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2021年8月22日 (日)

東南アジアに提供できるものが、ほとんどないアメリカ

2021年8月16日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 最近のフィリピン、ベトナムとシンガポールという東南アジア歴訪で、ロイド・オースティン米国防長官は、数年間、休止後の、この地域へのアメリカ再関与の青写真と呼ぶことができるものについて概説した。極めて印象的に明確になる一つのことは、アメリカが、東南アジアで生き残るためには中国が必要だということだ。だが、アメリカは、中国を友人や支援者としてではなく、この地域で米軍の有用性を宣伝するために、ワシントンが悪者扱いできる敵として必要なのだ。シンガポールでのフラートン連続講義で、約20年で初めて、国防長官が行った演説で、オースティンは、中国がこの地域が、アメリカを必要とし、アメリカが、世界的競争相手と戦うために、この地域を必要とする理由を正当化するために、中国を標的にした。聴衆に向かって、オースティンはこう述べた。「私は我々共通の安全保障が依存している同盟諸国やパートナーとのアメリカのきずなを深めるために東南アジアに来ました。」。オースティンが後で説明したように、想定される「共通の安全保障」に対する唯一の脅威は北京から来るのだ。彼の言葉を引用しよう。

 「南シナ海の大半に対する北京の権利主張は国際法上、根拠がありません。その主張は地域諸国主権を踏みにじるものです。平和に論争を解決し、法による支配を尊重することへの北京の意欲のなさは、海だけの問題ではありません。インドに対する侵略、台湾の人々に対する不安定化する軍事活動や、他の形の強制や、新彊のウイグル族スラム教徒に対する大量虐殺と人類に対する犯罪を我々は目にしています。」

 だが、オースティンがASEANに、中国からの保護を約束したが、この地域は、そういう保護を必要としないことは依然変わらないのだ。ワシントン政策当局は、中国を追い出すため、この地域は今すぐアメリカの手助けが必要だという仮定で動いているように思われる。だが、これは全く事実ではない。東南アジアの大半の国にとって、中国は不必要に反感を買うのを望まない、避けられないパートナーなのだ。この地域には領土問題があるが、ASEANには、アメリカの助けを借りて、軍事的に北京と対決する願望はないのだ。問題が未解決のままであり、東南アジアの関係する諸国にとって解決する必要があるが、それを実現するための望ましい手段は(中国が好む)中国との直接の二国間交渉か、(中国が全く意に介さない)法に基づく調停に頼るかだ。これらの選択肢が、彼らの公式出版物や声明でさえ、ASEAN諸国が、敵国として、中国に言及しない理由の説明だ。

 それはアメリカにとって深刻な難題だ。アメリカは、中国に対して、それを使用することがありそうもない国々に、軍事支援を提供するのに熱心なのだ。東南アジア諸国が、アメリカとの経済的かかわり合いを望んでいるのは否定できないが、明確な経済戦略が欠如しているため、ワシントンの選択肢は更に減る。オースティンは、予想通り、この地域との、より深い経済的かかわり合いで、信用できる明白な実行可能な構想を提示しなかった。それどころか、歴訪の主な焦点は、四カ国戦略対話を活性化させ、拡大さえすることを含め、いわゆるアメリカ同盟諸国への、中国に対するワシントンの防衛提供の再確認だった。オースティンは、こう述べた。「ASEANは、中心的役割を演じるの、我々はこの地域での補完的仕組みに焦点を当てています。三月、最初のクアッド指導者サミットを主催するのを、バイデン大統領が、どれだけ喜んでいたかを私は知っています。そしてクアッドのような構造は、この地域の安全保障構造を一層耐久性のあるものにします。」

 この地域に、より深い経済的関与を提供する計画は著しく欠如している。この地域における中国の最強の力は「独裁主義」とされるものではなく、経済的関与であり、ASEANが、中国と軍事的に対決するのを望まず、北京との経済的な結びつきを破棄することも目指していない一つの重要な理由であることをアメリカは理解し損ね続けている。経済活動領域に関して一層効果的に競争するワシントンの能力は、環太平洋経済連携協定貿易協定からのドナルド・トランプ前大統領の脱退で損なわれたが、バイデン政権は長期的多国間貿易や経済接続性体制を発表したり、考え出したりしなかった。それどころか中国と違い、アメリカは東南アジアが提案した世界最大の貿易協定、東アジア地域包括的経済連携も離脱した。

 冷戦心理を根源とする軍事競争に取りつかれているワシントンは、中国が、この地域で既に十分に発展させた貿易地理関係を提供できない。従って、アメリカが申し出る再保証が、中国からASEANを成功裏に独立させる可能性は、ほとんどない。例えばASEANは、Covid-19流行にもかかわらず、貿易量は、7319億ドル、前年同月比で7パーセント成長し、2020年、中国最大の貿易相手国になっている。2019年、それと対照的に、ASEANへのアメリカ輸出は、わずか861億ドルだ。

 この地域の国々が対立よりも貿易と経済が好きなことが、この地域の指導者が中国を批判しない理由だ。例えば、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、最近の一般教書演説で、自身を「習主席の良き友人」と言った。「コロナ流行が襲った際、私が助けを求めて電話をした最初の国は中国だった」とドゥテルテは言った。彼は習主席にフィリピンは、ワクチンがなく、開発することもできないと言ったことを想起した。習主席は、即座に150万回分を送って答えた。

 ASEAN諸国は、ワシントンの政策立案者と異なり、協力分野を危険にさらしたり、不安定化したりせずに、相違や論争に対応可能な北京との結びつきを発展させることができたのだ。オースティンは、アメリカは、ASEANがアメリカ、中国、いずれかを選択するのを望まないと述べたが、この姿勢は、アメリカは、彼らに中国とのつきあいの深さを再考させるため、この地域に提供できる信頼に値する代替策を持っていないことを証明している。オースティンはこう結論した。「我々は、あらゆる場合と、あらゆる機会に、対立を確実に阻止したいと望んでいる」。つまり、アメリカ自身は、経済的に、この地域に浸透するため、地域で利用可能な好機が見えていないのだ。アメリカがすることが可能で、している全てのことと言えば、自身の軍産複合体を支援するため、アメリカの軍事資源をASEANに売るべく「中国脅威論」を誇張することだけだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/16/the-us-has-little-to-offer-to-southeast-asia/

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視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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