孟晩舟釈放は中国にとっては小さいが決定的な勝利
2021年9月25日
Moon of Alabama
アメリカはファーウェイCFO孟晩舟の人質を終わらせる中国の要求に屈服した。
金曜日、アメリカ・中国政府間の論争でカナダと国民二人を巻き込んだ法的年代記の新段階として、中国ハイテク企業幹部孟晩舟が搭乗していると思われる飛行機がバンクーバー空港から離陸した。
金曜日、ファーウェイ最高財務責任者が、アメリカ政府との訴追延期合意に達した後、ブリティッシュコロンビア州法廷は孟に対する強制送還裁判を取り下げると決定した。
金曜夜、バンクーバーでの孟逮捕からほんの数日後、中国で拘留されたカナダ国民二人、マイケル・スパバとマイケル・コブリグは今カナダ帰国途上にあるとジャスティン・トルドー首相が認めた。
イランの現地会社とファーウェイの関係で、昔アヘン貿易利益送金のため設立されたHSBCを悪用したとアメリカは孟晩舟を非難していた。これが、アメリカのイランに対する一方的制裁のHSBCによる違反に導いたのだとアメリカは主張していた。
これは、孟晩舟自身は決して編集していなかった長いパワーポイント・スライドショーの一ページの言葉遣いという唯一の証拠から、でっちあげられた犯罪だった。
訴追延期合意は、それを認めているように思われる。
米連邦検察当局との合意の一環として、金曜、孟は法廷で複数の詐欺罪に対し無罪を主張した。
ファーウェイ最高財務責任者は、ニューヨーク法廷へのヴァーチャル出廷の際、無実を申し立てた。彼女は二年半以上前の銀行不正行為、有線通信不正行為の罪で告訴されていた。
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金曜日、アメリカ法廷出頭で合意された陳述書は、実際にはファーウェイ子会社だったのに、アメリカ制裁に違反して、イランで活動している会社は、ファーウェイの「現地パートナー」だと、孟は、世界規模の金融機関に言ったと述べた。
訴追延期合意には、いかなる不正行為の自白もなく、事実に関する合意だけだった。
当時ドナルド・トランプ大統領の下で国家安全保障担当補佐官だった時に、ジョン・ボルトンが、この告訴全体を組み立て、逮捕を手配したのだ。
ボルトンや、同じ考えのアメリカ政府幹部は彼らがカナダに依頼していた逮捕の重大さを十分意識していたと、トルドーの顧問は述べた。この顧問と国家安全保障担当幹部は彼らが司法省とカナダ連邦警察隊が身柄引き渡し要求を受け入れるはずだと考えて、孟女史逮捕にカナダを使うようアメリカを説得し、ぎりぎり最後の殺到でそうしたと述べた。
トランプは、そこで、中国との貿易戦で孟晩舟を交渉の切り札として使ったのだ。
トランプは中国との貿易協定を、ファーウェイとアメリカ政府の合意解決と関連づけたのだ。彼は交渉最終段階で、貿易協定上でのファーウェイの役割を考慮すると言っていた。裁判書類には、こうある。
・・・
「本訴訟手続きの公正さへ偏見は、(孟)の自由は、彼がこれまでで最大の貿易協定と考えるもので効果的な交渉の切り札だという大統領が繰り返した主張に基づいている。」
カナダが孟晩舟を逮捕するアメリカの要請に従ったほんの数日後、中国が二人のスパイを逮捕したので、事件はカナダにとって大いに頭痛の種になった。カナダはマイケル・スパバとマイケル・コブリグがスパイ活動をしていたことを否定した。だがカナダの主要諜報機関、カナダ安全情報局は職員の釈放を歓迎した。
7月に中国を訪問した際、アメリカのウェンディー・シャーマン国務副長官は、アメリカに更に協力する前に解決するよう中国が要求する2つの問題リストを渡されていた。
「止めるべきアメリカの悪行リスト」で、中国は、中国共産党(CPC)員と彼らの家族に対するビザ制限を無条件に取り消し、中国指導者や当局者や行政機関への制裁を取り消し、中国人学生のビザ制限を解除するようアメリカに促していた。
中国は、中国企業を抑圧するのをやめ、中国人学生への嫌がらせをやめ、孔子研究所を弾圧するのをやめ、「海外工作員」あるいは「外国派遣使節団」としての中国放送局の登録を取り消し、孟晩舟の身柄引き渡し要求を取り消すようアメリカに促した。
中国は孟晩舟問題の終わりを勝利と見ている。
グローバル地政学の光景に大きな影響を与える政治的ジレンマとなり注目を集めた孟の事件は、法律上のチャンネルと政治的レスリングの両方を通して解決されたと専門家たちは言い、問題解決の上で、バイデン政権による多くの妥協により、中国、アメリカとカナダは最良のシナリオを得たと指摘した。それは、緊張した中国-アメリカ関係で、近い将来、世界最大の経済大国間の前向きな相互作用への道を開くのにも役だったのだ。
これは、中国が7月、天津での二国間交渉の際、孟を釈放するよう促す「止めるべきアメリカの悪行リスト」を含む二つのリストをアメリカに渡し、中国の要請に従って修正されたアメリカ政権の一つの間違いでもあるが、それは、北京のアメリカ政策が効き始め、残りのアメリカの間違いも修正されなければならないことを示している。
だが評論家ペーペ・エスコバールは孟晩舟釈放が多くを変えるとは思っていない。
ペペ・エスコバール@RealPepeEscobar-2021年9月25日UTC11時49分
孟晩舟
-刑事訴追を装った政治的誘拐
-ファーウェイ悪魔化の一環
-約3年間の違法拘留
-えん罪
-司法省は身柄引き渡し要求を取り下げなければならなかった
-ハイブリッド戦争は継続する
中国に対するアメリカの攻勢が継続することには私も同意するが、私はこれを中国の勝利と見る。中国はアメリカが中国に対して使用していた武器の一つを無効にした。今後はどこの国も、アメリカによる中国国民逮捕要求に従わう危険はおかすまい。
取り引きの明白な敏速さは、中国政府は他国籍市民の取り引きで大胆になり得るという他の国々の指導者への警告になるとジョージ・ワシントン大学法科大学院の中国専門の法律学教授ドナルド・C・クラークが述べた。
「彼らは、これが、あからさまな人質ではないという見せかけさえ全くしていない」と彼は、スパイのかどで裁判を受けた2人のカナダ人について言った。スパバは先月11年の禁固刑を宣告され、コブリグは3月の審理後、事件の評決を待っていた。
「ある意味で、中国は未来のこのような交渉で立場を強化した」とクラーク教授が言った。「あなたが彼らが欲するものを与えれば、彼らは合意に従って渡すと、彼らは言っているのです。」
アメリカは、カナダ経由で孟晩舟を人質として捕らえた。中国は、それを模倣して、カナダ国民二人を人質として捕らえ、より弱い権力に圧力をかけたのだ。中国はカナダのキャノーラ油と豚肉輸入を止めた。カナダの経験を繰り返したいと望む政府はあるまい。
それは機能し、中国の人々は結果に満足している.
現場は愛国心の雰囲気に満ちていた。孟は短い演説後、人々と歌唱祖国を歌いながら、にっこり微笑み、彼女を歓迎するため中国国旗を持った空港の群衆に手を振った。
孟が中国税関の要請で防疫検査を受けるためバスに乗った後も、人々は歌っていた。
中国の、この港湾都市は、COVID-19に対する厳しい防疫措置を採用しているので、空港の駐機場で待っていた防護服を着た人々の集団が花と歓迎の旗を持っていた。先に現地メディアは、孟は到着後、14プラス7日間の検疫隔離に従うと予想されると報じていた。
だから、これは実際勝利だが、遙かに大きな戦いがある可能性が高い戦争の小競り合いだ。
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相撲が終わったので、昼テレビを見ることがなくなった。代わりに、パソコンにスピーカーを接続し、音楽を聴いている。
昨日は下記番組を拝聴。
UIチャンネル
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