アフガニスタン:アメリカの国家的当惑の瞬間
2021年8月19日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
2021年8月15日、アフガニスタンの(ロシアで活動禁止されているテロ集団)タリバンによるカーブル占領成功で、アメリカ人の何百万人もが「テロを終わらせる」ための「対テロ戦争」だと信じたものは、ほぼ20年後、アフガニスタンにおけるアメリカの20年の大失敗を、きまりの悪い終わりに至ったのだ。タリバンの究極的な成功は決して意外ではなかったが、20年間、米軍とNATOに資金供給され、訓練され、助言され、率いられた軍が、数週間持たなかった事実は、アメリカ軍の全体的能力について、いくつか真摯な疑問が投じられることを意味する。強く、能力があり、戦いにしっかり備えた保安部隊を構築するのは、オバマ政権の「アフガニスタン任務」の基本目的の一つだったが、75,000人強のタリバン勢力に直面しての完全崩壊は、2001年以来、アメリカの四政権(ブッシュ、オバマ、トランプとバイデン)全てが断固とした「アメリカの勝利」について、していた主張が全く空虚だったことを示している。撤退と崩壊は、ベトナム以来、アメリカの戦争の奇妙な特徴になった、きまり悪い撤退だ。だがアメリカで、この当惑を隠すための主張のでっち上げは決して止まらない。
「アメリカ製」アフガニスタン安全保障機構がアフガニスタンで崩壊しつつあり、タリバン勝利が大いに明らかに見えるのに、バイデンは、カーブルには、資金十分な、アメリカが構築した保安部隊がいるから、タリバンがアフガニスタンを攻略するのは不可能だと断固主張した。7月8日、「タリバンが、あらゆるものを制圧し、全土を占領する可能性は到底ありそうにない」とバイデンは言い張った。タリバンによる権力奪取は「必然的なものではない」と強調し、バイデンは次のように言って、またもや、ウソをついた。
「アフガニスタン軍には良く装備された300,000人を兵士がいる。世界のあらゆる軍並で、75,000人ほどの勢力に対して、空軍もある。必然的なものではない」…。「私は戦争を行う上で、良く訓練され、良く装備され、より有能なアフガニスタン軍の能力を信頼している。」
タリバンが、バイデンが間違っているのを証明し、アメリカの20年にわたるアフガニスタンでの「建設的関与」の偽善を示すには五週間しかいらなかった。だがアメリカは、撤退と、彼らが直面している屈辱を正当化する(ばかばかしい)方法を見いだした。バイデン政権にとって、アフガニスタンにおける戦争の究極の目的は、ブリンケンが主張したように、オサマ・ビンラディンの排除と、(ロシアで禁止されている組織)アルカイダ打倒することだった。ビンラディンは2011年に殺害されたといわれているが、アルカイダがアフガニスタンで打倒されていないことは依然変わらない。
最近の国連安全保障理事会報告によれば
「アルカイダ(QDe.004)指導部は、何百人もの武装した要員と共に、アフガニスタンに存在したままで、インド亜大陸のアルカイダや、タリバンと提携する外国のテロ戦士集団も。タリバン、特にハッカニ・ネットワーク(TAe.012)とアルカイダの関係は、友情、戦いを共有した歴史、イデオロギー的共感や通婚に基づいて、親密なままだ。タリバンはアメリカとの交渉中、定期的にアルカイダと相談し、彼らの歴史的結びつきを重んじると保証している。アルカイダは、この合意に前向きに反応し、信奉者の声明で、タリバンの大義の勝利で、それゆえ世界中の戦士のためだと祝っている。」
すると、アメリカは、2011年5月に、パキスタンの守備隊の街アボッタパードでオサマ・ビンラディンを殺害したこと以外、アフガニスタンで一体何を達成したのだろう? アメリカの戦争機構は、何十万人もの人々を死なせ、何百万人も強制退去させ、国を破壊し、アフガニスタンの人々に平和と繁栄の偽りの希望を与えるのに成功したのだ。
大失敗という条件を考えると、次の質問を問う必要がある。アメリカは依然「自由世界」の「指導者」だと主張できるのだろうか? イラクにおけるアメリカ戦争後の混乱は、ISISの出現や何百万人もの死や強制退去や、9/11事件から20年後、権力の座へのタリバン復帰をもたらし、ワシントンとブリュッセルに集中した地球規模のアメリカ(と西洋の)政治モデルの実行可能性とされるものに深い疑いを投げかけている。実際、アフガニスタンでのアメリカ/NATO敗北は、ロシアと中国両方が主張していたルールに基づく地球規模の政治モデルへの移行を要求している。
バイデン政権にとって、この敗北と当惑は、「アメリカ・ファースト」でトランプ時代後に、崩壊した後、世界の舞台に「アメリカが戻った」ことを証明するのに大いに苦労することを意味する。アメリカの北京とモスクワとの競争と、世界的ライバル関係拡大する中、その重要性は最高だ。アフガニスタンでの明確な軍事的敗北の後、東南アジア諸国、全体ASEANが、アメリカが「中国脅威論」と呼ぶものに取り組むため、アメリカと軍事的に同盟することが可能だろうか?
アメリカはアフガニスタンでの戦争を正当化するため、アルカイダのウソを売ったが、アルカイダを完全に殲滅せずに、アフガニスタンを去った。アメリカは今日「中国脅威論」を売りこんでいるが、2001年にロシアと中国さえ「対テロ戦争」を支持した時に、かつてあった信頼性のレベルに欠けている。それどころか、アメリカの失敗は、アメリカの介入に対抗する国々にとって、アメリカの力が明らかに凋落しており、ワシントンの誓約は信用できないことを強調する好機なのだ。
例えば、ジョー・バイデン政権が撤退を発表したとき、アメリカはアフガニスタンを「捨てない」とアシュラフ・ガニに「保証した」。それでも、バイデン政権が達成した/する全てと言えば、2001-02にタリバンの「イスラム首長国連邦」を解体した後、自分が直接作った体制の組織的放棄だ。
主要な防衛同盟国として、世界は依然アメリカに国際的指導力を期待すべきだろうか? アメリカが今まで彼らに売りこんできた脅威に対して自身を守るために、アメリカの支援を当てにしようと望む国々に、困難で、深く、長い熟考の瞬間が到来したのだ。
アフガニスタンの完全な崩壊は「敗北」ではないというバイデン政権の主張は、アフガニスタン現地の現実を変えるまいし、アメリカを更に「信用できる、頼りになる」ものにもするまい。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/08/19/afghanistan-america-s-moment-of-national-embarrassment/
----------
【横田一の現場直撃 No.125】横浜、大差の結末/菅の落日、どうなる永田町/東京崩壊、小池の支離滅裂 20210823
デモクラシー・タイムス 49:58
アメリカで25年間にわたり医療経済学・政策研究をされた兪炳匡医師が、感染症対策の基礎の基礎、PCR検査強化を主張しておられる。蛇口から出る水が、鍋に、そこから溢れて、さらに大きな鍋へ流れ落ちる図で、発生源の蛇口をしめる、つまりPCR検査をしなければ、溢れつづけますと。PCR検査による隔離が国際標準なのに、緑の奪衣婆も厚労破壊大臣も、PCR強化を決して言わない。
まともな提言をする官僚をとばし、ごますりヒラメ官僚のみを重用し、裸の王様状態が、横浜市長選で醜態をさらした。次は本人がそうなるよう夢見る。
日刊ゲンダイDIGITAL
日刊IWJガイド 明日は白井氏インタビュー
【タイムリー再配信 979・IWJ_YouTube Live】20:00~「『人文科学が光る時は、乱世。これから、宗教、哲学など、人文系が注目される時が来る』 ~内田樹氏と白井聡氏、人文系学部廃止の危機に警鐘!」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured2015年10月に収録した、京都精華大学人文学部主催の「内田樹×白井聡 対談『この危機に臨んで人文学にできること』」を再配信します。これまでIWJが報じてきた大学教育関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%a7%e5%ad%a6%e6%95%99%e8%82%b2
« 20年間にわたる武力侵略の付けの清算を強いるアフガニスタン難民 | トップページ | アフガニスタンの大失敗、ザルメイ・ハリルザドとグレート・リセット »
「アフガニスタン・パキスタン」カテゴリの記事
- 9/11:未だ治療法のないアメリカの病(2024.09.18)
- ガザの地獄:新新世界秩序戦略(2023.11.13)
- パキスタンはなぜ、どのようにウクライナを支援しているのか?(2023.03.02)
- ベトナム戦争にもかかわらず依然教訓を学ばないアメリカ(2023.02.08)
- 中国がタリバーンと5億4000万ドルのエネルギー取り引きをした理由(2023.01.09)
「911事件関連」カテゴリの記事
- 9/11:未だ治療法のないアメリカの病(2024.09.18)
- ガザの地獄:新新世界秩序戦略(2023.11.13)
- 地図からパレスチナを一掃するイスラエルの卑劣な好機(2023.10.24)
- ワシントンの悪魔全員こちらに勢揃いで地獄はもぬけの殻(2023.06.14)
- ウクライナ・ナチス・ウェブサイト、ミロトヴォレツについて ファイナ・サヴェンコワ(2022.09.11)
「アメリカ軍・軍事産業」カテゴリの記事
- 9/11:未だ治療法のないアメリカの病(2024.09.18)
- 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権(2024.09.16)
- アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補(2024.09.16)
「NATO」カテゴリの記事
- 当面ロシアへの長距離攻撃を行わないと決定したバイデン政権(2024.09.16)
- アメリカ大統領選討論会の妄想:戦争党という一つの党の二人の候補(2024.09.16)
- ウクライナ - 対ロシア新テロ作戦を推進するCIA/MI-6長官(2024.09.14)
- まだ分かっていないドゥーロフ(2024.09.17)
« 20年間にわたる武力侵略の付けの清算を強いるアフガニスタン難民 | トップページ | アフガニスタンの大失敗、ザルメイ・ハリルザドとグレート・リセット »
コメント