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2021年7月 4日 (日)

台湾に榴弾砲とコロナ・ワクチンを供給するアメリカ

2021年7月1日
ウラジーミル・テレホフ
New Eastern Outlook

 大いに複雑な問題であり、現代国際政治で、おそらく最も危険な領土問題と関係する台湾問題の進展を、NEOは定期的に追跡している。政治的、経済的、軍事的側面の結びつき方に複雑さがある。

 当然、北京は特に軍事的側面を懸念しており、これには多くの様々な要素がからんでいる。中国の主要地政学ライバルであるアメリカは、台湾周辺海域で海軍力を誇示するのみならず、台北にアメリカ製防衛システムを供与する新協定を交渉している。トランプ大統領のロバート・オブライエン国家安全保障担当補佐官が去年表現したように、目標は、台湾が自身を「ライオンが通常食べたがらないヤマアラシに」変えることだ。ライオンとは、もちろん中国本土だ。

 当然、中国が台湾問題に対する軍事解決に着手した場合、中国本土から、台湾が長期間、自身を守れると、ワシントンは信じさせようとしているわけではない。だが、しばらくの間持ちこたえる軍事力を台湾に提供するのは確かに可能だ。(中華人民共和国と台湾間の仮説的武力衝突に、アメリカが介入すると決めたと想定して)アメリカが援助を送るまで、10日から20日間。特に、この島は、台湾海峡で大陸から切り離されており、平均、幅200キロ、気付かれずに接近されることから守っている。例えば、空輸あるいは船舶で送られた落下傘部隊員は、確実に、防衛砲撃にさらされるはずだ。

 しかも、中国人民解放軍が、この島を集中爆撃すると想像するのは困難だ。多くの自明な理由から。例えば、中国は民間人犠牲者を最小限に保つことを望んで、住宅や輸送インフラへの不必要な破壊を避けるだろう。交通インフラは世界でも最も先進的なものだということは指摘されるべきで、その保存は最優先事項だろう。

 そして近代的製造業に必要とされるシリコンチップの世界的主導的生産国としての台湾の地位もある。現在、いかなる軍事衝突のためでもなく、Covid-19流行のため、台湾のチップ製造業者は重大な問題を経験している。生産量下落は、世界中の自動車製造企業やIT企業にとって、深刻な影響をもたらしている。中国企業を含めて。

 繰り返すが、そのような攻撃が、この島に対し、必然的に広範囲にわたる損害をもたらすので、それが、中華人民共和国が、台湾問題に対する、中国軍全力での軍事解決を決めることは想像も及ばない理由だ。

 それは明らかに、台湾を上記の「ヤマアラシ」に変える政策を招く主張の一つだ。海や航空や地上攻撃(中国の落下傘部隊員が何らかの方法で、この島に上陸した場合)を反撃可能な防衛体制を台湾に提供することに、アメリカは焦点をあてるだろう。NEOは、様々なアメリカ政権と台湾間で締結された二国間条約の一般的条件を論評する記事を頻繁に公表している。

 ジョー・バイデンの大統領当選は、当初、中国とアメリカ間関係の改善を期待している人たちに慎重な楽観的観測で迎えられた。新大統領は路線を変え、「トランプの遺産」を否定すると期待されたのだ。二大グローバルパワー間関係の深刻な悪化はトランプの国務長官マイク・ポンペオがとった「一貫性のない」方法によるところがより多いのだが。

 だが、バイデン就任から二乃至三カ月で、メディアへの「漏えい」が、ほとんど楽観主義の余地はなく、新政権が最新ハードウェアで台湾の軍事力を強化する政策を続けることが明らかになった。

 3月31日、匿名の情報源を引用して、ロイターは、数年間進行中だったパトリオット防空ミサイル・システムを台湾に供給する協議がまとまったと報じた。商談の価値は18億ドルと伝えられた。実際、台湾は既にパトリオット・システムを持っているが、それは今そのアメリカに改良される予定の旧式モデルだ。新パトリオット・システムの最初ミサイルは2025年に出荷される。

 4月20日、もう一つの漏洩が台湾報道機関に現れた。今度は情報源は(実質的に、アメリカ大使館として活動している)米国在台湾協会だった。この取引で、M109 155mm自走榴弾砲の最新版(A6)を約40輌供給するという。

 そして、これらの二つの報道がジャーナリストの興奮した想像でなかったのを確認するかのように、中華人民共和国国防部が取引を、はっきりと批判した。

 米国議会聴聞会で、統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が、中国人民解放軍が台湾に対する落下傘部隊員攻撃を開始する可能性に関する発言をしたのは留意する価値がある。彼が考えるように、このような攻撃は、近い将来あるいは中期的未来には、ありそうもない。ミリー大将は、直接そうは言わず、中国が必要な軍事力を持っていることを疑っているとをほのめかした。この種類の発言と、米国議員に、米軍は、一般的にも、上で議論した特定政策との関係でも、彼らの予算使用は正当だと確信させたように思われる。台湾を「ヤマアラシ」に変えるため。すなわち台湾を武装させて。

 だが翌週、中華人民共和国外務省は「中国人民解放軍は、中国国家主権と領土保全を守る任務を実行すると固く決心している」と強く主張する怒りの声明を発表した。この言葉が台湾問題の関係で、中国が良く使うことは指摘されるべきだ。

 アメリカと台湾間関係の政治的側面は、これまで数週間にわたり、Covid-19に支配されていた。特にワクチンだ。台湾にワクチンを供給する問題は、単に北京とワシントン間に、更にもう一つの政治競争を引き起こしただけではなく、(またしても)、現在与党の民主進歩党と、台湾最古の政党中国国民党間の論争という結果になったのだ。

 どのワクチンを注文すべきかが論争の争点だ。ワクチン投与の切迫した必要性については疑いようがない。台湾のコロナウイルスの状況は急速に悪化し始めている。2020年1月のウイルスが初めて現れてから、この春まで、台湾は世界の数少ないコロナウイルス・サクセスストーリーの一つだった事実にもかかわらず。

 中華人民共和国は、即座に、台湾にワクチン投与の必要とされる数を供給する申し出た。だが、ワクチンは適切に試験されていないという理由を主張して、台北は申し出を拒絶した。だがワシントンが台湾にモデルナ・ワクチン250万回分を提供した際、蔡英文台湾大統領はアメリカに謝意を表し、中国の新聞、環球時報の怒りの記事を招いた。

 アメリカと台湾間の経済面については、大規模プロジェクトの可能性について多くのメディア議論があった。台湾セミコンダクター・マヌファクチャリングTSMCが提案したアメリカ、アリゾナ州の(2020年代半ばのある時期の)完成時には、5ナノメートルの半導体ウエハーを生産する施設だ。

 2020年5月、約120億ドルのTSMCとの協定署名はドナルド・トランプ政権によって、中国からの「経済的、技術的独立」に向かう大きな一歩と見なされていた。この考えはアメリカ専門家の社会を分裂させたが、大部分の人たちは、むしろ懐疑的で、それは反生産的かもしれないと感じる傾向がある。

 二大グローバルパワー間の対立に関して、台湾問題の現状を再検討すれば、結論は、またしても、全般的な見通しは、雲に切れ目がない嵐だ。

 ウラジーミル・テレホフは、アジア太平洋地域問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/07/01/us-to-supply-taiwan-with-howitzers-and-coronavirus-vaccines/

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 今日は宗主国の独立記念日。

 都議会選挙、雨模様に、自民、公明、ほっとしているのではあるまいか。

 デモクラシータイムス ウイークエンドニュース

よろよろ小池・菅カラ元気 強硬開催で人々の気分は変わるのか!? WeN20210703

 全く関係ないが、時々台北犁記のパイナップル・ケーキを食べたくなる。台湾出身の知人に、観光に行くと言った際に教えられた店。たまたま中秋節で月餅の品揃えに驚いた。

 IWJのタイムリー再配信、この記事に直結。

【タイムリー再配信 938・IWJ_YouTube Live】16:00~「米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(4)政治とメディアが煽り続けた安易な『中国脅威論』!~岩上安身によるインタビュー第1022回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員(1)」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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