アメリカ撤退はアフガニスタン戦争の終わりではない
2021年7月8日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
アメリカ/NATO軍が、ほとんどアフガニスタンから撤退し、(ロシアで禁止されている)タリバンはアフガニスタンでの彼らの支配を拡大、強化すべく北部に向かって前進しており、今後数週間、数カ月には終わりそうもない。多くのアフガニスタン民兵がタリバンに抵抗するためカーブルと同盟すると誓い、アシュラフ・ガニー大統領も、タリバンに反攻を開始すると威嚇して、アフガニスタン内戦は、1980年代以来止まらない流血を経験している国に押し迫る問題の一面だ。この戦争は、撤退後さえ、国際的な特徴を維持しようとしている。現状、アメリカは、アフガニスタンからの正式撤退後でさえ、撤退後の戦争を強化する具体的な措置をとっている。タリバンとの戦争で、アフガニスタン保安部隊を支援するため、アメリカが、アフガニスタン周囲で(中央アジアと南アジア)軍事基地を設定する意図を発表した時以来、一カ月たった。最近ワシントンは、カタールが、アメリカのアフガニスタン作戦専用のアメリカ基地を受け入れると発表した。パキスタンは、アメリカに、どんな軍事基地も提供するのを拒否した、2001年、アメリカと調印した協定が、地上と領空の米軍利用は有効で、機能していると確認した。
最近ワシントンは、アメリカの活動を、積極的戦闘から「新目的」に移行するのを支援するため、アメリカ軍司令官オースティン・ミラーが、「少なくとも数週間」アフガニスタンに滞在すると発表した。ここで、適切な疑問はこうだ。新目的とは一体何だろう? 最近アメリカが、彼らの国々への米軍駐留可能性について、話し合うため、タジキスタンとウズベキスタンの外務大臣をワシントンに招待したことで、これらの「新目的」が何かが一瞥できた。ウズベキスタン外務大臣との会談で、アントニー・ブリンケンは「ウズベキスタンとの戦略的パートナーシップを深化させたいというアメリカの願望」を述べ「アフガニスタンにおける、公正で永続的な和平調停に対するウズベキスタンの継続的支援」は重要だと補足した。これら新しい複数の軍事基地の目的は、国防総省が認めているが、アメリカが必要と認めた際に、空爆実行を可能にすることだ。
したがって、ミラーの後継者、マッケンジー大将は、アルカイダ、ISIS(共にロシアで禁止されたテロ組織)とタリバン兵士に対し、少なくとも8月以降ミラー大将が持っているのと同じ空爆実行権限を引き継ぐだろう。マッケンジーが認めた通り、a)アメリカ本国、b)アメリカ同盟国(NATO) c)アメリカのパートナー(カーブルと国防総省請負業者)に対する何らかの攻撃計画が発見された場合は、いつでもアメリカは空爆を実行する。
最近ニューヨークタイム記事が、アメリカは、約18,000人の国防総省請負業者が、空軍を含めアフガニスタン保安部隊に支援と役務を提供し続ける現在の契約延長を考えていると報じた。
そういうわけで、アメリカにはアフガニスタンの、いわゆる永久戦争を終わらせるつもりは毛頭ない。それどころか、多数の軍閥司令官や民兵が、タリバンの完全勝利に抵抗するため、今地平線に姿を現しており、アフガニスタン正式撤退後、ハイブリッド戦争を戦うため、アメリカがアフガニスタンの保安部隊に並んで、これら集団に支援提供することは非常にあり得る。言い換えれば、アメリカは、暗黙のうちに、ダマスカスがシリアの全面支配を確立するのを阻止するため民兵(クルド人)を意図的に支援している、実に長期間長、シリアで行っている戦争モードにならっている。アフガニスタンでも、ワシントンは似たような目的、つまり、タリバンがアフガニスタンの完全支配を奪還するのを阻止するのを追求するだろう。
だが、シリアとは異なり、カーブルは、タリバンに反対して支援する役職を果たすようアメリカを進んで「招く」だろうから、アメリカはアフガニスタンで「合法的」駐留を維持するだろう。状況は明らかに、アメリカもNATOも、この地域を、ロシアと中国が影響力を主張する余地を与えるつもりがなく、アフガニスタンのチェス盤上で主要当事者として留まろうとしているのだ。
だが、これはうまく行くだろうか? より具体的な質問はこうだ。アメリカはアフガニスタン外での駐留で、タリバンを打倒して、20年の直接戦争を通して達成することができなかった目標を達成することができるのだろうか?
アメリカ自身タリバンに対する圧勝(ともあれ、今はできない)を期待していないかもしれないが、アフガニスタンで戦争を続けて、中央アジアで強い軍事的存在を維持するというアメリカの選択肢は、ロシアと中国に反対され、憎まれるのは依然変わらない。ロシアが中央アジアでの影響力を、アメリカが無制限な大きな軍事的存在を確立するのを阻止するために使っているのは周知の事実だ。
だが、アメリカは、この可能性に気が付いていないわけではない。国防総省のジョン・カービー報道官が、中央アジアでの駐留なしでさえ、湾岸諸国の基地とアメリカ海軍艦船に言及して、アメリカが、アフガニスタン軍を見通し外から支援する能力を語った。「我々が攻撃できない場所などどこにもない」とカービーは述べた。
そういうわけで、ロシアと中国が中央アジア国家での無責任なアメリカ撤退のため、アフガニスタンで進展している状況や、紛争がどのように溢れ出る可能性があるかに関心を持っているのは当然だが、(タリバンが既にタジキスタン国境に到達しており、千人以上のアフガニスタン軍兵士をタジキスタンに逃げることを強いたことを考えれば)、この地域にアメリカ軍事的駐留を維持する願望もない。それどころか、ロシアと中国は、彼ら自身を、この地域に、アメリカ軍事駐留に対する最良の選択肢として提示するのが好都合だ。既に、ロシアはロシア南軍管区と呼ばれるもので武器を増強し始めた。タジキスタンのロシア基地の航空防衛能力は最新のヴェル可搬型対空ミサイル・システム(MANPADS)実装を含め強化されている。ウラジーミル・プーチン大統領は、先週タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領に電話して、特にアフガニスタンで起きている懸念の後、タジキスタンの防衛力を強化するためのロシアのあらゆる支援を約束してた。
だがアメリカは現段階では、直接戦争を長期、あるいは永久ハイブリッド戦争に変えるため限定された選択肢しかないかもしれないが、ワシントンが、この目的を達成する方法を捜していることは否定できない。カタール新基地は来る戦争の準備を整えている。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/07/08/the-us-withdrawal-isn-t-the-end-of-war-in-afghanistan/
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検疫は、ざるそのもの。それも意図的?
Business Journal
今日の孫崎氏のメルマガ題名
随想56 マルティン・ニーメラーの言葉と望月衣塑子氏のツイッター事件
望月衣塑子氏のツイッターが停止?されているという。
ネットには、それを喜ぶ書き込みも多々ある。
IWJ
【タイムリー再配信 944・IWJ_YouTube Live】20:00~「『ラスベガス・サンズは撤退を表明した! 秋元議員は再逮捕された!』『敵のエラーだけで勝つのではない! 我々市民の力で勝つのです!! 』~8.22〔神奈川〕カジノもコロナも終息へ、横浜集会」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured2020年8月に収録した、「カジノの是非を決める横浜市民の会」主催の集会を再配信します。これまでIWJが報じてきた統合型リゾート(IR)関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/integrated-resorts
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