アフガニスタン戦争で敗北したのに、依然足場を残しておこうとするアメリカ
2021年6月21日
Moon of Alabama
アメリカが訓練していたアフガニスタン政府軍は、タリバンに対する戦いで早々と負けつつある。アメリカはアフガニスタンからの完全後退を約束した。だが今アメリカは、カーブル国際空港支配を維持し続けて、足場を維持する計画だ。この計画は失敗する可能性が高い。
ソ連軍がアフガニスタンを撤退した際、彼らが支援していた政府軍は、更に三年持った。やがて、ソ連は全ての支援を切断したが、アメリカは種様々なパシュトゥーン族指揮官やムジャヒドを支援し続けた。ソ連の再補給がないため、政府軍は諦めなければならなかった。今アメリカ占領軍は撤退しつつある。だが彼らが後に残す政府と軍隊は、ソ連が支持していた軍隊より生き残る用意は遥かにお粗末だ。今タリバンの支配奪還の速度から、アフガニスタン政府軍が完全崩壊するまで、わずか数カ月しかかかるまいと私は予想する。
アフガニスタンは約400の地区がある。タリバンは既に地方の50%以上を支配して長いが、通常各地区中心の掌握は控えていた。それが今変化している。今年5月1日から6月14日の間にタリバンはアフガニスタンの34地区支配を掌握した。先週彼らは、更に一ダースの地区、日曜日だけで、四地区を掌握した。
タリバンが掌握した地区の多くは、主にパシュトゥーン族地域ではなく、ウズベク人や、タジク人や、他の少数民族の北部だった。アメリカ侵略前に、それらの住民はしばしば反タリバンだった。
タリバンが使っている戦術は、ほとんど一貫している。彼らは、まず地区センター周囲の検問所と小さいとりでを攻撃し、それから政府軍と警察の主なとりでを包囲する。部族の長老が送り込まれ、降伏するようにというタリバンの要求を伝える。タリバンはその際誰も傷つけないと約束する。彼らは兵士に、武装解除し、名前を登録するよう頼むだけだ。タリバンは故郷に帰るのに十分な金を彼らに与える。
政府はもはや包囲された陣地に再供給し強化することはできない。貧しい空軍にはそうするためのヘリコプターがないのだ。ソ連製の古びたMI-19が何機かまだ飛んでいる。アフガニスタン人はほとんど自身で、それらを維持できる。何年も前、アフガニスタンはロシアから更に多くを買いたいと望んだ。だがアメリカ議会が介入した。兵器圧力団体はアフガニスタン空軍はアメリカ製航空機を買って飛ぶべきだと要求した。60機のブラックホーク・ヘリコプターや他のアメリカ製航空機が出荷された。これらはロシア製のものより能力が劣り、複雑で高価だった。アフガニスタン人はそれを維持する能力を持っていなかった。アメリカ請負業者がそのため雇われた。だが今それら請負業者はアメリカ兵と共に去る。ブラックホークは次々と飛行停止になり、まもなく一機も飛ばなくなるだろう。
解放される可能性のない、種々の地区センターで協力を拒む人々は、最後まで戦うのではなく、諦める傾向がある。毎日何百人もの兵士が降伏し、タリバンに歓迎される。彼らはタリバンが次の作戦で使える膨大な量の武器やトラックと弾薬を渡すのだ。
タリバン支配する地区を奪還する政府軍による試みは失敗している。先週、ファリヤブ州のダウラト・アバド地区で、約50人のアメリカで教育された特殊部隊がセンターを奪還しようとした。計画では、約50人の奇襲隊が先行し、彼らの後に続く準備ができている約170人の兵士と警察が参加することになっていた。航空援護が利用可能なはずだった。奇襲隊は入って、孤立させられ、一時間以内に半数が死んだ。彼らを追って支援するはずだった人々は待ち伏せを恐れ一度も基地を出なかった。約束された航空援護は決して到着しなかった。
アフガニスタン軍は士気を失っており、陣地を保持するために必要な支援を得られない。まもなく崩壊するだろう。中国はこれを認識しており、中国人に国を去るよう奨励している。
一週間前、トルコのエルドアン大統領は、カーブル国際空港を「しっかり守る」ためトルコ軍が使えるという考えを持ち出した。この考えはワシントンDCから始まったように思われた。エルドアンの発表後、タリバンは即座にそれを拒絶した。
アメリカ主導のNATO軍撤退後、カーブル空港を警備し運営するというアンカラ提案を実質的に拒絶して、アメリカ軍撤退の2020年合意の下、トルコはアフガニスタンから軍隊を撤退させるべきだとタリバン報道官が木曜日に述べた。
この進展は、戦いが首都を脅かした際、陸封のアフガニスタンから要員を、いかに安全に避難させるかについて、アメリカや他の国々やカブールでの任務がある国際組織にとって重大な問題を提起する。
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他の外国軍が去った後、国際空港を警備し、運営するためにカーブルに軍隊を維持するというトルコの提案をタリバンが拒絶するかどうか問われて、ドーハのタリバン報道官は、彼らも同様に去るべきだと答えた。
先週バイデン大統領はNATOを訪問し、エルドアンと会談した。彼は計画に賛成した。
アメリカとNATO軍隊がこの夏アフガニスタンから撤退した後、彼らがカブール国際空港の支配を維持するアンカラ軍を支援するようにというトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の要請にジョー・バイデン大統領が同意したとアメリカ幹部が木曜日に述べた。
月曜日にブリュッセルでの会談の際、「バイデン大統領は支援が間もなく来ると確約した」とジェイク・サリバン国家安全保障担当補佐官は記者会見で記者に語った。
「エルドアン大統領はそれに対する満足を表明し、二人は彼らのチームに最終詳細を練る仕事を与えた」とサリバンは述べた。
タリバンが国の各地において前進する中、アフガニスタン政府への外交使節団を守る上で極めて重要だと欧米当局が考えるトルコの安全保障計画を支援するため、アメリカ当局者が「詳細な有効な安全保障計画をまとめ上げている」。
外国の主要空港を確保して、外交使節を守ることなどありえない。これがなぜ話題になっているかについては、他の理由があるに違いない。
CIAは、アフガニスタンに隣接する国々にドローン基地を置いて、アフガニスタンでアルカイダと戦って、麻薬密輸ビジネスを続けようとした。パキスタンと交渉が行われたが、パキスタンのイムラン・カーン首相は公式に計画を拒絶した。
Axios HBOのインタビューで、イムラン・カーン首相は、アメリカがアフガニスタンの作戦のためにパキスタンを基地として使うことを断固認めないと述べた。
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アメリカがパキスタンのCIAに、アルカイダやイスラム国集やタリバンに対し、越境対テロ任務を行わせるのを許すことは「決してない」とカーン首相は、インタビュアーのジョナサン・スワンに言った.9月までに完全にアフガニスタンからアメリカ軍を撤退させるジョー・バイデン大統領の計画に、パキスタンの協力は極めて重要と考えられている。
カーン大統領は、常にパキスタンを、そこから作戦を始動する基地として使うアメリカに反対で、彼のコメントはパキスタン官僚による類似の発言に続くものだ。
この姿勢は、#AbsolutelyNotという言葉で、パキスタンで多くの称賛を勝ち取った。
アメリカが支配するIMFの融資を必要としているので、パキスタンはCIA基地を受け入れるよう圧力を受けた。だが中国は、アフガニスタン内や周囲で、これ以上のCIA干渉を望んでいない。去年アメリカは、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)をテロリスト・リストから外した。中国は、アフガニスタン内、あるいは付近で、CIAが、過激派ウイグル族のETIM軍を訓練し、装備させ、新彊で問題をかきたてるのを恐れている。更なるアメリカの圧力を避けるための十分な支援をパキスタンに提供したように思われる。
アフガニスタンの周囲にCIAを支援するのをいとわない他の国々がないので、アフガニスタンに滞在する方法を見つける必要があった。カーブル空港のトルコ支配は、アフガニスタン内でドローンを維持し、地上ネットワークと連絡をとるのを可能にするだろう。
主要国際空港が外国勢力に支配されている国は独立国家ではない。このような立場は、だから一時的なものでしかない。タリバンがカーブルを奪取するのに彼らに何の問題もないだろうと私は考えており、空港は攻撃を受けるだろう。タリバンは、空港を包囲攻撃下に置いて、爆弾を投下して粉々にするのに十分な長距離砲を捕獲している。トルコ軍のためのアメリカ航空援護は中東から来なければならず、パキスタン領空を通らねばなるまい。だから空港の長期防衛は不可能なのだ。
すると、アメリカあるいはNATOが、アフガニスタンで足場を維持する試みの背後にある本当の計画は何だろう?アメリカあるいはNATOが、カーブル空港での、トルコ、可能性としてはハンガリー軍に対する攻撃を、最終的にアフガニスタンを再侵略するための引き金と考えているのだろうか?それは理にかなっているのだろうか?
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蘋果日報(りんご日報)廃刊や主筆逮捕を熱心に報じる日本の大本営広報部、蘋果日報とは逆の、支配体制言論を複写する中国共産党メディアの日本版に過ぎない痛烈な皮肉。中国批判の時間があれば自国腐敗政権を批判してみろ。
足元を見れば、宗主国向けより、中国向け輸出のほうが大きいのに。一流企業が並んでいる!
今日の孫崎氏のメルマガ題名
今日対中輸出は対米輸出より多い。対中輸出大きい企業。トヨタ自動車、ソニーG、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、日本電産、ダイキン、村田製作所、ファナック、SMC、資生堂、コマツ、ユニ・チャーム、TDK、東レ、住友化学、オムロン、日東電工、TOTO、良品計画等。
五輪をやって欲しいと右翼芸人。旅ランを含め彼の番組は見ない。
地球の裏側の国を爆撃して自衛だという宗主国侵略軍と属国傀儡、同じ価値観。それもそのはず。いまだ占領体制は継続している。
【緊急シリーズ特集!日本は歴史的分水嶺を越えた!? コロナ禍の陰で改憲と一体の国民投票法が成立!戦争への道を許すな!! 16・IWJ_YouTube Live】20:00~「『米軍の占領体制は今も継続されている』――謎の権力機関『日米合同委員会』の知られざる実像とは!? 『戦後最大のタブー』について訊く!~岩上安身によるインタビュー 第689回 ゲスト ジャーナリスト 吉田敏浩氏(2)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured2016年12月に収録した、岩上安身による吉田敏浩氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた日米合同委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%97%a5%e7%b1%b3%e5%90%88%e5%90%8c%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a
横浜カジノ市長選がねじれている。当選すると、また豹変するのだろうか。行け行けどんどん横浜ドン。
【横田一の現場直撃 No.117】雲隠れ小池、都議選号砲/横浜、小此木出馬のウラ/赤木ファイル追及これから 20210628
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