中国との不必要な経済戦争で犠牲になるオーストラリアの利益
2021年4月27日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook
今週オーストラリア政府は、予想されてい措置を行い、オーストラリアのビクトリア州が中国と署名していた一帯一路構想協議を中止した。動きは予想外ではなく、しばらく前に政府が示していた。キャンセルの表向きの理由は、オーストラリア安全保障の利益に反するということだった。それがどんな形でオーストラリアの安全保障を脅やかすかについては明らかにされず、二つの組織、この場合、中国とビクトリア州の貿易を促進する合意に、保安上の脅威を確認するのは困難だ。
オーストラリアはBRI参加から公式に脱退する最初の国になった。BRI参加国は、主要な国の名をあげれば、フィジー、インドネシア、ニュージーランドやパプアニューギニアなどのオーストラリア地域の12カ国を含め世界のあらゆる地域の140以上の国々で構成されている。
公式に言われている「国家安全保障」という理由は、もちろん政治決断を正当化するため、でっちあげられたものに過ぎない。オーストラリアは、外交政策のあらゆる有効な狙いの上で、もう一つのアメリカ合州国なのだ。日本が第二次世界大戦に入り、オーストラリアがアメリカ軍に国境を開いた時以来、それは明白だった。彼らは以来ずっとここにいて、今ノーザン・テリトリー、パイン・ギャップの重要な電子的スパイ活動基地を含め、推定8つの軍事基地を占領している。
その間に、オーストラリア部隊がベトナム戦争への関与から撤退した1972年から1975までの3年間のホイットラム支配下の、短期間の独立の混乱があった。この政権の転覆は総督の地位にあり、それをホイットラム政権を解散させるために使った長年のアメリカ諜報機関工作員ジョン・カーが画策したものだ。
その時以来アフガニスタンやイラクやシリアの侵略と占領へのオーストラリア部隊関与でみられる通り、アメリカ外交政策の立場から大きく逸れたオーストラリア政権は皆無だ。オーストラリアの二大政党の超党派的手法は(皮肉にもマレー・中国系出身の)ペニー・ウォン労働党外国問題報道官が政府決定に与えた無条件の支持で見ること可能だ。
この動きは予想外ではなかった。中国とオーストラリア間関係は、少なくとも、2020年、オーストラリアのスコット・モリソン首相が、世界中で荒れ狂い始めたコロナウイルス流行の「中国起源」調査を要求した時以来、基礎は脆かった。
オーストラリアが、なぜ中国政府を悩ませようとわざわざ努力するかを理解するのは率直に言って困難だ。中国は、次に大きな日本との規模の二倍という大差で、オーストラリア全体の輸出収入の40%以上に及ぶオーストラリアの最大貿易相手国だ。政府の無分別な発言に対する対応や、他の懲罰措置として、中国政府はオーストラリアからの広範囲の輸入を停止し、ワインなど他のものに懲罰的制裁を課した。
中国が極めて重要な貿易相手国なのは輸出だけではない。2019年(コロナ流行前)中国はオーストラリアへの外国人観光客の最大源で、外国人学生の最大源(年間100億ドル以上の価値)で、海外投資でも三番目に大きな源だった。それらの数字は全て急落し、近い将来回復することはありそうもない。
オーストラリア政府による最近の動きは、それゆえ全く驚きではなかった。それは中国政府による辛らつな口調の回答をもたらした。中国外務省は、オーストラリア政府に即座に、その「間違った決定」と呼ぶものを反転し「無責任な言葉と行為」を止めるよう促した。オーストラリアそうしなければ、中国は「断固と、力強く」対応する。
4月22日、中国の公式メディア環球時報が、論説で、中国政府が長い間、オーストラリア政府に両国関係を駄目にする、それ以上の行動をするのを避けるべく緊急措置をとるよう促していたと指摘した。彼らは、オーストラリアが中国製品に対して、100以上の反ダンピング、反助成金調査を開始した事実を無視して、四つの重要な商品に対する中国の行動に不平を言ったと、オーストラリア政府を非難した。
この貿易上の行動は、中国に対して敵対的なオーストラリア行動の長い歴史に習っている。オーストラリアは、中国企業ファーウェイの5G装置を国内で使うのを禁止する世界最初の国になった。オーストラリアは、中国の香港と新彊地域に関連する問題に関し、アメリカと一部の他の西側諸国が行うプロパガンダ戦争でも積極的参加者だった。後の例では、オーストラリアは、この主張が、政治目的の動機で、信用に欠けるという明確な証拠にもかかわらず、新彊のウイグル人に対する「大量虐殺」の主張に加わった。
2021年4月22日、ロシア人筆者リューバ・ルルコはプラウダ記事で、オーストラリアが中国の増大する経済グローバルパワーに対するアメリカ聖戦の「犠牲にされた」と述べた。ルルコは中国との貿易戦争で、オーストラリアは、これまでに200億ドル(観光客と学生の損失の影響を含まずに)の代償を払ったと指摘している。
中国外務省の汪文斌報道官は「即座に、その間違いを改め、即座に、誤った決定を覆して、既に複雑な中国-オーストラリア関係の事態をいっそう悪化させないよう」オーストラリアに促したとされている。
アメリカとオーストラリアの行動の密接な結び付きを、王晰寧公使がこう言ったとされている。
「中国は雌牛ではない。結局殺そうとたくらみながら、好調時に、中国を搾取しようとするなど、誰も考えつくとは思わない。」
明らかに衝撃的な経済的影響を与えるはずのオーストラリアの行動の背後に理論的根拠を認めるのは困難だ。ルルコは、記事で、オーストラリア・エリートは「中国の竜を殺すためにカンガルーを送る前に、じっくり考えるべき」ことを示唆して結んでいる。
これは良い助言だ。悲しいことに、耳を傾けられる可能性はありそうもなく、オーストラリア政府のアメリカに対する頑迷で、やみくもな忠誠のため、オーストラリア国民は犠牲にされるだろう。
ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
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まさに他山の石。
「オリンピックを強行し、その余波で選挙じ勝利し、権力の座にい続ける」こと以外、彼の頭にはないのだろう。自分に都合の良い情報しか聞こえない。
LITERA
菅首相が「休んでいる看護師がいるから五輪に500人派遣できる」妄言の直前、ワクチン業務の看護師“募集難航”を聞かされていた
週刊金曜日最新号、投書欄「言葉の広場」で「意識的な「老人削減計画」なのか」という投稿を拝読。全く同意。
いま進められている施策は意識的な「老人削減計画」であり、「中小企業つぶし計画」ではないかと思う。
大本営広報部は愚にもつかないたわごと、てんこもり。さすがに日中テレビをつける気力は消えた。モアイ像で有名なイースター島の文明崩壊を不思議に思っているが、イースター島滅亡のさなかに生きているような気分になってきた。コロナ無策と憲法破壊による独裁パシリ列島に未来はない。
緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!5月6日改憲国民投票法強行採決を許すな!! 3】本日午後7時から「『国家を守り、人権を制限するのが国家緊急権。多くの国で権力に濫用されてきた過去がある』~岩上安身によるインタビュー 第599回 ゲスト 永井幸寿弁護士」を再配信します!
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured<IWJ取材報告 1>コロナ禍で苦しむ国民を横目に、与党がゴールデンウィーク明けの5月6日に採決、11日に衆院通過をもくろむ「国民投票法改悪案」! IWJ記者は質問を用意するも指名されず、他社の記者たちはこの件について質問さえもせず! ~4.30武田良太総務大臣定例会見
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