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2021年7月 8日 (木)

9月11日、国防長官としての「職務怠慢」のかどでドナルド・ラムズフェルドは有罪か

ロバート・ブリッジ
2021年7月4日
Strategic Culture Foundation

 職歴上これまでになくラムズフェルドの存在が必要だった時、彼は戦闘中行方不明になっていた。9/11事件の朝、彼は正確に一体何をしていたのだろう?

 多くの人々が9月11日の出来事に関して問う一つの疑問は、四機の動きの鈍い商用ジェット機が、思うままアメリカ領空を飛行する中、なぜ米空軍は、90分以上、戦闘中行方不明になっていたかだ。今ドナルド・ラムズフェルドが88歳で亡くなり、世界は決して知ることがないかもしれない。

 9/11事件発作以前は、蚊でさえも、途中で迎撃されるか、たたき落とされずにはワシントンD.C.のアメリカ領空に侵入できなかった。決定的な火曜日の朝、一体何がまずくいったのだろう?その質問に答えるには、フロリダに小学生のクラスを訪問して、指揮権外にいたジョージ・W・ブッシュ大統領の次、軍司令部で二番目に偉いドナルド・ラムズフェルド国防長官の行動と非行動を見る必要がある。

 ラムズフェルドは国防長官として、ハイジャックの場合連邦航空局[FAA]と調整する責任があるを国家軍事指揮センター[NMCC]の責任を負っていた。だが職歴上これまでになくラムズフェルドの存在が必要だった時、彼は戦闘中行方不明になっていた。9/11事件の朝、彼は正確に一体何をしていたのだろう?

 9/11事件委員会報告によれば、午前9時頃、アメリカン航空11便が世界貿易センター北タワーに激突した直後「ラムズフェルド長官は連邦議会議員の集団と国防総省で朝食をとっていた。彼はそれから日次諜報活動ブリーフィングのため執務室に戻った。長官はブリーフィングの間にニューヨークで2番目の攻撃[午前9時03分]を知らされた。彼は更なる情報を待ち受ける間、ブリーフィングを再開した。」

 様々な人々が、二番目の飛行機が世界貿易センターに激突したというニュースの後、国防長官に朝の予定をキャンセルすべきだと主張した。それでもラムズフェルドは彼らの必死の嘆願を拒否した。アメリカが攻撃を受けているのが明確になった後、ラムズフェルドと会った最初の人物は毎朝国防長官に諜報活動報告する責任者のCIA職員デニー・ワトソンだった。午前9時03分、ワトソンはラムズフェルドの執務室の待合室にいて、二機目の飛行機が南タワーに衝突するのをテレビで生で目撃した。その直後、彼女は執務室に呼び入れられ、明らかに目下の喫緊の問題があると知って、大統領日例ブリーフィング[PDB]書類を、鞄から、あえて取り出そうとしなかった。「閣下、あなたは、これを中止する必要があります」と彼女は、デイビッド・プリースの著書「The President’s Book of Secrets」で引用されているように、執務室に入るや否やラムズフェルドに言った。「あなたには、より重要な仕事があります。」だが、ラムズフェルドは会議を進めることを強く主張した。「いや、いや、我々はこれをするんだ」と彼は彼女に言った。

 国防長官が大統領日例ブリーフィング書類PDBをパラパラめくる中、ワトソンは信じられない思いで座っていた。

 ワトソンはラムズフェルドに緊急事態を印象づけようとした唯一の人物ではなかった。広報業務担当国防次官補ヴィクトリア・クラークは、2006年の著書Lipstick on a Pigの中で、二機目の飛行機の衝突後、彼女は直接ラムズフェルドの執務室に行ったと書いた。「我々二人がラムズフェルド長官の執務室に入り、彼に危機管理プロセスが始まったと言った。彼はいくつか電話をしたいと望んだ。」ラムズフェルドは、クラークにExecutive Support Center(ESC)に報告し、彼を待つように言ったとされている。クラークは長い時間待つことになる。だがそれは、ラムズフェルドが9月11日朝に出席し損ねた唯一の緊急会議ではなかった。

 まさに、この朝、モンタギュー・ウィンフィールド准将に代わって、国家軍事指揮センタ副長官代理を務めていたチャールズ・レディグ大佐は、緊急「重要出来事(SIEC)会議を招集した。委員会報告によれば、この会議は、9:29に、「二機の航空機が世界貿易センター衝突した」という要約で始まった。この要約が、執務室からラムズフェルドを救出するのに失敗したのであれば、明らかに何も救えないはずだ。

 午前9時37分、レディグ大佐が危機対応会議を招集した8分後、多数の証人が、建物内で爆弾が爆発したように感じたと言うものでペンタゴンが揺れた。委員会報告は、短い間ラムズフェルドが次にどんな行動をとったか記述している。「国防総省が攻撃された後、ラムズフェルド長官は救助作業を支援するため駐車場に行った。」今、その判断を正当化しようと試みていただきたい。

 アメリカ大統領を除けば、米軍最高指揮官であるラムズフェルドが、墜落現場を点検し、捜索と救助作業支援を引き受けたのだ。メディアは、この奇妙な人をほろりとさせる記事に熱中し、委員会報告は、全く信じ難い話を無視した。だがそれは、ラムズフェルドが救助作業を手伝ってペンタゴンの芝生前庭にいたという主張を否定するものてはない。実際、国防長官が、警護特務部隊と共に、まさに、そうしているのを示す写真がある。

 ポール・ウォルフォウィッツは、バニティー・フェアのインタビューで、彼の上司がどのように緊急事態に対処したか熱心に語っている。「彼は飛び出し、飛行機が突入した場所まで行ったが、もし私が、この状態で落ち着いていたら、しただろうが、すべき賢明なことだったどうかはわからない。次に我々が聞いたのは、爆弾があるということで、建物から退避を命じられた。皆非常に整然とした形で建物から離脱し始めた。」

 だからウォルフォウィッツは、どういうわけか、ラムズフェルドが司令本部を放棄し、外に出て、更なる攻撃が間もなく来かねない国防総省突入現場に急行したのは最良の行動だったという意見だ。ラムズフェルドの悲惨な行動を取り繕うメディアは、そこで止まらない。

 ニューヨークタイムズで、衝動的な動きの軍人のラムズフェルドが、国防総省の周囲を不可解にも約二マイルを歩いた際、ジャーナリストのアンドリュー・コバーンは、息をのませるような説明をした。ペンタゴン・ビルの各辺は、フットボール競技場三つ分の長さがあるのに、最も危機的な時に、国を率いる代わりに、事故現場を点検し、負傷者を助けたのだ。これは定番なので、心の準備をされたい。

 「至るところ炎と金属片があった」と、この無分別な朝のジョギング中、ラムズフェルドの個人ボディーガードをつとめた国防総省警官オーブレイ・デイビスの言葉を引用してコバーンが書いている。「長官は金属片の一つを拾い上げた。彼がその上に何か刻印を見て「アメリカン航空」と言った際、犯罪現場に干渉すべきではないと彼に言った。それから誰かが「助けて、こっちだ」と叫び、我々は走って、担架に乗せた負傷者を道路に押し出すのを手伝った。」

 この国防長官に本当に相応しい場所は軍事裁判所だったのに、コバーンは、ラムズフェルドの胸にメディア栄誉賞をピンで留めるのだ。「この数分間がラムズフェルドを有名にし、半分忘れ去られた20世紀の政界実力者から、21世紀のアメリカの指揮官へと変えたのだ。大統領が断続的しか見られなかった日に、ラムズフェルドだけが、ルディー・ジュリアーニ・ニューヨーク市長と共に、決然とした、勇敢な指導者のイメージを国に示し、時と共に伝説は拡大した。後に、執務室職員の一人が、負傷者用包帯にするため、ラムズフェルドは彼のシャツを細かく引き裂いたと私に語った」

 ラムズフェルドは、看護師でなく軍のトップを勤めるべく給料を得ていたのを留意願いたい。

 ラムズフェルドは10時までにペンタゴン・ビルに戻ったが、職員の必死の嘆願にもかかわらず、まるでハンセン病療養所であるかのように司令センターを避け続けた。その代わり、執務室に戻った、彼はコバーンが「どちらも、彼らが何を話したか思い出せなかった。」と報じているように)、ブッシュ大統領と電話会話をした。

 ラムズフェルドは午前10時30分まで司令センターに入らず、その時まで、ホワイトハウスの地下室に閉じこもっていたディック・チェイニーと電話会話をしたのを除き、何か意味あることをするには遅すぎた。

 委員会報告執筆者が記録する通り「ラムズフェルド長官は、10:39に副大統領と話をした際、状況認識を得ていただけだったと我々に言った。彼の主要関心事はパイロットが確実に交戦規則を明確に理解していることだった。」その懸念は、約二時間遅すぎた。この時点でラムズフェルドの存在はもはや象徴的でさえなかった。緊急事態は、どう見ても、既に終わっていた。この許しがたい職務怠慢を、ある種の英雄的行為へと歪曲するのはメディア次第だった。そして、メディアは喜んで応じたのだ。

 ロバート・ブリッジは、アメリカ人作家、ジャーナリスト。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/07/04/was-donald-rumsfeld-guilty-of-dereliction-of-duty-as-pentagon-chief-on-9-11/

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 緊急事態宣言下の五輪というブレーキ・アクセル同時操作暴走状態。

 日刊IWJガイド

東京都に4回目の緊急事態宣言! 期間は7月12日から8月22日まで! 五輪の無観客開催は、ほぼ決定!? しかし、IOC委員、各国の外交関係者、五輪スポンサー等の特権的な「五輪ファミリー」は「特別枠」が設けられ、観戦が許可されるという問題はどうなる!? もはや「五輪マフィア」というべき彼らに、緊急事態宣言でも「特別枠」を与えるのか!?


【タイムリー再配信 941・IWJ_YouTube Live】19:30~「免疫逃避変異E484Kとは?『第4波』変異株感染拡大にもかかわらず、過少検査でワクチンも打てないまま東京五輪強行開催の愚!~岩上安身によるインタビュー1037回 ゲスト 国立遺伝学研究所・川上浩一教授(2)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 4月20日に収録した、岩上安身による川上浩一氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきたワクチン関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%83%af%e3%82%af%e3%83%81%e3%83%b3

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