中国を非難するため研究室流出論を身勝手に政治問題化するバイデン
Finian Cunningham
2021年5月29日
Strategic Culture Foundation
もしバイデン政権が本気でCovid-19流行の起源を決定するつもりなら、北京を中傷する露骨な目的で、問題を政治問題化していないはずだ。
今ジョー・バイデン大統領は、Covid-19流行は中国のバイオ研究室から流出したのだというトランプの陰謀論をチャネリングしているのだ。この主張を裏付ける新しい証拠はなく、新しいのは、ワシントンが北京に対して、敵意を強化する身勝手な機会だ。
「研究室流出」論は、最初、2020年早々、スティーブ・バノンや他の反中国妄想にとりつかれた共和党の気のふれた右翼アメリカ人が持ち出した。それが、ドナルド・トランプ前大統領や、CIA長官から国務長官に転じたマイク・ポンペオに取り上げられた。考えは世界的に有名な伝染病研究所、武漢ウィルス研究所が、致死性ウイルスを、偶然、あるいは意図的に放出し、世界の国々に感染させ、特に、トランプによれば「歴史上、最も偉大な」アメリカ経済を崩壊させたのだ。
昨年、これらの主張は、人の体に家庭用漂白剤を注射するのが、Covid-19に対する治療法であり得ると信じたトランプらしい、常軌を逸した陰謀論だとして、民主党や、彼らを支持するニュース・メディアに切って捨てられた。
中国や多くの他の国際専門家が推進した、より、まことしやかなシナリオは、SAR-CoV-2ウイルスは、本質的に進化し、動物から人間に感染したというものだった。中国が、この病気の中心地だったのか、中国で発見される前に、別の国で、知らないうちに発生したのかどうかはまだ明確ではない。
今年3月、世界保健機構WHOによる調査が、起源と感染の自然な原因が最もありそうな説明だと結論した。それは、ウイルスが武漢研究所から流出したという主張を排除した。WHOは、この病気の世界的起源を見つけるため、更なる研究が行われるべきだと助言した。だが、それは中国が何かを隠蔽していることを暗示するわけではなく、更に多くの科学的に複雑な主題の研究を呼びかけているだけのことだ。
中国のこの都市は、2019年末、Covid-19病が最初に中国当局に検出された場所だ。Covid-19は、それから国際的に広まり、2020年3月までにWHOに世界的流行と宣言された。この病気はこれまでに、世界的に350万人の死者、アメリカで最大の犠牲者、590,000人以上をもたらした。
現段階では、Covid-19ウイルスの正確な起源について誰も確実ではあり得ない。答えを決定するには、何年もの科学研究が必要かもしれない。世界的に、1700-10000万人の死をもたらした1918年-20年のインフルエンザ世界流行から一世紀以上後も、そのウイルスがどこで発生したか依然明確ではない。
だが、WHO専門家は、Covid-19ウイルスの最もありそうな説明は、自然進化と「動物から人への感染」だと評価している。それは中国から始まったか、少なくともそこで検出されたように思われるが、この病気が、それ以前にアメリカやヨーロッパに存在していたが、Covid-19としてではなく、誤って「新型インフルエンザ」と診断されていたという合理的な疑いがある。それが偏見を政治問題化するのではなく、科学的な国際協力の取り組みが必要な理由だ。
最近変化したのは、公式症例が報告される何週間も前に、武漢研究所の中国人科学者が2019年11月にCovid-19症状で病気になったというアメリカ・メディアの主張の出現だ。中国は最近の報道を虚偽だと酷評した。武漢研究所も科学者の誰も病気で衰弱していなかったと述べた。
アメリカ・メディアの主張の情報源は必然的にアメリカ諜報機関だ。これは更に、バイデン政権に、研究室流出論を復活させるよう促した。
今週、バイデン大統領は、諜報機関に、90日以内に、Covid-19ウイルス起源についての推測を報告するよう命じた。バイデンは、アメリカ諜報機関が、ウイルスの起源が天然だったか、研究室から放出されたと考えるかについては「軽度から中等度の」確信しかないと認めている。
それは、アメリカのスパイが思いつくことに対する信頼を、ほとんどもたらさない。この連中は「ロシアゲート」やイラクの大量殺戮兵器に関する他の悪名高いたわごとを思いついた得体の知れない連中であることを想起願いたい。それはもう一つの政治的要求に合致する評価をもたらす「証拠」をいいとこ取りする、ふらちな処方箋のように聞こえる。そして、この要求は、ワシントンが、中国を更にしつこく悩ませ、反中国政策を巡り、アメリカの同盟諸国を呼び集める方法を見いだすことなのだ。
バイデンは彼自身、トランプがそうだったのと全く同じくらい、北京に対して闘争的であることを示した。それは誰が実際、大統領執務室にいるかにかかわらず、ワシントンの政策は固定していることを示している。
「中国ウイルス」に関するトランプの陰謀論を、おそらく「情報機関評価」という、より良い外見で、バイデンが、久しぶりに引っ張り出してきたのだ。
トランプは、中国の研究室漏えいに関する彼の、かつての企みが、今正しいと証明されたと自慢げに言っている。いや、そうではない。更なる侵略を推し進めるため、民主党新大統領が身勝手に、トランプの狂気を中国に向けているだけなのだ。
もしバイデン政権が本気でCovid-19流行の起源を決定するつもりなら、北京を中傷する露骨な目的で、問題を政治問題化していないはずだ。そうではなく、バイデンは、科学的に流行を研究するため、WHOと中国と協力しているはずだ。それには、2019年、アメリカにおける「新型インフルエンザ」死者の調査や、メリーランド州のフォート・デトリック軍事施設のようなアメリカのバイオ研究室や、アメリカが近年アジア中に設立した何百もの他のバイオ研究施設の調査を含むはずなのだ。現状、バイデンは中国に固執している。それは科学的ではなく、政治的だ。
Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。
個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。
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岩波書店の月刊誌『世界』でコロナ対策の連続ルポ記事を書いておられる山岡氏が語る頑張る医療最前線
デモクラシータイムス
イスラエル政権の行方はまだわからない。ネタニヤフは政治力強化を狙って空爆をしたのだろうが。時期は、73年前のナクバにかさなっていた。
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視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured2018年1月に収録した、岩上安身による早尾貴紀氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた早尾貴紀氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
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