シーブリーズ2021を装ったNATOによるウクライナ武装強化は将来のドンバスでの紛争用
Paul Antonopoulos 地政学評論家
2021年6月3日
Infobrics
アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ルーマニア、ブルガリア、ギリシャ、トルコ、ラトビアや他のNATOパートナー諸国の参加を得て、ウクライナ国防省とアメリカの欧州司令部は、6月28日から7月10日まで大規模共同演習を行う。これらの訓練は実際非常に巨大で、約4,000人の軍人、40隻の戦闘艦、艦船と補助船、30機の航空機と100台以上の装甲車両か参加する。
シーブリーズ(潮風)2021と名付けられたウクライナ-NATO共同軍事演習は、ロシアに対する仮想戦争参戦諸国間の相互運用性改善を目指しているが、最も警鐘的な事実は、ウクライナ軍と極右民兵が、訓練中に高度な兵器と軍需品を供給されることだが、これはロシアには隠されていることになっている。
シーブリーズ2021演習は、ロシアが、その西部国境付近で近年頻繁になったNATO活動を非難する中、行われる。NATOは、偵察艦船や飛行機や無人飛行機を黒海地域に送ることによって、いわゆるロシア侵略を封じ込めたいと望んでいると言っている。
3月19日、NATOは、黒海でSea Shield-21演習を開始した。この演習には、兵士2,400人以上、軍艦18隻と飛行機10機が参加した。3月17日、NATOが既に数週間そこで、プレゼンスを強化した後、スペインのフリゲート艦メンデス・ヌニェスが、この地域に入り、ウクライナとジョージアに対する支援を示した。2月25日、スペインとギリシャの機雷掃討艇タホとエウロピも黒海に入った。2月初旬、二隻のアメリカ駆逐艦ドナルド・クックとポーターが軍事演習への参加後、黒海を去った。これらは、ロシアに圧力をかけ、封じ込めることを狙った黒海におけるNATO活動の少数例に過ぎない。
2020年後半、ほぼ守られた停戦後、NATOに支援されるウクライナ軍/極右民兵とドンバスの現地防衛軍間の戦闘は、2021年早くから増加していた。同時に、ウクライナ国境近くで何万という兵士を派遣したモスクワが大規模軍事行動の不安を引き起こし、緊張が増加した。ウクライナは、侵略する口実を探しているとロシアを非難し、他方モスクワは「誰も脅迫して」いないが、どんな挑発にでも対処する用意を調えていると主張している。
この欧米の支援で勇気づけられて、先月ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「黒海地域を守る」ため、国の南部に、二つの海軍基地を作る計画を発表した。
南ウクライナのムィコラーイウ地域での、450人のイギリス落下傘兵が参加したジョイント・エフォット2020演習後、ウクライナのドミトロ・クレーバ外務大臣は、イギリス兵士に留まって欲しいと述べた。彼は、独立のためのウクライナの苦難を、イギリスが常に支援し、「ロシア侵略」に抵抗するのを手助けしていると強調した。
これまでのところ、ロンドンはキエフの呼びかけに答えていないが、イギリス海軍艦船が頻繁に黒海を訪れて、この地域で、特にロシアに対し、積極的に活動し続けている。だが両国軍隊間の技術協力は拡大している。
今年早々、ゼレンスキーは、イギリスの信用調査機関との協定に署名した。その条件の下、イギリスはウクライナ海軍のために、NATOに準拠するミサイル艇を建造する。クレーバ外務大臣以前は誰もムィコラーイウ地域でのイギリス基地の考えを持っていなかった。クリミア半島が、まだウクライナ主権下にあった時、セバストポリに基地を保有する特別協定に合意していたが、外国軍事インフラ配備は、ウクライナ憲法第17条で禁止されている。理論的には、もし彼らが欲すれば、ウクライナはイギリスのために例外を作ることが可能だ。
ウクライナの黒海領域にイギリスが永久基地を持つことはありそうもないが、彼らは確実に、ウクライナを武装化するのを、しり込みするまい。この理由で、シーブリーズ2021演習には特定装置が必要だという見せかけの下で、NATO、特にアメリカとイギリスが、ウクライナを武装強化させているのだ。
今年早々、彼らのそれぞれの紛争地域で、ウクライナとアゼルバイジャンの軍による同時作戦が起こるよう思われた時、ドンバス地域で、ロシア・パスポート保有者に対する、いかなる侵略にも反撃するためのロシアの急速動員が、このような考えを阻止した。
NATOは、ウクライナのドンバスに対する成功の可能性は、ほとんど皆無だと素早く理解して、より良い準備ができるまで軍事行動を延期した。今NATOは、ウクライナと際限なく軍事演習を行うことで、この目標に向けて取り組んでいるように思われる。今彼らはシーブリーズ2021演習を密かにウクライナにハイテク機器を送るために使っている。今年早々のロシア動員はウクライナ軍の欠点を明らかにし、NATOは今これらの欠点を埋め合わせようと試みており、ドンバスでの新しい対立は、阻止されたのではなく、遅れているだけなのを示唆している。
出典:InfoBrics
記事原文のurl:http://infobrics.org/post/33465
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