ヨーロッパでの新冷戦茶番でバイデンを支えるブリンケン
Finian Cunningham
2021年6月8日
Strategic Culture Foundation
バイデンが制御不能になり、見苦しい破綻をしかねないので、目まぐるしい歴訪中、ブリンケンは、上司のそばに留まっている。
虚弱な78歳のアメリカ大統領に、一連の神話とウソを巡って世界を結集させるのは無茶な要求だ。共有する「民主的価値観」とされるもののもと、強いアメリカの指導力で、中国とロシアという「独裁国」との「歴史的対決」で同盟者を奮い立たせるため、バイデンは今週ヨーロッパに飛ぶ。
ジョー・バイデン大統領の世界観は余りに現実離れしているので、来週一連のサミットで、首尾一貫、理路整然と主張するのは、彼にとって精神的に非常に困難なはずだ。
それが、6月11-13日にイギリスで、バイデンがG7指導者と会う際や、続く6月14日のブリュッセルでのNATOサミットや、ヨーロッパの労働組合幹部との最高レベル議論に、若いアントニー・ブリンケン国務長官(59歳)が付きまとっている理由なのだ。その全ての後で、米国務省によれば、6月16日、ジュネーブで、バイデンとロシアのウラジーミル・プーチン大統領との直接会談に、ブリンケンも「参加」予定だ。
1月に大統領就任して以来、バイデン初の海外出張の忙しい旅程の後半詳細は特に顕著だ。アメリカの国務長官が、アメリカとロシア大統領間の直接会談に「参加した」前例はない。ロシアのメディア報道には、ロシアでブリンケンに対応するセルゲイ・ラブロフ外務大臣がジュネーブ・サミットに参加するという兆しはない。
この通常でない準備が示唆しているのは、バイデンは、プーチンとさしでの交渉には役不足だということだ。詳細を思い出す上で、アメリカ大統領の健康状態と知的鋭敏さは、バイデンが補佐官の名を忘れ混乱しているように思われた、いくつか公式の場で失態した後、メディアの注目を浴びている。民主党を支援するアメリカ・メディアは、大統領に対する甘い対応でバイデンに楽をさせていると批判されている。
アメリカ大統領が、来るサミット、特に最後の以前「殺人者」とし軽蔑したプーチンとの会談で、横に国務長官を同席させなければならないことは、バイデンの健康状態について更なる疑問を提起する。
彼のミッションが、現実に実際に関与することより、言説を紡ぎだすことであるのを考えれば、バイデンの負担はさらに重い。紡ぎだされた言説は「独裁的な敵」中国とロシアに対し、アメリカ指導力の下、ヨーロッパや他の西洋同盟諸国を結集する試みだ。言い換えれば新冷戦の捏造だ。問題は、この捏造が、神話や欺瞞や中傷や妄想や徹底的なウソに基づいていることだ。結局のところ、人々の名前を混同し、記者会見を、まとまった話で終わらせるのに苦労しがちな大統領にとって無理な注文だ。
ヨーロッパ歴訪前のワシントン・ポストの論説で、バイデンは彼のミッションをこう表現した。「私のヨーロッパ歴訪はアメリカが世界の民主主義国家を結集するのが狙いだ」。
第46代大統領の、よく知られた呪文で、彼は世界を二つの陣営に分けた。「民主的価値観を共有する」「強いアメリカの指導力」下のものと、中国とロシアという、ライバルの「独裁国」とされる国々に代表されるものだ。これは、それによって、帝国主義覇権の隠れ蓑として、自身「道徳的リーダーシップ」の立場を得るため、ワシントンが世界を敵対的諸国に分極化する冷戦の再現以外の何ものでもない。
そして、世界のこの神話的枠組みを受け入れるには、指名された敵を悪者にすることが必要だ。遺憾なことに、ヨーロッパのアメリカ同盟諸国(より正確には「属国」)は、全て、挑発的な空想を受け入れる上で、余りに、だまされやすい。
それでも、時折、国益が邪魔をし、ヨーロッパは、アメリカの世界描写は、耐え難いほど酷いと考えている。それ故、27メンバーのブロックと中国との経済パートナーシップを破壊するバイデンの試みには、欧州連合の抵抗がある。12月に北京と署名した画期的な包括的な投資協定に打撃を与える上で、EUには、つきあえる限界がある。
ドイツも、ドイツの産業を推進する上で極めて重要なロシアとのノルドストリーム2ガス・パイプラインをつぶすバイデン政権の企みに耐えるつもりはない。再び、国益が作動して、冷戦というアメリカ神話と日常的な常識とを衝突させている。
それにもかかわらず、バイデンの旅程は、大西洋の両側の国々のロシアと中国に対する敵対的姿勢の画策に向けられている。
彼のワシントン・ポスト論説で、バイデンは、彼の初会談で、モスクワに対し、アメリカのリーダシップを強化することを目指すと述べている。
大統領は、こう書いている。「私がジュネーブでウラジーミル・プーチンと会うのは、アメリカと同じレンズを通して世界を見る、友人やパートナーや同盟国と、我々の結びつきを更新し、目的を共有するトップレベル会議の後だ。我々は、ウクライナ侵略から始まる、ヨーロッパの安全保障に対するロシアの挑戦に対処するために団結しており、我々の権益から分離できない我々の民主主義の価値観を擁護するアメリカの決心には、何の疑念もないだろう」。
実際、ロシアに対し、キエフのならず者政権を兵器化しているのは、アメリカとNATO政権なのに、ロシアが、ヨーロッパの安全を脅かし、ウクライナを侵略しているのが事実であるかのような空虚な主張に留意されたい。2014年の欧米に支援されたクーデター以来、アメリカはキエフに、20億ドルの兵器を供給し、NATO軍がウクライナにいる。ロシア周辺で攻撃力を増強しているのはNATO軍であって、その逆ではない。
バイデンは、ロシアと「アメリカは紛争を求めていない」のような決まり文句を投げ入れ、2月(軍備競争を防ぐ効果は、ほとんどない)新START条約延長に言及した。だが、これら陳腐な決まり文句とは別に、バイデンは続けてロシアの「我々の民主選挙に対する干渉」について、説得力のない非難をした。
ジュネーブで、バイデンが提案しようと試みる根拠がない主張を、プーチン大統領が、くつがえすと確信を持って断定できる。プーチンの細部と論争に対する手ごわい能力だけのせいではなく、主に、アメリカ側が、その基本的な誤りに起因する維持できない主張をしているのだから、これは知的な殴り合いだ。
ロシアと中国に対するアメリカの主張は偽善と矛盾に満ちた神話とウソの見え透いた言い訳に過ぎないとだけ言っておこう。明敏な知性にとって、世界覇権へのアメリカの試みを支える信じ難い言説を維持するのは十分困難だ。高齢大統領が演技を続けるのは、まして困難だ。
それが、ブリンケンが目まぐるしい歴訪中、上司のそばに留まっている理由だ。バイデンバイデンが制御不能になり、見苦しい破綻をしかねないためだ。
国務省は、彼がプーチンに挑戦する、同盟国との会談から、バイデンは「追い風を受けて」出てくると述べた。より正確には、ブリンケンが、怪しい台本を思い出させて、大統領を支えると言うべきだ。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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G-7サミットには、成績が断然ビリの属国傀儡も参加する。機体の都合で出発が遅れたのは、いかにも象徴的。宗主国の発言をおうむ返しして、狂気のオリンピック開催支持を得るのだろうか。
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