ヨーロッパはなぜ、ロシアとの積極的な関係について分裂しているのか
2021年7月1日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
ブリュッセルで開催された最近のEUサミットで、このブロックはEU-ロシア関係を正常化するというフランス・ドイツ共同提案を圧倒多数で拒否した。このブロックは、重要な外交政策目的に対して、EU-ロシア関係は、国際的な場で、このブロックの戦略上の自治を増し、アメリカへの依存を減らす手段だと再定義するフランス-ドイツのメッセージに注意を払うのではなく、冷戦対立国ロシアとの関係に対するアメリカの行動に歩調を合わせるだけではない、ヨーロッパ空間を作るのを拒否し、自ら国際政治の周辺になると決めたのだ。フランス-ドイツ提案は、気候変動や平和や安全に関し、ロシアとの様々な議論の形式を創設するよう呼びかけたが、この提案は、この大陸、少なくともブロック最強の二国で、アメリカの周辺国という現状を脱出するのを可能にするかもしれない政策に対する認識が増大しつつあるのを示している。ドイツのメルケル首相は「我々は、個別に、ロシアに対し純粋に防衛的な態度に留まっていることはできず、他方、非常に合法的に、体系的な議論がバイデン大統領とプーチン大統領の間で展開されるのを我々は目にしている。」と言った。言い換えれば、ドイツとフランスにとって基本的論理はそのまま有効だ。もしアメリカが独立してロシアとの議論を追求できるなら、EUも、ためらってはならないのだ。
だがEU加盟国のほぼ半数が、進歩的、合理的提案に反対投票した事実は、どれだけ多くの国々が、ロシアとの対決という極めて狭く定義された政策、アメリカに積極的に奨励される政策に従い続けているかを示している。
例えば、6月5日、ワシントン・ポストに書かれた記事で、アメリカ大統領は、ヨーロッパ訪問を、ロシアに対し、世界の民主主義国家を結集する試みだと強調した。バイデンは「ウクライナ侵略から始まる、ヨーロッパの安全保障に対するロシアの挑戦に対処するため、我々は団結しており、我々の関心から分離不能な民主主義という価値観を擁護するアメリカの決意に疑念はない」と述べ、更に「我々が会う際には、アメリカやヨーロッパや志を同じくする民主主義国家は、人間の権利と尊厳を守るため立ち上がる誓約を強調したい」と付け加えた。
ジョー・バイデン政権は自身の狙い追求していると思いがちだが、構造上、アメリカ政治に根ざしているので、ヨーロッパ政治に介入する活動の余地を増やす手段として、アメリカは、反ロシア感情を広めたり、ロシアの意図に関する欧州諸国の誇張された懸念への共感を継続したりしている。例えばロシア寄り方針のかど非難されたドナルド・トランプ時代でさえ、上院歳出委員会が、EU諸国を含め、それらの国々での「ロシアの活動」を証言させるべくヨーロッパ諸国を招いていた。
ウクライナ、ポーランド、ジョージア、ラトビア、リトアニアとエストニア、これら六カ国全てが、いわゆるロシア侵略に対する聴聞会で証言し、東ヨーロッパの反ロシア冷戦心理の継続を直接支える政策として、アメリカが、どのように、ロシアに対し、これらの国々を援助し続けるているかを強調した。
駐米ポーランド大使ピオトル・ウィルチェクは「クレムリンには主要な戦略目標がある。共産主義の挫折後に失われた超大国の地位の復活だ」と述べた。この目標を達成する方法は簡単に思われる。ヨーロッパの安全保障構造の変更だ。ソ連後の諸国が、欧州大西洋共同体に統合するのを阻止することだ。」彼は我々の地域に対するNATO旗の下での「[アメリカ]軍派遣に対しアメリカに感謝した。「強化された前方プレゼンス(enhanced Forward Presence: eFP)」に対するアメリカの長期誓約は絶対不可欠だ。私は「大西洋決意作戦(Operation Atlantic Resolve)」の一環として、ポーランドにおけるアメリカ軍駐留が同様な、最高の重要性があると付け加えたい。「欧州安心供与イニシアティヴ」(European Reassurance Initiativeに対する議会の更なる支持は大いにありがたい。」
この証言は2017年のものだが、ジョー・バイデン政権は、アメリカでの反ロシア感情の構造的基礎を示しており、これらの国々のための、アメリカの政治的、外交的、更には軍事介入さえの本当の正当な理由として、ヨーロッパの「不安」を煽るアメリカ政府の傾向は、同じ物の考え方に取りつかれたままだ。
例えば、4月、アントニー・ブリンケン国務長官がヨーロッパ歴訪した際、訪問の主目的の一つは「ロシアの脅迫」について、ヨーロッパを「教育する」ことだった。ウクライナのドミトロ・クレーバ外務大臣との会談で、ロシア侵略に直面する中、ウクライナ領土保全に対するアメリカの「変わらぬ支持」をブリンケンは確認した。「長官は、攻撃的言説やニセ情報を含め、停戦違反や、占領しているクリミア半島や、ウクライナ国境付近での部隊の動きを強化して、ウクライナとの緊張をエスカレートさせるロシアの意図的行動に対する懸念を表明した」と在ウクライナ米国大使館が声明で述べた。
ロシア「拡張主義」や、ロシア覇権を積極的に再確立するモスクワの狙いに対する恐れを東ヨーロッパに吹き込むアメリカの取り組みは、ヨーロッパ大陸が自身の有機的外交政策や戦略的展望を開発するのを阻止するアメリカの動きだ。現状、これら東欧諸国のモスクワの脅威評価は、ドイツやフランスなど他のEU加盟諸国ではなく、主にアメリカとの一環した協力と関与で形成されている。
これは、フランスとドイツが、ロシアとの関係正常化に絶対賛成であることを示唆しないが、彼らが黒海でNATOの足場確立を支援し続けているので、彼らの立場が、国際舞台で、ヨーロッパが、一層独立した外交政策目的を追求できる独立した当事者として確立するという増大するヨーロッパの願望を表しているのは依然変わらない。
メルケルが政界を去った後も、この傾向は続くが、先週メルケル後継者となる可能性が高いアルミン・ラシェットが、ファイナンシャル・タイムズのインタビューで、欧米は、モスクワと、意図的に「分別ある関係を確立」しなければならず、「ロシア無視は、我々にも、アメリカの利害関係にも、効果はなかった」と言って、正当にロシアを、のけ者状態から脱出させるよう呼びかけたが、このようなヨーロッパ構想を殺すために使うために必要な東ヨーロッパとの強いコネをワシントンが確立している点は依然変わらない.
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/07/01/why-s-europe-divided-on-positive-ties-with-russia/
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ワクチン一本槍なのにワクチン不足、PCR検査は徹底拒否。絵に描いたようなカサンドラ・クロス路線。後世、我々の世代は「どうして開催反対しなかったのか」と歴史本に書かれるだろう。
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