トルコはアフガニスタンでアメリカからバトンを受け取ろうと急いでいるのか?
2021年6月16日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook
ロイターとの最近のインタビューで、トルコ当局が、アメリカ軍撤退後、カブール空港を占拠し、管理し、守る準備ができていると発表した。トルコはワシントンと同盟国がアフガニスタンからアメリカ軍を撤退させる計画に関して合意した5月のNATO会談で、この提案を明瞭に表現ししていた。
6月7日、ヒュッリイェト新聞のインタビューで、トルコのフルシ・アカル国防大臣は「アンカラのこの提案は、アメリカとNATOとの、政治的、財政的、兵站上の協力が存在する限り、同盟諸国に提供する」と述べた。この措置をとることで、アンカラが、主にトルコのロシアのS-400防空システム購入と、東地中海水域でヨーロッパ諸国と始まっている採掘権論争のため緊張に満ちたワシントンと西ヨーロッパとの関係を改善したがっているのは非常に明白だ。最近、アフガニスタンと関係する問題を含め、イギリスとトルコ間で行われた相互交流の数に目立って増加しているので、このアンカラ提案が、ロンドンの提案を受けて行われた可能性は排除できない。
国際同盟の計画されたアフガニスタンからの部隊撤退後、アフガニスタン首都カブールで進展する状況に、NATO国が強い関心を持っているので、この種の提案を実行することで、国際問題における、その役割と地政学的影響力を増大させようと努めているトルコが、欧米から更なる恩恵を獲得できることも忘れられてはならない。この懸念で、特にブリュッセルで、カブール国際空港の治安を議論する最近の会議の際、マーク・ミリー統合参謀本部議長が「これは、西側諸国の外交的プレゼンスと、アフガニスタンと地域での平和を維持する彼らの役割に依存する」と発言した。
2002年以来、NATOの軍事要員に運営されているカブール空港安全保障の脆弱性は、去年9月下旬、NATO事務局長のイェンス・ストルテンベルグとジェームズ・マティス国防長官の予告なし訪問でカブールに到着した際、空港がロケット砲火を受け、NATOの力が実証された。当時、空港で、軍の便が発着する部分が攻撃を受け、(ロシアで活動禁止されている集団)タリバンが、この砲撃犯行声明を出した。
2002年以来、アメリカ政府は、アフガニスタン民間航空システムを再構築するために約5億6220万ドル使ったが、アフガニスタンのために、自力で領空を管制する業務を行うのに十分な航空管制官を養成し損ねた。アフガニスタン政府が、空港管理の業務を引き継ぐために、全ての責任を引き受ける専門家を訓練するには、3年か4年を要するだろう。だが、この過程は待つことができず、アフガニスタンからのNATO同盟部隊完全撤退前に、3カ月以内に実行されなくてはならない。加えて、先月、アフガニスタン民間航空機関がNATOに空港航空管制塔の管理を移すよう求めたが、アフガニスタン当局者は国はカブール空港に必要な治安業務を行うよう民間請負業者を魅了する財政能力に欠けると言う。
この条件下で、アメリカの刊行物ナショナル・ニュースによれば、トルコ政府はNATOとの合意の一環としてカブール国際空港の責任を負い、1億3000万米ドルで、若干の技術的改良さえすることに同意した。
アンカラ提案は、たとえタリバーンが突破し、この国で権力の座についたとしても、トルコがカブール空港を支配下に留め、治安を保証することを期待するブリュッセルとワシントンから明らかに興味を引いた。そもそも、トルコはこの国での同盟の軍事任務を支援する唯一イスラム教NATO加盟国だ。だが、2003年からNATO任務の一環として、アフガニスタンに軍隊を派遣したにもかかわらず、彼らは戦闘活動には参加せず、タリバーンに攻撃されなかった。加えて、トルコは一度も、この国に対する支配を確立したり、統治体制を押しつけたりする意図を見せたことがない。主にアフガニスタンの行政、司法、教育、医療制度を改革し、アフガン警官の大集団が、アンカラによって建設された特別センターで訓練を受ける状態で、アフガン警察と軍の訓練支援に関与している。それに加えて、アンカラが、他の国々において、その立場を強化する戦術で、アフガニスタンでも巧みにソフト・パワー技術を駆使して、トルコ語で教えるモスクや学校を復旧し、トルコ支持の放送局に積極的に財政支援し、この国でのトルコ企業に支援を与えていることを忘れてはならない。そのおかげで、トルコは、アフガニスタン問題に関する多数の会議をトルコ国内で開催し、アンカラは今日この国の内政に非常に影響力を持ったプレーヤーなのだ。
最近確立したカタールとの「同盟関係」が、アメリカとNATO連合軍撤退後、アフガニスタンでのアンカラの行動に対する決定的な追加支援になり得る。この両国が、いわゆるカタール支持派タリバン集団(ロシアで禁止されている集団)の過激派戦士と、ウズベク人であるラシード・ドスタム大将率いる軍の支持に依拠して、既にアフガニスタンの北と西に彼らの管理下の飛び領土を作ることを許されている。
この状態で、アフガニスタンから全てのNATO軍隊が撤退した後、トルコ軍隊だけが最終的に残留する可能性は排除できない。彼らは観察者以上の何者かとなり、アフガニスタンで事態がどのように進展するかについて、様々な選択肢に影響を与えることができ、それにより、これらのプロセスで、トルコが果たす役割と、その地政学の重要性を増すが、これは、まさにトルコのエルドアン大統領が積極的に熱望しているものだ.
カブール空港に関するアンカラ提案に対するワシントンの同意は、同盟軍撤退後でさえ、トルコ自身にとっても、アフガニスタンにおけるワシントンの立場強化にとっても、圧倒的な結果をもたらしかねない。結局、特に、北大西洋連合加盟諸国の一つ、トルコの支配下にあるので、これはアメリカが、いかにして、この地域で、更に活動するため、アフガニスタンで足場を維持できるかなのだ。それに加えて、アフガニスタンのアヘンケシ耕作面積は、NATO駐留中に、20倍以上(2019年には、最高163,000ヘクタール)に増加し、この国は、世界麻薬市場の80%以上の供給源へと転換した事実を考えると、アフガニスタン領空支配も含む「トルコの選択肢」は、ワシントンが、この極めて重要な違法市場における最有力の立場を維持するのを妨げるまい。
ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。
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ネットで見かけたラサール石井の東憤西笑 「せめて英会話を大臣の最低条件に」驚いた。
二つの文章は特にデタラメ。今回の記事は、言語教育の常識を無視する素人の暴論。というより、日本人の誤った「常識」の典型例。
そもそも日本の英語教育がおかしいのだ。中高6年、大学入れたら8年、10年も英語を勉強しながら、会話すらできないなんてあり得ない。だいたい英語教師が外国人と会話できない。
文法などより、徹底して会話教育に徹し、高校卒業時に全ての学生が簡単なニュースぐらいわかるようにするべきだ。そうすればどれだけ国力が上がるか。
文法力がない人間がニュースが読めたり会話ができたりするわけがない。中高6年、体育の授業を受けたら、国体にでられるだろうか?音楽の授業を受けたら、コンクールに出られるだろうか?数学でノーベル賞がとれるだろうか。そもそも実力をつけるには時間が圧倒的に不足している。素人の暴論、おもしろいかも知れないが真に受けてはいけない。外国語を学ぶ場合には文法は重要だ。会話だけならっても、中身のない会話しかできない。
そもそも恫喝男、日本語でも会話しない。会話する意思皆無。最高の通訳をつけても、彼との会話は成立しない。
今日の孫崎氏のメルマガ題名
緊急事態宣言の解除、各紙社説。日経と産経は解除支持。読売・朝日はああだこうだと書いているが結局人畜無害の作文に終始。毎日は東京五輪 無観客での開催を求める。東京新聞は「解除に疑問がある」とかろうじて書くも「再拡大した場合、、、」と現状受け入れての論。
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