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2021年6月27日 (日)

サウジアラビアの経済改革はリヤドによる地域支配が狙い

2021年6月23日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 サウジアラビアの「ビジョン2030」は既に本格化しているが、この大規模な数十億ドルの経済転換計画の目的は、石油に依存するサウジアラビア経済を変え、多様化するだけではないことが益々明確になっている。この計画の基本目的は、むしろ湾岸/アラブ世界でサウジアラビアの中心的存在を復活させることだ。UAE出現まで、サウジアラビアは、貿易、金融と経済における地域の総本山として、経済的要因を過度に心配することなく、イスラム世界の中心としての独特な立場を頼りにできていた。だがドバイの出現と急速な経済発展は地域大国としてのUAEの勃興をもたらし、サウジアラビアが中心的存在を維持するのに十分な資源がなくなった。従って、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子の「ビジョン2030」は、ドバイに対抗し、可能性として、取って代わり、サウジアラビアを貿易と経済活動の地域センターにすることを目指す地政学的な計画だ。この計画は既に、UAEとのつながりと同様、この地域におけるサウジアラビアの立場に影響を与えている。

 例えば、数カ月前、地域本部が、サウジアラビア王国に置かれていない外国企業との契約を2024年1月に終わらせる計画、いわゆる「プログラムHQ」をサウジアラビアが発表した際、湾岸諸国、特にUAEに、強烈な衝撃波を与え、特に前財務省高官ナセル・ハッサン・アル・シェイクが、湾岸市場中心を移動させる動きだと述べた。この強制で、サウジアラビアが実際、地域貿易と経済活動で、どれだけリヤドを中心にできるかは時間がたたなければわからないが、多くの企業がサウジアラビア王国では、大きな事業を行っており、彼らの多くがUAEとサウジアラビア両国で事業を継続するため、おそらく違う名前を使ってリヤドでも登録するのは明らかだ。

 多くの多国籍企業がサウジアラビアに本部を設立することに同意した。2021年1月、ペプシコ、フランスの油田サービス企業シュルンベルジェとカナダのファーストフード企業ティム・ホートンズは、彼らの地域本部をリヤドに移動すると発表した。この発表で、24の多国籍企業が地域本部を設置する理由として経済力をあげた。例えば、ベクテルは最近、皇太子の最も大胆な国内開発計画NEOMで計画されている未来的な170キロの都市帯状地帯「The Line」を構築するプロジェクト管理契約を受注した。

 戦術として強制の使用に加えて、王国は、更に企業を奨励する提案もしている。2024年1月の最終期限に加えて、投資省が監督する国の投資ブランド、Invest Saudiが発行しているパンフレットによれば、サウジアラビアは、リヤドに地域本部を設置した企業に、50年、法人税をゼロにし、サウジアラビア人を雇用する義務の少なくとも10年間の回避、政府機関の入札と契約で優遇する。

 これらの誘因は、サウジアラビアの喫緊の目標が、サウジアラビアで、より多くの雇用創造ではないことを明らかに示している。むしろUAEを含め、他の地域大国の台頭だけではなく、イエメンでのサウジアラビアの自滅的戦争で打撃を受けている立場、大国として自らを、再確立する手段として、リヤドを経済活動の主要な地域センターに変えることを目指している。

 同時に、ドバイに対抗すべく、サウジアラビアの紅海港湾の近代化計画も進行中だ。このため、王国の政府投資ファンド、公的投資基金(PIF)が支援するサウジアラビアの紅海ゲートウェー・ターミナル(RSGT)は、食品安全保障に関わる重要なサウジアラビア輸入に関与する中東と北アフリカ港湾を対象に定めていると述べている。RSGTは、それぞれの投資で、少なくとも5億米ドルを、少なくとも三つの国際港に投資する計画だと述べた。王国は、他のサウジアラビア港湾を含め、紅海のジッダの主要港を拡張するため、最高17億米ドルを投資する意図を確認した。

 王国が2030 FIFAワールドカップを開催すると主張し始めたのは、リヤドを、この地域の総本山にする基本目的と一致している。その目標を実現するため、サウジアラビアは、カタールがこの催しを繰り広げる中東最初の国になってわずか8年後、4年に一度のトーナメント、最も高視聴率のスポーツ・イベントを、どのようにすれば呼び込めるか分析するためにボストン・コンサルティング・グループを雇った。

 サウジアラビアは、UAEに対抗するため、企業にリヤドに本部を設立するよう強いているが、FIFAワールドカップ開催推進は、ゲームの陰の実力者として地域支配する(サウジアラビアのライバルの一つである)カタールを無力化する取り組みを強調している。

 もう一つのサウジアラビアのライバル、トルコに目標を定めて、サウジアラビアは、地中海のトルコのライバル、ギリシャとの強い結びつきを確立し始めた。サウジアラビアが、ギリシャからのパトリオット防空システムを購入するのに加えて、両国は文化的商品、サービスと技能の交流を含む新たな「文化的提携」開発に同意したが、これは約10億ドルの既存の貿易関係を強化するのに役立つだろう。

 湾岸におけるサウジアラビアの直接の経済的、政治的存在については、アバディーン・スタンダード・インベストメンツとInvestcorpが設定する新しい8億ドルの湾岸インフラ基金で、公的投資基金がアンカー投資家になる予定で、大きな弾みをつけた。

 中東と北アフリカの地理経済の支配的当事者として、サウジアラビアを復帰させることがサウジアラビアの経済転換計画の主要部分なのは明らかだが、コマーシャルハブとしてのUAE(ドバイとアブダビ)をどこまで追い出せるかの正確な程度は未解決の問題だ。サウジアラビアには、いくつか構造的制限がある、例えばドバイより比較的低い生活水準という事実以外に、UAEが彼らをドバイに留まらせるため多国籍企業に新鮮な誘因を投入すると予想するのが論理的だ。それに加えて、継続中のイエメンでの戦争により増加する安全保障上の脅威と、首都を含め、サウジアラビアの都市を標的に定める能力がある。

 言い換えれば、サウジアラビアは、リヤドとジッダに移るよう多国籍企業を引き付けたり、威嚇したりする前に、多くの政治的、社会的、経済的、軍事的問題を解決しなければなるまい。適切な環境がない中、近代化し、支配を再確立するサウジアラビアの動きは、が裏目に出かねない。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/06/23/saudia-s-economic-transformation-eyes-riyadh-s-regional-dominance/

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 たまたま、東京新聞朝刊で、制裁下イラン企業の活躍記事を読んだ。コロナ対策の医療機器を生産し、輸出までしているという。石油依存から離脱できずにいる物作りと無縁の国と好対照。この格差は開くばかりだろう。

 イギリスでは、ソーシャルディスタンスを破った不倫大臣が辞任した。

 昨日赤木ファイルを巡る夫人と弁護士の記者会見の映像を拝見した。不都合な情報を削除するために改ざんさせることになった元首相も現財務大臣も平然とくらしている。捜査されるべき本人が捜査開始しないと威張る不思議な国。

 日本外国特派員協会

森友改ざん問題「赤木ファイル」開示 妻が記者会見(2021年6月24日)

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