼らをテロリスト運動と見なすのをやめるよう、タリバンが世界共同体の目から自身をごまかそうとしているに過ぎないと信じている。現地の一部の人々によれば、タリバンによるアフガニスタン掌握で増加した世界的注目が減少すれば、彼らは再び厳しい抑制策を制定し、彼らの標準に従って生きるのに同意しない人々を迫害し始めるだろうという。
2021年8月20日、タリバンがカーブル空港へのアクセスを完全に封鎖しているというメディア報道があった。国を去ることを望むアフガニスタン人が、この施設に入るのを、テロリストが阻止している。2021年8月後半の時点で、何万人というカブール住民がアフガニスタンを去ろうとしている。米軍兵士が群衆を止めるため警告弾を発射している。米軍は報道によれば、介護犬に、彼らが戦争を始めた国の難民より快適な飛行機座席を与えた。彼らはタリバンによる報復を恐れて、アメリカ部隊に協力した多くのアフガニスタン人が特に国を去ることを切望している。だが、アメリカは全てのアフガン難民を受け入れる準備ができていない。
アフガニスタン人に対するワシントンの姿勢は、アメリカの同盟者や友人たちは「飛行機にしがみつかないだろう」と述べたリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使の言葉で最も明らかかつ鮮やかに実証される。ワシントンは、アフガニスタンから軍隊を撤退させ、公式に、アフガニスタンで「民主主義」を確立するどんな計画も断念し、友人・同盟者リストから横線を引いて消したのだから、これらの言葉に何も驚くべきことはない。これは、アメリカ国内に、これまでの攻撃的政策と相反する多くの内部抗争があることが主な理由だ。米国経済が弱まっていることも、重要な役割を演じている。
アラブ首長国連邦(UAE)の通信機関が、UAEが一時的に、タリバンによるアフガニスタン掌握に関連して、米空軍が避難させたアフガニスタンからの約5000人の難民を受け入れると報じた。UAE内の「主なアフガン難民」は前アフガン大統領アシュラフ・ガニだと表現できる。メディア報道によれば、前大統領は大金を持って国から逃げた。UAE外務省声明によれば、アシュラフ・ガニは「人道的理由」で滞在している。前大統領はアフガニスタンに戻ると約束したが、このようなシナリオはありそうもない。ガニは、健康状態が優れず、高齢で、アフガニスタン人の間での支持率は比較的低い。
EU加盟国は、多くのEU加盟国が、まだコロナウイルス流行と戦うため、比較的強い抑制策をしいているという口実で、アフガニスタン難民受け入れ乗り気でない。彼らが既に、シリアとイラクから多くの難民を迎え入れたため、一部のヨーロッパの国々はアフガニスタン人を受け入れる準備ができていない。ヨーロッパを助けるようにという申し出がトルコのレジェップ・エルドアン大統領に対してされたが、トルコは難民の波を緩和するために十分努力していると言って、拒絶された。エルドアンは、彼の国を「アフガン移民のヨーロッパの倉庫」に変える意図はないと言った。アメリカと同盟する多くのヨーロッパ諸国が、最初にアフガン戦争に関与し、次にワシントンと共に、アフガニスタンから彼らの軍隊を撤退させたのだから、トルコ大統領の立場は理解できる。
2021年8月21日、コロンビアのイバン・ドゥケ大統領は彼の国が、間もなく、アメリカ合州国に送られるアフガニスタン難民を一時的に受け入れる準備ができていると発表した。だが、この国家指導者は、難民の正確な人数をあげなかった。ワシントンは自身、兵站上の費用を負担すると約束した。アフガン難民がどれほど長期間コロンビアに滞在するか、彼らの滞在がどれだけ国に負担をかけるか、アメリカが彼らに補償するかどうかは未決の問題だ。
世界最大のイスラム教住民がいるインドネシアでは、Geutanyoe財団が、国民に、深い思いやりを見せて、アフガニスタン難民に手を貸すため、できる限りのことをする準備を整えるよう助言した。アフガニスタン難民の一部が彼らの国に到着する可能性が高い。一部のインドネシア人が、当局に難民支援に関与するよう求めている。
結論として、世界は間もなく、アフガニスタンからの難民の波によって引き起こされる、どちらかと言うと厳しい人道危機に直面しなければなるまい。進行中のコロナウイルス流行を背景に、これは国際社会にとって大きな難題だ。それは他の国々にとっても、時に自身と協力者に、非現実的な目標を設定するワシントンの軍事冒険が、無辜の人々をどのように襲うことになるかという典型例になるだろう。
ドミトリー・ボカレフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
----------
強引に自分の主義を押しつけるアメリカと、決して自分の価値観を押しつけず、あくまでも現地の必要性にそって支援する中村哲氏の違いが良くわかる素晴らしい報告。
観戦して感染。
パラ学校観戦の引率教諭感染の中学校でクラスター発生 千葉市
国営放送で陰謀論批判番組 ダークサイド・ミステリー「なぜ人は陰謀論にはまるのか」を見た。エセ・プロパガンダを確認するために。日本人学者二人とアメリカ人学者一人が陰謀論否定を押しつける期待通りの愚劣番組。案の定アフガニスタン侵略、イラク侵略の原因となった9/11も題材に。公式説明を否定するのは陰謀論だと。
陰謀論は政府の秘密から生まれる 検索エンジンによって隠蔽されている。Paul Craig Roberts氏では
« アフガニスタンの大失敗:彼らはいつになったら学ぶのだろう? | トップページ | プロパガンダこそ我々の全ての問題の根源:言説のマトリックスの端からのメモ »
「アフガニスタン・パキスタン」カテゴリの記事
- 9/11:未だ治療法のないアメリカの病(2024.09.18)
- ガザの地獄:新新世界秩序戦略(2023.11.13)
- パキスタンはなぜ、どのようにウクライナを支援しているのか?(2023.03.02)
- ベトナム戦争にもかかわらず依然教訓を学ばないアメリカ(2023.02.08)
- 中国がタリバーンと5億4000万ドルのエネルギー取り引きをした理由(2023.01.09)
「アメリカ」カテゴリの記事
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
- 熟練専門家を前線に派兵して、戦争遂行努力の失敗を示しているウクライナ(2024.11.26)
- ネタニヤフに対するICC逮捕令状はアメリカの政策と共謀に対する告発でもある(2024.11.27)
「NATO」カテゴリの記事
- ガザについて連中は嘘をつき、シリアについても嘘をついている(2024.12.03)
- 対シリア戦争を再燃させるアメリカと同盟諸国(2024.12.02)
- ロシアとの戦争でアメリカが負ける理由(2024.12.04)
- ロシア新形ミサイルが、いかにゲームを変えつつあるのか(2024.11.29)
- 欧米帝国主義は常に嘘の溜まり場だったが、今やメディア・トイレは詰まっている(2024.11.30)
« アフガニスタンの大失敗:彼らはいつになったら学ぶのだろう? | トップページ | プロパガンダこそ我々の全ての問題の根源:言説のマトリックスの端からのメモ »
コメント