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2021年7月17日 (土)

アフガニスタンの混乱は誰のためにもならない

2021年7月14日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 アメリカとNATO同盟国が、アフガニスタンから軍隊を撤退させると発表した後、アフガニスタン国民の不安は沸点に達し、増大している。(編集メモ:ロシア連邦で活動を禁止されている組織)タリバンは新たな領域を掌握し、アフガニスタンの85%を支配していると主張している。メンバーは、集団の支配圏を広げるのを、アメリカと同盟軍が国を去るのさえ待たなかった。最近彼らは西部アフガニスタンのイランとの重要な国境検問所を占領し、南方のカンダハルに入った。タリバンは、ウズベキスタンとタジキスタン両国に近い北アフガニスタンの重要な地域拠点マザリ・シャリフも包囲した。それにもかかわらず、最近、モスクワのタリバン使節代表は、この集団は、アメリカ軍の完全撤退前の「流血を防ぐ」ため、首都を攻撃するのを避けることに決めていたと述べた。

 アフガニスタン軍広報担当者は「状況の激しさ」を認めたが、彼はアフガニスタン軍兵士は、その指導者が、政府に書面の和平提案を提出すると期待されているタリバンから「領域を奪還する能力」を維持していると述べた。それでも、アフガニスタン軍人の士気は試されつつある。それ故、タリバンが匿っている(編集メモ:ロシア連邦で活動を禁止されている組織)アルカイダと戦う彼らの意欲が問題だ。

 アフガニスタンで起きていることを、より良く理解するには、この国が、かなり大きな非公式経済の「多民族で、ほとんど部族社会」なのを念頭におくべきだ。アフガニスタンの基本的な社会単位「カウム」における部族や家族の絆は、何百年にもわたって確立され重要な役割を果たしている。「各地域が高い自立度の経済活動[と軍事的手段を含めての防衛]を追求し、部族、局地的に限定された法律と習慣に従うのを可能にした。」

 アフガニスタンには多数の民族的、言語的集団がいる。(最大人口の)パシュトゥーン族、タジク族、ウズベク族、トルクメン族、ハザラ族、バローチ族、パシャイ族、ヌーリスターン族、アイマーク族、アラブ族、キルギス族、クズルバシュ族、グジャール族、ブラーフーイ族。カウムという「団結集団」は人種的に同種ではない。実際、状況によって、個々のカウムは「民族、村、州、家族、宗教など」があり得る。それ故、これらの社会単位間の関係は歴史的に非常に複雑だ。

 多様な社会構造では、宗教もアフガニスタンでは重要な役割を演じている。イスラム教スンニ派が人口の80%以上を占め、他方シーア派信徒は約7-18%-(例えばクズルバシュやタジク集団)を占めている。

 タリバンは本質的に、シャリアの厳密な解釈(イスラム法)が適用されるアフガニスタンのイスラム首長管轄区を確立する目的の国家主義運動だ。それは親パシュトゥーン(アフガニスタン最大の民族的・言語的集団)とも見なされている。ウズベキスタン・イスラム運動(テロ組織とされ、ロシア連邦で禁止されているIMU)は、ウズベク族とタジク族が多数派を占める北アフガニスタンで活動していることが知られている。この集団は、タリバンに絶えず激しく抵抗し、タリバンが最も厳しい危機に直面した時でさえ、これら集団間の協力はなかった。

 タリバンは本当の抵抗運動とは見なされていない。結局、情報提供者は、パキスタンの軍統合情報局が、タリバンを作る上で「深く関係している」と語っている。過去、パキスタンは、タリバンに、軍隊や軍事援助を送り、イスラマバードの忠実な同盟者となる政府を作るため、アフガニスタンの状況を不安定にしていると非難された。

 この中央アジアの国の緊張は、ここ数カ月増大している。激しいタリバン攻撃から逃げるアフガニスタン軍隊が、繰り返し、ウズベキスタンとタジキスタンに逃げ込んでいる。さらに、ウズベク人の参謀総長で前副大統領アブドゥル=ラシード・ドスタムはアフガニスタン領土を去らなければならなかった。彼はアフガニスタンの有名なウズベク人軍閥司令官で、タリバンの容赦ない敵と見なされている。

 現在の状況で、戦争で荒廃した国の紛争には軍事的解決策がないのは非常に明白だ。アフガニスタンのそれぞれのカウムは、へき地や困難な条件下で、完全に、あるいは比較的自立した組織役を果たすことが可能だ。もし必要とあれば、ゲリラ反撃を行って、かなり長期間、領土を守ることができる。

 それ故、全てのアメリカと同盟国部隊が撤退した後、国際社会は、その法律制度に(国民の大多数に共通のイスラムの伝統)シャリアの要素を取り入れた、非宗教的で民主的な国家構築を目指すアフガニスタン内のあらゆる努力を支持すべきだ。

 タリバンとは三つの代表的集団経由で交渉可能だ。当然の選択はカタールに置かれている、この組織の外交・政治事務所だ。実際、職員は戦ったり、アフガニスタンに住んだりしていない。

 他の二つの選択肢は軍事機関だ。第一は(編集部注:ロシア連邦で禁止されている)ハッカニ・ネットワーク、パキスタンのパキスタン軍統合情報局とつながりを持っているシラジュディン・ハッカニ率いるタリバンの下部組織だ。第二は、タリバン開祖ムラー・モハンマド、オマールの長男ムラー・モハンマド・ヤクーブに率いられるタリバン軍事委員会だ。この二人の指導者はパキスタンに本拠を置いているが、アフガニスタン状況を支配している。

 ロシア当局は、現在の状況では、特に、アフガニスタンのタジキスタン国境地帯での緊張が最近増大しているため(編集部メモ:ロシアで活動禁止されている組織)タリバン代表者と会談を行う必要性があり、適切だと理解している。

 2021年7月8日、四人のタリバン政治代表団が、カタールから到着し、モスクワでの二日間の会議に出席し、和平策定プロセスや、ロシア連邦やアフガニスタンと関係する問題を論じるため、駐ロシア・アフガニスタン大統領代理ザミル・カズロフと会った。代表団団長マウラヴィ・シャハブッディン・デラワールは、アフガニスタン国民と連絡する部門の責任者だ。過去、彼は駐イスラマバード・タリバン大使や、サウジアラビアでのアフガニスタン代表や、アフガニスタン高等法院副院長をつとめた。2001年、彼の名は国連安全保障理事会の制裁リストに載せられた。モスクワでの会談中、アフガニスタンの現状や(アメリカ、ロシア、パキスタン、インド、中国とウズベキスタンなど様々な国が実現しようと努力している)アフガニスタン人の間の対話を行う可能性が論じられた。ロシア当局者が代表団メンバーから、タリバンは「中央アジア諸国の国境を侵害しない」と「アフガニスタンでの外国の外交、領事任務に対する安全保障」の保証を受けた。更にアフガニスタン側は、タリバンは、その領域を「ロシアや近隣諸国を攻撃するために」使うことを許さないと述べた。カタールのタリバン広報担当モハマド・ナイマは、モスクワで、彼の組織は、アフガニスタンを他の国を攻撃するために使わせず、アフガニスタン領土が誰に対しても決して使用されない姿勢を維持すると宣言した。明らかに、タリバン当局者は、アフガニスタンでの麻薬生産撲滅推進や、(ロシア連邦で禁止されている)DAESHに対して戦ことなど、他の人々が彼らに期待していることを保証した。

 会談のためのロシアや他の国々へのタリバン・メンバー訪問は、この集団が国際舞台で、テロリストから政治運動へと組織を変え、正当性を獲得するのを助けた。この組織によれば、タリバンが交渉参加を嫌がっていることを示し、タリバンが欧米の傀儡と見なしているアシュラフ・ガーニー大統領率いる政府内の明白な団結の欠如が、アフガニスタン人同士の対話を遅らせている。

 いずれにせよ、諸国、特に隣接諸国が、この中央アジアの国と地域全体の緊張の、これ以上の激化を防ぐため、現在のアフガニスタンで本当に強力な組織タリバンに関与するのは不可欠だ。この集団との会談中、アフガニスタンで、タリバン敵対者やアメリカや同盟軍に協力した人々に対して、復讐をしないよう求めるのは重要だ。(集団移民や現地の武力衝突を考えると)アフガニスタンや周辺諸国で、さらなる人道危機や、カウム内での過激イデオロギーやテロの拡大を阻止することも不可欠だ。アフガニスタンとの密接な経済協力や文化交流同様、善隣関係を支援することも重要だ。

 それでも、近い将来、アフガニスタン近隣諸国が、アフガニスタンの武装集団間で過激派思想の爆発を防ぐため逃亡するアフガニスタン国民に、避難の場を提供する必要が生じる可能性がある。結局、アフガニスタン人が祖国を平和裡に去ることが困難になれば、彼らは、戦って脱出する策以外、他のどのような選択もなくなり、その過程で命を失う可能性もある。将来このような問題を避けるため、今すぐ、あり得るアフガニスタン難民の運命について議論を始めることが重要だ。

 ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/07/14/chaos-in-afghanistan-is-of-no-use-to-anyone/

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視聴URL: https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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