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2021年5月

2021年5月31日 (月)

中国を非難するため研究室流出論を身勝手に政治問題化するバイデン

Finian Cunningham
2021年5月29日
Strategic Culture Foundation

 もしバイデン政権が本気でCovid-19流行の起源を決定するつもりなら、北京を中傷する露骨な目的で、問題を政治問題化していないはずだ。

 今ジョー・バイデン大統領は、Covid-19流行は中国のバイオ研究室から流出したのだというトランプの陰謀論をチャネリングしているのだ。この主張を裏付ける新しい証拠はなく、新しいのは、ワシントンが北京に対して、敵意を強化する身勝手な機会だ。

 「研究室流出」論は、最初、2020年早々、スティーブ・バノンや他の反中国妄想にとりつかれた共和党の気のふれた右翼アメリカ人が持ち出した。それが、ドナルド・トランプ前大統領や、CIA長官から国務長官に転じたマイク・ポンペオに取り上げられた。考えは世界的に有名な伝染病研究所、武漢ウィルス研究所が、致死性ウイルスを、偶然、あるいは意図的に放出し、世界の国々に感染させ、特に、トランプによれば「歴史上、最も偉大な」アメリカ経済を崩壊させたのだ。

 昨年、これらの主張は、人の体に家庭用漂白剤を注射するのが、Covid-19に対する治療法であり得ると信じたトランプらしい、常軌を逸した陰謀論だとして、民主党や、彼らを支持するニュース・メディアに切って捨てられた。

 中国や多くの他の国際専門家が推進した、より、まことしやかなシナリオは、SAR-CoV-2ウイルスは、本質的に進化し、動物から人間に感染したというものだった。中国が、この病気の中心地だったのか、中国で発見される前に、別の国で、知らないうちに発生したのかどうかはまだ明確ではない。

 今年3月、世界保健機構WHOによる調査が、起源と感染の自然な原因が最もありそうな説明だと結論した。それは、ウイルスが武漢研究所から流出したという主張を排除した。WHOは、この病気の世界的起源を見つけるため、更なる研究が行われるべきだと助言した。だが、それは中国が何かを隠蔽していることを暗示するわけではなく、更に多くの科学的に複雑な主題の研究を呼びかけているだけのことだ。

 中国のこの都市は、2019年末、Covid-19病が最初に中国当局に検出された場所だ。Covid-19は、それから国際的に広まり、2020年3月までにWHOに世界的流行と宣言された。この病気はこれまでに、世界的に350万人の死者、アメリカで最大の犠牲者、590,000人以上をもたらした。

 現段階では、Covid-19ウイルスの正確な起源について誰も確実ではあり得ない。答えを決定するには、何年もの科学研究が必要かもしれない。世界的に、1700-10000万人の死をもたらした1918年-20年のインフルエンザ世界流行から一世紀以上後も、そのウイルスがどこで発生したか依然明確ではない。

 だが、WHO専門家は、Covid-19ウイルスの最もありそうな説明は、自然進化と「動物から人への感染」だと評価している。それは中国から始まったか、少なくともそこで検出されたように思われるが、この病気が、それ以前にアメリカやヨーロッパに存在していたが、Covid-19としてではなく、誤って「新型インフルエンザ」と診断されていたという合理的な疑いがある。それが偏見を政治問題化するのではなく、科学的な国際協力の取り組みが必要な理由だ。

 最近変化したのは、公式症例が報告される何週間も前に、武漢研究所の中国人科学者が2019年11月にCovid-19症状で病気になったというアメリカ・メディアの主張の出現だ。中国は最近の報道を虚偽だと酷評した。武漢研究所も科学者の誰も病気で衰弱していなかったと述べた。

 アメリカ・メディアの主張の情報源は必然的にアメリカ諜報機関だ。これは更に、バイデン政権に、研究室流出論を復活させるよう促した。

 今週、バイデン大統領は、諜報機関に、90日以内に、Covid-19ウイルス起源についての推測を報告するよう命じた。バイデンは、アメリカ諜報機関が、ウイルスの起源が天然だったか、研究室から放出されたと考えるかについては「軽度から中等度の」確信しかないと認めている。

 それは、アメリカのスパイが思いつくことに対する信頼を、ほとんどもたらさない。この連中は「ロシアゲート」やイラクの大量殺戮兵器に関する他の悪名高いたわごとを思いついた得体の知れない連中であることを想起願いたい。それはもう一つの政治的要求に合致する評価をもたらす「証拠」をいいとこ取りする、ふらちな処方箋のように聞こえる。そして、この要求は、ワシントンが、中国を更にしつこく悩ませ、反中国政策を巡り、アメリカの同盟諸国を呼び集める方法を見いだすことなのだ。

 バイデンは彼自身、トランプがそうだったのと全く同じくらい、北京に対して闘争的であることを示した。それは誰が実際、大統領執務室にいるかにかかわらず、ワシントンの政策は固定していることを示している。

 「中国ウイルス」に関するトランプの陰謀論を、おそらく「情報機関評価」という、より良い外見で、バイデンが、久しぶりに引っ張り出してきたのだ。

 トランプは、中国の研究室漏えいに関する彼の、かつての企みが、今正しいと証明されたと自慢げに言っている。いや、そうではない。更なる侵略を推し進めるため、民主党新大統領が身勝手に、トランプの狂気を中国に向けているだけなのだ。

 もしバイデン政権が本気でCovid-19流行の起源を決定するつもりなら、北京を中傷する露骨な目的で、問題を政治問題化していないはずだ。そうではなく、バイデンは、科学的に流行を研究するため、WHOと中国と協力しているはずだ。それには、2019年、アメリカにおける「新型インフルエンザ」死者の調査や、メリーランド州のフォート・デトリック軍事施設のようなアメリカのバイオ研究室や、アメリカが近年アジア中に設立した何百もの他のバイオ研究施設の調査を含むはずなのだ。現状、バイデンは中国に固執している。それは科学的ではなく、政治的だ。


 Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/29/biden-cynically-politicizes-lab-leak-theory-to-bash-china/

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 岩波書店の月刊誌『世界』でコロナ対策の連続ルポ記事を書いておられる山岡氏が語る頑張る医療最前線

 デモクラシータイムス

日本をコロナで地獄にするな!患者に医療を!頑張る最前線【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】20210527

 イスラエル政権の行方はまだわからない。ネタニヤフは政治力強化を狙って空爆をしたのだろうが。時期は、73年前のナクバにかさなっていた。

 三年前の今頃訳したイスラエルによるパレスチナ人殺戮に関する映画のクリス・ヘッジズ記事がある。

Killing Gaza

 日刊IWJガイドに、下記再度配信の案内がある。

【ナクバ(大災厄)から73年!その真実に迫る 緊急シリーズ特集・YouTube Live】20:00~「【シリーズ『パレスチナの民族浄化』を読む第1弾!】パレスチナ問題の原点であるイスラエルによる『民族浄化』の真実を暴く!~岩上安身によるインタビュー 第842回 ゲスト 東京経済大学准教授(※収録当時)早尾貴紀氏」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2018年1月に収録した、岩上安身による早尾貴紀氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた早尾貴紀氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%97%a9%e5%b0%be%e8%b2%b4%e7%b4%80

2021年5月30日 (日)

ニュージーランド、中国を「大量虐殺」のかどで非難するのを拒否

2021年5月28日
ジョセフ・トーマス
New Eastern Outlook

 ニュージーランドは益々自身が東西をまたいでいることに気づき、アジアの勃興と、中国との強い経済パートナーシップへの参加と、欧米、特にアメリカとイギリスがそれに対し与える圧力と、中国を包囲し封じ込める彼らの共通の目的の間でバランスをとっている。
 ニュージーランド議会が、中国の新彊を巡る主張に関する声明に投票をした際、このバランス技は、最近再び脚光を浴びた。

 この動議は、ニュージーランド議会の120議席中わずか10議席しかない実に不人気なACT党が推進した。ACTが提案した本来の草案は新彊の状況を「大量虐殺」と書いていた。

 ロイターは「ニュージーランド議会、中国でウイグル族人権侵害が行なわれていると言う」という記事で、こう報じている。

 水曜日、ニュージーランド議会は、中国の新彊地域でウイグル族に対する酷い人権侵害が行なわれていると満場一致で宣言し、この動きを内政問題に対する干渉として非難するよう中国大使館をかりたてた。

 全ての党が、ニュージーランドの小政党ACT党の動議を議論し、支持したが、それは文章から単語「大量虐殺」を削除するよう修正された後だった。

 単語「大量虐殺」を文章から削除したのはニュージーランドのバランス技の重要部分だ。

 それにもかかわらず、ニュージーランド議会が、他の「ファイブ・アイズ」諸国(アメリカ、カナダ、イギリスとオーストラリア)と、どれほど同調せずにいようとも、この「酷い人権侵害」の非難は、中国に対して行なわれるアメリカが推進する、根拠のないプロパガンダ戦争の一環なので、中国は、この動議を非難せざるを得なかった。

 ニュージーランドのバランス技

 ニュージーランド政府には、アメリカとその西欧同盟諸国と関係を断つ複数の理由があるのかもしれない。

 一つには、中国の新彊地域では、大量虐殺は起きていない。

 アメリカによる非難は意図的なでっち上げであることが徹底的に暴露されている。アメリカ政府に資金供給される、新彊ではなく、ワシントンD.C.に本拠を置く「人権集団」、がこれら非難の大半の情報源として機能している。綿密な精査で、この非難は、いかなる実際の証拠も欠如した根拠がないものか、あるいは、でっち上げだと確認されている。

 アメリカが率いる新彊に関するプロパガンダ戦争は、2003年の、イラクを狙った、存在せず、アメリカも存在しないことを知っていた、いわゆる「大量殺戮兵器」に関する良く似たキャンペーンの繰り返しだという事実がある。

 結果として生じた戦争と(今日に至るまで続く)占領は、百万人以上の人々を殺害し、更に何百万もの人々の生活を破壊したり、混乱させたりして、この地域の継続的混迷に直接寄与している。これは、他にも多数あるが、世界的舞台での欧米の信頼性に決定的悪影響を及ぼした。

 2011年以降、アメリカは、両国へのアメリカ軍事介入の口実になる、リビアとシリア両国における人権侵害の主張をでっちあげた。リビアは破壊され、機能する国民国家としての存在を長年停止している。シリアは長引く戦争を経験し、今領土(石油と小麦の生産地がある)の三分の一が、アメリカ軍に占領されている。

 だからニュージーランドが新彊における根拠がない「大量虐殺」主張支持を表明すれば、虚偽の口実に基づくアメリカ攻撃の最新のものに過ぎない、ニュージーランドが経済的に依存している敵国に対する犯罪を支持し幇助する国のリストに自身を加えることになる。

 第三に、ニュージーランドは、10年後、インド-太平洋と、より広い世界両方の地政学風景が、そうなる可能性があるものを考慮しているのかもしれない。

 それが、アメリカや西ヨーロッパではなく、ユーラシアを中心とするものになるのは、ほとんど確実だ。それはニュージーランドが大いに利益を得る立場にある地政学的(経済的にも)風景だが、それは英米の遺産の一部として、英米権益への服従を維持するのではなく、実際に位置しているインド-太平洋地域内で建設的な絆を維持すればの話だ。

 言い換えれば、ニュージーランドは、東と西の間で選択しているのではない。そうではなく、過去と未来の間で選択しているのだ。

 欧米帝国主義のアメリカと同盟諸国が、現代の軍事侵略や経済覇権を含め、その上で成立している根拠のない主張の過去に、ニュージーランドは直面しており、中国の新彊でも、それを繰り返すよう、ニュージーランドは圧力をかけられている。ニュージーランドがインド-太平洋地域で暮らす未来は、分割し、支配するため、アジア、特に中国を包囲し、封じ込めるために欧米が推進している対立に置き換わる、協力と建設的な絆によって推進されるのだ。

 そうする上で、ニュージーランドが大いに貢献するからではなく、(より重要なのは)もしニュージーランドがそうしなければ、ニュージーランドは欧米が支配する「国際秩序」から旋回して、多極主義の登場と普及に寄与する先例となるために、アメリカと同盟諸国は、明らかに反中国な対外政策を採用させ、中国をめぐり、アメリカによる干渉に加担するよう、ニュージーランドに圧力をかけ続けるだろう。

 ジョセフ・トーマスは、タイを本拠とする地政学誌The New Atlas編集長で、オンライン誌New Eastern Outlook寄稿者。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/28/new-zealand-refuses-to-accuse-china-of-genocide/

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 同じアジアの島国ながら偉い違い。コロナ対策だけではない。どこまで頑張れるのだろう。密をさけろといいながら、アルマゲドン以外なら強行する「ご臨」パブリック・ビューイングのため木の枝を切っている属国の国民には、まぶしくみえる。

 突然、固定電話に、自動応答の選挙アンケート電話がかかってきた。聞くだけで、結果は教えてくれない。

 デモクラシータイムス

近づく五輪にワクチン「特攻」 膨れ上がる国民の不安と怒り WeN20210529

2021年5月29日 (土)

自身の軍事冒険で、他の国々に代償を支払わせようとしているワシントン

2021年5月19日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook

 ベトナム戦争の悲劇、イラクでの、そして今アフガニスタンでの敗北が、アメリカには、実際、戦争に勝つ能力がないことを示している。実際、全ての米軍侵略の例が、どんな敵とでも対決するのに必要な軍事力を持っていると確信するアメリカ当局の、比類ない自信によって引き起こされてきたが、明らかに、そうではないことを歴史が示している。

 実際、大半米軍の失敗は、相互に関連する多くの理由によって説明することができる。これらがそうだ。ワシントンが、侵略する国と、その国が位置している地域の複雑さを理解できないこと。現地で、信頼できるパートナーを見つけるのに失敗すること。アメリカが侵略する国の国民の反対。それ加えて、侵略が宣言された際、ワシントンが約束を果たしそこねたことの、有権者への影響。ロバート・ゲイツ前アメリカ国防長官でさえ、2014年に出版された自叙伝で、アメリカは、どのように政府を打倒すべきか知っているが、誰で彼らを置き換えるべきか皆目分からないことを公然と認めた。

 それ故、第二次世界大戦以後、アメリカは、発展途上国で戦った戦争のいずれでも勝利を得られなかった。同時に、アメリカ軍事侵攻の結果、侵略された国と、アメリカ国内で生じた不満は、国際舞台における主要当事者としてのアメリカの権威の急速な下落をもたらした。ワシントンの介入主義願望を依然支持している個別の国との間で続いている「同盟関係」も、近年起きた世界の様々な地域でのアメリカ軍事同盟の危機によって示されたように、それらの国々は、ほとんど誠実だとは言えない。

 だが支配層のアメリカ人エリートが耽るのを好んでいる、比類ない軍事出費から利益を得る罪深い喜びが、アメリカを新しい対立に押しやっている。ロシアだけでなく中国も「アメリカの敵」とされたのは偶然の一致ではなく、今新たな戦争のために準備しているNATO加盟国の軍隊の動員をもたらす。軍事演習のかたちでの武力誇示と、ロシアと中国国境沿いでの挑発は、既に一種の慣習のようなものになっている。

 日々、ワシントンは、ロシア国境に、益々多くのアメリカ軍隊を配備し、攻撃目的に役立つだけの機器が東ヨーロッパに輸送されている。最近、ニューヨーク・タイムズが、アメリカは、トランプが提案したように軍隊をドイツから撤退させず、代わりに、ドイツでの軍事駐留を強化すると明らかにした。更に500人の軍人がウィースバーデンのアメリカ基地に配備されようとしている。部隊の一つは諜報、サイバースペースと電子戦能力を持っており、他は多国間協力を改善するのが任務だ。ベルリン訪問の際、ロイド・オースティン国防長官は、これら勢力が「戦って、勝つ」だろうと強調した。

 同時に、今秋、アメリカ軍は大陸で永久派遣のため第5世代のF-35戦闘機をヨーロッパに移し始めるだろう。これはアメリカ上院での聴聞の際、アメリカ欧州軍のトッド・D・ウォルタース司令官が明らかにした。

 ロシア国境でのNATOとアメリカ軍隊の数が増大し続けるにつれ、これが緊張を再び高めだけなのは明確だ。

 バルト海、バレンツ海と黒海での挑発的飛行は、定期的な、ほぼ毎日の事象になっている。それらの飛行は、ロシア軍用機に迎撃される。最近、ワシントンは、銃撃戦が起きた場合、同盟諸国が砲弾の餌食に使われるのを期待して、同盟諸国を、このような挑発を画策するよう引き込み始めた。この発想は、最近の国防総省の反ロシア火遊びでのノルウェーと、その軍隊の利用が実証している。

 最近のアメリカとノルウェー間の合意は、二国間軍事協力を拡大し、この地域での作戦を支援するため、アメリカが施設をノルウェー領に作るのを可能にし、他方アメリカ兵は、いかなるノルウェー軍事施設への「妨害されないアクセス」を認められる。この合意は、多くの施設、すなわちノルウェー南岸近くに位置するリュッゲ空港やスタヴァンゲル・ソラ空港や、ノルウェー北部の北極圏にあるエヴェネス飛行場やラムスン海軍基地などで、国防総省が何であれ欲するものを建設する権利を与える。二国間軍事協力の拡大は、ロシアとヨーロッパ間、特に北極圏で緊張が高まる最中に起きている。ノルウェー空軍は、ノルウェーに初めて配備されるアメリカ戦闘機と爆撃機と定期的に演習を行う。

 ノルウェー・メディアが強調しているように、現地住民は、アメリカがノルウェーに軍事基地を建設するのを認める政府決定に危機感を募らせている。彼らの意見では、これは抑止要素ではなく、それどころか、ロシアとの武力戦争に向かう一歩だ。ノルウェー人は、アメリカ軍に使用される地域は、NATOとロシア間の軍事衝突の場合、主要標的になるのが確実で、ノルウェー自身にとって重大な結果をもたらすことを認めている。ところが現政権は、ノルウェー政策の基本原則の一つを見て見ない振りをすることに決めたのだ。ノルウェー領土に、外国兵士が入ることを許してはならない!

 ノルウェーの新聞Dagsavisenは、制限を超えて、攻撃作戦を行う無制限の権利を与えたNATO側のいわゆる「信頼できる抑止力」は新たな戦争を招くと、はっきり述べている。これは危険が大きいゲームで、最新のステップは、最近までは、NATOの支持を得てでではあるが、ノルウェー防衛の仕事は主にノルウェーの国家責任だったものを、アメリカの任務にしたのだ。特に、最近のアメリカ大統領をひと目見れば、これは極めて危険な決定であるように思われると、同紙は論じている。

 だが最初のアメリカ原子力潜水艦が、間もなく、ノルウェーの民生工業港トロムソで、ドック入りし、その後、このような船が、そこで日常茶飯事になるだろう。ヴェルデンス・ガング紙によれば、多くの人々がアメリカ原子力潜水艦入港を認めるという考えに批判的なので、この問題は地元住民の間で大論争をひき起こした。公開集会で、フランク・バッケ=イェンセン国防大臣は、地方自治体には、アメリカ原子力潜水艦艦内の核兵器存在可能性に関して監督権がないと述べ、ノルウェーに寄港する全ての外国軍艦に核兵器を搭載しないことを義務づける1975年のブラッテリ・ドクトリンに言及しただけだった。

 アメリカ潜水艦がトロムソでドックに入るのを認められた後、現地当局は、放射性物質漏洩の場合、少なくとも彼らの市民の安全を保証するため、幼稚園と小学校に「予防目的の」ヨウ素剤を配布し始めた。だが専門家は更にもう一つの脅威を示している。アメリカ潜水艦が核兵器を搭載していれば、即座に報復攻撃の主要標的になるのだ。

 他の国々を、その軍事冒険に巻き込むアメリカ試みに対する類似の批判的評価をスウェーデン・メディアも表明している。彼らは、特に巨大なNATOのDefend Europe 2021演習が、なぜロシア国境近くで行なわれるのかと疑っている、これは誰にも嫌な思いをさせないだろうか?アメリカが率いるNATOは、東方向への耐えざる拡大と、ロシアを包囲したいというワシントンの公然の願望を背景に、このような動きをしているのだ。参加諸国の一部は、アメリカがロシア国境に益々近く軍隊を配備するのを認めており、これは、NATOの意図的前進が「ロシア・プロパガンダ」による一種のニセ情報ではなく、現実であることをはっきりと示している。2016年にスウェーデン議会に認可された派兵に関するNATOとスウェーデンの条約は、アメリカとNATOが、対ロシア戦争を行うためにスウェーデン領を使うことが可能なことを意味している。「スウェーデンが彼らの指揮に従っているのは残念だ」とSwedish Proletären紙が指摘している

 ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/19/washington-tries-to-make-others-to-pay-the-price-for-its-own-military-adventures/

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 デジャブ、既視感満載の記事。宗主国の振る舞いは誰に対しても同じ。属国の振る舞いも同じ。

 故アンドレ・ヴルチェク氏や、F. William Engdahl氏他、多数の興味深い記事を読んでいる、このサイトNEO New Eastern Outlookが最近ハッキングされ、数日アクセス不可能になっていた。ようやく回復して、編集委員会が声明を出している。

2021年5月27日
筆者:NEO
NEO編集委員会声明

親愛なる読者の皆様!

 長期間、我々の敵対者によ画策される同時攻撃の標的だった我々のウェブサイトは、大規模ハッカー攻撃の犠牲になった。サイトを一時的に利用不可能にした最近の攻撃は、アメリカ領から開始された。現在、機能は完全に回復した。攻撃についての全ての情報は、法執行機関に引き渡された。
 この点に関し、5月20日、この攻撃の加害者が公表した全ての資料は偽物であり、NEO編集委員会は、それらに対する責任を負わないことを明確にしておく必要がある。
 ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣の言葉を言い替えれば、我々の「欧米の友人たち」は、またもや、連中が実践する手口を示したのだ。我々はこのような我々の仕事に干渉する試みは決して許すことはできない。5月13日、記者会見で、ジェン・サキが述べたように、攻撃が来た国にとってさえ「依然多少の責任がある」。

 ご来訪に感謝!

 「New Eastern Outlook」編集委員会。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/27/statement-of-neo-editorial-board/

 孫崎氏のメルマガにびっくり。昨日テレビで音声を消したままにしていた会見、あるべき質問があったというのだ。

 今日の孫崎氏のメルマガ題名

必要な質問はする、あるべき首相記者会見における質疑があったと思ったら、幹事会社は東京新聞。問「国民の命を守る責任はIOCではなく日本政府、国民が納得できるよう感染状況がどうなれば開催・不開催なのか、具体的な基準を明示すべき」。首相明解に答えず。

 確かに、東京新聞、朝刊七面で詳しく報じている。

 日刊IWJガイドでも、あの記者会見を詳しく報じている。防衛大臣と法務大臣の定例会見も。宗主国と、ウイグル族大虐殺の合唱は元気だが、法務省の行為も虐殺だ。自分の頭のハエを追え。

※「クアッドとARC21の仮想敵は中国ではないのか? それを認めない防衛省は中国政府の反発を恐れている?」IWJ記者の質問に「中国を仮想敵国としているような事実はありません」と岸防衛大臣!~5.28岸信夫 防衛大臣定例会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492515

※ IWJの質問が口火を切る!収容中に死亡したウィシュマ・サンダマリさんの監視カメラ映像の公開を要求した質問を皮切りに、各社の映像非開示に対する追及が集中!~5.28上川陽子 法務大臣 定例会見
https://youtu.be/Xre_NvrYWrA

 今夜、宇都宮けんじ氏の配信がある。

5/29(土)19時からLIVE配信:五輪中止署名特別番組「コロナ禍の災いとしての東京五輪」
宇都宮けんじ Kenji Utsunomiya日本2021年5月28日
今月15日に第1弾を配信し、大きな反響をいただいたYouTube特別番組の第2弾が決定しました。
2021年5月29日(土)19時〜LIVE配信
「特別番組 コロナ禍の災いとしての東京五輪」
https://www.youtube.com/watch?v=03dkUB6JH3Y

2021年5月28日 (金)

ベラルーシで逮捕されたロマン・プロタセヴィッチは欧米政府に資金供給されたネオ・ナチ

2021年5月26日
Moon of Alabama

 ベラルーシのライアンエアー事件と「政権転覆」工作員ロマン・プロタセヴィッチ逮捕については、更に語るべき多くのことがある。

 後者から始めよう。

 ニューヨーク・タイムズやガーディアンのプロタセヴィッチに好意的な描写は、記事が省いていることこそが興味深い。

 FOIA ResearchとCanadafilesは大変良い情報源がある遥かにまともな記事だ。彼らは彼らの調査結果を裏付けるソーシャル・メディア投稿や写真や映像の膨大な証拠にリンクしている。

 そうしたものから、プロタセヴィッチが長い間ベラルーシのファシスト「Young Front」民兵のメンバーだったことがわかる。彼はウクライナのマイダン後の内戦で、ネオ・ナチのアゾフ大隊と共に戦っていた。

 ここに、2017年、ベラルーシ法廷審問の際のプロタセヴィッチの写真がある。


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 2015年、アゾフ大隊の求人誌「黒い太陽」表紙のプロタセヴィッチ写真がある。


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 アゾフ・パレードの際の、プロタセヴィッチ写真がある。(催しのビデオ)


プロタセヴィッチは後列、右から3番目
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 彼の友人のソーシャル・メディア・アカウントが出典の更に多くの写真がある。写真は、アゾフ大隊の記章がある戦闘服を着て、銃を持った彼が写っている。プロタセヴィッチはアゾフ大隊の新聞ジャーナリストとして働いていただけだったという主張があった。それは誤っているように思われる。彼の父親は息子がドンバスで「戦った」ことを認めた。アゾフ大隊の指導者、アンドレイ・ビレツキーはプロタセヴィッチが、ドンバスで彼らと共に戦い、彼が負傷したことを認めた

 NYT、ガーディアン、いずれもプロタセヴィッチのイデオロギー的立場やアゾフ大隊ネオナチとの彼の関わり合いに言及しない。ロンドンタイムズは当初プロタセヴィッチがアゾフ大隊と関係があったと報じたが、後に報道からその文章を静かに削除した

 欧米メディアに欠けているもう一つの要点は、プロタセヴィッチが長い間、様々な欧米政府から資金供給を受けたプロパガンダ・メディアに雇用されていたことだ。

 暴行容疑で逮捕された後、プロタセヴィッチは2017年12月、チェコ共和国のプラハに向けて出発し、公式に帝国主義メディア界に融け込み始めた。

 2017年-18年、プロタセヴィッチは、プラハで、アメリカが資金供給する政権転覆メディア、ラジオ・フリー・リバティー/ヨーロッパのヴァーツラフ・ハヴェル・ジャーナリズム・フェローシップの研究員だった。

 2018年4月、アメリカ国務省の一週間ツアーから四カ月後、2018年8月31日、プロタセヴィッチは、アメリカ合衆国国際開発庁USAIDが資金供給するベラルーシのEuroradio.fmで働き始めた。

 2019年12月、彼は、この仕事を辞め、N2020年3月に開始する、ポーランドを本拠とするベラルーシのニュースを報じる外国が資金供給するTelegramメッセージ・チャンネルNexta編集長という新しい仕事を発表することになる。

 Nextaでのプロタセヴィッチのパートナー、スチェパン・プチラは、Nextaに深く関わる前、ポーランド外務省が資金供給するBelsatで、2007年から何年も働いていた。

 欧米に支援されたが、票の11パーセントしか得られずに、ルカシェンコを優位にするため不正操作されたと虚偽の主張をする候補者スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤに抗議する、クーデター支持デモをベラルーシで計画する上で、政権交代組織NEDが資金供給したベラルーシ政活動家とともに、Nextaは重要な役割を果たした。

 2018年のプロタセヴィッチ・ワシントンDC訪問は、特に興味深い

 2018年4月20日、彼はブリュッセル経由で、ワシントンに飛んだ。2018年4月23日、彼は「私の人生で最も重要な週が始まる」という題をつけた写真を公表した。同じ日、アメリカ国務省内での彼の写真を公表し、こう言っている。「私の人生で、これほど多くの重要な面白い出会いはなかった。疲れたが、とても楽しかった。」DCで彼は政権転覆沼のお仲間、ウクライナ系アメリカ人のグレブ・ジャヴォロンコフと会った。

 誰か、国務省に、ロマン・プロタセヴィッチの服装趣味を、どう思うか問うべきだ。

Volodymyr Ishchenko @Volod_Ishchenko - 1:20 PM 2021年5月26日

 明らかに新ナチ・ブランド、Sva Stoneを着たプロタセヴィッチ自撮り写真。「部内者でないのに」このTシャツを着ることなど極めてありそうにない。


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 NYT、ガーディアン、いずれの報道も、プロタセヴィッチが欧米に資金供給された政権転覆メディアで働いていることや、彼の国務省訪問に触れていない。

 これも驚くべきことではない。ニューヨーク・タイムズによる最近の職務記述書は、モスクワ特派員職に極端な反ロシア偏見を要求している。ガーディアン記事は、反ロシア偏見やMI6との近さや偽報道で良く知られているルーク・ハーディングが共同執筆したものだ。

 最近の本で、ガーディアン調査記者ルーク・ハーディングは、トランプ/ロシア物語で、重要ではない人物だった不動産ブローカー、セルゲイ・ミリアンに密かに接近するため、スティールが、どのように彼の「集金人」[ダンチェンコ]を急派したか述べていた。「彼なり彼女が信頼できる同志だと信じて、ミリアンは詳細に非公式に語った」とハーディングが書いた。

 だがスティールにもシンプソンにも近いハーディングにとっての困難は、彼がダンチェンコのFBI事情聴取発表前に、記事を書いたことだった。

 事情聴取で、集金人は彼とミリアンが電話で手短に話をしたかもしれないが、二人は一度も会ったことがないと言っていた。

 ハーディングはコメント要請に応えなかった。

 ロンドンタイムズが、良い情報源によるプロタセヴィッチ-アゾフ大隊関係を、静かに報道から削除したのは、イギリス政府がその事実を隠すため差し止めを要求通告したためだろうと想定される。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2021/05/roman-protasevich-arrested-in-belarus-is-a-western-government-financed-neo-nazi.html#more

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 Moon of Alabama氏、更に強制着陸の経緯についての詳細な記事を書いておられる。

By The Book - What Really Happened With The Ryanair Flight In Belarus

 コロナに感染した朝日新聞南彰記者の体験記。おそまつな日本の現状に恐怖を感じる。

どこまでも〝現実離れ〟首相の言葉 治療の実態すら「お答えは困難」

●38~39℃台が10日ほど続いても→「軽症」
●療養施設では→「医療行為は行わない」
●施設での死者数は→「把握してない」
●医療を受けられずに死亡者が出ている責任は→「一概にお答えは困難」

これが五輪を控えたコロナ対応の内実。

今週の「#金曜日の永田町」です。https://t.co/VNPVJJYwM2

— 南 彰 / MINAMI Akira (@MINAMIAKIRA55) May 23, 2021

 

 下記は、約一時間半の記者会見。

日本外国特派員協会主催 植山直人氏(全国医師ユニオン代表)記者会見 2021.5.27 ~オリンピックは中止を! IOCはコロナ感染に関して何の責任も持っていない!

https://www.youtube.com/watch?v=oW8HZ0329gk

 今日の日刊IWJガイドも、様々な気になる話題だらけ。

日刊IWJガイド・特別公開版「国民投票法改正案が成立すれば、CM規制の審議中でも改憲発議が『法制上はできる』と参院憲法審で立憲民主・山花議員が認めてしまった!! 5月も残り4日! IWJも財政的なピンチです! ご支援をよろしくお願いいたします!」2021.05.28号~No.3179号

 拝見する予定の配信情報をコピーさせていただこう。

<本日のタイムリー再配信>本日午後8時から2015年1月収録「『今度は、日本がガザを殺す立場になる』日本とイスラエルの協調姿勢を糾弾、『暴力の根源』を探り解決を見出す必要性 ~京都大学教授・岡真理氏に岩上安身が聞く~岩上安身によるインタビュー 第514回 ゲスト 岡真理氏」を再配信します!
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

■遺族が「入管職員は人の心はあるのか」と嘆き悲しむほど変わり果てたウィシュマ・サンダマリさんの遺体!「この報道映像を見たか? 見る覚悟はあるか?」との記者の質問にすり替え答弁と5月25日の会見で「答えは差し控える」でやり過ごす上川陽子法相の冷淡さ! 入管映像公開拒否理由の「保安場の理由」の矛盾を突かれても「コメントを差し控える」と冷酷回答!本日、上川法務大臣会見にIWJ記者も参加し中継します。10時40分からです。ぜひ御覧ください。

 本日28日、上川法務大臣の記者会見が午前10時40分(予定)から行われ、IWJ記者も参加し中継します。下記のURLからぜひ御覧ください。
ご視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

2021年5月27日 (木)

私の資本主義ハッキング実験

ケイトリン・ジョンストン

この記事を音声で聞く。

 私は、自分がしていることで、どのように生計を立てているか書いたことがなかったのに気がついたが、ここでの私の風変わりな、ささやかな活動の最も興味深い局面なのだから、これは奇妙だ。もし誰かにとって有用かも知れないので、私はその情報を書いておく。

 筋金入りの資本主義熱狂支持者に聞こえるところで、資本主義を批判する他の人々と同様に、絶えず「それでも、お前は資本主義に参加しているではないか、ハッハッハ」と言われている。私が記事の一番下に、PatreonとPayPalのリンクを置いているので、彼らは、資本主義を批判する私は偽善者だと主張するが、これは様々な理由から愚かだ。

 我々は、それと戦うためには、資本主義への参加を必要とする資本主義社会に住んでいるのだから、それは愚かで、それは、刑務所制度に不平を言う囚人に、お前たちは刑務所にいるのだから偽善者だというようなものだ。それは現状を唯一批判ができるのは、電気のない森で、丸太小屋に暮らし、リス肉を食べ、地面の穴に不満を叫ぶ人々であることを意味するから、愚かなことだ。

 しかも私の場合、大半の人々より、それほどあてはまらないから、やはり愚かだ。

 私は完全に人々の善意で生計を立てている。私は大半の人々と同じぐらい一生懸命働くが、私は私の労働に対し金を請求していない。私はただで働き、私の労働の成果を享受する誰からも何も要求しない。私の全ての仕事は、全く無条件に、読むのも、再配布も、利用も、変えることも自由だ。私の本も、オンラインでただで読めるものだけで構成されている。取り引きはなく、交換もない。読者は既に製品を手に入れている。私は全ての記事の一番下に、人々が、もしそうしたいと望むなら、中に少数のコインを投入できるデジタル・チップ入れを置いているだけだ。

 私は、この記事欄で、早い時期に、私自身の最も健康な部分から書くことができる最も健康なことについて書きたいと願い、もし私が代金を得るなら、最も健康な人々の最も健康な衝動によるものでありたいと決めたのだ。私の場合、それは我々の社会の不健康なあらゆる側面を、あらゆる角度から、それをどう健康に近付けられるかについて書くことを意味し、それは同じことを気にかける人々の好意に全面的に依存することを意味する。

 私が知っている限りでは、私が究極的に私の子供たちに残してゆく世界における主要な問題は、お金には最悪の連中を出世させる傾向があるという事実に要約できる。たとえそれが他の全員を貧しくさせたり、戦争を始めたり、あるいは我々全員、その生存に頼っている生態系を破壊したりするのを意味するにせよ、出世するためなら誰でも踏みつけるのをいとわない連中だ。私の目標は、この傾向の「ハッキング」を試して、そうではなく、お金が健康に報いるようにして、それにより私が病気の反対を具現化するのを可能にし、より良い方法が可能であることを証明することだった。

 金は権力であり、金は反社会病質者に報いるので、結局、我々は貪欲な反社会病質者に支配される。この問題は更に、富は、冨を持っている人々の共感力を失わせることが知られている事実により悪化させられる。金が、一種の人工装具善意として機能することを考えれば筋は通る。たっぷりお金がなければ、何とか生きていくのに、人は隣人の好意に依存する。彼らのニーズが何か、どのように彼らに手を貸せるか、あなたの自動車が壊れたら、修理を手伝えるようにするため、あなたに対して、彼らが、どのように感じているか、あなたは常に敏感でいる必要がある。もし人が裕福なら、その人は好意について考える必要は全くなく、他の人々のニーズや感情への同調能力は衰退するだろう。

 それと対照的に、金に支配されない社会では、好意が一般的な通貨で、社会病質者は、死んでしまう傾向がある。以下「サイエンティフィック・アメリカン」記事から。

 1976年の研究で、当時ハーバード大学の人類学者ジェーン・M・マーフィーは、ベーリング海峡近くのユピック語を話す孤立したイヌイット族集団には「繰り返しウソをつき、騙して、ものを盗み、多くの女性に性的につけこみ、譴責処分を気にせず、常に罰のために年長者に連れて来られる男」を表現する用語(クンランゲタ)があることに気が付いた。マーフィーがイヌイットに、クンランゲタに対し、集団は典型的に何をするか尋ねると、彼は「他に誰も見ていない時に、誰かが彼を氷から押し出すはずだ。」と答えた。

 このような部族文化では、人の価値は、どれだけ金を持っているかによってではなく、あなたが周囲の人々のために生活の質を改善する程度によって測られる。もしあなたが共同体のために生活を楽しくすれば、あなたは彼らから多くの厚意を受けるだろうし、もし彼らの生活を不快にすれば、あなたは好意を使い果たし、氷から押し出される。だが我々の社会では、クンランゲタの善意無視や、利益のためなら何でも、いとわずすることで、彼はCEOになれるのだ。

 ここでの私の目標は、願わくはクンランゲタ生活様式から我々が脱出するのを手伝いながら、クンランゲタ通貨の代わりに好意通貨で何とかやって行くことだ。

 これが、Patreonページで、私がどんなtier設定も、reward設定もしない理由だ。経験上、最も健康な関係は、自由に与えあう相互の希望から生じ、一方、最も不健康な関係は「あなたは私にそれをくれれば、私はあなたにこれをあげる」という取引関係から生じるので、私がここでしているものが完全にお互いの好意関係であることが重要なのだ。ある日、私が多くの金を手に入れたり、まったく得なかったりするにもかかわらず、私は仕事に同じように多くの努力を注ぐし、支援者も私に二ドルあるいは二百ドルくださるかにかかわらず得るものは同じだ。そのようにして、我々全員、我々の世界を大惨事に向けて動かしている資本主義の外因性動機づけモデルではなく、役立つ、我々が価値を評価していることをしたという内面的動機づけで、活動しているのだ。

 それが、人類の進歩のため、私が究極的に見たいものだ。我々がお互いや生態系を、利益のために踏みつけず、お互いと生態系を、内在的動機づけで、全ての生きもののための利益になるよう、協力するのだ。私の生き方は、そのような世界が可能であることを示すため私ができる最善の証だ。

 それが可能だということを見るのは第一歩だ。マーク・フィッシャーはこう書いている

 映画『トゥモロー・ワールド』を見ると、我々は必然的に、フレドリック・ジェームソンとスラヴォイ・ジジェクのものとされる言葉を思い出す。資本主義の終わりを想像するより、世界の終わりを想像するほうが容易だ。このスローガンは正に私が「資本主義リアリズム」で意味するものを捕らえている。資本主義は単に唯一の実行可能な政治的、経済的体制であるだけではなく、それに代わる筋の通った選択肢を想像さえするのが今は不可能だという広範囲にわたる感覚を。

 私は我々全員が、それに代わる筋の通った選択肢を想像するのを支援しようとしている。私は、私の道を、他の人々が、どの程度まで一緒にたどれるのか正確には知らない。だが、私自身にとって、この道を歩くことで、子供たちに、ずっと健全な世界を残すことができるのだという多くの希望を得られている。

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 私の記事は全て読者のご支援によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、FacebookTwitterSoundcloudあるいはYouTubeをフォローするか、Ko-fiPatreonPaypalのチップ入れにいくらか投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。人種差別サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事でも)再配布、使用、翻訳されるのを私は無条件に許可している。インターネット検閲を回避して、私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトか、Substackでメーリングリストを購読することで、そうすれば私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリック願いたい

ビットコイン寄付:1Ac7PCQXoQoLA9Sh8fhAgiU3PHA2EX5Zm2

 気に入っていただけただろうか? Patreonで、ケイトリン・ジョンストン支援のために、1秒時間をかけて頂きたい!

記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2021/05/24/my-experiments-with-hacking-capitalism/

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 昼の洗脳白痴番組では決して話題にしない極めて重要な問題の鼎談 1時間38分。

 UIチャンネル

 高野孟氏、前泊博盛氏、山城博治氏の鼎談

「偽りの本土復帰・SACO合意 基地なき沖縄の展望

 日刊IWJガイドには、奇怪な官邸会見についての重要な記事がある。上記鼎談と直結する話題。

 全文お読み頂きたい内容。一部コピーさせていただく。

 菅義偉総理は5月14日午後8時から、首相官邸で記者会見を行いました。岩上安身は抽選に当選し、会見に参加しましたが、フリーランス記者全員が指名される中、ただ一人指名されませんでした。

 この会見で、国会で着々と進む改憲による緊急事態条項導入に向けての国民投票法「改悪」について質問する記者はゼロ、皆無でした。岩上安身が指されていたら、岩上だけが、この問題を官邸のインターネット中継の中でただひとり質問していたことでしょう。

 会見終了直後、「メールで質問を受け付けてもらえるのですか」という岩上の座席から声をあげての質問に、女性司会者がさえぎりましたが、菅総理が承諾。岩上安身は会見終了直後、同日の夜に質問をメールで官邸報道室へ送信しました。

 これに対し、5月24日、官邸から、回答メールが返信されてきました。10日後という異例の遅さです。その回答の内容を紹介します。

2021年5月26日 (水)

よくもまあ我々を真似したな!ベラルーシの強制着陸を巡る欧米の激怒

Finian Cunningham
2021年5月24日
Strategic Culture Foundation

 ヨーロッパ諸国政府の全面的な沈黙の共謀を得て、ワシントンは世界中でハイジャックをしている。もしヨーロッパが、世界中でのアメリカによるハイジャック反対を表明すれば、彼らにもベラルーシ事件に関して発言する多少の道義的権威があるかもしれない。

 ベラルーシが指名手配中の反政府活動家を逮捕するため商用航空機の強制着陸を強いた後、アメリカとヨーロッパ諸国では憤激と非難が爆発した。

 欧米メディアの見出しは「ハイジャック」や「air piracy 飛行機乗っ取り」や「国家テロ行為」とレッテルを貼られたことに関する「衝撃」と激怒の表現が圧倒多数だ。

 月曜日にサミットで会っていたヨーロッパ指導者たちは、ベラルーシに対する新たな制裁を要求した。アメリカのジョー・バイデン大統領は、旧ソビエト共和国のベラルーシとモスクワとの友好的な関係ゆえに、ロシアのウラジーミル・プーチンに、この飛行機問題を持ち出すよう求められている。

 欧米の反応はヒステリーで偽善だ。明らかに、ベラルーシ領空で行われたことは異様で、非合法の可能性がある。だが、アメリカ合州国と、ヨーロッパ同盟諸国は「ハイジャック」や「国家テロ」について説教する立場にはないのだ。

 日曜日のアテネ発ライアン便はリトアニアの首都ビリニュスに向けて飛行していた。ベラルーシ領空を横断する際、パイロットは航空管制からミンスクに迂回するよう命じられた。機内にしかけられた爆弾の可能性が口実だった。だが、それは策略だったように思われる。何の装置も見つからず、飛行機はミンスクを発ち、6時間後ビリニュスに到着した。

 ベラルーシ当局が狙っていたのは、野党活動家ロマン・プロタセビッチだった。彼はミンスクで、仲間の女性とともに飛行機から降ろされ、拘留された。プロタセビッチ(26歳)は、疑惑選挙からベラルーシで2020年8月、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領が再選され論争の的となった選挙以来、反政府抗議を組織する上での中心的存在だった。ベラルーシ当局は、彼らの国が、アメリカ合州国とヨーロッパ同盟国が画策する「カラー革命」にさらされていると主張している。

 路上抗議が始まる前、プロタセビッチはリトアニアとポーランドで亡命生活をしていた。彼はデモを煽動した反政府メディアを立ち上げ、ベラルーシ当局に損害を与える誤った情報を広めたとして告訴されている。アメリカ政府に資金供給されたプロパガンダ機関、ラジオ・フリー・ヨーロッパは、ベラルーシ抗議に関与しており、内政に対する外国干渉の罪でミンスクが告発している人物の一部はバルト諸国とポーランドに本拠を置いている。

 ベラルーシは、それらヨーロッパ諸国に、国際逮捕状を基に、亡命中の反政府派を引き渡すよう要請していた。プロタセビッチなどの亡命者は暴力行為扇動のかどで告発されており、長い実刑判決に直面しかねないのだ。

 ベラルーシの逮捕状に対応するのを、ヨーロッパ諸国が拒絶したことが、ミンスクに定期航空便に着陸を強いる論争の的の処置をとるようにさせたのは疑いようがない。

 だが、本当に衝撃的なのは、欧米諸国が適用している、露骨なダブルスタンダードだ。ベラルーシは「ヨーロッパ最後の独裁」だと悪しざまに非難され、この航空機事件は国際航空上「未曾有の」違反だと表現されている。

 アメリカ人とヨーロッパ人の記憶力は何と短いのだろう。2013年7月、ボリビアのエボ・モラレス大統領の個人ジェット機は、ワシントンの命令で、ヨーロッパ諸国にハイジャックされた。フランス、イタリア、スペインとポルトガルが突然彼らの領空を封鎖した際、モラレスはロシアでのエネルギー会議からの帰路飛行中だった。アメリカは、NSA/CIAの内部告発者エドワード・スノーデンがモラレスの飛行機に乗っていると思ったのだ。パイロットはオーストリア警備員がジェット機を捜索するウィーンに着陸するよう強いられた。もちろん、スノーデンは乗っておらず、モラレスは最終的に数時間の遅れの後、彼の旅を続けることを許された。

 南米諸国は「国家テロ」行為とボリビア主権の侵害を非難した。それはアメリカ合州国と、ヨーロッパの子分連中によって行われた目に余る山賊行為だった。当時、フランスのフランソワ・オランド大統領は、その後情けない謝罪をした。

 ワシントンとヨーロッパの沈黙に出くわした、もう一つの航空規制違反は、2016年10月、ウクライナによるベラルーシ定期便の強制着陸だった。この飛行機はキエフから離陸したが、緊急発進した戦闘機の恫喝で戻るよう命じられたのだ。キエフ政権に批判的なロシア・メディアで働くアルメニア人ジャーナリストのアルメン・マルチロシャンが乗っていたのだ。ミンスクへの飛行を許可されるまで、このジャーナリストはキエフで短時間拘留された。どういうわけか、ウクライナ政権の後援者であるアメリカとヨーロッパは、この事件は「激怒」と、非難を叫ぶ見出しに値するとは思わなかったのだ。

 もし本気でハイジャックを非難する気があるのなら、ヨーロッパ諸国の政府は、アメリカCIAと、法的手続きをとらない容疑者の他国移送で、彼らの領空の組織的侵害を遥かに懸念すべきなのだ。世界中で違法に活動するアメリカ軍に違法に拉致された無数の「テロ容疑者」が、拷問のため、グアンタナモ湾や、いくつかの秘密軍事施設に向かう途中、ヨーロッパ空港を経由して秘密裏に移送されているのだ。

 ヨーロッパ諸国政府の全面的な沈黙の共謀を得て、ワシントンは世界中でハイジャックをしている。今もしヨーロッパが、世界中でのアメリカによる海賊行為への反対を表明したなら、彼らも、ベラルーシ事件について発言する多少の道義的権威があるかもしれない。だがヨーロッパは、アメリカの航空ハイジャックや違反を臆病に支持している。だから連中の恣意的な抗議など無効だ。

 Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/24/western-outrage-over-belarus-force-landing-plane-how-dare-you-copy-us/

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 テレビで、デンマークのコロナ対策を報じていた。三日?に一度無料PCR検査を受けるよう推奨しているという。ネットで検索すると、たとえばコペンハーゲンでは、仕事や学校に行く人々は週に一度検査をうけるよう勧めている。ガラパゴス列島以外ではワクチン一本槍ではなく、PCR検査を徹底的に行うのが標準。この列島にはPCR排斥を得々と語る井の中の蛙氏が多々おられる不思議。その中で児童を授業の一環として五輪強制観戦させても感染をまねくだけ。狂気の政府・御用分科会、文部科学省、スポンサー・マスコミ。

 植草一秀の『知られざる真実』 今回の記事も、大賛成。

五輪の化けの皮剥がれたことは大収穫

 ロシアや中国や北朝鮮の行動を批判する大本営広報部、自分の行動には沈黙の共謀。立派なダブルスタンダード。

 日刊IWJガイドに、クアッドについての外務大臣への質問と回答(怪答)が載っている。

■<IWJ取材報告 1>日米豪印のクアッドに英独仏蘭が加わるクアッド+アルファは中国に石油が入らないようにマラッカ海峡封鎖が狙いか!? との質問を茂木大臣はなぜかはぐらかし、自己PRの回答! はぐらかしたのは図星からか!? ~5.25茂木敏充外務大臣 定例記者会見

 5月25日、外務省で茂木敏充外務大臣定例記者会見が行われ、IWJ記者は中国包囲網「クアッド」に、英仏独蘭のEU諸国が参加していることについて、質問しました。

IWJ記者「日本政府は、安倍晋三前総理が提唱した『自由で開かれたインド太平洋戦略』を踏襲し、米、豪、印と組んで、中国包囲クアッドを形成しています。ここに英独仏蘭の欧州4カ国も加わるとのことですが、クアッド+アルファによる中国包囲網とは、具体的に何をされるのでしょうか?

 海上自衛隊幹部学校の戦略研究論文を見ると、マラッカ海峡を封鎖し中国への中東からの石油の輸入ルートを遮断する戦略がしばしば出てきます。米海軍大学のトーマスハメス博士の提唱するオフショアコントロール戦略にもとづくものです。クアッドの戦略は、このオフショアコントロール戦略をベースに、マラッカ海峡封鎖し、中国に石油が入らないようにして、兵糧攻めにするのが、狙いと考えてよろしいでしょうか?

 一方で、中国と日本は、他の東アジア諸国とともに、RCEPという包括的経済連携協定を結んでいます。中国は日本にとって最大の貿易相手国でもあります。RCEPという経済の枠組みと中国包囲網であるクアッドとは、相反し矛盾すると思われますが、今後、クアッドが深まれば、RCEPは放棄し、中国という巨大マーケットも捨てる決断をするのでしょうか? その時の日本経済のダメージはどうお考えですか?

 大臣のお考えをお聞かせください」

茂木外務大臣「『自由で開かれたインド・太平洋』、これは今から5年前、2016年のですね、TICAD VI(アフリカ開発会議)の際、まあ、当時は安倍総理でありましたが、日本として提唱したビジョン、考え方でありまして、基本的にはこの『自由で開かれたインド太平洋』、これはインド太平洋、まさに世界の成長センターという地域でありますが、一方でパワーバランスの変化も激しい。この地域においてですね、法の支配をはじめとする共通の価値や原則、これにもとづく自由で開かれた秩序を実現することによって、地域全体、ひいては世界全体の平和と安定を確保していくと、こう言った考え方にもとづく構想であります。

2021年5月25日 (火)

世界を二つに分けようとしているアメリカと同盟諸国

Eric Zuesse
2021年5月16日
Strategic Culture Foundation

 世界の覇権国という第二次世界大戦後の地位を、アメリカは他の全ての国々に(バナナ共和国あるいは属国として)自陣に加わるか、さもなくば、彼らを破壊し、彼らの敵になると強制するために使っている。

 中国や最近数十年まで貧困に陥った旧植民地だった他の国々の増大する経済的成功に対して、アメリカは、特に英語圏で、この「第三世界」に立ち向かう、全く別のグローバル経済の貿易、軍事連合となる同盟国を組織して対応して、それで、全ての非同盟国に、アメリカ合州国と同盟するのを選ぶか、さもなくばアメリカとその同盟国に征服されなければならないと強いるのだ。それは常に「我々」か「彼ら」かだ。ロシアは、もはや共産主義ではなく、中国は共産主義と資本主義の混合になったが、最大の「敵」(「彼ら」)は反共産主義の冷戦中に、アメリカと同盟諸国が反対だった同じ国、ロシアと中国だ。

 アメリカは、多くの他の国々に加え、サウジアラビア、イスラエル、カタール、UAEと、第二次世界大戦中のファシスト国の四カ国全て、ドイツ、日本、イタリアとスペインを自分側につけている。

 ヒトラーと、その同盟諸国に対するアメリカの戦争中、ロシアと中国は同盟国だったが、戦争中、1941年12月7日に日本が真珠湾が攻撃するまで、(圧倒的に共和党員からの)ファシスト勢力に対するかなりのアメリカの支援に反対してフランクリン・デラノ・ルーズベルトは戦わなければならなかった。(実際、1937年11月23日、ヒトラーの代理人クルト・フォン・ティッペルスキルヒとマンフレッド・フォン・キリンガー、2人の男爵が、人種差別主義者イレネー・デュ・ポンを含む共和党幹部と密かに交渉していた。デュ・ポンによるFDRに対する二度目のクーデターの企てだったが、いずれの試みも成功しなかった。)(1944年に、民主党の億万長者がFDRの副大統領に選んだ)1945年4月12日、FDRの死でハリー・S・トルーマンが大統領になるやいなや、ソ連邦との同盟は終わり、1945年7月25日、トルーマンがほとんど崇拝していた ドワイト・アイゼンハワー大将の助言のため、トルーマンの心の中で冷戦が形成された。1945年6月19日、トルーマンは妻のベスに書いた「彼は素晴らしい仕事をしてくれた。彼らは彼を大統領に立候補させている、私はそれでかまわない。私がそうできるなら、私はそれを彼にまかせるつもりだ。」1945年7月25日、アイクはトルーマンに、ソ連邦が世界を征服するか、アメリカが征服するかだと言った。そして、これが、どうやら、トルーマンにグローバル帝国を目指して、ソ連邦を征服するよう説得したのだ.

 征服のために、アメリカが益々利用している方法は、1991年、最初にイラクに対して使われた方法だ。国際制裁と、それに続くクーデターの企てで、もし不成功なら、あからさまな軍事侵略が続く。国連認可の有無にかかわらず。より最近では、この段階的方法(制裁、クーデター未遂、更に侵略)はシリアに対して使用されたが、アメリカは侵略のため、もはや自身の軍隊を使わず、代わりに、雇った代理部隊(傭兵)を使用しており、シリアでは、世界中から雇い、サウド家が代金を支払う聖戦戦士と、(サウド家はクルド軍を支配していないので)より直接ワシントンが支配できる、長年自身のクルディスタン国を設立するため、イラク、シリアとトルコからの独立を望んでいる分離主義クルド人を雇った。シリアのアメリカ兵は(通常、金をサウジアラビアとカタール王室から供給され)(アルカイダとつながる)聖戦戦士とクルド人を訓練し、武装させている。

 今、アメリカは、ワシントンと同盟諸国が、ワシントンが「自由世界」と呼ぶものになるよう、シリア、イエメン、パレスチナ、ウクライナ、ベネズエラ、ボリビア、エクアドルと、その前に、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドール、アルゼンチン、チリ、イランや多くの他の国々にしたように、世界の覇権国という第二次世界大戦後の地位、つまり世界的に最有力国であることを、基本的に、アメリカは他の全ての国々に(バナナ共和国あるいは属国として)自分に加わるか、さもなくば、彼らを破壊し、彼らの敵になると強制するために使っているのだ。イデオロギーは、もはや口実にならない。今や口実は「民主主義」「人権」「腐敗との戦い」と、もちろん(ヒトラーの主な口実でもあった)「国防」だ。

 換言すれば:アメリカは、権力という点で、世界第二位の国に格下げされるのを避けるため、出来る限りのことをしようとしているのだ。アメリカの億万長者が背後にいる。アメリカ政府は彼らに支配されているのだ。

 アメリカの地位につての最良の声明は、2014年5月28日、バラク・オバマが陸軍士官学校の卒業士官候補生に次のように言った演説だ。

 アメリカ合州国は必要欠くべからざる国であり、そうであり続ける。これは過去一世紀、事実であり、次の一世紀にも真実だ。旧ソ連諸国に対するロシアの侵略が、ヨーロッパの首都をろうばいさせ、中国の経済と軍事的勢力範囲の拡大が、近隣諸国を懸念させている。ブラジルからインドに至るまで、増大する中流階級は我々と競合する。各国政府はグローバルな舞台で、より大きな発言権を求めており、この新しい世界に対応するのは、諸君の世代の課題だ。

 以前植民地だった国々の国力向上に対するアメリカの「対応」は、我々と手を結ぶか、さもないと、破壊されるぞ、という選択の申し出だ。

 アメリカの支配体制か、これを提示し、促進する中、アメリカだけが「必要欠くべからざる国」なのだから、それは「正当化される」。他の全ての国々は「なくて済むのだ」。(ヒトラーも他の全ての国々に対して、同じように感じていた。大半のアメリカ人が今日それを支持しているのと全く同様、大半のドイツ人が、当時、その至上主義を支持していた。)FDRは世界のために非ファシストの未来を計画していたが、そこで彼は亡くなり(FDRの後継者のおかげで)我々は、その代わりに、ファシストの未来を手に入れ、それが我々が持っているものなのだ。ムッソリーニはファシズムを「コーポラティズモ」と呼んだ。アメリカは、年月が経つに連れ、益々コーポラティストだ。

 偏屈なヒンズー国家主義者のインドのナレンドラ・モディ首相下、インドは今明らかにアメリカ-イギリスに率いられる同盟の一部だ。2021年3月4日、ムニラ・ロハンドワラ紙は「モディと同盟者が企業による農業乗っ取りを企む中、Google、インドに何十億も投資」という見出しで、こう報じた

 特に、石油とガスの億万長者ムケシ・アンバニが所有する電話会社に対するGoogleの数十億ドル投資は、アメリカ巨大ハイテク企業が、たとえ、これが、権威主義傾向の政府を支援して、大衆反乱の標的である主要人物を合法化することになろうとも、より大きな利益を得るためなら、何が何でも、したいことをやり遂げることを示している。アンバニはインドで最も金持ちで、インド人民党BJP指導部の強力な企業の同盟者で、多くの人々が憎悪している農業改革の主要受益者と見なされているのだ。

 2020年9月、インド議会は「農場法案」としても知られる2020年のインド農業法令を可決した。これに対応して、これら法案に反対するインド農民が、これまでで世界最大の抗議行動の一つと、一連の分野横断ストライキを開始した。

 彼らの暮らしに対する継続的攻撃の次の段階で、食糧分配に対する民間部門による、より強力な支配を可能にする農業産業に対する規制緩和の企てとインド農民が見なすこれら法案の通過に対し2億5000万人以上の人々が抗議行動に参加したと推定される。これらの変化は、これらの農業法案が作り出す自由市場条件の下で繁栄するはずのアンバニのリライアンス・インダストリーズのような大企業に有利にはたらくだろう。

 ローズ主義者の計画では、インドは中国に対する主要な対抗勢力だ。

 日本も、その一つだ。2021年4月23日、クレイグ・マークが「ファイブ・アイズからシックス・アイズ?欧米諜報連合に加入しようと努力する日本」という見出しで、こう報じている。

 中国との緊張が増大し続ける中、日本は「ファイブ・アイズ」諜報情報共有連合に加入する動きをしている。今週、山上信吾オーストラリア大使は、シドニー・モーニング・ヘラルドに、彼の国の参加については「楽観的だ」と述べた。「[私は]この考えが近い将来実現するのを見たい。」

 ニュージーランドが ファイブ・アイズを中国に圧力をかけるために使われることへの懸念を声に出す中、これが起きている。

 このスパイ連合は一体何だろう?そして日本を参加させる利益と危険は何だろう?

 ファイブ・アイズとは一体何か?

 1943年、アメリカとイギリス間の諜報情報交換協定として始まり、1946年に公式のイギリス・アメリカ協定になった。合意はそれから、1948年にカナダに、1956年にオーストラリアとニュージーランドに拡張された

 イギリスは、駐オーストラリア日本大使に、進歩的なニュージーランドに、ローズ主義同盟に留まらせるよう圧力をかけるのを支援するため、オーストラリアを支援させ、それにより、日本をローズ主義者の核に入るのを許される未曾有の非英語国としてローズ主義コアに引き入れるのだ(それにより「ファイブ・アイズ」をシックスに変える)。これは、デイヴィッド・ロックフェラーと彼の仲間(ポーランド貴族の一員だった)ズビグニュー・ブレジンスキーがNATO諸国のビルダーバーグ・グループを拡張し、日本を含むように意図された三極委員会を使って、しようと試みていたことを達成することになる。

 2021年4月30日、戦略地政学評論家Alexander Mercourisは「ゼレンスキーにとって厳しいメッセージを持ってブリンケンはウクライナ訪問」という見出しのビデオで、最近プーチンが、もしアメリカが違反すれば、ロシアとアメリカ間で直接軍事衝突を引き起こす「超えてはならない一線」を確立したので、バイデンが、征服するためのアメリカの第一標的として、ロシアではなく、代わりに中国に焦点を合わせたと説明した。Mercourisはウクライナのアメリカ傀儡ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、おそらく独立した元ウクライナのドンバス地域を侵略すると脅すのをやめるよう強いられるだろうと言う。

 だが、アメリカ支配階級の主な中期目的は、アメリカの先制攻撃(ナチのバルバロッサ作戦のアメリカ同盟諸国による最新版)に対して報復するモスクワの能力を殲滅するため、そこからミサイルの電撃発射が可能なよう、ウクライナ支配を維持することなのに対し、イギリスの主な中期目的は、アメリカ-イギリス-サウジ-カタール連合が、サウド家が支配するため、シリアを征服するよう聖戦戦士と分離主義クルド人を武装し訓練することだ。アメリカ、イギリス支配階級の長期目的は、いずれも全ての国々に対する彼らの独裁共有だ。

 2021年4月30日、国際調査ジャーナリストFinian Cunninghamは、Strategic Culture Foundationで、元駐シリア・イギリス大使で、驚くほど勇敢なピーター・フォードにインタビューし「シリア政権転覆は、依然欧米の課題と、元大使ピーター・フォード」と見出しを付けた。警鐘を鳴らす元イギリス大使は、こう言って発言を始めた:

 西洋列強はシリアでの化学兵器使用とされていることに関して、古い骨を持っている犬のようです。それに肉がないのに、かじり続けているのです。なぜでしょう?なぜなら「自国民をガス攻撃したアサド」が、シリアに対する欧米プロパガンダ言説全体の基礎になっているためです。それなしでは、シリアに対する、主に制裁を通した、残酷な経済戦争を正当化するのは、いっそう困難です。軍事的努力による政権転覆が失敗したので、今経済戦争は政府を倒すのに十分なだけシリアを不安定化させる欧米列強最後の希望です。この戦略を機能させるため、欧米列強はシリアの文脈でそれを操作する彼らの能力を乱用して、化学兵器禁止機関の信頼性を傷つけるのにやる気満々です

 インタビューは、このように終わった。

 質問:最終的に、シリアは現職のバッシャール・アル・アサドが再選に立候補している5月26日の大統領選挙をしています。欧米列強はシリアを「非民主的制度」と軽蔑しています。あなたはシリア政治形態をどのように見ておられますか?アサドは再選で勝つ可能性が高いでしょうか?

 ピーター・フォード:もちろんアサドは勝つでしょうし、もちろん欧米列強は彼の勝利をけなそうとするでしょう。ですが、もしイギリスで、保守党に、戦争に疲れた国民の気が進まない一部の支持を含め、次の総選挙で、アサド支持の本物の水準に近いものを実現する保証を提案できたら、トーリー党員は、このような選挙の増進に対して、あなたの手をかみ切るはずだと私は確信を持って言えます。シリアに対する現在の欧米プロパガンダ努力の多くが、アサドの勝利を損ない、それに正当性を与えるのを拒否することに向けられています。ですが、シリア国内では、人々が、この選挙で、戦争とアサドの10年に決着をつけるでしょうから、彼は、シリアに対する欧米の戦争が次の段階に直面する中、一層強くなって登場します。

 更に、アメリカと同盟諸国が、シリアで政権転覆を引き起こすために、(厳密には「サラフィー主義イスラム教」と呼ばれる)ジハード戦士に資金供給し、訓練し、武装させているのと全く同様、彼らは中国で政権転覆を引き起こすため、まさに同じことをしている。こちらでは、サウド家のイスラム信仰(サラフィー主義)の過激スンニ派の変形を吹き込まれたウイグル中国人の「人権」を宣伝している。(それらサラフィー主義者の多くが、そのチュルク文化のため、最近サウジアラビアよりトルコに、より好意的になり、そのため、2019年7月18日、ロイターは「サウジアラビアは中国の新彊政策を支持する書簡を擁護」という見出しで、サウド家が「国連が少なくとも百万人のウイグル族や他のイスラム教徒が拘留されたと言う、中国西部地域、新彊での中国政策を支持して、他の36カ国とともに手紙に署名した」と報じた。アメリカとイギリスは、今は、サウジアラビア派ではなく、トルコ支持派聖戦戦士を支持している。トルコはNATO加盟国だ。だから、ローズ主義は、中国を分裂させたり、政権転覆をもたらしたりするためなら、どの聖戦ブランドを支持するか気にしないのだ。)

 だから、たとえアメリカ政権が、ウクライナを後回しにしようとも、イギリス政権は、どうやら、シリア征服を後回しするのを好まないのだ。アメリカの億万長者とイギリスの億万長者両方にとって、中国は征服するため、たえず両国の支配階級に照準を当てられている。実際、2021年4月10日、Strategic Cultureは「ウクライナと台湾、ロシアと中国に対する二面攻撃」という論説を公開し、こう書いている。:

 バイデンは、中国領域付近での軍事力増強という、かつてのトランプとオバマ政権下と同じ方針を推進している。今週には、バイデン就任以来、四度目のアメリカ誘導ミサイル駆逐艦が台湾海峡を通過した。その狭い海は、分離した島を中国大陸から隔てている。北京は、最近までは、アメリカさえ含め、圧倒的多数の国々に認められているいわゆる「一つの中国」政策下、台湾の領土主権を主張している。バイデンは、前任者のドナルド・トランプと同様、代表団を、この島に公式訪問させ、武器販売を増やし、極めて挑発的にアメリカが中国軍による「侵略」の際には、台湾を「守る」という公開宣言をして、一つの中国政策を意図的に損ないつつある。

 ウクライナと同様、バイデン政権の言動と行動は、台湾指導部による、一層挑発的な姿勢に拍車をかけるのに役立っている。今週、幹部が、領域に接近する中国航空機を、この島軍隊が撃墜すると警告した。これは中国の領土保全と主権に対する目に余る挑戦以外の何ものでもない。ウクライナとロシアの場合と同様、ワシントンの言動と行動が、台湾と中国間の緊張を煽りたてているのだ。それなのに、アメリカは、他の国々を「侵略」のかどで非難し、「防衛」しているのだと主張している。

 この全てを止める可能性がある唯一の組織は、アメリカが作った欧州連合だ。彼らが自分の創造者に敵対し、アメリカとイギリスに対し、(ローズ主義チームの狂気を終わらせることになるはずの)ロシアと中国と手を結ぶか、惑星を破壊することになるにもかかわらず、アメリカ政権が、ロシアを電撃核攻撃する第三次世界大戦(おそらく短期の未来ではないだろうが)かの、いずれかだ。

 もしEUがアメリカから離脱すれば、NYCからヨーロッパに国連を移転させることも可能になり、その発明者だったFDRの意図に沿って国連改革が可能となり、国連は世界的な民主的国家連合になり、全ての核兵器や他の戦略地政学的な武器と軍隊を支配し、あらゆる国際問題で、唯一、正式な行政、立法、司法当局役をつとめる民主的世界連邦政府になる。これは、トルーマンとチャーチルが防いだもので、もはや未来の世界大戦はなく、未来の帝国間戦争がなく、もやは帝国はなく、帝国主義もない世界を産み出すはずのものだ。

 FDRの意図が実現するか、核による全滅かの、いずれかだ。EUが決定するのだ。EUがFDRの意図を実行するためには、EUは、その創造者、トルーマンと、彼以降の全アメリカ大統領(アメリカ億万長者に支配されている議会も)に敵対することになる。だが、よりありそうな選択肢は、イギリスがそうしたように、いくつかの国々がEUから離脱し、イギリスはそうしなかったが、ロシアや中国やイランと組み、アメリカから離れることだ。それも、第三次世界大戦を防ぎ、FDRが意図していたように国連を改革できるようになるかもしれない。FDRが計画していた、帝国主義後の世界における、世界的な民主的連邦共和国で、裁判し、国際法を施行する唯一の源。もしFDRの計画が実現しなければ、第三次世界大戦が起きるだろうが、それが、彼が国連を計画した理由だったのだ。だが1945年4月12日に、彼が亡くなるやいなや、トルーマンに影響を与えていた億万長者の代理人連中が、最終的に、1945年7月25日に(アイゼンハワー大将の助言に基づいて)、アメリカは世界征服を目指すと決定し、それでアメリカ(永久戦争国家)による国家転覆や、クーデターや侵略の絶え間ない連鎖が始まったのだ。最初のクーデターは、1948年、CIA特殊作戦に必要な会計簿に記載されない資金を供給するため、戦略情報局OSS-CIAが国際麻薬取り引きから上前を跳ねるのを可能にする支配者を据えつけるための、タイでのものだった

Eric Zuesseは、アメリカ人作家、調査歴史家

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/16/us-and-its-allies-try-split-world-in-two/

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 この記事をちらりと読んだときに、目についたのは、インドの富豪ムケシュの名。9年前に、彼に関するアルンダティ・ロイ氏の記事を翻訳していた。この記事も、隠蔽エンジンによって、しっかり隠されている。

資本主義: ある怪談

 宗主国の最大の敵と目されているロシアは、当然日本の動きを凝視している。それゆえの、この記事。

 大本営広報部は、もちろん、この反ロシア・反中国軍事同盟の話題から目を逸らさせるのが仕事。庶民生活に影響皆無な芸能人の結婚・離婚はしつこく報じるが、クアッドやファイブ・アイズについては全く報じない。

 意図的に、大本営広報部以外の情報源を求める以外、洗脳に対する方策はない。それで、IWJや、デモクラシータイムスを拝聴している。

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 26・IWJ_YouTube Live】20:00~「米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!?
5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 (1)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2019年3月に収録した、岩上安身による田代秀敏氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた田代秀敏氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%b0%e4%bb%a3%e7%a7%80%e6%95%8f

 静岡市長選・横浜市長選挙は興味津々。

【横田一の現場直撃 No.112】横浜反カジノ藤木節/イライラ小池、五輪強行?/
静岡知事選、富士川汚染も争点化? 20210524

2021年5月24日 (月)

イスラエルの激しいガザ爆撃後、炎に包まれる「アメリカの世紀の取り引き」

Finian Cunningham
2021年5月23日
Strategic Culture Foundation

 中東でのアメリカ調停の見せかけはボロボロだ。アブラハム合意から一年後、世界は、アメリカ軍用機とミサイルで武装したイスラエルによる、もう一つの血まみれの民族浄化を目撃している。

 トランプの「世紀の取り引き」が、いつもそうであるサギゆえに、ばらばらに壊れるのに、一年しかかからなかった。ほぼ二週間、イスラエルがパレスチナ人に対して行った人類に対する暴力犯罪に、アラブ人とイスラム世界は激怒している。

 停戦は、今のところ、流血は止めているが、平和仲裁者というアメリカのイメージに対する打撃は永久だ。

 アメリカ前大統領ドナルド・トランプは、イスラエルを喜ばせるため一肌脱いだ。「アメリカ・ファースト」に関する彼のすべての大げさな話は、もはやこれまでだ。実体は「イスラエル・ファースト」だ。トランプはエルサレムをイスラエルの首都と認め、パレスチナの土地併合継続を認可した。

 それから再選の狙いで、トランプは、イスラエルとアラブ諸国間で、大仰に聞こえる合意、いわゆるアブラハム合意をまとめた。これはトランプが彼特有の誇大妄想で、70年来の中東紛争を解決すると称賛した「世紀の取り引き」のはずだった。それは現在アメリカで汚職に関して調査されている辣腕不動産大御所にふさわしい詐欺だった。

 パレスチナ人は相談さえされず、実際それを拒絶した。たった4つのアラブ諸国がトランプの平和茶番に署名した。アラブ首長国連邦、バーレーン、スーダンとモロッコ。外見上唯一の譲歩は、それ以上いかなるパレスチナの土地も盗まないというイスラエルによる、あいまいな約束だった。イスラエルが、パレスチナ難民の帰還に同意したり、未来のパレスチナ国家の首都として東エルサレムを認めたりするような大幅譲歩はないはずだ。

 トランプの和平調停冒険事業は、今実に二枚舌に見える。そして、それに署名したアラブ諸国も最高に、ばかげているように見える。

 これまで二週間にわたる最近の暴力で、イスラエル空爆がアパート地帯を崩壊させるにつれ、パレスチナ人家族が彼らの家で虐殺された。医療関係者や病院が攻撃された。メディア・センターも。空襲が実に無差別なので、今回、暴力は、かつての2014年と2009年の紛争より悪いとパレスチナ人は言う。

 パレスチナの武装組織ハマスは、イスラエルの都市に何千ものロケットを発射した。だが、その大部分が防空体制により途中で迎撃され、イスラエル住民は強化された地下防空壕で無事守られている。死亡者数比較は、暴力の一方的性質を示している。65人の子供を含め、230人以上のパレスチナ人が亡くなった。イスラエル側は12人死亡した。

 先月ラマダン中、東エルサレムのアル・アクサ・モスクで礼拝するパレスチナ人に対するイスラエルの治安取り締まりのため、紛争が勃発した。東エルサレムの家からのパレスチナ人計画的追い立ては、ハマスによるロケット発射をもたらした。いつものように、イスラエル軍の反撃は、全く不釣り合いだ。

 だがトランプの後継者も劣らず追従的だ。ジョー・バイデン大統領は、ワシントンがペコペコ頭を下げる胸が悪くなるような態度で、イスラエルの自衛権を弁護する。バイデン政権は停戦を要求する国連安全保障理事会による三つの試みを阻止した。これはバイデンが、イスラエルに、まさしく、ガザで高層ビルを地面に崩壊させている軍需品ミサイル、7億3500万ドルに相当する統合直接攻撃弾JDAMを売る契約書に署名しながらの話だ。

 この背景が、アブラハム合意と、これに参加し、この正常化合意が、パレスチナ領域のそれ以上の喪失を防ぐと主張したアラブ諸国をあざ笑っている。

 現実は、アメリカ合州国は、決して中東平和の正直な調停者であり得ないということだ。ホワイトハウスに、共和党議員、民主党議員、どちらがいようとも、アメリカ外交政策は、パレスチナの権利を犠牲に、イスラエルに対する常に変わらぬ支持なのだ。それは中東におけるアメリカ帝国の権益が、イスラエルによる支配に基づいているためだ。イスラエルは、ワシントンから、何をしてもお咎めなしの免許をもらっているのだ。イスラエルがアラブ人を押さえ付けるアパルトヘイト・ユダヤ人国家であろうが、彼らの土地を盗もうが、彼らの子供たちを殺そうが、究極的に重要ではないのだ。ワシントンは利己的な戦略的権益のため、完全共犯者だ。

 中東でのアメリカの調停の見せかけはボロボロだ。ビル・クリントン政権が仲介したオスロ合意から30年以上たっても、パレスチナ人の国家に対する熱望に何も実現していない。アブラハム合意から一年後、世界は、アメリカ軍用飛行機とミサイルで武装したイスラエル人による、もう一つの血まみれの民族浄化を目撃している。

 イスラエルとのアラブの関係正常化を企てるアメリカの試みにとって、サウジアラビアは意図された豪華賞品だった。アラブ人やイスラム教徒や世界中の多くの他の人々から怒りが噴出する中、サウジアラビアが意図された路線を支持する方法などない。

 実際、今週サウジアラビアはパレスチナの歴史的権利を支持する姿勢を強化した

 フーシ派反抗者がサウジアラビア経済に重大な損害を与えているイエメンで、絶望的に必要な和平協定を求め理由もあって、リヤドはイランとの結びつきを正常化しようと努めている。フーシ派は外交上テヘランに支援されており、イエメンの泥沼から脱出したければ、サウジアラビアはイランとの関係を改良する必要があるのだ。

 イランはガザに対するイスラエル猛攻撃に対して、いつものように断固批判的界だ。テヘランは、アブラハム合意を支持して、パレスチナ人の権利を売り渡したアラブ諸国を非難している。

 かつて、イスラエルとのトランプのエセ平和合意を支持する兆候を示していたサウジアラビアは、今イエメンに関し、より喫緊の懸念を持っている。これは、ガザや東エルサレムでの最近の罪に対するアラブ人の怒りに加えて、サウジアラビアが「世紀の取り引き」を終わらせるのを確実にする。ワシントンにとっては、にせエセ平和仲介者としての恥ずべき歴史での、もう一つの地獄へ道連れなのだ。

 Finian Cunninghamは主要報道機関の元編集者・記者。国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/23/america-deal-century-in-flames-after-israel-pounds-gaza/

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 大本営広報部、五輪開催の話題は、しつこくあつかうが、汚染水放出問題は完全無視。

 デモクラシー・タイムス 実に良くわかる解説。政府プロパガンダのウソをていねいに論破されている。

【原発耕論 No15】汚染水海洋放出は無責任の極み! 20210515

 今日の日刊IWJガイドに「記者会見」なる「速記者会見」の作られ方が具体的に説明されている。詳しくは、記事をお読み願いたい。大本営広報部は、この重大な話題の完全共犯者。

<IWJ取材報告 1>茂木大臣と外務省は、急速にきな臭くなる「自由で開かれたインド太平洋」戦略についてのIWJ記者の質問を「騙し討ち」で回避! 米中対立が発火すれば日本列島が主戦場に! ~5.21茂木敏充外務大臣 定例記者会見

2021年5月23日 (日)

締まるNATOの輪なわ

Brian Cloughley
2021年5月18日
Strategic Culture Foundation

 ロシア国境を巡るNATOの軍事輪なわは、高まる挑発にモスクワが反応するよう強いるため締められつつあるとBrian Cloughleyが書いている。

 NATO前線における、最近の進展の一つは、情報機関ストラトフォーが「ブルガリア、チェコ共和国、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ルーマニアとスロバキアを含め、NATOの最東方加盟国集団と呼ぶ、いわゆる「ブカレスト9」会議だった。これらの国の大部分が、あり得るロシア侵略を阻止し、アメリカ合州国との緊密な協力を維持し、エネルギー源を多様化し、共同インフラ計画を発展させる課題で戦略権益を共有している。」バイデン大統領とNATO事務局長イェンス・ストルテンベルグが出席したビデオ会議の目的は、アメリカ-NATO軍事同盟によれば、任務の「狙いを前進させ」「参加諸国にとっての同盟の権益問題に関する意見を強固にし、共同安全保障管理プロジェクトを支援する」ことだった。

 換言すれば、ブカレスト9の目的は、世界で最も高額な洗練された軍事機構に屈辱を味合わせた戦争で敗北したアフガニスタンからアメリカとNATO同盟諸国が撤退する中、NATOが、強化されつつあるアメリカ-NATO対決の一環として、ロシア西部国境地帯に、更に圧力を加えるのを支援することだ。彼らは、攻撃機や無人機や戦車や砲兵隊を持たない一群の粗末な身なりの戦士に打ち負かされたのだ。NATO撤退後、タリバーンが最終的に引き継いで、アフガニスタンが偏狭な神政と残酷さの大混乱に陥った後、アフガニスタンで民主主義を認める意図は皆無だ。

 2003年8月、「アフガン当局を機能可能にし、アフガニスタンが二度と再びテロリストの安全な避難所でなくなるのを保証すべく、効果的治安を提供するアフガニスタン国家安全保障軍の能力を構築する」任務で、NATOはアメリカに続いてアフガニスタンに入った。2015年、戦争と訓練役割への移行は「今日までNATO最長で最も困難な任務だった。ピーク時には、50カ国のNATOとパートナー国部隊で、兵士は130,000人を超えていた」と宣言した。連中は彼らの国における外国勢力駐留に反対する数千人の戦士にむちで打たれた。

 そこで、2011年、平和の名のもとに爆撃して、リビアに対する楽しい戦争をし、アメリカ-NATOのためにヨーロッパに戻った。この凶暴なファンダンゴは「ユニファイド・プロテクター作戦」と命名されたが、それが守ったのは欧米武器製造業者の利益だった。9,600回の空襲で、リビアに7カ月爆弾投下し、ロケット弾で攻撃した後、当時のNATO事務総長アナス・フォー・ラスムセンはトリポリに行き「この国と地域を助ける上で、わが組織とパートナーが果たした役割を誇りに思う」と宣言した。だが、我々が余りにも良く知っている通り、リビアは混乱状態にある。

 私が6年前書いたように、リビアに対するアメリカ-NATO戦争に関与していた二人の著名人は、2009年から2013年まで、NATOアメリカ政府代表だったアイヴォ・ダールダーと、同期間、アメリカの欧州連合軍最高司令官(NATO軍司令官)だったジェイムズ・G(「ゾルバ」)スタヴリディス海軍大将だ。2011年10月31日、彼らが戦争を終わらせたとき、有頂天になった二人には「ユニファイド・プロテクター作戦が終わりに近づく中、連合とパートナーは、並外れた仕事をうまく成し遂げたと振り返ることができると、ばかばかしい主張をニューヨーク・タイムズ記事に掲載させた。なかんずく、適切に用いられた限定された武力使用が、実際の肯定的な政治的変化に影響を与えることができることへの、リビア国民の感謝に、それを見ることができる。」というのだ。

 だが、ヒューマンライツ・ウォッチは、アメリカ-NATO破壊によって放たれたリビア内戦が「医療と電気を含め基本的サービス供給を妨げていると報じている。あらゆる党派の武装集団が非合法に殺し、無差別砲撃し、民間人を殺し、重要インフラを破壊している。」無秩序な混乱から逃がれようとする人々のためのNATO諸国支援はない。リビアでのアメリカ-NATO軍事介入は、世界、とりわけ、オバマやダールダーやスタヴリディスやラスムッセン-が深く恥じるべき途方もない数の人権侵害行為をもたらした。ヒューマンライツ・ウォッチによれば「リビア移民や亡命希望者や難民は、ヨーロッパに到達しようとしながら途中海で阻止され、欧州連合が支援するリビア沿岸警備隊に返された何千人も含め恣意的に拘束され、そこで多くが冷遇や性的暴行や強制労働や、ゆすりを経験している」。

 過去20年ほどで、アメリカ-NATO軍事同盟唯一の実績は、アフガニスタンとリビアの破壊と、数えきれない何百万人もの人々に貧困と死を与えることだった。だから連合は、存在を正当化するため、もう一つの作戦領域に焦点を合わせる頃合いなのだ。幸せな冷戦の日々に戻り、5月6日、欧州理事会で、ストルテンベルク事務局長は「我々が話をしている今も、我々はNATO演習の一環として、何千人もの兵隊を派遣しており、我々はルーマニアでそれをしている。それは我々が、いかにNATO部隊を動員し、演習させるか、どのようにヨーロッパ中に彼らを派遣することが可能かも明示する。」とうれしげに発表した。彼らが、まさにアフガニスタンでしたのと同様に。

 そこで、ブカレスト9会議が行われ、バイデン大統領が対決政策に対する圧倒的支持と「NATOの阻止・防衛姿勢強化への支持を表明し、戦略上の競争相手による有害な経済的、政治的動に対する、この同盟の回復力の支持を発表し、彼は、これら同盟諸国や出席していたイェンス・ストルテンベルグ事務局長と、6月14日のNATOサミットで論じられるはずの将来の脅威に対応する同盟の取り組みについて触れ合う機会を歓迎する」と発表した。

 これらは全て究極的な直接対決のための、かき立てであり、バイデン大統領がNATOサミット前にプーチン大統領との対話に同意する兆候は皆無だ。実際、たとえホワイトハウスが対決より対話を考慮に入れ始めるにせよ、バイデンが「今我々の安全保障と同盟を終わらせる上で、アメリカにとっての最大の脅威はロシアだと思う」という2020年の宣言を撤回する可能性はありそうにない。

 バイデンのNATOに対する「揺るぎない」誓約と、「ブカレスト9」のためのNATO軍事力増強に対する無条件の支持と、ロシア国境沿いでのNATO強化は、NATOをアメリカの先駆として利用し、ワシントンの対決政策を続ける意図の露骨な表示だ。現在の「NATO東部側面」沿いでの強化には「ステッド・ファスト・ディフェンダー(断固たる防衛者)」と呼ばれ、ストルテンベルクが「北アメリカから遥々黒海地域から、ポルトガル沖まで、軍隊を陸海に配備し、NATOの即応性と軍の可動性を試す」と宣言する作戦が伴っている。

 アフガニスタンとリビアでの大失敗や、破壊や、続く混乱を考えれば、アメリカ-NATOが必ずしも、最近の歴史で最も効率的軍事同盟でないのは明白だが、ロシアに、より多くの軍事圧力を加えるため「北アメリカ軍によるNATOヨーロッパ同盟国の急速な強化」を確保する決意が固いのは余りに明白だ。国防総省のジョン・カービーが発表した通り、5月-6月の「ディフェンダー・ヨーロッパ」NATO画策は「特に、バルカン諸国と黒海地域」で「破壊性」を実証するよう意図されている。

 ロシア国境を巡るNATOの軍事輪なわは、高まる挑発にモスクワが反応するよう強いるため締められつつある。世界や人類にとって、この好戦的対決で考えられる恩恵は皆無だ。だが国防総省とブリュッセル分室はNATO国境での強化と武力誇示の決意が固い。

 Brian Cloughleyは、イギリス軍とオーストラリア軍の退役軍人、元カシミール国連軍事使節副団長、元在パキスタンのオーストラリア国防担当大使館員

個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/18/the-tightening-of-the-nato-noose/

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 下記IWJインタビュー拝聴した。DVで、お金がなくなり、警察に保護を求めたら、拘留され見殺しにされた悲惨さ。

フルオープン【17時~ ライブ配信】岩上安身による 日本共産党 山添拓参議院議員インタビュー

 今日の日刊IWJガイドに、コメントがある。その一部をコピーさせていただこう。

 本日の日刊IWJガイドでは、後段で昨日行われた岩上安身による山添拓議員インタビューの報告をお伝えいたします。インタビューでは、18日に与野党間で廃案が決まった入管難民法改悪案問題について詳しくうかがいました。

 インタビューの中で山添議員は、名古屋入管で収容中に亡くなったウィシュマ・サンダマリさんのご遺族が、「私たちが貧しい国の出身の人間だからこういう扱いをするのか」「アメリカ人だったら同じようにするのか?」と問いかけたことをあげ、「根底に、外国人に対する差別や偏見の認識が、制度的にも社会的にも作られている」と指摘しました。

 米国への盲目的な隷属と、アジアへの蔑視は表裏一体であり、安倍政権、菅政権には、「国民主権」や「人権」という概念が皆無、もしくは「邪魔なもの」と思っているしか思えません。

 そもそも、日刊IWJガイドの見出しには、こうある。

「IOCコーツ副会長が緊急事態宣言下での五輪開催に「イエス」!「日本人の命よりカネ」の五輪利権を剥き出しに!

 植草一秀の『知られざる真実』でも

身も毛もよだつ銭ゲバIOCの正体

 連中、ナチス強制収容所所長に見えてくる。

2021年5月22日 (土)

ワシントンによる、いくつかの単純なウソ:誰がテロリストで、誰が被害者なのか?

フィリップ・ジラルディ
2021年5月20日
Strategic Culture Foundation

 イスラエル人にパレスチナ人を殺すのを許しても、アメリカが得る実質的な恩恵は皆無なのだとフィル・ジラルディが書いている。

 パレスチナとイスラエル間で勃発した紛争に、ほとんど驚きはない。アメリカと西ヨーロッパのメディアの多くを、がっちり支配できるイスラエルは、分かりやすい表現でそれを描写することに決めた。パレスチナの「テロリスト」集団ハマスがユダヤ人国家を攻撃したので、自己防衛のため、相応の措置をとった。遥かに複雑な一連の応酬の対する、この極端に単純化した表現が、アメリカで、政治論評として語る評論家の多くや、完全に腐敗したワシントンの政治家連中に、そのまま使われた。

 イスラエルによる一般人の殺害が増加するにつれ、議会においてさえ、そうした感情が増大しているのに、数十年にわたるパレスチナ人の苦境に対する、どんな同情であれ表現する発言は驚くほど稀だ。実際、当初私は、ガザ、エルサレム、ヨルダン川西岸で、アラブの一般人が苦しまされているのを本気で遺憾に思う民主党議員のわずか五つの声明しか見いだすことができなかった。一つは最近の紛争をひき起こした一連のパレスチナ人住居乗っ取りに関するエリザベス・ウォーレン上院議員の発言だ。彼女はTwitterで書いた。「シェイフ・ジャッラーハにおける長年のパレスチナ住民の強制退去は忌まわしく、許されない。政権はイスラエル政府に、これら強制退去が非合法であることを明らかにすべきであり、即座に止めなければならない。」バーニー・サンダース上院議員もニューヨーク・タイムズで「アメリカはネタニヤフの擁護者をやめなくてはならない」という題の痛烈な論説で主張した。彼はイスラエル首相は「益々不寛容で、権威主義的な形の人種差別的愛国心を養成した」と表現している。

 「私は爆撃下にあるイスラエルの人々を支持し、ハマス・テロリストを非難する。NYCの人々は、テロに勇敢に立ち向かい、耐えているイスラエルの我々の兄弟姉妹を常に支持する。」とTwitterでつぶやいたニューヨーク市長候補アンドリュー・ヤンに対するアレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員の短い非難もある。AOCは「ヤンが、9人の子供を殺害した攻撃に対する威勢のいい声明をした後で、イド・アル=フィトル[ラマダン開けを祝う大祭]に現われるとは、実に恥ずべきだ」と反論した

 遥かに強い発言は、ソマリア人家系で、彼女自身の党の、この問題の現実に直面するやる気のなさを非難したイルハン・オマール下院議員のものだ。彼女はTwitterで、こう呟いた。「シェイフ・ジャッラーハへの言及は皆無だ。アル=アクサー・モスク襲撃への言及は皆無だ。空襲で殺害された無辜の13人の子供への言及は皆無だ。野外刑務所の何百万もの人々に対して続く占領への言及は皆無だ。あなたは人権に優先順位を置いていない。あなたは圧制的占領を支持している。」オマールは、他ならぬ元国務大臣マイク・ポンペオから「反ユダヤ主義だ」と、その後非難された

 そして、パレスチナ系のラシダ・ラシダ・タリーブ下院議員が議会で行った演説にはこう言う言葉がある。「バイデン大統領やブリンケン長官やオースティン大将や両党指導部の声明を読んでいると、パレスチナ人が存在していることなど、ほとんど、わかるまい。今東エルサレムで、自分の家から引き離されるパレスチナ家族への攻撃や、家の破壊についての認識は皆無だ。拘留されたり、殺されたりしている子供への言及は皆無だ。彼らの最も神聖な場所の一つ、アル=アクサー・モスクで、ひざまずき、祈り、最も神聖な日々を祝う礼拝者に対して、祈っている間、暴力、催涙ガス、煙に囲まれていることへの言及は皆無で、イスラエル警察が続けている、いやがらせとテロ・キャンペーンの認識は皆無だ。」

 どのコメントも、ホワイトハウスにどんな実際の影響も与えず、ヤンが、その歓心を買っている、かなり多数のユダヤ人住民がいる都市で市長に立候補しているが、彼はアメリカ外交政策とは全く無関係なのでAOCの非難は、まずかった。AOCは自身の党指導部に批判を向けるべきだったが、彼女は、もちろん、そうしないと決めたのだ。

 アメリカの、いわゆる指導者連中の、ほとんどの発言は、予想通り、好戦的だ。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、「私はシオニストだ」という大統領の意見を引き合いに出し、ジョー・バイデンが「イスラエルの安全保障、自身と国民を守る正当な権利に対する大統領の支持は、根本的なものであり、決して放棄することはない。我々はエルサレムに対するハマスや他のテロ集団により継続中のロケット攻撃を非難する。」これは、より熱烈なシオニストの前大統領、その特徴が、攻撃的で、無知にあふれたドナルド・トランプのばかばかしい応答を引き起こした。彼はTwitterで呟いた。「私の在職時、もしイスラエルが攻撃されたら、アメリカ合州国が強くイスラエルと共に立ち上がり、素早い懲罰があることをイスラエルの敵が知っていたので、我々は平和大統領職として知られていた。バイデン下で、バイデンのイスラエルに対する支持の弱さと欠如が、我々の同盟国に対する新しい攻撃を招いているため、世界は一層強暴で、一層不安定になっている。アメリカは常にイスラエルを支持し、パレスチナ人は、暴力やテロやロケット攻撃を終わらせなければならないことを明らかにし、アメリカは、自身を守るイスラエルの権利を強く支持することを明らかにしなくてはならない。」

 だが、「イスラエル知事」の肩書きを持つと主張し、彼の州のナンバー・プレートに「フロリダ州はイスラエルを支持する」とスローガンを書いているロン・デサンティス・フロリダ州知事の気の利いた言い回しを破るのは困難だ。ロンよ「フロリダ州はアメリカを支持する」はどうだろう?デサンティスは「ハマスはテロ組織で、イスラエルはテロ攻撃から自身を守る権利を持っている」と言った。実際「イスラエルは自身を守る権利を持っている」という歯切れのいいセリフは、アメリカで、あまねく使われている。非武装のパレスチナ人にも同じ権利があるかどうかは、どうやら多くのアメリカ人にとって関心事ではないのだ。

 フロリダでは「イスラエルかハマスかという誤った選択に、どうか、だまされないでほしい。もし私がテロ組織と、我々の民主的な同盟国から選ぶよう頼まれたら、私はイスラエルを支持する。」という主張を推進するテッド・ドイッチ民主党下院議員の似たようなメッセージもある。テッドはユダヤ人で、主にユダヤ人の選挙区の代表だ。

 もちろん、テッドは状況を本人の好みに合わせて解釈している。多くの民主党政治家と同様、彼は大多数が民主党支持のユダヤ人だとされる主要政治資金寄贈者に耳を傾けている。イスラエル系アメリカ人のハリウッド・プロデューサーで、大口寄贈者のハイム・サバンが言う「私は民主党員だ、不幸にして、アメリカの利益のための教育を利用できる民主党極左がいる。イスラエルに関して議論があってはならない。イスラエルは地域で唯一の民主主義国で、我々の最も確固とした同盟国だ。」

 もちろん、サバンは、イスラエル支援に関し、自分に快い主張を繰り返しているのだ。イスラエルは同盟国でも民主主義国家でもなく、その行動は、完全にアメリカの本当の利益に反するのだから、それはウソだ。客観的に言って、パレスチナは、ユダヤ人国家の被害者であり、その逆ではなく、人々が一体どう説明しようと決めるにせよ、イスラエルは大量虐殺や大量殺人や民族浄化で告訴されかねないのだ。過去70年間にわたり、ユダヤ人イスラエルのせいで、イスラム教徒やキリスト教徒の先住アラブ住民が耐えなければならなかった人権侵害や戦争犯罪の記述なら何ページでも続けられる。

 法律上はイスラエル国民ながら、ほとんど全員がパレスチナのキリスト教徒とイスラム教徒で構成される、権利が劣る20%の住民がいるのに、イスラエルは、法的に、ユダヤ人国家だとさえ宣言している。国民ではないパレスチナ人は、ヨルダン川西岸で、イスラエルが課した戒厳令下にあり、生存権を含め全く権利がない。子供を含め非武装のアラブ一般人を殺すため発砲するイスラエル兵士は、ほとんど決して罰せられず、彼らの一部は実際英雄として称賛される。

 ノーム・チョムスキーはアラブの視点から状況を説明している。「あなたは私の水を奪い、私のオリーブの木を焼き、私の家を破壊し、私の仕事を奪い、私の土地を盗み、父親を投獄し、母親を殺し、私の国を爆撃し、我々全員を飢えさせ、我々全員に屈辱を与えるのに、私が責めを負うべきだという。私はロケットを撃ち返した。」イスラエルがアパルトヘイト国家で、歴史的なパレスチナに残っているアラブ人は、事実上の野外刑務所に暮らしていることは、今一般に認められている。これに対して、非武装のパレスチナ人が、時折、できる限りの反撃をすると、手製ロケットに対して、「工業的」最先端兵器を使った圧倒的な軍事力のイスラエル反撃をもたらし、今まさに起きてているような、不釣り合いな虐殺になるのだ。

 ガザで起きていることへのアメリカ政府の対応で特に気掛かりなのは、イスラエル人にパレスチナ人を殺すのを許しても、アメリカが得る実質的な恩恵は皆無なことだ。全く逆に、ワシントンは、当然、ほぼ全員から、イスラエルの行動を可能にしたと非難されるだろう。同様に、気掛かりなのは、現実をぼやけさせ、今とっている立場を正当化するために使われるうそ八百と意図的な虚偽の主張だ。ワシントン政治家の口や、提携する主流メディアから言われることを、実に多くのアメリカ人が、もはや信頼したり、信じたりできると思わないことに何の驚きがあるだろう?


 フィリップ・ジラルディは博士で、Council for the National Interest事務局長。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/20/some-simple-lies-out-washington-who-is-terrorist-and-victim/

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 これから「西谷文和 路上のラジオ 第54回 ふたつの特集「真相が知りたい。愛知県リコール署名で何が起きていたのか?」&「血塗られた民意・ミャンマー民主化へのいばらの道を行く」を拝聴する。

 夕方はIWJ、山添拓参議院議員インタビューを拝聴予定。

日刊IWJガイド・特別公開版「政府は沖縄県を緊急事態宣言対象に追加! 大阪府でインド変異株市中感染の可能性! 権力を監視し批判するIWJをどうかご支援ください!」2021.05.22号~No.3173号

 つまり下記

【IWJ_YouTube Live】17:00~「国民投票法改悪参議院採決、成立目前『コロナ危機に便乗して改憲論議を煽るのは究極の火事場泥棒』岩上安身による 日本共産党 山添拓参議院議員インタビュー」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 岩上安身による山添拓参議院議員インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた山添拓氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%b1%b1%e6%b7%bb%e6%8b%93
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 夜も?

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 23・IWJ_YouTube Live】19:30~「米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(3)バイデン政権でも米軍の戦略に変化なし? 米中両国のミサイル戦略の狭間で日本列島全土が戦場になる!! 岩上安身によるインタビュー 第1018回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2020年11月に収録した、岩上安身による須川清司氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた米中関係関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%b1%b3%e4%b8%ad%e9%96%a2%e4%bf%82

2021年5月20日 (木)

欧米はニュージーランドを失いつつあるのか?

2021年5月18日
ソフィア・ペール
New Eastern Outlook

 もう何年もの間、全世界は中国-アメリカ対立のとりこになっている。世界経済や、政治の様々な分野における最高の地位から、アメリカや他の西側諸国を、中国は積極的に押し出しており、アメリカは:これに猛烈に抵抗している。欧米でのアメリカの重要な同盟諸国は、英語文化圏の主な国々:イギリス、カナダ、オーストラリアとニュージーランドだ。第二次世界大戦の昔から、これらの国々の諜報機関は協力を始め、その情報収集・送信システムが、全欧米を包むファイブ・アイズ諜報同盟の出現に至った。

 現在の中国-アメリカ関係悪化の期間が始まると、アメリカは全パートナーを積極的に対決に巻き込み始めた。ファイブ・アイズ同盟の枠組みでの協力も反中国の方向に舵を切り始めた。それで、同盟諸国の戦略情報を、中国諜報機関から守るため、アメリカ合州国がけしかけて、ファイブ・アイズの国々で、ファーウェイやZTEのような中国通信企業を追い出すプロセスが始まった。

 だがワシントンにとって思いがけないことに、連合アメリカのメンバーが要求に無条件に従うと同意したわけではない。ニュージーランドがアメリカの中国との戦いを邪魔し始めたのだ。

 中国はニュージーランド全輸出の3分の1を占める最大の貿易相手国で、Covid-19流行前の2019年、ニュージーランド外貨の主要財源の一つが中国観光客だったことを想起願いたい。

 2018年、アメリカが全てのファイブ・アイズ加盟諸国に、スパイ活動の脅威のため中国通信装置の購入使用をやめるよう要求した際、当初ニュージーランドは従い、2018年末、5Gネットワーク構築で、ファーウェイ装置使用を禁止した。だが2019年1月、中国はニュージーランドに予防的貿易封鎖を課し、翌月、ジャシンダ・アーダーン首相は、ニュージーランド政府通信保安局(GCSB)によるプロジェクトのセキュリティ・チェック後、ファーウェイは将来のニュージーランド5Gネットワーク事業に参加できると述べた。

 その後まもなく、2019年4月、ジャシンダ・アーダーン首相は北京を訪問し、習近平中国主席と会談し、中国-ニュージーランド関係を一層大切にするとを誓った。

 しばらく後、古いパートナーと中国との間で、ニュージーランドでもう一つの興味深い変化があった。

 2020年11月、ファイブ・アイズ加盟諸国が、中華人民共和国指導部に、香港特別行政区立法会の民主的野党に対する抑圧的措置を止めることを求める共同声明を発表した。その後、ファイブ・アイズは頻繁に中国外務省に批判された。北京は、同盟メンバーが、中国に対し「陰謀」を企んでいると主張した。ニュージーランドは、まもなくこの批判に参加した。2021年4月、ニュージーランドのナナイア・マフタ外務大臣は、ニュージーランドがファイブ・アイズの活動範囲を超えるのは不満だと述べた。彼女によれば、ニュージーランドは、同盟の活動範囲外の問題について、ファイブ・アイズが関与するのを歓迎しない。マフタは、中国は、ニュージーランドの主要貿易相手国なので、ニュージーランドは、中国との予測可能な外交関係が必要だとも述べた。香港の状況や、欧米諸国が民族的、宗教的少数派が虐げられていると考えている新疆ウイグル自治区のような、北京と意見が一致しない問題については、ニュージーランドは、はっきり物を言う権利を保留する。

 ニュージーランド外務大臣によるこれら声明の後、多くのメディアがファイブ・アイズ同盟に亀裂があり、ニュージーランドは、欧米を去り、中国の権威に屈伏する準備をしていると書き始めた。これら報道は過度に誇張されているかもしれないが、中国-ニュージーランド貿易の規模や、ニュージーランド指導部の北京に対する鮮明な敬意の表現を考えれば、このような見解が出現しても驚くべきことには思われない。

 2021年5月3日、伝統的に中華人民共和国とニュージーランドが経済協力を論じる第7回中国ビジネスサミットがオークランドで開催された。サミットにはジャシンダ・アーダーン首相やダミアン・オコーナー商務長官や中華人民共和国ニュージーランド大使吴玺Wu Xiなどの高官が参加した。サミットで議論された話題には二国間貿易の開発やCovid-19流行と関連する経済危機があった。だが多くの話題は貿易や経済関係を越えていた。

 結果として、世界における中華人民共和国の役割が増加するにつれ、中国との違いを解決することが益々困難になっており、それを言った、中国とニュージーランドが意見が異なり、決して同意できない問題もあるとジャシンダ・アーダーン首相は述べた。ニュージーランド首相の言葉では、中国とニュージーランドの体制と、それらシステムを定義する利害関係や価値観には、いくつか対立があり、中国の影響力が増大するにつれ、これら対立は、ひたすら増大する。これはニュージーランドにとってのみならず、インド-太平洋地域の他の多くの国々や、ヨーロッパや他の地域にとって手強い課題だとアーダーンは述べた。だが、そうした論争が中国-ニュージーランド関係における決定的な役割を果たすべきではないと付け加えて、彼女は語調を和らげた。

 中国大使吴玺Wu Xiは全く軟化せず、中国の習慣ではあるが、香港や新疆ウイグル自治区で起きていることは中華人民共和国の内政問題だと、きっぱり聴衆に想起させた。

 ビジネスサミット翌日、ニュージーランド議会は、中華人民共和国の新疆ウイグル自治区での状況を論じるため会合した。そこに暮らすイスラム教徒ウイグル族の間では独立の意見が強く、彼らの一部は過激イスラム主義に向かう傾向があることが知られている。この点に関し、中国当局は断固としてた措置をとっており、多くの専門家は過剰と考えている。ニュージーランド議員の小集団は、ウイグル族に対する中国当局の行動を大量虐殺と認めるよう提案した。ちなみに、ファイブ・アイズの代表三カ国、アメリカ、イギリスとカナダも、この状況を、そう描写している。下された決定は、ニュージーランド政府は、新疆ウイグル自治区での人権侵害を懸念しているが、中国当局の行動を大量虐殺とは認めないということだった。

 ニュージーランド首相の声明と、ニュージーランドの行動は、この国が中華人民共和国と欧米、どちらにするか選択を決めておらず、当面双方にいい顔をしようとしていることを示している。しかしながら(中国やアメリカ合州国とニュージーランドを比較して)小さく、軍事的に不十分な国は、常に選択を持っているわけではなく、ニュージーランドの未来は、南太平洋での中国と欧米間の対決で、どちら側が勝つかに依存している。一方、歴史を通じて、ニュージーランドという国が、欧米英語圏の不可欠な部分であることは指摘する価値がある。オーストラリアとアメリカの間という地理的位置自体が、欧米との協力を促進する。だから、今ニュージーランドが、欧米か中国かの選択に直面している事実は、北京が未曾有の権力を達成し、既存の世界秩序への重要な変更が始まったことを強く物語っている。

 ソフィア・ペールは歴史学博士、ロシア科学アカデミー東洋研究所、東南アジア・オーストラリア・オセアニアセンターの研究者。オンライン誌“New Eastern Outlook”独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/18/is-the-western-world-losing-new-zealand/

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 人ごとではない。この劣等属国、宗主国一辺倒に舵を切っている。

 病床は削減するが、ミサイル爆買いは拡大する。宗主国の醜の御楯となるために。米中戦争の戦場は日本。

大本営広報部、逃げ婚を詳しく報じるが、進行中の恐ろしい現実るは決して触れない。

 デモクラシータイムス

馬毛島基地化で 佐世保は米空母の拠点に【半田滋の眼 NO.34】20210511

 日刊IWJガイド

日刊IWJガイド・特別公開版「入管における人権侵害は難民だけの他人事ではない! 入管問題を取り上げ続けるシリーズ特集をスタート! 独裁と戦争につながる改憲、緊急事態条項、人権を蹂躙する入管問題を批判し続けるIWJをどうかご支援ください!」2021.05.21号~No.3172号

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 22・IWJ_YouTube Live】18:30~
米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(2) バイデン新大統領の誕生で米中関係は? 米中覇権交代がコロナ禍で加速か!? 自発的対米隷従国家・日本はどうする!? 岩上安身によるインタビュー 第1017回 ゲスト 東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員
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パレスチナに関する15の考え

2021年5月13日
ケイトリン・ジョンストン

本記事を音声で聞く

1

 人が暮らしている国の上に、植民地を丸ごと落として、そこの住民を何世代も磨り潰し、彼らに報復をするたびに、自己防衛だと主張するよなことはしないものだ。そんなわけはないのだ。

 概して、アメリカを中心とする権力同盟は、自己防衛をしているに過ぎないとニュースで言って、彼らがむき出す牙から犠牲者たちが逃げ出そうとするたびに、人の血の川をくいものにするガルガンチュアのような地球規模の絶対的権力なのだ。

2

 私は新しい家を建てている。私が家を建てたかった場所には人々が暮らしていたので、私は連中の上に家を建て始めた。彼らは私を止めようとしたので、テロリストの彼らは殺さざるを得なかった。もし、あなたが私の行動に反対するなら、あなたは基本的にナチスだ。私の家には存在する権利があるのだ。
理屈は通るだろうか?

3

 国は人ではなく、国というのは抽象的概念だ。国には“生存する権利”はない。国には“自己防衛の権利”はない。には、これらの権利があり、国は、これらの権利を推進する限りにおいて合法的だ。全ての人々のために。

4

 パレスチナ人による、彼らを抑圧する人々に対する報復を非難する人々は“無価値”で“死ぬ”以外、パレスチナ人は何をするべきかについて、本当の答えを持っていない。

5

 際限ない戦争なしには存在できない国は、本当の国ではなく、たまたま周辺地域がある継続している軍事行動だ。

6

- 永久的な下級人種を作り出す。

- 彼らから、あらゆるものを取り上げる。

- 彼らから生きる理由を取り上げる。

- 彼らを抑圧する。

- 彼らを虐待する。

- 彼らを殺害する。

- 彼らを徹底的に爆撃する。

- 自分たちと戦うのを止めるよう要求する。

- 自分は平和を望んでいると言う。

7

 

 この点、はっきりさせよう。
1) 現状: 占領/アパルトヘイトは、パレスチナ人に対する暴力だ。

2) そこで、イスラエルが、追い立て/殴打/射撃をエスカレートする

3) そこで、一部のパレスチナ人が、暴力で反撃する

4) そこで、イスラエルは、虐殺で "反撃する"

 3項目から、報道を始めれば、視聴者の判断を誤らせることになる。

8

 “実際、これは見かけより、ずっと複雑だ”と言って無視できない途方もない残虐さを撮影したビデオが実に多くあるので、イスラエルは言説に対する支配力を失いつつある。

 一方の主張が、生ビデオ映像の共有でうらづけられており、もう一方の側の主張が“実際、これは見かけより、ずっと複雑だ”というだけのものであれば、後者が悪いのは誰にとってもあきらかなはずだ。

 浮気をしている配偶者が現場をおさえられて“そう見えるが誤解だ!”というようなものだ。そう。全ての情報は、そこにある。人が情報の受け取り方を決めるのだ。

 私が虐待的な恋愛を止めた時、彼は私を強姦した、彼は私を殴った、彼は心理的、財政的に私を虐待したと人々に私は言うが、彼は人々に、これは実に極めて複雑だと言うのだ。私の経験では虐待を“それは複雑なんだ”と自己弁護するのが普通だ。私の昔の恋人から、イスラエル・アパルトヘイトから、ジョン・ボルトンのイラク侵略擁護まで。

9

 イスラエル・アパルトヘイトの残虐さの認識が広まりつつあり、同じ理由で、アメリカ警察の残虐さの認識も広まっている。インターネットとスマホ・カメラの組み合わせだ。百聞は一見に如かず。見れば変化がおきる。これが、権力側が、インターネットを検閲しようと躍起になっている理由だ。

10

- ヨーロッパ人の犯罪に対しアラブ人を処罰するアパルトヘイト民族国家を押しつける。

- 彼らが、あなたを憎悪するまで虐待する。

- 憎悪から自分を守るために、アパルトヘイト民族国家が必要だという証拠として彼らの憎悪を引き合いに出す。

11

 パレスチナは、実に明快に、善と悪があり、即座に善側について、客観的にも断固正しいという貴重な数少ない地域の一つだが、何十年もの親イスラエル・プロパガンダのおかげで、大半の人々は、大間違いをしている。

12

 これを誰が聞く必要があるのか私にはわからないが、残虐なアパルトヘイト政権に対する根拠ある批判を、反ユダヤ主義だと、誰かを非難するのは、おぞましく、不快で、世界中で、益々その実態が知られつつある。

13

 もしソーシャル・メディアや、リベラル派が、15世紀から19世紀に存在していたら、アメリカやアフリカやオーストラリアの大量虐殺植民地主義で“双方の暴力”対する頻繁な非難があったはずだ。

14

 聖書は、現在と全く無関係な古代の歴史的背景からのたわごとで作り上げられたものだと認めさえすれば、シオニズムは、彼らの土地を奪うため、また別の先住民を虐殺している白人のもう一つの例のように見える。

 シオニズムは白人至上主義イデオロギーだ。欧米キリスト教原理主義者や欧米のタカ派が、アラブ人とペルシャ人に対して武器として利用されている白人至上主義で、それは、イスラエルそのものという形で現れている白人至上主義だ。典型例。

 

15

 際限ない戦争なしには存在できない国は,際限ない建設作業なしには立っていられない家のようなものだ。もし、あなたの家が、永遠に24時間/7日間、そのために働く建設チームがなければ崩壊するのであれば、あなたは(A)引っ越すか(B)違う建築設計を考え出すかの、いずれかだ。

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画像はPixabayより

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2021/05/13/fifteen-thoughts-on-palestine/

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 東京新聞に、与党幹部の本音が。

「心はイスラエルと共に」 防衛副大臣、ガザ戦闘で

 日刊ゲンダイDIGITAL

“欠陥”ワクチン接種サイトにチラつく政商・竹中平蔵の影

 日刊IWJガイド

日刊IWJガイド・特別公開版「コロナ対策は大失敗! その上オリパラ開催の狂気! 憲法改悪し戦時独裁体制確立! 失政も悪政も虚偽も欺瞞もなかったことに! 史上最悪の悪だくみ! IWJは真実を報じ『草の根民主主義』『草の根言論の自由』実現! 皆さまのご支援よろしくお願いいたします」2021.05.20号~No.3171号

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 21・IWJ_YouTube Live】20:00~
米中戦争前夜における日本主体の安全保障論(1) 自発的対米隷従国家・日本が対中ミサイル前線基地兼戦場に!? 米国の対中戦略を読み解く! 岩上安身によるインタビュー 第1013回 ゲスト 東アジア共同体研究所 須川清司上級研究員 前編
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

2021年5月19日 (水)

サウジアラビアは、なぜイランと交渉しているのか?

2021年5月17日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 2017年5月、サウジアラビア皇太子ムハンマド・ビン・サルマーン(MBS) は、イランとの直接対話の可能性について問われて、そのような冒険の可能性を否定した。当時、MBSは政治的に強力で協力で、彼は欧米、特にアメリカにとって遥かに好ましく、彼は、少なくとも本人自身の計算では、イランに対して、一挙両得が可能だった。そこで、当時MBSは、イランと、あらゆる可能な手段で対決する用意ができていた。“我々はイラン政権の主要標的だ”と2017年のテレビ・インタビューでイランの革命イデオロギーでは、イラン指導者との交渉は不可能だと主張してMBSは言った。“我々は戦争がサウジアラビア内で行われるまで待つつもりはない。そうではなく戦争はイラン内で行われるようにするつもりだ。”

 2021年、MBSは、数年前よりもずっと柔軟で‘実利的’だ。彼はイランと進んで交渉するのみならず、この地域の安定にとって必要不可欠だと考えている。“我々には、この地域と全世界の繁栄と成長を駆動するサウジアラビアの権益がイランにあり、彼らもサウジアラビアにイランの権益がある”と先週、彼はサウジアラビア国営テレビで放送されたインタビューで述べた。この変化は、何で説明できるだろう?

 いくつか根本的変化が起きているのだ。CIAは、MBSが、ジャマル・カショギ殺害に関与しているとした。MBSのアメリカ内の主要同盟者、トランプとジャレド・クシュナーは、二期目就任に失敗し、バイデン政権は、イランに、新たな核合意を強いるためのトランプの“最大圧力戦略”を最初利用したが、失敗し、アメリカの参加と、双方による遵守を確保するためJCPOA復活のためのイラン交渉を開始している。それに加えて、バイデン政権がアメリカが、他の場所で行いかねない‘本当の戦争’のために移転することを考慮して離脱しようとしている地域、中東ではなく、アジアや太平洋で中国やロシアに注力している事実がある。

 従って、サウジアラビアを含め中東は、外部, 特にイランの脅威から守ってくれていたはずの伝統的な安全保障の傘を失いつつあるのだ; そこで、交渉という論理だ。

 イスラエルは、イランのいわゆる“核の野望”との対決を継続しているが、サウジアラビアは、イスラエルのイラン核施設サイバー攻撃を密かに尊敬しているかも知れないが、サウジアラビアは、イランの一流人科学者殺害さえした、そのような攻撃も、イランに屈伏を強いることはできず、ましてバイデン政権が、JCPOA再加入のためのイランとの交渉再開を阻止することもできないのを知っている。これに加えて、イランに、シリア国内での駐留撤退を強いるアメリカとイスラエルが支援する取り組みも、ほとんど失敗した。イランは、貧弱な経済資源にもかかわらず強固で、約5000億ドルと推計される中国投資の出現で、金運も変化する可能性がきわめて高い。

 中東内でさえ、サウジアラビア王国をイランに反対する指導者として進んで受け入れる同盟国は多くない。一方、UAEは、かなり‘独自な’政策を推進しており、イスラエルとの関係も強化し、F-35戦闘機も入手する可能性が高く、イエメンへの関与も減少し、サウジアラビア率いる‘アラブ同盟’は壊滅した。サウジアラビア率いるイスラム対テロ軍事同盟、約40の国で構成される、いわゆる‘アラブのNATO’は、決してイスラム世界内の効果的なサウジアラビアの権力基盤とは思えない。バイデン政権も、アメリカもサウジアラビアのイエメン戦争に対する支援を大幅に縮小している。

 だから、変化しつつある中東には、サウジアラビア覇権の余地は、ほとんど、あるいは皆無で, サウジアラビアに、以前リヤドでは想像もできなかった政策を推進するよう強いている。同盟諸国からの支援が薄れ、壊滅状態のサウジアラビアは、今や1000億ドル以上の重い財政負担をしているだけでなく、フーシ派が戦争をサウジアラビア領内に持ち込むことも可能なイエメンでの戦争を終わらせるためにイランとの対話がより有効なことに気づいている。フーシ派指導部は、サウジアラビアに、弾道ミサイルやドローンで多数の攻撃を実行できるだけでなく、サウジアラビア自身の空爆や大規模爆撃作戦も国際的に、無差別で無効な爆撃の見本と見なされるようになっている。

 それゆえ、アメリカとイスラエルの長期間の直接協力によって、イランを屈伏させそこね、イランが支援するイエメンのフーシ派も打倒し損ねており、サウジアラビアは、アメリカの支援をもはや得られず、イデオロギー上のライバルに対する代替戦略を追求する以外、他にほとんど選択肢はないのだ。

 サウジアラビアは、イランとの、ある程度の和解を実現しようとしているが、これは今中東で起きている変化は、アメリカの継続的な離脱だけの結果ではないのだ。これはむしろ、結果戦争がもたらしたサウジアラビア自身の政治的、経済的、軍事的疲弊だ。

 サウジアラビアは、要するに、もはや、彼ら版の対イラン“最大圧力”に固執する立場にないのだ。彼らは論理的に、イエメンで本物の泥沼になってしまったものを解決するための“最大の交渉”をしたいと思っているのだ。サウジアラビアは、アメリカが、アフガニスタンで学ぶのに20年かかった教訓を学んだのだ、つまり、特に敵が、ただの聖戦民兵ではなく、その国内に根づいた組織的軍事行動である場合、交渉で実現できることが、軍事的手段によっては実現できないのだ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/17/why-is-saudia-talking-to-iran/

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 あの兄にして、この弟あり。愚兄愚弟。

 LITERA

“報道弾圧”兄弟か! 岸信夫防衛相の接種予約欠陥報道への“逆ギレ”に兄・安倍前首相が同調し「朝日毎日は妨害愉快犯」とツイート

 無くて当然、あったら異常な法律を平然と言い出す狂気の官僚自民党。家族にさえ見せないビデオ。宗主国、中国のウイグル族虐待は言い立てるが、最大属国の虐待、というか殺人は放置。白人警官による窒息殺人にまさるともおとらない蛮行。さすがに流れた。Vol.5も拝見した番組。

 Chose Life Project 1時間12分

5/18 今国会での成立見送り #入管法改正案 の行方 Vol.6

階猛 藤野保史 高井崇志 福島瑞穂
指宿昭一 小島慶子 千種朋恵 安田菜津紀の諸氏

 憲法破壊のための国民投票の大量テレビ宣伝で儲かる大本営広報部、つまりテレビが全く報じない重要な点を三人が熱く語っておられる。

 デモクラシータイムス

平野貞夫×佐高信×早野透【3ジジ生放談】

 さすがに入管法改悪は廃案。ああいうものを持ち出す官僚、政府、異常。法務省がスリランカ女性を殺した事実が開発途上国に知られれば、日本に働きにくる方々も激減するだろう。日本語学校も先は明るくはなさそうだ。コロナで日本の残酷な実態がばれてしまったわけだ。

 イソップの『蛙の王様』は逸話ではなく、日本の現在の予言だったのだ。蛙が神様に王様をくれとたのみ、最初丸太を投げ込まれ、物足りないので、より強い王様をと頼む。すると、ヘビか、とりを与えられ、蛙全員食われてしまう。消費税をぶったくられ、その金を病床を削減する報奨金に使われて喜ぶ国民、財務大臣の言う通り民度は高い。

 大本営広報部、タレント議員の会議遅刻を論じても、それが何の会議だったかは積極的に報じない。確信的共犯。

 LITERA

病床を削減した病院に消費税でご褒美で1万床カット…病床削減推進の改正医療法が自公、維新の賛成で成立か Twitterデモで抵抗を

 大本営広報部、小生がお話を伺いたいとおもう方々は白痴製造番組に登場させず、彼のような無責任連中をもてはやす狂気の世界。

 医療、軍事、外交、経済、無能な傀儡政府・官僚は全てを見事に破壊しつくした。大本営広報部の支援あってのこと。

日刊IWJガイド・特別公開版「20年度日本の成長率4.6%減で過去最低! 菅政権の失政・悪政が続く限り日本に浮上の目なし!! IWJは真実を報じ『草の根民主主義』実現! ご支援よろしくお願いします!」2021.05.19号~No.3170号

 

2021年5月18日 (火)

アメリカによる中国包囲:進捗報告

2021年5月7日
Brian Berletic
New Eastern Outlook

 ワシントンと北京間の緊張は、ドナルド・トランプ前大統領在任中の結果というだけでなく、中国を封じ込める数十年にわたるアメリカの取り組みの最新の現実だ。

 実際、アメリカ外交政策は、何十年間も、明らかに中国の勃興を包囲して、封じ込め、インド-太平洋地域での優位維持を狙っているのだ。

 1969年に漏洩した「ペンタゴン・ペーパーズ」は、ベトナムに対する進行中のアメリカによる戦争に関し、こう認めていた。

北ベトナムに爆弾を投下するという二月の決定と、第1段階の派兵という七月の承認は、中国を封じ込める長年のアメリカ政策を支持する場合に限って意味がある。

 ペーパーはまた、中国は「世界における[アメリカの]重要性と有効性を損ない、より間接的ながら、より威嚇的に、アジアの全てを反[アメリカ]で組織して脅かす大国として迫っている。」と認めていた。

 ペーパーは、中国封じ込めのという長期的取り組みには、三つの戦線があった(そして依然存在する)ことも明らかにしていた。:(a)日本-韓国戦線;(b)インド-パキスタン戦線;そして(c)東南アジア戦線。」

 その時以来、日本と韓国二国での継続的なアメリカ軍駐留から、今や二十年に及ぶ、パキスタンと中国両国と国境を接するアフガニスタン占領や、中国に好意的な東南アジア諸国の政権を打倒し、それらをアメリカが支援する属国政権で置き換えることを狙ったいわゆる「ミルクティー同盟」まで、中国封じ込め政策が今日まで続いているのは明白だ。

 これら三つの戦線に沿ったアメリカの活動を評価すれば、ワシントンが直面している進歩と停滞や、ワシントンの継続的な好戦的態度がもたらす世界平和や安定に対する様々な危険が明らかになる。

 日本-韓国戦線

 「米軍を日本と韓国に配備しておく費用はこれだけかかる」というMilitary.com記事はこう報じている。

総計80,000人以上のアメリカ兵が日本と韓国に配備されている。日本だけで、アメリカは55,000人以上の兵士を配備しており、これは世界最大の前方展開アメリカ兵力だ。

 記事は、米国会計検査院(GAO)によれば、アメリカは「2016年から2019年までに、日本と韓国における軍駐留の維持に340億ドル」を使ったと指摘している。

 東アジアで、なぜこの膨大なアメリカの軍事駐留が維持されているかについて、記事はGAOを引用して説明している。

「アメリカ軍は、同盟を強化し、自由な開かれたインド-太平洋地域を推進するのに役立ち、緊急事態に対する素早い対応を提供し、アメリカの国家安全保障に不可欠だ。」

 実質的なアメリカ占領軍による物理的駐留によって「強化される」「同盟」は、「同盟」が、到底自発的でないことを示唆し、「自由な、開かれたインド-太平洋地域」という主張は、大いに主観的であり、インド-太平洋は、一体誰のために「自由で、開かれた」のかという疑問を提起する。

 アメリカの権力が、世界規模でも、地域的に、インド-太平洋でも衰えるにつれ、ワシントンは、対中国封じ込め戦略で、財政負担のみの支援ではなく、より積極的になるよう日本と韓国両国への圧力を増大している。

 日本は、アメリカに率いられる「クアッド」としても知られる四カ国戦略対話に徴募された三つの他の国(アメリカ自身、オーストラリアとインド)の一つだ。

 アメリカは、単に日本に駐留する軍隊や、日本を本拠とする自身の軍隊による支援だけでなく、インド軍とオーストラリア軍と日本軍も、南シナ海内や周囲で、軍事演習や作戦に参加すべく徴募している。

 インドをクアッドに包摂したのも、1960年代早々、ワシントンの対中国に封じ込め政策を構成するアメリカの三戦線戦略にも、ぴったり合う。

 インド-パキスタン戦線

 クアッド同盟へのインド徴募に加え、アメリカは中国とインドの様々な領土問題の政治支援やメディア選挙運動を通して、エスカレーションを促進している。

 アメリカは、パキスタンのバローチスターン州の武装反抗分子支援を含め、中国とパキスタンの親密な進行中の関係にも標的を定めている。

 最近、バローチスターンのクウェッタ、ホテルでの爆発は、駐パキスタン中国大使、Nong Rongを標的にしていたように思われる。

 「パキスタン・ホテル爆弾:致命的爆風、クウェッタの贅沢な場所を襲う」という記事でBBCは、こう報道している。

最初の報道は、標的が中国大使だったことを示唆していた。

Nong Rong大使は水曜日にクウェッタにいるが、攻撃時点にホテルに居合わせなかったと考えられている。

 記事はこうも報じている。

バローチスターン州は、アフガニスタン国境に近く、分離主義者を含め、いくつかの武装集団の所在地だ。

パキスタンからの独立を要求する現地の分離主義者が、ガスと鉱物資源のため、パキスタンの最貧州の一つバローチスターンを搾取したと、政府と中国を非難している。

 BBC報道で欠落しているのは、アメリカ政府が長年これら分離主義者に提供した大規模な、あからさまな支援だ。明らかに、これは単なる不正とされるものに対する局所的な蜂起を超えているが、ワシントンが中国に対して行なう「代理勢力による武力衝突」のもう一つの例だ。

 昔2011年、National Interestは「自由バローチスターン」という記事で、公然とパキスタンのバローチスターン州で分離主義に対するアメリカの支援拡大を擁護していた。

大企業と金融業が資金供給するアメリカを本拠とする国際政策センターの上級研究員だった)故セリグ・ハリソンが論文を書いて、こう主張している。

パキスタンは、バローチスターンの中心グワダル海軍基地を中国に与えた。だから独立バローチスターンは、イスラム主義勢力に対処するという喫緊の狙いの他、アメリカ戦略上の権益にも役立つだろう。

 もちろん「イスラム主義勢力」というのは、アメリカとペルシア湾岸諸国が資金援助し、欧米代理戦争を行なうために使われ、欧米介入の口実にもなる過激派戦士の婉曲表現だ。パキスタンのバローチスターンで「イスラム主義勢力」を引用するのは明らかに、後者の例だ。

 影響力のある政策シンクタンクに発表された記事に加えて、ダナ・ローラバッカー下院議員などのアメリカ議員が、以下のような決議を提案した(強調は筆者)。

「米国下院一致決議104(第112番):現在パキスタン、イランとアフガニスタンに分かれているバローチスターンの人々は、自己決定し、自身の主権を持った国家の権利を持っているという議会の同意を表現する。」

 アメリカ政府の全米民主主義基金(NED)ウェブサイトに列記されている通り、「パキスタン」という分類で、パキスタン、バローチスターンで分離主義を支持する隣接した、政治集団に資金が供給されている。「Association for Integrated Development Balochistan」などの組織がアメリカ政府に資金供給され、パキスタン内政に、アメリカによる明確な干渉をし、人々を政治的に動員するために使われる。

 グワダル港プロジェクトは、一帯一路構想の一環として、成長する中国インフラ計画のグローバルネットワーク中で重要な地点だ。アメリカは明らかに中国の勃興に反対で、それに対処するための明瞭に表現された確固とした戦略を述べている。ベトナム戦争に関するペンタゴン・ペーパーズで見られるように、開戦を含め、全てがあるのだ。

 パキスタン、バローチスターンでの最近の爆発は、この戦略が、中国-パキスタン協力に標的を定めるための現地の過激派戦士利用を継続しており、中国を包囲し、封じ込める広範な地域規模の戦略の一環であることを明示している。

 東南アジア戦線

 もちろんベトナムに対するアメリカの戦争は、東南アジアに対する欧米の優位を再主張し、この地域が中国の避けられない勃興に拍車をかけるのを阻止する、広範な取り組みの一環だった。

 アメリカが戦争で敗北し、東南アジア地域からほぼ完全撤退したことで、東南アジアは彼ら自身の間と、中国との関係を修復することになった。

 今日、東南アジア諸国は、中国を、最大の貿易相手国、投資国、インフラ整備の重要パートナー、地域の軍隊のための重要な供給元、地域全体への多数の観光客提供に加えて、と考えている。タイのような国では、西欧諸国からの観光客全てを合計したより多くが、中国からやってくる。

 既存の東南アジア諸国政府は、中国に対するアメリカのけんか腰に加わっても、得るべき利益は皆無なので、アメリカは、様々な傀儡を政権に据えるため、養成し、試みることが必要なことに気がついたのだ。これはベトナム戦争以来進行中のプロセスだ。

 アメリカは何年も、個々にそれぞれの国に目標を定めた。2009年と2010年、アメリカに支援された「追放された野党指導者」タクシン・チナワットは、次から次の暴動で、約300人の武装過激派闘士を含む彼の「赤いシャツ」抗議行動参加者を派遣し、バンコク中での放火や、90人以上の警察、兵士、抗議行動参加者や見物人の死で頂点に達した.

 野党を構築するため、アメリカは10年以上、何百万ドルもを注いだ後、2018年、アメリカに支援される野党がマレーシアで権力を掌握した。

 アメリカ全米民主主義基金NEDの下部組織、共和党国際研究所のダニエル・トワイニングは同じ年、国際問題研究所CSIS(56分から始まる)講演で、それを認めた:

15年間NED資源で活動して、我々はマレーシア野党を強化し、61年後、二カ月前に何が起きたかご想像願いたい。彼らは勝ったのだ。

 彼は、アメリカが支援する反対派人物をマレーシア政府の権力の座に送り込む上で、NEDのネットワークが、どのように直接役割をはたしたかを、こう述べている。

私はこの政府の指導者の多く、新指導者を訪問し、彼らと一緒になった。彼らの多くが我々が15年間働いてきた我々のパートナーだが、今政府を運営している人々の一人、彼らの最上級者が私に言った。「なんとまあ。あなたは我々を決してあきらめなかった。我々自身見限る覚悟をしていた時でさえ。」

 マレーシアで「自由を推進する」どころか、トワイニングはマレーシア内政に干渉する究極の目的は、マレーシアだけでなく、地域全体で、特に中国を包囲し、封じ込め、アメリカの権益を維持することだったのを明らかにしている。

 トワイニングは、こう自慢する。

新政府最初の一歩が一体何だったか当てられだろうか?中国のインフラ出資凍結だ。

 そして

[マレーシア]は、大いにアメリカ寄りの国というわけではない。実際のアメリカ同盟国になることは、おそらく決してないが、これは我々の利益に寄与するだろう、長期戦略の一例だ。

 NED資金で、数十年にわたり、国内に並行する政治制度を構築し、最終的に、2016年、アウンサンスーチーとアメリカに支援される彼女の全国民主連盟(NLD)の権力掌握をもたらしたミャンマーも、同じことの繰り返しパターンだ。

 ミャンマーにとって、現地の反政府派に対するアメリカ支援は実に根深く、本格的で、選挙で、毎回、事実上、アメリカが支援する候補者の勝利は保証されていた。アメリカ全米民主主義基金自身のウェブサイトだけでも、世論調査から、政党構築や、メディア・ネットワークや中国が始めたインフラ計画を阻止するために使われる「環境保護」団体への資金投入など、あらゆることのために、アメリカ政府資金を受け取る80以上のプログラムと組織を列記している。

 今年の2月、アウンサンスーチーとNLDを追放したミャンマー軍による動きは、これを是正することを意図していた。

 だが、街頭で抗議行動する政治団体の支持に加えて、アメリカは何十年も、全国的に反政府派民族を支持し、武装させてきた。これら反政府派は今アメリカが支援するNLDと連絡を取り「国際介入」に対する明示的要求を含め、2011年にアラブ世界に対し、リビア、イエメンやシリアなどの国で使われたアメリカが支援する政権転覆戦術を繰り返している。

 アメリカが画策した「アジアの春」

 2011年、アメリカが「アラブの春」の際にしたと同様、アメリカ国務省は、アジア中で様々な政権転覆キャンペーンの相乗効果を作り出そうと、アメリカが支援する個別政権転覆の企みをアジア地域規模の危機に転換するため「ミルクティー同盟」を導入した。

 BBCは「ミルクティー同盟:ツイッター、民主化運動活動家用絵文字を作成」という記事で、こう認めている。

この同盟は香港と台湾の反北京抗議者とタイとミャンマーの民主化運動活動家を糾合。

 BBCの「ミルクティー同盟」報道で(意図的に)抜けているのは、それを結び付けている本当の共通点だ。全米民主主義基金などを通したアメリカ資金供給と、アメリカ国務省自身が推進する趣旨に基づく中国嫌悪での統一だ。

 ペンタゴン・ペーパーズに戻って、アメリカが中国を包囲しようと画策した地域キャンペーンを想起し、トランプ政権のホワイトハウス・アカイブで公開されている「インド-太平洋の枠組み」のような最近のアメリカ政府政策報告書を見ることができる。

 政策報告書の最初の箇条書きは、こう問うている。

中国が新しい不自由な勢力圏を確立し、地域の平和と繁栄を推進する協力地域を育成するのを阻止しながら、いかにインド-太平洋地域で、アメリカの戦略的優位を維持し、自由な経済秩序を推進するか?

 この報告書は「世界中での中国の強制的な振る舞いや影響工作」に関し世界を「教育する」ことを意図した情報キャンペーンも論じている。これらキャンペーンは、中国新彊での「中国による大量虐殺」非難をでっちあげるプロパガンダ戦争、中国通信機器企業ファーウェイが世界規模の安全保障上の脅威で、アメリカではなく、中国が今日の世界平和と安定に対する最大の脅威だと主張している。

 実際は、中国包囲を目指すアメリカ政策は、世界舞台での、あらゆる戦争の継続や、それから生じる人道的危機虐待にも数十年にわたり、何のおとがめもなく済んでいるのを続けたいというにワシントンの願望に基づいている。

 中国とワシントンの「競争」全貌理解は、貿易戦争、ミャンマーで進行中の紛争や混乱、南西パキスタンでの爆発、タイの学生暴徒、香港での暴動や南シナ海を国際紛争に転換するアメリカの企み等展開している個々の危機を巡る混乱を解明する助けになる。

 これらの出来事が全てつながっていることを理解し、アメリカの取り組みの成否を評価すると、中国包囲におけるワシントン全体的成功の、より明確な構図が見える。それは、国家や地域や世界平和や安定を脅やかすアメリカの破壊活動から守る上で、各国政府や地域ブロックに、どのように政策を運営すべきかのより明確な構図にもなる。

 Brian Berleticは、バンコクを本拠とする地政学研究者、著者。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/07/us-encirclement-of-china-a-progress-report/

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 大本営広報部の洗脳白痴番組では、この記事のような話題はタブー

日刊IWJガイド・特別公開版「中国包囲網は世界大戦規模!? まともに報じられないクアッドプラス英独仏蘭の大演習! 平和と国民主権を守るため、真実を報じ続けるIWJにご支援をお願いいたします!」2021.05.18号~No.3169号

 デモクラシータイムスの下記話題も、本記事と、つながっている。

英仏独の欧州勢も 緊迫のインド太平洋へ【半田滋の眼 NO.33】20210511

 UIチャンネル 映画二本のお話。福島の話題の映画も、早く見たいと思っている。

鼎談 馬奈木厳太郎(弁護士)×井上淳一(映画監督)×鳩山友紀夫

 我々は、無能傀儡というより、その背後霊、ケケ中とアトキンソンに殺されつつあるのではあるまいか。AERAdot.

【独自】「誰でも何度でも予約可能」ワクチン大規模接種東京センターの予約システムに重大欠陥

2021年5月17日 (月)

サウジアラビアとイランは両国関係の現状打開を準備中

2021年5月9日
ウラジーミル・プラトフ
New Eastern Outlook

 バグダッドでのサウジアラビアとイランとの秘密交渉の情報が既にメディアに現われている。最近「サウジアラビアはイランの繁栄を望んでおり、互恵に基づいて協力する用意ができている。」と述べたサウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子によるセンセーショナルな声明が発表されて、状況は明確になった。

 イラン-サウジアラビア関係は、1979年、イランのイスラム革命後、特に悪化した。中東地図を見れば、国家間や宗教的相違の本質は明らかだ。どの国でも、国民の大部分がスンニ派かシーア派だ。この点に関し、多くの国々が、サウジアラビアかイランを彼らの精神的、政治的基準と考えており、分極化が目立っている。

 リヤドとテヘランの関係は、これまで20年、とりわけ緊張している。特に、2003年、アメリカ率いる連合が、スンニ派アラブ国家で、イランの主敵の一つ、イラクのサダム・フセイン大統領を打倒して以来、イラクに対するイランの着実に増大する影響力への対抗力はない。2011年、地域全体に広がったアラブの春抗議行動の波の中、イランとサウジアラビアは、シリア、バーレーンとイエメンで、彼らの影響力を促進するため、それを利用しようとして、更に相互不信を深めた。

 近年、この地域の紛争で、多くの指標で、イランが勝利者になっているため、戦略的対立は著しく激しくなった。例えば、シリアでは、イラン(とロシア)の支援のおかげで、バッシャール・アル・アサド大統領は、サウジアラビアに支援される反政府勢力の大部分を鎮圧するのに成功した。イラクでの紛争でも、テヘラン支持者が勝っている。一部、イランの影響力とされるものを無効にしたいというサウジアラビアの願望によっても推進されている、リヤドが、隣国イエメンで反抗者に対して行なっている六年の戦争も、莫大な金を費やしながら、サウジアラビア君主国家にとっては不成功だ。イランに支援されるシーア派集団ヒズボラが政治上主役を演じ、軍を支配している国を不安定にするため、レバノンで政治的対決を拡大させる試みも、リヤドが予想した成功をもたらさなかった。

 イランとサウジアラビアは、直接戦闘はしていないが、この地域での武力衝突には、彼らの支援が絡んでいる。シリアとイエメンは、この典型的な例だ。そしてフーシ派が繰り返しサウジアラビアに対して発射するミサイルは、二国間の論争を激化させた。

 現状は、長い間、サウジアラビアに、この地域での緊張を緩和する措置をとるよう強いている。経済力にもかかわらず、軍事的にサウジアラビアはイランと比較して脆弱だ。

 2016年、イランとの外交的な結びつきを断ち切るというサウジアラビア指導部の構想に対応して、ホワイトハウスは、イランとサウジアラビアの将来の関係について勧告した。当時、アトランティック誌は、オバマ・ドクトリンを掲載したが、それでオバマ大統領の声明が初めて公になったが、その中には、サウジアラビアに対する厳しい批判もあり、アメリカとサウジアラビア間の更なる戦略的パートナーシップの可能性も疑っていた。特に、オバマ大統領は、サウジアラビアは、イランとこの地域で共生し、影響圏を共有することを学ぶべきだと指摘した。リヤドは、ワシントンが、前と同じように、イランとの対立の場合、サウジアラビアを防衛せず、公然とサウジアラビア支持の立場をとらないことを理解されたのだ。(リヤドは、ホワイトハウスにとって支援が負担になった多くの場合、同盟者を見捨ててきた、アメリカ合州国に、これを予想しておくべきだったのだ!)。

 ホワイトハウスの現政権は、本質的に、オバマ大統領時代の路線を繰り返しているのを考えると、ワシントンのテヘランに対する見解を、ジョー・バイデン大統領がリヤドに言ったのだ。これが、サウジアラビアが、イランとの関係を暖ためる兆しを示した理由で、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングが、これに注目した。特に、彼が三年前に、イラン最高指導者アリ・ハメネイをヒトラーに例えたのを忘れて「隣国」との良い関係を求めるサウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子の声明だ。同紙によれば、皇太子の「融和的な口調」は、明らかに、イランとの関係正常化を目指す新アメリカ外交方針に順応する試みで説明できる。

 サウジアラビア王国のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子は、アラブ・テレビ局の広範なインタビューで、バイデンの政策に対する90%の支持を強調して、ここ数カ月で変化した外交政策条件下で、イランや地域の他の国々に対するサウジアラビア政策の必要な調整について。イランとの、あり得る和解の他に、ムハンマド・ビン・サルマーンは、もちろん特定の条件で、王国がイエメン・フーシ派に経済援助を提供する用意も示した。

 イエメンとの戦争開始から六年後、王国は紛争からの出口を捜し始めた。だが、イランの支援なしで、リヤドがそうするのは困難だ。現在のところ、フーシ派は戦場の外で、紛争を解決する措置をとっていない。最近、モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、一般向けを意図しないインタビューで、サウジアラビアが近年イランの調停の申し出を拒絶したと述べ、イランで広範囲にわたる不満をもたらしている。それでも、バグダッドでのサウジアラビア-イラン協議の中心的な話題はイエメンだった。この会談は今「より建設的な調子」で行なわれており、王国は政策を次第に新しい現実に合わせている。特に、ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子が発表したサウジアラビア政策の調整は、イランに支援されるイエメン・フーシ派反抗者を、サヌアやイエメンの他地域から、軍事的手段で追い出す意図をリヤドが否定したことも含まれる。

 アメリカが、ジョー・バイデン大統領下、イランとの核論争で、和睦を実現しようとしている事実は、サウジアラビアの政策が順応しなければならないもう一つの現実だ。

 イランとしても、多くの理由で、サウジアラビアとの関係改善に関心を持っている。まず、この地域で、対イラン・ブロックを強化するサウジアラビアとイスラエル間のより緊密な協力を弱めようとしているのだ。サウジアラビアがバグダッドで進行中の交渉の性質に関して事前に知らせなかったため、4月初旬、リヤドとテヘラン間の和睦に対するイスラエルの率直な不満が、テルアビブからサウジアラビアに示された。加えて、ハッサン・ロウハニ大統領とモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、サウジアラビアとの関係正常化がイランでの内部権力闘争における彼らの立場を強くするのを期待している。

 現状が、リヤドに、この地域での緊張緩和に役立つイランとの和睦に向かって踏み出すよう強いている。結局、サウジアラビア当局が考えている経済改革の成功を保証する主な条件の一つは、安定と、この地域での平和だ。国防に莫大な資源を使うのではなく、このような資源を、石油収入に対する王国の依存を大幅に減らすような必要なプロジェクトに向けることだ。

 ウラジーミル・プラトフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/09/saudi-arabia-and-iran-prepare-for-a-breakthrough-in-their-relations/

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 今日の孫崎享氏のメルマガ題名 題名だけではわからないが、良いお話。

随想㊾ ウズベキスタンの露天炭坑

 デモクラシータイムス 昼の白痴洗脳番組は見ずに、こちらをどうぞ。日本政府のコロナ無策と戦う区長の経験と提案。

世田谷区長 保坂展人さん ワクチン接種の真実医療崩壊はこう防げ!!【山岡淳一郎のニッポンの崖っぷち】

 洗脳痴呆番組は、緊急事態条項問題を決して報じない。ショック・ドクトリンのお先棒かつぎ。事実上犯罪洗脳組織では。

日刊IWJガイド・特別公開版「IWJはコロナ禍に便乗した緊急事態条項プロパガンダと対米従属戦時独裁体制を徹底批判! 国民主権を守るため真実を報じるIWJにご支援をお願いします!」2021.05.17号~No.3168号

2021年5月16日 (日)

モスクワが即座に彼を打倒しない理由

パトリック・アームストロング
2021年5月8日
Strategic Culture Foundation

 モスクワは、ワシントンが依然何を学んでいないかを知っている。一人の権力者だけではなく、国全体が問題で、甘い物を食べた時の多幸感は長続きしないのだ。

 毎回、実際、我々には十分な実例があるのだが、キエフの誰かがロシアに厄介を起こすと、インターネットには、即侵攻し、彼らを打倒するようプーチンに要求する人々で溢れる。この変種の一つは、モスクワは、マイダン・クーデター後に侵略し、全てのナチを逮捕し、EUが打ち出したが、今や忘れられた合意の下で、残りの任期を勤めるようヤヌコーヴィチを復帰させるべきだったというものだ。

 だが、実際はモスクワが、ウクライナや、かつて、ジョージアに侵略し、ゼレンスキーやサーカシビリを打倒せず、モスクワが、他のいらだつ出来事に、武力で対処しないのには、それなり理由があるのだ。理由は、非常に単純だ。モスクワが、そうできなかったょけではない。2008年、ロシア武力とトビリシの間に、あるいは2021年、ロシアとキエフの間には、経験以外何もなかった。モスクワの経験と、他国の経験観察の両方だ。

 他国の経験から始めよう。第一次世界大戦直前、イギリス海軍は石油燃料に切り替え始め、石油資源の確保が非常に重要になり、その延長で、イギリスや他の海軍大国にとっても重要になった。イラン(ペルシャ)は主要源で、戦争後、イギリスはイギリス企業にイラン石油資源に過剰な権利を与る、一方的な協定を締結した。それ以降、イランは、イギリスからの強い影響を受け、イラン人の憤慨は増大し、ほとんど協定無視するほどにまでなった。1951年、モハンマド・モサッデクが首相になり、石油会社を国有化した。ここで小休止しなければならない。後の経験が、このような国有化が壊滅的から、全くほど遠いことを示している。石油は誰かに売られなければならないが、価格は、販売国に設定されるわけではなく、結局、実際、商売の手法で解決される商売の問題なのだ。現地による支配にもかかわら、スエズ運河も、パナマ運河も機能している。国有企業は彼らの石油を売って、世の中は続くのだ。だが、そうしたものは許容できるとは考えられなかった。共産主義や、ソ連が支配権を得たり、武器を与えたりという恐れだ。結局、彼を追放することで、問題を解決すると決定された。モサッデクは、ロンドンとワシントンが組織し、主にCIAが実行したクーデターで打倒された。それで問題は解決された。公式に何年もの間ロンドンとワシントンに否定されたが、2000年にCIAの関与が確認され、2017年に更に多くの文書が発表された。だが、イラン人は常に誰がそれをしたか知っており、クーデターはアメリカ合衆国に対する彼らの嫌悪に大いに貢献し、1979年シャー追放の強い動機だった。今日イランは、ワシントンから「日々の脅威」で、その広範なミサイル兵器は「重大な脅威」と見なされている。ネオコン/PNAC/例外主義者による「イランの脅威」に対する何十年ものばかな企みが、イランを以前より一層強力にし、一層影響力を増し、一層強く決意させた。イランは今、中近東や北アフリカを支配するアメリカの野心に対する非常に重大な障害なのだから、今にしてみれば、モサッデク打倒は、結局さほど成功ではなく、60年後、問題は「解決」からは全くほど遠い。長い目で見れば、モサッデクと取り引きする方が、より良い対応だったろうし、現在イランは、アメリカや同盟諸国に好意的か、少なくとも、ささいな存在でさえあったかもしれない。モサッデク打倒は、最初は機能したが、効果は続かなかったのだ。

 おそらく最初は、1893年、ハワイのリリウオカラニ女王を打倒したクーデターで、他にも遥かに多くあったはずの、この行為に、ワシントンは十分精通していたが、イランの件は、当時新設CIA最初の「権力者打倒」事業だった。ベトナムのゴ・ディン・ジエム。しかし、それも機能せず、アメリカが敗北して撤退するまで、ベトナム戦争は益々悪化した。長年、ワシントンは、邪魔をしているのは一人の権力者に過ぎず、彼さえ排除すれば、後は簡単になるという妄想で進んできた。決してそうではないのだが、ワシントンは決して、そうするのをやめようとしない。ワシントンは、中南米でも、多くの政府を打倒したが、現在の受益者に依存を引き継ぐ以外、本当の安定性や友情をもたらしたようには見えない。ニューズウィークさえ、こう結論する記事を載せた。「だが現状では、いかなるど選挙や支配に干渉する国について持っている唯一の証拠は、ロシアではなく、アメリカだ。だが事実で、美しい物語の邪魔をさせてはならない。」ワシントン・ポストは、冷戦中、72の企みがあったと計算している。権力者打倒は、大いにアメリカ外交スタイルだ。

 部外者による干渉に対する怒りは決して消えない。そしてシャーの例が実証する通り、操り人形が犯すどんな行き過ぎ行為も、人形使いのせいになる。アメリカ人は「大魔王」スローガンや国旗焼却で非常に気分を害しているが、典型的に、それがなぜか理解できない。イラン人は、モサッデク打倒や、シャー亡命や、その後の絶え間ない敵対行為の全てを、ワシントンのせいにしている。そしてサダム・フセインへの兵器提供や、海戦や、1988年の民間航空機撃墜や、去年のソレイマニ暗殺まで、彼らは列挙できる。ワシントンの見地からすれば、モサッデクが権力の座に残った方が遥かに良かったのだ。

 もう一つの悲惨なCIA事業は、特にアフガニスタンで、ソ連が支援したソ連後のナジーブッラー政府に対する破壊活動だった。それをする上で、ワシントンは、ソ連の駐留や同盟者を敗北で撤退させるまで、連中を倍増させて強化した。ワシントンがそれから一年後の事態より、カーブルにジーブッラーがいた方が幸せだったのは疑いようがない。

 アフガニスタンの話で、我々はモスクワの直接の失敗体験に話を変えよう。1978年、現地の共産党は、確実に、モスクワの多少の関与で、カーブルでのクーデターに成功した。だがアフガニスタン共産党は深く分裂しており、共産主義化を余りに急いた。不満が増大し、共産主義政府は動揺した。これは、いわゆるブレジネフ・ドクトリンの下で許容することはできず、モスクワは彼を打倒して問題を終わらせることに決めた。ソ連は侵入し、現役指導者は殺害され、ライバル党派のバブラク・カルマルに置き換えられた。カルマルは共産化を緩めたが、遅すぎた。反乱は広がり、ソ連は動きが取れなくなり、1989年、最終的に、ゴルバチョフの言葉で「出血する傷」から去った。.

 1956年、ハンガリーで、長年の共産主義者イムレ・ナジは、フルシチョフのスターリンの「個人崇拝」非難後の「新路線」改革に賛成する演説をした。これは反乱とソ連侵略を招き、ナジ裁判と処刑もたらした。1968年「人間の顔をした社会主義」というアレクサンドル・ドブチェクによるチェコスロバキアでの同様な試みも、侵略とドブチェク排除で押しつぶされた。彼は少なくともソ連終焉終を見るまで、生きながらえることができた。

 だからモスクワは、前体制下での「権力者打倒」の三つの例を想起できるのだ。ナジとドブチェクとハフィーズッラー・アミーン。目先のもの以外、全く利益はなかった。ハンガリーとチェコスロバキアは、早々にワルシャワ条約とソビエト社会主義共和国連邦と共産主義から離脱し、ソ連に対する恨みからNATOに加入した。アフガニスタン戦争は、モスクワが敗北を認めるまで、ずるずる続き、読者は言われるかもしれないが、次の番として敗北できるよう、ワシントンに引き継いだ。(策士に対して悲惨な結果を持った狡猾な案と言えば、それは全てブレジンスキーから始まったと主張することが可能だ。)

 ワシントンとロンドンが、モサッデクをほうっておけば、今彼らは、ずっと幸せで、おそらく石油価格は変わらず、供給も保証されていたはずだ。明らかに後知恵だが、後知恵は、先見の明をもたらすはずなのだ。中南米でのワシントンの果てしない介入は、短期的利益だけをもたらし、いつの日か沸騰する憎悪の遺産を残した。モスクワが、そうしたのと同様に、ワシントンはアフガニスタンを去った方が賢明だったろう。ナジやドブチェク打倒は短期的利益をもたらし長期的問題の基盤を作り出した。プラハが、ジャングル・ブックのタバキとなり、恐ろしい虎のシェア・カーンの前足間で安全だと考えたように。

 要するに、歴史の教訓は、ほとんど全ての場合「権力者の打倒」は、地政学的に、瞬間的に甘い物を食べた時のようながら、後に支払う必要がある多幸感をもたらすのだ。自身の失敗とワシントンの失敗から学ぶのに十分賢いモスクワは、これを知っている。かつて、モスクワも例外主義勢力だったのを、いくら強調しても、強調しすぎることはないと私は思う。ソ連は70年間「世界最初の社会主義国家」、世界を率いる手本となる首都、歴史の旗手、「人類の明るい未来」の主唱者、新しい形の人間や例外主義のプロデューサーとして、友人も繁栄も、いずれも、もたらさなかった。プーチン自身、それを「袋小路への道」と呼んだ。だがワシントンは、依然例外主義段階にあり、今回再び同じことをして成功すると考えているのだ。

 しかも時には、甘い物を食べた時の多幸感さえない。アフガニスタンでは、二日酔いは数週間内に始まった。もしモスクワがトビリシに突入し、サーカシビリを打倒すれば、虎のシェア・カーンは、ウクライナに、タバキ防衛に来なかっただろう。モスクワは、自分の好みに従って、グルジアを作るべく、何かしなければならない。モスクワにとって、ロシア介入は、ヤヌコーヴィチを、EUに仲介された合意の下で生き残らせることができたかも知れないしれないが、次の選挙は、マイダンの人々に権力をもたらした可能性がきわめて高い。先月のキエフに対する素早い動きは、モスクワがそうする軍事力を持っていたのは疑いようがないが、それが何だろう?ビスマルクが言ったように、人は銃剣で何でもできるが、その上に座ることはできないのだ。

 モスクワは、ソビエト社会主義共和国連邦時代に、銃剣のむしろの上に座ろうとした日々の十分な経験があり、ワシントンの失敗を見守ることができるのだ。

 要するに、モスクワはワシントンが依然何を学んでいないかを知っている。一人の権力者だけではなく、国全体が問題で、甘い物を食べた時の多幸感は長続きしないのだ。

  パトリック・アームストロングは、1984年以来、カナダ国防省で、ソビエト社会主義共和国連邦/ロシアを専門に扱う分析官で、1993年-1996年、モスクワのカナダ大使館で参事官。彼は2008年に引退し、以来ネット上でロシアに関連する話題について書いている。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/08/why-moscow-doesnt-just-knock-him-over/

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 前川氏のお話、伺うと官僚にも、まっとうな方もおられるとわかる。残念ながら、権力者の側ではない。多数派ではない。

 西谷文和 路上のラジオ

Vol.53 「前川喜平が”スガーリン“を語る!」イベント延期でも急遽来阪出演!

 政府=感染症ムラ、厚生破壊省医系技官のデタラメ政策を見ていると、前にも書いたが陸軍軍医森鴎外のデタラメによる悲劇を思い出す。一方、海軍軍医高木兼寛は正確にはビタミンC欠乏が原因とは当時理解していなかったが、白米主体の食事で航海した軍艦「龍驤」と、ギリス海軍を参考に洋食を取り入れた食事を導入した軍艦「筑波」で比較実験を行い、「筑波」における脚気患者が激減していることがわかり、予防策を発見できた。
 厚生破壊省も政府も、脚気に対する森鴎外の過ちを一年以上押し通している。世界のガラパゴス。ジャバン・イズ・ワースト・ワン。彼の間違った「言うことを聞かない官僚はやめてもらう。」が「彼と違う正しいことをいう民間人の話はきかない」。まともな医学者、医師は皆PCR検査強化を主張しておられる。
 ワクチン先進国イスラエルの様子をテレビで見た。今は舞踊団も練習を再開しているが、皆練習場で、スマホのワクチン・パスポートをかざし入場する。身体的や別の理由でワクチンを拒否する人もいるが、二日か三日ごとにPCR検査をし、陰性結果証明を見せて練習に参加していた。イスラエルとて、ワクチン一本やりで戦っているわけではない。PCR検査強化必要性を言わない大本営広報部は共犯。宝島広告もその一環。今なら、全症例のゲノム解析だろう。
 ワクチン実施状態が、クーデター後のミヤンマーより低いのは、日本が既にファシスト・クーデター下にあって久しいためだろう。

 夏目房之介の「で?」
2020年5月29日 森鴎外の脚気細菌説による罪

森鴎外が陸軍軍医として「脚気細菌説」をとり、麦飯を取り入れて脚気をゼロにした海軍に対し、台湾、日露戦争において白米主義を押し通し、結果3万人の脚気による兵士の死者を出した。

 BBCでも、IOC問題

Tokyo Olympics: Why doesn't Japan cancel the Games?


 昨日の5/15といえば、パレスチナではナクバの日。日本では五・一五事件事件。青年将校軍部の凶弾に倒れた犬飼首相は「話せばわかる」といっていた。現首相、話をしようとしない。国民との会話を断って、オリンピック、対中国戦争準備推進まっしぐら。

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名

内閣支持率の低下。五月、高めの支持率を出すNHKですら、支持35%、支持しないは43%。菅首相の政治姿勢には一つの特徴。支持率高い時には極めて高圧。低下になると一気に低姿勢。今後者の段階。コロナ対応で専門家の発言力向上。緊急事態解除は今月内実施は困難か。

 そして、日刊ゲンダイDIGITAL

「総辞職は時間の問題」という声も 虚ろな首相はもう限界

インド株の市中感染を初確認!7月に全国蔓延で五輪は絶望

 コロナを利用して緊急事態条項をいいつのる悪辣さ。

 日刊IWJガイド

■菅義偉総理が5月7日の記者会見で「ワクチン国内治験を進めるために緊急事態条項が必要」と回答した件がツイッターで炎上! 著名人が続々、緊急事態条項を含む自民党改憲案に反対表明! 感情的反応を脱し正しい知識で反対を!

2021年5月15日 (土)

ロシアと中国に関する言説に欠けている重要な言葉:緊張緩和

2021年5月5日
ケイトリン・ジョンストン

この記事を音声で聞く。

 バイデン政権の中国政策に焦点を合わせたノラ・オドーネルの最近の60ミニッツ・インタビューで、トニー・ブリンケン国務長官は、ルールに基づく国際秩序の擁護者としてのアメリカ、北京にそれを遵守するようにさせる重要性について話した。

 「我々の目的は、中国を封じ込めたり、阻止したり、抑制したりすることではない。中国が挑戦している、このルールに基づく秩序を擁護することだ」とブリンケンは述べた。「この秩序に挑戦する国が誰であれ、我々は立ち上がり、秩序を擁護するつもりだ。」

 もし、ブリンケンが本物のジャーナリストと話をしていたのであれば、中国に対し「ルールに基づく秩序」を擁護する、どのような特定の方法が、中国封じ込めたり、抑制したりすることと違うのかと問われたはずだ。今世紀の変わり目以来、制裁封鎖で、故意に一般人を餓死させながら、違法戦争で何百万人も殺害し何千万人も強制退去させている国が、自身を「ルールに基づく秩序」の擁護者だと、どうして公言できるのかとも問われたはずだ。

 だが、ブリンケンはジャーナリストと話していたのではなかった。ブリンケンはノラ・オドーネルと話をしていたのだ。(下にYouTube画像があるが、日本では見えないのでリンクは貼り付けない。)

 ブリンケンとのオドーネルのインタビューは、現代の主流記者が、なぜ、もっとタカ派で、攻撃的にしないか知りたいと要求する時だけ、アメリカ当局者に挑戦的な外交政策の質問を許される事実の完ぺきな実例だった。インタビュー中に、ブリンケンが聞かれた質問のいくつかが、ここにある:

 「あなたが、狙いは中国封じ込めではないとおっしゃるのはわかりますが、今まで中国が軍事的に極めて強引だったり、攻撃的だったりするのを見たことがありますか?」

 「あなたは我々が中国と何らかの軍事対決に向かって進んでいると思われますか?」

 「人権について話しましよう。世界の他の国々が見ていないかも知れないことで、あなたが新彊で起きているのを見たことをお話しください。」

 「新彊が中国との超えてはならない一線でなければ、何がそうなのでしょう?」

 「中国はアメリカから、何兆ではないにせよ、何千億ドルもの企業秘密や知的財産を盗みました。それは敵の行為のように聞こえます。」

 「それでバイデン大統領は、習主席にそれをやめるよう言ったのですか?」

 「中国は長期的に、戦略的に、何十年も先を考えます。アメリカは最近、あちこちで遅れを取り戻しただけで、我々は戦略的、長期的に考えておらず、結果的に、中国が我々を超えることになるのでしょうか?」

 「中国政権は香港に何をするつもりでしょう?」

 「それなら、北京の2022年オリンピックをボイコットしましょう?」

 (下にYouTube画像があるが、日本では見えないのでリンクは貼り付けない。)

アメリカ政府による新彊「大量虐殺」言説の多くの目につく矛盾や、欧米の戦略地政学的狙いを推進するため、この言説をでっちあげる巨大なプロパガンダ攻勢で我々が目にしている多くのものを、ブリンケンは決して問われることはなかった。ブリンケンが、中国が「軍事的に極めて強引だったり、攻撃的だったりする」のは、アメリカが何年も、中国を軍隊で積極的に包囲している事実に関係があるかどうかも決して問われなかった。この危険な路線から離脱するため、緊張緩和を追求して、どんな措置をとれるかについて、ブリンケンは、決して、オドーネルに問われなかった。

 実際、アメリカに中央集権化した帝国が、ロシア、中国両国と益々敵対的な冷戦に向こう見ずに突入する中、国々の間での敵意緩和を意味する言葉「緊張緩和」は、奇妙なことに、主流談話に欠如している。先の冷戦中は、著名な民主党議員、共和党議員ともに受け入れていた議論の主な焦点だったが、この危険な新しい複数戦線の冷戦で、それは消え去った。

 時折、この言葉を目にするが、それが最も重要なはずの強力な二大核武装国に関しては、ほとんど決してないように見える。シリアとサウジアラビア間の緊張緩和の可能性がある協議に関する最近の「ガーディアン」記事や、三週間前のロイター記事は、アメリカとイラン間の緊張緩和に触れており、先月のウォールストリート・ジャーナル記事は、アメリカと北朝鮮間の緊張緩和を書いていたが、最近、広範に流れる欧米のニュース・メディアによる、この言葉の使用は、見つけるのが困難か、全く見あたらない。

 この概念さえ存在しないかのようだ。選択肢として考慮さえされていないかのようだ。それが選択肢なのを、人々は知らされていないかのようだ。

 私が日々参加するオンライン会話や討論で、これが展開するの目にしている。一般にモスクワと/あるいは北京に対する、アメリカの無謀な冷戦エスカレーションを擁護する人々は、緊張緩和が起こり得る可能性を考慮さえしていないかのように語る。多くの人々は、そういう言葉が存在することさえ知らない。彼らは唯一の選択肢は益々対決的な冷戦エスカレーションと考え、いかなる代案を考慮する概念的枠組みさえ持っていない。そうやって、ロシアと中国との平和の可能性は、徹底的に人々の注目から隠されているのだ。

 これは完全に計画的なように思われる。著名な学者で米露関係の専門家故スティーヴン・コーエンは、去年亡くなるまで、常に「緊張緩和」という言葉を使っていたが、それまでの年月に、ロシアとの事態が熱くなり始めるにつれ、彼は主流チャネルが、彼の分析を益々歓迎しないことに気がついた。同じ理由で、ノラ・オドーネルは、ブリンケンに、決して中国に対する攻勢を緩和させる方法ではなく、どのようにエスカレートするつもりか尋ね、主流メディアは、緊張緩和の緊急な必要性や可能性に関して、一般大衆を無知のままにしいるのだ。

 我々は、既定の事実として選べる唯一の選択肢は、この二つの核保有国への攻勢を強化し続けるのを当然と思うようにされている。これはウソで、正気ではない。緊張緩和は絶対に選択肢だ。少数の有力な社会病質者が、アメリカ帝国は、いかなる犠牲を払っても支配権を維持しなければならないと決めたからといって、我々は毎日核のロシアルーレットという精神病ゲームで、地球上の全ての命を危険にさらし続ける必要などないのだ。

 我々全員仲良くして、人類の繁栄に向かって、我々のエネルギーを一緒に使うことができない正当な理由などない。これを議論の話題として認めさえしない、主流言説をでっちあげる連中の狭まりつつある信じがたいオバートンの窓は、彼らは権力者のために、それを意図的に、気がつかないよう隠していると言う。中国とロシアの権益を攻撃し、傷つけることに代わる唯一の選択肢は、アメリカ帝国が地球の一極支配を放棄し、他の国々にその支配を越えて繁栄するのを許すことだから、隠されているのだ。

 クレムリンや中国共産党に対する邪悪な忠誠心があると、しばしば私は非難されるが、これは、日にちと、たまたまその時書いている内容で変わる。だが、私の命や、私が愛する人々の命や、この惑星を共有している全員の命が、権力者以外の誰のためにもならない、ばかばかしいアメリカ至上主義価値観に賭けられるのに私は同意しないというのが現実だ。我々が武器を放棄し、他国の人々と友好的に協力できない、もっともな理由など存在せず、違うことを言う人々は、皆ウソをついているのだ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2021/05/05/detente-the-vital-word-missing-from-discourse-on-russia-and-china/

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 大本営広報部、政府方針転換の話題やら、自治体トップのズル接種の話題ばかりで、決して、肝心なPCR検査強化の必要性には触れない。悪辣な連中、反省しない。まして、宗主国の中国包囲網の先兵、ひだるま不沈空母を目指す憲法破壊をめざす国民投票法の策謀は完全にスルー。コロナを悪用する「ショック・ドクトリン」そのもの。

 デモクラシータイムスやIWJの爪のあかでも...

英仏独の欧州勢も 緊迫のインド太平洋へ【半田滋の眼 NO.33】20210511

日刊IWJガイド

日刊IWJガイド・特別公開版「改憲・緊急事態条項新設にコロナ禍を悪用する菅総理の惨事便乗プロパガンダ! 真実を伝える独立メディアIWJにご支援をお願いします!」2021.05.15号~No.3166号

 ごく一部を引用させていただこう。

加熱する中国包囲網! 仏軍が強襲揚陸艦を持ち込み、自衛隊霧島演習場で米海兵隊と着上陸訓練! 英国からは英軍史上最大級の空母に世界最大規模の最新鋭戦闘機群を搭載した空母打撃群が日本に寄港! 艦隊にはオランダ軍も参加! 世界各国から日本に集結した艦隊は、当然、中国のミサイルの標的となるので、「戦場」は日本列島に!!

<IWJ取材報告>「日本列島全土が中国のミサイルの射程距離内にあるのに『敵の射程外から発するスタンドオフミサイル』をどうやって日本国内に配備するのか?」矛盾をつくIWJ記者の質問に岸防衛大臣は実質無回答!!~5.14岸信夫 防衛大臣 定例会見

2021年5月14日 (金)

柔軟なトルコを望むバイデン:彼の戦略は、うまくいくだろうか?

2021年5月6日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook

 現職アメリカ大統領は、「大量虐殺爆弾」を落とすことで、彼の考えでは、エルドアンの政治的運は明らかに衰える中、アメリカの政策に従うようトルコに強要する過程を開始したように思われる。選挙運動中、ジョー・バイデンは、アルメニア大量虐殺を認めると公約していたのを忘れないようにしよう。従って、トランプ政権は、この問題を避け続けていたが、ジョー・バイデンが、アルメニア人大量虐殺を公式に認めるのに、ホワイトハウス入りから、三カ月しかいらなかった。それ故、こういう疑問が生じる。バイデン政権は、この異例の動きを通して、一体どんな目的を実現しようとしているのか?

 過去数年、トルコは、益々欧米と東の間の「独立した当事者」の立場をとり、自身の「新オスマントルコ」の野望を実現するため、この立場を利用しようとしている。オスマントルコ帝国が、19世紀、そして第20世紀早々、主要な世界プレーヤーの一人だった、トルコの失われた地位を取り戻そうとする狙い。

 ここ数年、トルコとアメリカは、優勢なグローバル冷戦のような何らかのシナリオによって形成されない異なる世界観を持つようになっている。そこで、アメリカがロシアと中国に対する立場を強化する中、極右の民族主義者行動党を含め、トルコ与党連合の多くが、トルコは中国やロシアと、より強い結びつきを発展させ、アメリカ/EUやNATOとの結びつきをなくすべきだと考えている。これは、トルコの連立政権に、世界は、もはや欧米中心ではなく、戦略上の駆け引きに、かなりの余地があると益々思うように仕向けた。

 だが、「独立したプレーヤー」としてのトルコ自身の位置づけが、アメリカとの衝突進路に自らを置くことになり、アメリカ人の多くが、エルドアンをNATO同盟国としてではなく、広範な中東で、アメリカに不利な混乱を作りかねない独裁者と見ている。より重要なことに、トルコの様々な行動、特にロシアとの防衛協力強化が、特定の時に、NATOを挫折させ、NATO内で危機を引き起こしたように思われる。

 従って、NATOを復活させ、トランプ時代に生じた、大西洋対岸との間で広がった溝を埋めるため、アメリカをヨーロッパに再度統合しようとバイデンが努める中、大西洋両岸の分裂逆転は急務で、そのためには、バイデン政権が、アメリカの失われた支配の再確立し、世界の政治に一方的に影響を与え、形成する能力を復活させさせるため最も重要と考える目標で、全てのNAT加盟諸国をアメリカの指揮に従わせることが必要だ。

 だが重要な疑問は、こういうことだ。トルコはバイデン政権を喜ばせ、アメリカ支配を実現するのを支援して、自身の地政学的野心を断念するのだろうか?

 バイデンがアルメニア人大量虐殺を認めた後、エルドアンは素早く融和的声明を表明したが、トルコは、概して、これを「政権交代」を実現するため、トルコ内で政治的分裂を刺激して、エルドアン政権を弱めるアメリカの試みと見ている。バイデンの大量虐殺承認後、既にトルコ・リラは、米ドルに対して、記録的最低に落ち、エルドアンの既に弱い政治的立場を複雑にした。

 実際、バイデンの「オスマントルコ時代のアルメニア人大量虐殺」としての大量虐殺を紹介は、グローバルパワーとしての地位を含め、オスマントルコ時代の遺産に大きく頼っているエルドアンの国内政治言説に標的を定めているように思われる。大量虐殺を認めることで、バイデン政権は、21世紀に「新オスマン主義」が一体何を提供しようとしているか、世界中の人々を気が付くよう強いた。

 だから、この認識に対するトルコの反対は、賠償金要求に対する恐れと、その標的となる「新オスマン」領域である、アジアやアフリカや欧米(アメリカとヨーロッパ)からも嫌われる、のけもの国と見られる恐れの不安から生じている。

 だが、トルコに対する厳しい調子の採用で、エルドアンを従順できると、ジョー・バイデン政権は計算したかもしれないが、バイデンによるアルメニア大量虐殺の認識は、NATO同盟諸国間で、意見相違の長大なリストへの更なる追加になりかねないことに変わりはない。従って、政治的に弱いエルドアンを、ロシアに対し、アメリカに従わせるよう強制するのではなく、この認識は、長期間、トルコ-アメリカの結びつきを危機状態のままにして、トルコを更にロシアと中国に向かって、少しずつ動かしかねない。

 連続的に下がるリラと同時に、世界最多のCOVID症例数の一つと戦う中、エルドアンには限定された選択肢しかないので、即座の反応はないかもしれないが、イブラヒム・カリン大統領報道官は、トルコは慎重に対応を検討するが、対策として、「NATOとの軍事協力を終わらせることさえあり得、今後、異なる形態や種類や程度の対応がある」と付け加えた。

 だが、このような対応は、もしトルコが内部からNATOを攻撃することが必要となれば、アンカラが政策のいくつか敏感な分野の、一部の重要な政策変更をせずには受けることができない支持であるロシアや中国からさえ支持が必要だろう。トルコが、シリアからウクライナまで、不必要に紛争地域を複雑にする政策を変えることに同意しなければ、ロシアとの結びつきを深めるのは不可能かもしれない。中国に関しては、トルコは、新彊地域でのウイグル・イスラム教徒の「大量虐殺」というアメリカが推進している主張への同意を再考する必要があるだろう。トルコは、アルメニア大量虐殺をアメリカが認めたのを、こうした言辞は、往々にして、政治的動機で、特定の国体を不安定化することを狙っているのだという教訓にするべきだ。

 それゆえ、トルコがバイデンが解き放った問題を相殺できるかどうかは、アメリカの最強力な戦略競争相手の二国、ロシアと中国との結びつきを慎重に促進して、トルコか、どのように、それに拮抗させるか次第だ。

 Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/06/biden-wants-a-pliable-turkey-will-his-strategy-work/

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 デモクラシータイムス 大変なPCR検査体験談

根性ではなく医療を!「さざ波」菅の終末【山田厚史の週ナカ生ニュース】

2021年5月13日 (木)

中国・ロシア関係を再調整するアメリカ計画は失敗する運命にある

2021年5月6日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 今週、アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官はウクライナ指導部との会談のためウクライナを訪問する。彼はウクライナ人が聞きたくないメッセージを携えている可能性がありそうだ。ドネツクとルハンスクという二つの独立共和国に対する宣戦布告なしの戦争を終わらせなければならないことだ。それは、ウクライナ人が聞きたいメッセージではないが、変化する地域の地政学から、彼らには、ほとんど選択の余地がない。

 ブリンケンのウクライナ訪問は、この地域でのアメリカの狙いと優先事項の、より広範な再評価の一環だ。優先事項の中でも最も重要なものは、近年アメリカがロシアに対してとり、二国間関係の事実上の凍結で頂点に達した対決的姿勢の軟化だ。この徴候の一つは、駐ワシントン大使のロシア召還と、ワシントンの上役と「相談する」ため、駐ロシア・アメリカ大使は帰国すべきだという、あからさまな示唆だ。

 これには、大使館で働く現地人の雇用禁止や、アメリカ外交官がモスクワ外に移動できる範囲の制限などを含め、アメリカ大使館に対するロシアの他の動きが伴った。

 テレビ・インタビューで、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は「殺人者」だと言ったバイデンの、思慮に欠ける、率直に言って、驚くべき主張を含め、不安定なスタートをしたアメリカにとって、これらの動きは明らかに不快だ。この発言は、第二次世界大戦以後の期間丸ごと、世界の他のどの政治指導者より実に大差で、多くの非業の死に責任がある国の国家元首の言葉として、いくつか重要な外交慣習を破っていた。

 ブリンケンのウクライナ訪問には、いくつか動機がある。一つは、ドンバスとルハンスク地域に対するウクライナによる、いかなる軽率な攻撃も思いとどまらせることだ。このような攻撃を、ウクライナが真剣に考えているのは疑いの余地がない。二つの共和国国境でのウクライナ軍増強が証拠の一つだ。この増強がロシアの対応を引き起こし、それをウクライナが、むしろヒステリックに、ウクライナ領に対するロシア攻勢の証拠だと非難した。そのような攻撃が起きていれば、二つの事実が即座に明白になっていたはずだ。

 最初の事実は、それは圧倒的多数がロシア語を話す二つの独立共和国の防衛ということだ。二番目の事実は、ロシアの報復は、装備が不十分で、訓練も不十分なウクライナにとって破壊的なはずだったろうことだ。ほぼ確実に、彼らの軍隊は数日で破壊され、それとともに、おそらくは、ウクライナ政権の生存も続くだろうことだ。

 それはアメリカが、同盟者の悲運のためだけではなく、ロシアとの良い関係に、より広範な権益があるので、アメリカが起きるのを見たいと望んでいる結果ではない。

 何か、アメリカ-ロシア関係の正常化に近づけるものが、アメリカ政権のより広範な目的だ。それは彼らが、ロシアを友人、まして、いかなる同盟者として見ているからではなく、むしろ、彼らが、より大きな地政学ゲームをしているためだ。そのゲームで、残されたアメリカ覇権に対する最大の脅威となっていると見なす国、中国との対決に努力を集中させるため、アメリカが、ヨーロッパの問題を減らそうとしているのだ。

 近年の主要な地政学的変化の一つは、ロシアと中国間の戦略的関係の増大だ。親密さの増大は、様々な要素を引き起こしているが、その一つが、両国の大望に対する、アメリカの、しつこい敵意だ。その大望は、主に平和的なもので、両国とも、世界中で起きている、より広範な地政学再編成の最前線にいる。

 その再編成で、例えば、過去200年以上優勢だった欧米の支配パターンから独立した貿易構造が増加した。それは代替経済パターンの増大をもたらしたが、上海協力機構は、傑出してはいるが、独特からはほど遠い一例だ。

 アメリカは明らかに中国を、アメリカが世界中で享受している優勢的立場に対する大きな脅威と見ており、アメリカは、中国の力の継続的拡大を制限したり、挫折させたりするため、出来る限りのことをすると固く決めている。

 ウイグル人虐待とされるもののかどで、現在、中国に対して行われているキャンペーンは、その一例に過ぎない。この集団に関する、より極端な主張は、大量虐殺で、率直に言って、ばかばかしい意見だ。香港の中国再編入に対する、たゆまないプロパガンダ攻勢は、この攻撃のもう一つの現れだ。住民を中毒にさせる上で、アフガニスタンで栽培されたヘロインで少なからぬ支援を得て、イギリス植民地政策が中国に破壊をもたらす前、香港は何千年も中国の一部だったことを、明らかに、欧米は人々に忘れて欲しいのだ。

 イギリスによる虐待は、自身の問題を管理するため、香港住民に投票権を与えるのを拒否していたのだ。

 中国はその歴史や、自身の問題の処理に関し、イギリス発言権のどんな継続も拒絶している。それで、中国が今拒絶している異常に長い移行期間ではあるが、香港が中国支配に戻る1999年協定の条件を中国政府が尊重し損ねているとイギリスは悲嘆し続けている。

 ロシアと失地を回復しようというアメリカの計画は、中国に火力を集中できるようにする策略の明確な例だ。台湾の状況を巡り、戦争の口実をでっちあげるのは、明らかに、その計画の一環だ。だがロシアは愚かからはほど遠い。彼らは、アメリカの計画が何のためか良く分かってい。彼らが憎しみを中国に集中できるように、中国とロシアを分離する試みだ。

 この計画はうまくゆくまい。中国とロシアは、それが一体何か分かっているだけでなく、世界自体、もはやアメリカ覇権の無制限な行使を我慢するつもりがないのだ。

 是非、バイデンとプーチンを会談させよう。二国間の緊張のどんな緩和も歓迎されるはずだ。だがアメリカは、中国・ロシア分裂計画が実現しないことを知る必要がある。彼らが、より早くそれを理解すれば、それだけ、この国々の正真正銘の平和共存の可能性が早くなるだろう。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/05/06/united-states-plans-to-recalibrate-the-china-russia-relationship-doomed-to-fail/

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 ほとんど購入したことのない出版社の奇怪な広告。

「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。このままじゃ、政治に殺される」

 しっかり、一番初めにくるべき「PCR検査もない」を意図的に削除している。それだけで評価に値しない。コロナ封じ込めに成功した国は例外なしに、PCR検査の徹底、隔離、ロックダウンで封じ込めたあとに、ワクチンをうったのだ。ワクチンは神風ではない。PCR検査の必要性を隠蔽する感染症ムラ、政府の代理広告。これと、下記の話題、しっかりつながっている。

 日刊ゲンダイDIGITALの下記記事。5月8日のものだが、PCR検査拡大を阻止している感染症ムラ利権集団、医系技官の大罪同様、大本営広報部は全く報じない。大本営広報部は重要な共犯者。支配体制犯罪のお仲間。

G7で最低 医師不足を招いた「自民党」と「医師会」の大罪

 新聞やテレビではなく、雑誌が彼の説を実証!文春オンライン

まん防の最中 日本医師会・中川俊男会長が政治資金パーティーに参加していた

 厚生省の医系技官を、お役所の実態の赤裸々な暴露のかどで懲戒免職された宮本政於氏の1995年4月24日、アメリカ国会図書館での講演から興味深い部分を一部転記させていただこう。「審議会」を「分科会」に「官僚」を「感染症ムラ連中」置き換えると、かなり通じる。

 「審議会」は官僚の保身と自尊心のためにある

 日本の官僚組織における意志決定方法を考えるとき、「審議会」の役割は無視できません。審議会の仕事とは、政府に適切な指針をアドバイスすることです。メンバーにはふつう各界の著名人が大臣により選ばれます。
 建て前としては審議会は官僚制度から独立した組織です。しかし、審議会で自由に発言できるのは、お役人からお墨付きをもらった「御用学者」たちだけです。
 すなわち官僚が語ってほしい「建て前」を言ってくれる人たちだけが、自由に発言できるのです。これは本来の自由とはまったくかけ離れています。
 発言は自由に行ってかまわないはずです。異論を唱えても当然です。ところが、そんな考えを持っている人は、審議会の委員に、絶対と言ってよいほど選ばれません。

2021年5月12日 (水)

核の気候変動:事態を激化させるワシントン

ブライアン・クローリー
2021年5月4日
Strategic Culture Foundation

 我々は更に一歩、惑星の破壊に近づいた、とブライアン・クローリーが書いている。

 4月29日、世界問題について尊敬されている評論家トム・エンゲルハートが、アメリカの永久戦争を検討する記事を発表し、こう結論している「アメリカ人がめったにしようと考えさえしない質問はこれだ。もしアメリカが基地帝国を解体し始め、軍事にむけられている実に膨大な税金を、国内ニーズという別の目的に転換し、この国が永久戦争に注力するのを止め、我々の神聖な教会としての国防総省を放棄したらどうだろう?もし短期間でさえ、戦争、紛争、陰謀、殺害、無人機暗殺など全てが止まったら?もし我々が平和を宣言して国に戻ったら世界は実際どうなるだろう?」

 彼がよく知っているように、答えは世界が暮らすのに、もっと良い、より安全な、ずっと魅力的な場所になるだろうということだ。だが、彼が悲嘆しているように、ワシントンから、平和追求で世界を率いることができる国アメリカ内の最も遠隔地域まで、その翼を広げている軍産複合体の心や政策の変化はないだろうから、ほとんどそうなる可能性は無いように思われる。

 実に多くの国々の人々に対し、大きな悪影響を与え、ワシントン権力回廊の大立て者にしっかり支配されている他の変動を除けば、世界の安定に対する最大の脅威であり続ける可能性が高いので、我々全員が気候変動を懸念している。

 我々の暮らしに対する究極の脅威は核戦争だが、その脅威を減らす手段を考え出すことに、彼らの有能な才能を捧げる代わりに、国防総省の計画立案者や、やり手連中は、政治家や兵器製造に財政的権益がある他の連中に徹底的に援助されて、世界や宇宙にアメリカの核影響力を広げることに懸命だ。

 アメリカ戦略軍(STRATCOM)は自身を「我が国の永続的な強さを維持し、大国の紛争を阻止し、勝利し、21世紀の戦略上の抑止力を作り出すための知的資本を増大し、支配的な戦略部隊と革新的なチームを派遣する」「グローバル戦争戦闘司令部」であると述べている。この任務で、STRATCOMは自身が「自国と同盟諸国安全保障の究極の保証人」だと考え、核兵器で世界を破壊する準備ができていることを意味する「断固とした対応」を瞬時に行う準備ができている。

 4月20日、この組織のトップ、チャールズ・リチャード海軍提督は上院軍事委員会で演説し、特に「現在中国の核兵器保有量は、ロシアやアメリカが配備しているものより少ない(が未曾有の拡大を進めている)が、中国の核兵器備蓄規模は、総合的戦略能力の大まかな指標だ」と発言した。これは北京や他の多くの世界の首都に強い歓喜をもたらしたのは確実だが、彼が中国とアメリカが保有する兵器の量を公式に明記しなかった事実は依然変わらない。差異がばかばかしいほど明らかなのが、その理由である可能性が高い。

 (情報が信頼できる)ストックホルム国際平和研究所SIPRIによれば、アメリカは合計5,800発の核兵器を持っており、うち1,750発が配備されている。これらは即座に使用する準備ができている。(他は「解体を待っている退役弾頭や、保管や予備弾頭」だ。)

 他方、中国は320発の核兵器を保有しており、SIPRIは「核兵器庫の本格的近代化の最中だ。中国は、初めて、地上と艦載海ミサイルと核搭載航空機で構成される、新たな、いわゆる核の三本柱を開発しつつある。」と述べている

 長年、ワシントン既存の核の三本柱司令官であるリチャード海軍提督は、中国の核戦力開発を、不当で、遺憾だと考えている。彼は上院軍事委員会で「中国は急速に戦略核能力と可能性を強化しており、道路輸送可能ミサイル製造の急速な成長や、いくつかのICBM旅団での発射装置倍増や、より大規模での固形燃料大陸間弾道弾(ICBM)サイロ配備などで、今後10年で核保有量を二倍にするのに必要なペースより早い」と発表した。[強調は筆者による。]

 もし中国の核保有が今後十年で二倍になれば、中国はアメリカの三分の一の核兵器を保有するかもしれないことを意味する。さらに、この全てが「透明度の完全な欠如の背後で」行われており、非難されるべきで、決して容認できないとリチャード海軍大将は抗議した。SIPRIが述べているように、アメリカが「アメリカの備蓄規模を公式に発表する慣習を終わらせた」のは重要ではないが、他の全ての国々は、核兵器開発計画で、絶対に透明であるべきだと見なされているのだ。(おそらく、イスラエルなど?)

 だが、4月16日、ホワイトハウスで、バイデン大統領が日本の菅義偉首相と会った際、ワシントンが透明だという核政策の一つの側面が明らかにされた。彼らの共同声明は「新たな時代におけるアメリカ-日本グローバル・パートナーシップ」という題で、ワシントン長年の核戦争準備を、バイデンが決定的に承認した、これまでで最も重要な兆候だ。このおそろしい文書は、どんな問題に関しても、中国との妥協の可能性があり得る兆しを示しておらず、バイデン、菅両者が十分理解しているが、中国の国際政策の土台に対して究極的に挑戦的なものだ。つまり、南シナ海の島嶼に対する主権の主張。

 南シナ海に対するアメリカの立場は、国際法に基づくべきだと、ワシントンは繰り返し述べており、バイデン-菅の中国との対決的宣言は、国連海洋法条約に記されている航行及び上空飛行の自由を含む、海洋における共通の規範を推進する」合意を強調している。これは、アメリカが、イランやイスラエルやシリアや朝鮮民主主義人民共和国やリビアなどの国々と共に「国連海洋法条約UNCLOS批准を拒否した事実がなければ、耳を傾ける価値があったかもしれない。バイデンは、他の国々に、ワシントンが拒絶した重要な国際協定に従って海事に対処するよう命じているのだ。

 アメリカは日本を支持するとし、戦争までバイデンは誓約したが、国連海洋法条約UNCLOSが、その戦争正当化に使える事実がなければ、ばかばかしい、くだらないものだ。バイデンは「アメリカ/日本同盟のため、共有する安全保障に対する強固な支持」を宣言し、特にワシントンと東京は「朝鮮民主主義人民共和国や中国の挑戦や、東シナ海、南シナ海などの問題に対処するための協力を固く決意している」。核心は共同声明の「核を含むあらゆる種類のアメリカの能力を用いた日米安全保障条約下での日本の防衛に対する揺るぎない支持」という声明だ。何気ない言葉は「核を含む」だ。

 究極の剣が振りかざされたのだ。4月16日、アメリカ大統領は、中国に核兵器を使うという露骨な恫喝をした、4日後、ロシアと中国の都市を破壊する永久警戒状態にある何百発ものミニットマン大陸間弾道弾を新しい「地上配備戦略抑止力」に換えるため、上院は950億ドルの出費を承認しなければならないとアメリカ戦略軍司令官が主張した。

 ワシントンと東京は「対決を、この地域全体の主題にしようと試みている」と見る中国環球時報の(準公式)論説を読んでも驚くべきことではない。これは確かに、そういう政策で、ワシントンは核兵器を強調して、対決の雰囲気を激化させているように思われる。我々は更に一歩、惑星の破壊に近づいたのだ。

 Brian Cloughleyは、イギリス軍とオーストラリア軍の退役軍人、元カシミール国連軍事使節副団長、元在パキスタンのオーストラリア国防担当大使館員

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/04/nuclear-climate-change-washington-heats-things-up/

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 下記ニュースに驚愕。再三引用している宮本政於氏著書内容のデジャブ。1993年刊『お役所の掟』には、ムラ第一、前例主義,長時間残業、宴会好き。官僚が大臣を支配しており、大臣が官僚を支配しているのではないことなど挙げておられた。(大企業にも、かなりあてはまるだろう)彼は現代のコロナ戦争大本営である厚生省の医系技官だった。読んでいると、日本は無条件降伏しかないことが理解できる。28年前の本だが、現状の理解に必須の名著。英語、ドイツ語、フランス語のみならず、ペルシャ語版も刊行された。緊急復刊されないものだろうか?

若手官僚 長時間労働是正で行政改革相に働き方改革を要望

 宮本氏が指摘した厚生官僚のムラ利権優先哲学が、PCR抑制や、ワクチン開発や購入の障害元凶。日本がコロナ敗戦で東南アジア・ダントツのビリ、世界のガラパゴスになるのは必至。

 日刊ゲンダイDIGITAL

インド変異株拡大へ秒読み…連絡つかない入国者は1日300人

五輪優先に選手特権…コロナ敗戦は例を見ない深刻なものに

 子どもの時にはオリンピックには夢中になった。校庭でスポーツの得意な男子が鉄棒で妙技を披露し、陸上部の女子が聖火リレーで走った。空に描かれた五輪を見上げた記憶がある。だが、五輪は、今後、あこがれどころか、悪夢、思い出したくないトラウマでしかない。

 そして、今日の孫崎享氏のメルマガ題名

5月内閣支持率、与党寄りとみられる読売:支持43(先月47)、NHK:支持35%(先月44)。安倍政権では辞任直前NHKでは34%。菅政権の弱体化進行。この中安倍元首相、二階幹事長共菅首相を支える発言。両者共影響力維持を意図。対米など両者の方向異なる。

 アメリカ新大使が発表された。これまでの名誉職とは違う。正真正銘のネオコン直轄地。

 彼については、かなり昔の記事でも、短く触れている。もちろん、検索エンジンによって、隠蔽されているものが多い。

プーチンがロシアを救ったように、トランプはアメリカを救えるだろうか?

広島から福島へ、1945-2011

昔の名前で出てきた「チェンジ(改革)」-第三次クリントン政権

 新大使と、憲法破壊推進への野党もどきの裏切り、直接つながるはず。詳細は下記を。

日刊IWJガイド・特別公開版「衆院本会議で国民投票法『改悪』案が可決! 立憲民主はたった2、3回の参院審議での法案成立を与党と合意したのか!?」2021.05.12号~No.3163号

2021年5月11日 (火)

シリコンバレーのアルゴリズム操作こそが主流メディアを生かし続ける唯一のもの

2021年5月3日
ケイトリン・ジョンストン

この記事を音声で聞く

 現状への同意をでっちあげるため富豪に支配される主流メディアが、世論をあやつっているのを理解している人々は、インターネットの出現を、希望と熱狂で迎えた。情報共有の民主化は、それにより、我々の社会の不正な制度に対する革命的変化の可能性を広げ、金権政治による言説支配から解放された、大衆の自覚を呼び起こすはずだった。

 だが決してそうはならなかった。インターネット利用は世界中で当然のものとなり、人類は、かつてなかったほどネットワークで結ばれ、情報共有が可能になったが、それでも我々は、何世代も支配されてきた同じ権力構造に、政治的にも心理的にも、固く支配されたままだ。主要メディアさえ、何らかの形で、依然変わらないままだ。

 一体何がおかしくなったのだろう?もはや誰も新聞を買わず、テレビやラジオの聴衆は減少している。一体どうして、依然、同じ帝国主義寡頭政治組織が、大半の人々の世界に対する考え方を支配していられるのだろう?

 答えはアルゴリズム操作だ。

 

@YouTubeのCEOが公然と認めている。

1) YTのアルゴリズムで、商業マスコミのニュースをより高くランク付けする
2) 自立したニュース/政治チャンネルを抑圧する
3) (YT本来の目的である)「地下室で」コンテンツを作り出す人々を抑制する

これは恥ずべきことだ https://reclaimthenet.org/youtube-ceo-basement-authoritative-sources/ 

- Jordan (@JordanChariton)(@JordanChariton) 2021年4月22日

 先月非常に有益なインタビューで、Googleが所有するYouTubeのCEOが、このプラットホームが、主流マスコミを上位にし、自立したコンテンツを抑制するために、アルゴリズムを使う方法を率直に論じてた。

 世界経済フォーラムの2021のグローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミットで、YouTube CEOのスーザン・ウォシッキーが、Atlanticのニコラス・トンプソンCEOに、YouTubeは、芸術やエンターテイメント・ビデオには、一気に広まり、多数の閲覧や加入者を得る同様な機会を与えるが、ニュース・メディアのような重要分野では、人為的に「信頼できる情報源」を上位にあげていると述べた。

 「我々は、音楽やユーモアや愉快なものの場合、新人クリエーターに見つけてもらえる可能性を確実に与えられるようにすべく、アルゴリズムを微調整しています」とウォシッキーは言った。「だが微妙な分野を扱う際は本当に違う方法をとる必要があります。」

 ウォシッキーは、有害とみなされるコンテンツの禁止に加えて、ある話題に興味を持っている視聴者に推薦ビデオとして見えないよう、アルゴリズム的に引き下げるため、YouTubeは「ボーダーライン・コンテンツ」というカテゴリーを作ったと述べた。

 「情報を扱う際、推薦する情報源が、信頼できるニュースや医学等々だと確認したいと考えています。時々、人々が、より品質が低い、ボーダーラインのコンテンツを見ているのを見て、ボーダーライン・コンテンツ・カテゴリーを作りました。我々は、そうしたものを勧め過ぎないよう配慮したいのです。そうしたものはYouTubeに載ってはいますが、我々が推薦したいとは思わないコンテンツです。我々のアルゴリズムは、これら全ての異なる種類のコンテンツを処理する上で、確実に進化しています。」

 進歩派の評論家カイル・クリンスキーは、ビューと新加入者数が突然劇的に説明できない急落をしたので、彼の(全く無害な)チャネルが、「ボーダーライン」カテゴリーに入れられたと思うと言い、ウォシッキー発言に反応する良いビデオを作った。クリンスキーは一カ月何万人もの新規購読者を得ていたのに、一晩で多分千人になったと報じている。

 「人々はケーブルニュースやテレビで見る主流メディアのたわごとから逃れるためYouTubeに行ったのに、今YouTubeはケーブルニュースやTVになろうとしている」とクリンスキーは言う。「人々は、それから逃れるため、ここに来るのに、YouTubeはCNNやMSNBCやフォックス・ニュースなど彼らが逃げているものを強制的に詰め込もうとしている。」

 スーザン・ウォシッキーが世界経済フォーラムで、ネオコン出版社のCEOに、寡頭政治帝国メディアを上位にあげてていると認めるのを聞くのは驚くべきことではない。彼女は子供時代、文字通り、スタンフォード大学キャンパスで育った後、ハーバードを出た、文字通り、金権政治所有者によって主流メディア幹部に据えられる全ての帝国エリート経営者と同じ素性だ。妹のアンは遺伝子検査会社23andMe創設者で、Google共同創設者セルゲイ・ブリンと結婚していた。

 Google自身も、検索で、帝国メディアを人為的に上位にするため、アルゴリズムを使っている。2017年、World Socialst Web Site(WSWS)が、他の左翼、反戦メディアとともに、突然Google検索からのトラフィックの劇的減少を経験した事実を記録し始めた。2019年、ウォールストリート・ジャーナルは、WSWSの主張を裏付けて「そうしているのを公的に否定したにもかかわらず、Googleは、ある種の検索結果で、特定のサイトを削除したり、他のものが浮上するのを阻止したりするブラックリストを持っている」と報じた。2020年、Googleの親会社アルファベットのCEOは、上院公聴会で、Googleが右翼のコンテンツだけ検閲しているという、ある上院議員の示唆に応え、WSWSを検閲していることを認めた

 はっきり言って、Googleは、CIAとNSAから研究助成金を受けた、そもそもの発端から、アメリカ諜報機関と財政的にな結び付いている。Googleは連邦へのロビー活動やDCシンクタンクに莫大な金を注ぎ、NSAと癒着しており最初から軍諜報機関の請負業者だ。

 

NATOや国務省や湾岸君主国家と兵器企業から資金供給される大西洋協議会が、Facebookに、誰を削除すべきか言っているのを、我々は大いに不安に感じるべきだ- https://t.co/7N6fDjDSHR pic.twitter.com/W2zLmx1MKI
- Rania Khalek (@RaniaKhalek) 2018年8月25日

 そこに、アメリカ人の3分の1が、通常ニュースを入手するFacebookが登場した。Facebookは、現状を執行する検閲慣行の点で、それほど曖昧ではなく、どのようなコンテンツを検閲し、どのようなコンテンツを推進すべきかの決定で、政府や富豪に資金供給されている帝国主義言説管理会社である大西洋協議会に公然と協力を得ているの認めている。もし大西洋協議会などの「ファクト・チェッカー」が、あるページや、あるドメインを、誤った情報を広める罪を犯しているとみなせば、Facebook上で「(それら全てのページ-レベルやドメインレベル・コンテンツの流通を劇的に減らす」とFacebookは述べている

 GoogleやFacebookなどの支配的巨大ニュース配信企業が使う全てのアルゴリズムによって、人為的に増幅された記事は、遥かに多くのビューを得て、それらソーシャル・メディア情報は、更に遥かに多くクリックされるので、Twitterのようなプラットホーム上の独立メディアより、主流プラットホームや記者たちに遥かに多くのフォロワーを保証する。マスメディアの社員は徒党を組んで、Twitter上で、お互い増幅し合い、分裂を更に悪化させる傾向がある。一方、私を含め、左翼や反戦の意見は、何年も、Twitterが人為的に彼らのフォロワーカウントを抑制すると不平を言ってきた。

 シリコンバレー大企業による妨害工作や操作という、こうした故意の行為がなければ、次々の戦争へと我々をだまし、圧制的な現状への同意をでっちあげる主流メディアは、何年も前に独立メディアに取って代わられていたはずなのだ。これら大手ハイテク企業は、企業メディア・プロパガンダの生命維持装置だ。

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2021/05/03/silicon-valley-algorithm-manipulation-is-the-only-thing-keeping-mainstream-media-alive/

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日刊IWJガイド・特別公開版「本日国民投票法『改悪』案が衆院で採決! 今国会で成立すれば戦争のための独裁体制樹立が目前に! 真実を報じ、闘い続けるIWJへのご支援をよろしくお願いいたします!」2021.05.11号~No.3162号

 日刊IWJガイド から ごく一部を引用させていただく。

本日衆院本会議で国民投票法「改悪」案採決!「今国会での成立に与野党幹事長が合意」と報じられている中、立憲と会派を組む社民の福島みずほ議員が法案に反対を表明! 立憲小西洋之議員は「闘う」と表明! 参院憲法審で法案成立を阻止できるかが正念場に!

 AERAdot.

【独自】高齢者1万人「接種センター」 日本旅行、人材派遣会社に約37億円で自衛隊が“丸投げ”

 政府自体反社集団。ブルガリ時計窃盗で前の大学を首になった男に、えらそうなことを言われたくない。日本学術会議から、まともな学者を追放しながら、こういう与太を内閣官房参与に取り立てる異様さ。ウソツキ男より酷い政治家がいるとは!

 LITERA

内閣官房参与の高橋洋一が日本のコロナ感染者数を「この程度のさざ波」「笑笑」と暴言ツイート…菅首相にも共通する棄民思想

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名

内閣官房参与の高橋洋一氏、「この程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイッター。ネット激しい反発。「さざ波」の一人一人には家族、友人、その人達が今どれだけの悲しみ、苦しみを感じてるか。あれが今の政権の本心なんだろうな。国民を守る気なし。

 書店新刊平積みで、とんでもない本を見た。構造改革とやら題する本。中小企業を潰せという主張の人物、政府「破壊」戦略会議メンバーの本。買う人がいるのだろうか?

 PCR検査は、決して強化しないと固く決めている狂気の感染症ムラの医者、学者、医系技官らの犯罪的妨害を、大本営広報部、つまりテレビも新聞も報じようとしない背景が想像できる文章を引用しよう。医系技官ながら、全く官僚ムラの理不尽な掟に服従しなかったために、実情を公開したために懲戒免職となった方の言葉だ。最初の本は、厚生省横浜検疫所検疫課長時代。彼を追い出した連中で成立してる感染症ムラの医者、学者、医系技官らに加え、厚労省御用速記者クラブまで、連中の情報・データ隠蔽に協力している。戦争中は大本営が、コロナ戦争の今は厚労省が日本を敗戦に導いている。彼らは東京裁判を受けることもないが、コロナは、宗主国と違って、愚かな大本営官僚の無条件降伏など認めない。熾烈な攻撃は、いつまでも続く。大本営の連中を追放しない限り感染はおさまらず、日本は、訪問できない、のけもの国家になる。インバウンドも邯鄲の夢。

 宮本政於氏の1995 在日アメリカ商工会議所(東京、1995年6月15日)講演から、一部興味深い部分を転記させていただこう。

 また、最近某テレビ制作会社の幹部と話してわかったことがあります。各テレビ局の幹部たちは、私を番組に出演させないように厚生省から圧力を受けているらしいのです。
 私もそのときはじめて知ったのですが、厚生省はテレビ番組の大手のスポンサーなのだそうです。製薬、医療、食品関連、これらの会社は厚生省の管轄下にあり、いわば厚生省の子会社のようなものです。だから、テレビ局の幹部はスポンサーに対して、日本独特とも言える気配りをしたのもうなずけるのです。
 それに加えて、テレビ局は郵政省に許認可権を握られています。お役所はみんな同じ穴のムジナです。厚生省を怒らせれば郵政省からどんなしっぺ返しがくるかわかりません。 私は別にテレビに出ようなどと思ってもいないのでこうした圧力はどうでもよいのですが日本のマスコミが、いかに官僚の意向を無視できないかを如実に物語った出来事だということでけはたしかです。

 お二人の対談本「古賀茂明×佐高信 官僚と国家」購入済だが未読。

 デモクラシータイムス

古賀茂明×佐高信  原発ムラは今も健在【官僚と国家 番外編】20210427

 UIチャンネル 1時間18分

「日本政治の危機の深層:『主権者のいない国』をめぐって」 白井聡(京都精華大学国際文化学部教員) × 鳩山友紀夫

2021年5月10日 (月)

地域の専門家さえ困惑させるトルコの新「はた迷惑」役

マーティン・ジェイ
2021年5月3日
Strategic Culture Foundation

 移り気なレジェップ・エルドアンは、一体どうして国防総省とロシアとの軍事地政学論争で、窮地に立つことになったのだろう?

 4月は、アンカラを本拠とする海外特派員にとって、世界におけるトルコの役割に関するニュースの果てしない流れに思えるもので多忙で大変な月だった。混乱がおさまった後、多くの評論家は、トルコは今までより孤立していると結論するかもしれない。中東の新たなならず者国家国家。問題は、エジプトとサウジアラビア両国との関係雪解けが持続可能なら、結果的に、この地域は、より良い状態になり、一層安定するかどうかだ。

 評論家の見地からは、トルコの地政学は常に誰も完全に理解できない動く標的だ。エルドアン戦略の不透明な性質は、トルコ最良の記者すら困惑させ、時に彼の思いもかけない行動は、ほとんどトランプのように見えたりする。

 ロシアS-400ミサイルシステムを購入しながら、アメリカがトルコにアメリカ製F-35保有を許すと想像する地政学・軍事戦略は常に頭の体操だ。

 当初、トルコは100機のF-35戦闘機を購入すると約束した。2018年、パイロット訓練に関する多少の条件付きで、六機がトルコ向けだったが、アメリカとトルコ間で、S-400危機が始まった後、ジェット機の実際の配備は延期された。

 だが、2020年7月までに、当初トルコ向けに意図された八機のジェット機が、そうではなく、アメリカ空軍に購入され、トルコからのジェット機部品供給のキャンセルが続いて、事態は益々当てにならなく見えていた。

 トルコを容赦なく攻撃するアメリカ

 4月下旬、トルコをF-35プログラムから排除するという国防総省の最終連絡は、アメリカとの軍用装備品共有協定に対するとどめの一撃となり、NATOメンバーのトルコは、のけ者になった。数日後、ジョー・バイデンがアルメニア大量虐殺におけるトルコの役割の承認を公式に発表した時が、おそらく、アンカラ-ワシントン関係へのとどめの一撃だった。

 アメリカがこういう姿勢になった理由は、トルコがジェット機の機密情報をロシアと共有しないと安心して任せられるかに関するペンタゴン軍人たちの増大する懸念があったためだった。だがこの決定のタイミングは奇妙で痛烈だ。

 近年ロシアとの関係は、よくても熱がこもっておらず、ぎりぎり友好的で、悪くて、実に微妙だった。プーチン大統領は、両国がイドリブで対立する側で戦うシリアのような刺激的話題に関する緊迫した協議の際、時々エルドアンを遠回しに脅迫する必要を感じていた。エルドアンはロシア指導者の明晰ながら礼儀正しい警告を尊重しているように見えた.

 のけ者にされたロシア

 だが最近エルドアンは、ドンバス地域での、ロシアとのどんな紛争でも、彼の政府は常にキエフにつくのを非常に明確にして、ウクライナに関して一線を越えた。4月21日、ゼレンスキー大統領は、アンカラでエルドアン大統領と会談し、後にトルコ指導者にとって高価な代償となった、もう一つの防衛契約の重要性を強調した。ウクライナへのトルコ無人飛行機販売だ。

 ここで、ことは複雑になる。この取り引きと、アンカラとキエフの結託がなければ、F-35合意が大失敗した際、エルドアンはロシアに頼って、ウクライナ国境で現在新聞に大きく書きたてられているロシア戦闘機の新たな取り引きができたはずだった。

 この運命の皮肉は、NATO内で、トルコは常に不良メンバーで、西側諸国将官が、欧米がロシアと紛争になった場合、トルコが有用であり得るかどうか常に疑っていた。例えば、燃料補給のため黒海基地に戻るロシア艦船を阻止し、トルコがボスポラス海峡を「閉塞する」のに頼れるかどうか。少なくとも、そういう議論だ。4月中旬のウクライナ危機で、トルコの分裂した忠誠心は、今やロシア同様、NATO大国にも無視され、この役割は益々疑問視されている。

 トルコは、複雑な地政学・軍事関係や口論で、文字通り、益々深く墓穴を掘っている。ステルス爆撃機パートナーがおらず孤立している。

 それにも拘わらず、最近中東状況が変化し、古い仇敵が友人となる中、既に深刻な経済不振にあるトルコには、このレベルのステルス爆撃機は必要ではないと論じても許されるかもしれない。

 去年11月、サルマン国王がオリーブの枝をさし出し、この話題を、サウジアラビア皇太子「MbS」が、最近サウジアラビア王国と、その大敵で、トルコのパートナー、カタールとの国境再開決定した後、最大の敵サウジアラビアとの関係が、ここ数カ月、緩和している。これは正面からの取り組みが必要だった、トルコと地政学的に多少の不和があったエジプトとの関係の新局面と同時に起きている。

 それは2012年に選出されたムスリム同胞団とつながるエジプトのムハンマド・ムルシー前大統領をトルコが支持した後始まった七年の関係凍結後に起きた、かなりの変化だ。

 ムルシーはもちろん、蜂起の後、最終的に軍事クーデターで、2013年に退陣させられ、2014年に、アブドルファッターフ・アッ=シーシーが大統領になり、以降、評論家が「強力冷凍」と呼ぶものをもたらした。

 だがこうした新局面が展開する中、主に、2020年12月、ジョー・バイデンがアメリカ大統領になったため、特にイラクが現在イランとサウジアラビア王国間協議を仲介し、中東政治事情にうとい人が見れば、地域で平和が始まっていると推量するかもしれない。

  だが、ここ数週間、トリポリ新政治指導部に対するUAE(やはり、かつての敵)の暖かい新しい態度が、今「軍閥指導者」ハフタル将軍が、彼の宿敵アンカラが自分の手柄にできる新たな雰囲気を固執すると信頼できるかどうか、多くの問題を提起しているリビアで、トルコは依然、勝利者として使えるカードを持っている。

 だがアンカラは、まだ欧州連合で不良役を演じている。欧州理事会議長と一緒にアンカラを訪問した際、ウルズラ・フォン・デア・ライエンEU委員会委員に、彼の横の椅子を与えるのを拒否して、エルドアンは椅子事件という見出し記事に載り、ブリュッセルとはギクシャクした新たな最悪状態の関係だ。アメリカとNATO両方と、ロシアとの新たな対立しか匹敵しないような最低の関係で、トルコ大統領は、孤立している方がより快適で、アトラクションの奇術師のように、皆に次の動きが何か言い当てさせるのを好んでいると思っても許されるかもしれない。確かに、次の大失敗がメディアの脚光を浴びるまで、我々は長く待つ必要はなさそうだ。

 マーティン・ジェイは、イギリスのデイリー・メイル記者として、モロッコ本拠とする受賞したイギリス人ジャーナリストで、CNNやユーロニュースのため、アラブの春について報じた。2012年から2019年まで、彼はベイルートを本拠として、BBC、アルジャジーラ、RT、DWなど多くの国際メディアや、イギリス・デイリー・メイル、サンデー・タイムズやTRT Worldでフリーランス・ベースで働いた。彼は、多数の主要メディアのために、アフリカや中東やヨーロッパのほぼ50カ国で働いた。彼はモロッコ、ベルギー、ケニアとレバノンに暮らし、働いた。

 個々の寄稿者の意見は必ずしもStrategic Culture Foundationのものを意味しない。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/05/03/turkey-new-enfant-terrible-baffles-even-regions-experts/

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 繁華街の花屋さんには、長い行列があった。

 人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます 署名現時点で31万人。

 植草一秀の『知られざる真実』

菅コロナ三原則下でコロナ感染爆発

 岩波書店の月刊誌『世界』6月号 特集1は イベント資本主義─その破局
 『ブラックボランティアの著者、本間龍氏も書いておられる。
 「祝賀資本主義のグロテスクな象徴」

 メディア批評 第162回
 (1)貧すれば鈍するの警句 テレビの向かう先
 (2)悪夢のデジタル庁─個人情報が国家の手に渡るとき

 「NHHと政治変動─再び屈するのか? 」という長井暁氏記事もある。

2021年5月 9日 (日)

「人権」に関するおしゃべりをやめられない世界で最も暴虐な政権

2021年5月2日
ケイトリン・ジョンストン

 この記事を音声で聞く

 「アメリカは、人権と基本的自由に対する我々の誓約から決して後退しない」と水曜日、大統領のツイッター・アカウントに書かれている。「基本的人権が侵害される時、黙ったままでいられる責任あるアメリカ大統領はいない。」

 このツイート、アメリカ大統領の議会演説原稿からの抜粋は、トニー・ブリンケン国務長官により、「我々は常に国内、国外で人権を擁護する」というキャプション付きで、土曜日再びツイッターに投稿された。

 全てのアメリカ国務長官同様、ブリンケンの公的声明は、圧倒的に他の国々が人権を侵害し、それら権利を擁護するのはアメリカの義務だという主張に焦点を当てている。アメリカ政府が、地球上最悪の人権侵害国だという事実を考えると、実に愚かだ。

現実は全くほど遠い。

 

 何百もの軍事基地で地球を包囲し、自分に服従しないどんな国であれ、侵略や代理戦争や封鎖や経済戦争やクーデター画策や秘密活動で破壊しようと努める政府は他にない。地球上、その暴力で何百万人もの人々を殺し、今世紀の変わり目以来、何千万人も強制退去させた政府は他にない。世界に対する無情な支配を永続させるため、外国で、人間に日々多数の爆弾を投下する果てしない戦争している政府は他にない。

 これら行為が人権侵害と見なされないということが、我々の社会で、一体誰が支配的言説を支配しているかについて多くを物語っている。明らかに、我々全員、空から落とされる爆弾で殺害されない人権を持っているはずで、そういうことが通常起こらない国で、もしそれが突然我々に起き始めたら、我々は非常に気が動転するはずだ。人々は世界のそうした地域で物事を進めている連中を認めていないのだから、意図的に子供を餓死させるのは、明らかに人権侵害だ。利益と戦略地政学的支配のために、ある国を瓦礫と混乱に陥れるのは、明らかに人権侵害だ。

 アメリカ政府が直接あるいは帝国加盟国を通して、こうしたことをしない日は一日とてない。それなのに、アメリカ国務長官は、他の国々の政府が人権侵害で有罪だとTwitterで書いて日がな過ごす。なぜなら、権力に関する限り、言説支配が全てなのだから。

 もし大量殺人が「人権」侵害でないなら、人権など無意味な概念だ。だが、たとえ空爆作戦や他の軍事屠殺行為が、読者の個人的な人権の定義に違反しないにせよ、アメリカは人権のことなど気にかけない。

 

 最近ジャーナリストのマーク・エームズが述べたように、数年前、帝国の言説管理者は、フィリピン大統領ロドリゴ・ドゥテルテが横暴な人権虐待者だと報じるのに非常に熱心だったが、最近、この邪悪な獣のような男について、我々は多くを聞いていない。

 一体何が起きたのだろう?ドゥテルテは、麻薬常習者の裁判なし殺害を推進するのをやめ、自発的に、愛嬌ある人権提唱者に変わったのだろうか?

 もちろん、そうではない。

 エームズが指摘している通り、ドゥテルテは、就任以来していたようなワシントンから北京へと方向転換する考えを公式にもてあそぶのをやめて、マニラ長年の帝国大君主を支持し、中国に対し強硬路線に移行したのだ。

 報道が変化したのは、ワシントンと、その帝国スピン・ドクターは、アメリカに中央集権化された帝国の加盟国に換えられるのを認めず、主権を強く主張している中国のように残ったわずかな国々に対して利用できる限り、人権侵害を気にかけるだけだからだ。我々が、これを知っているのは、年々、帝国の行動を肉眼で目にしているためだけでなく、彼ら自身、露骨に、そう言っているためだ。

 

 飽きもせず私が読者に想起させているように、アメリカが、敵に対して武器として利用化できる時だけ、人権を気にかけ、同盟諸国/属国が人権侵害した際には無視する長年の政策を持っていることを2017年に漏洩した国務省メモは実にわかり易い言葉で説明している。

 2017年12月、ポリティコが、前年五月、どぎついネオコンのブライアン・フックが、当時のレックス・ティラーソン国務長官に送った内部メモ公表した。メモは、テレビの新シリーズ試験放送で、先輩ベテランが新入りに、過去の背景を説明するかのように、悪質な沼の怪物が、政治初心者に「人権」は、実際、世界覇権という目標を進めるため身勝手に利用する道具に過ぎないと帝国内の仕組みを説明しているのがわかる有用な手だてだ

 「エジプトやサウジアラビアやフィリピンなど、アメリカ同盟諸国の場合、対テロ作戦や人権に関し、率直に困難な代償に直面することを含め、様々な重要な理由で、良好な関係を強調する上で、政権は十分正当化される」とフックはメモで説明した。

 「現実的な成功する外交政策のための有用なガイドラインの一つは、同盟国を敵とは違って、より良く扱うことだ」とフックは書いていた。「我々は海外でアメリカの敵を強化するつもりはない。我々は彼らに圧力をかけて従わせ、競争し、策略で勝とうとしている。この理由で、我々は、中国やロシアや北朝鮮やイランとのアメリカの関係で、人権を重要問題と考えるべきなのだ。これは、それらの国々の道徳的慣習に関する懸念のためだけではない。人権に関し、そうした政権を攻撃するのは、代償を課し、圧力をかけ、戦略的に、彼らから主導権を取り戻すためでもある。」

 

 帝国主義ブレイン・ワームの世界では、「人権」は、敵対する国際同盟を構築し、侵略や政権転覆作戦への同意をでっちあげ、飢餓制裁と世界を脅かす冷戦エスカレーションを支持する最有力言説を紡ぐために使われるプロパガンダ兵器以外の何ものでもない。それは想像できる限り最も破壊的で悪意ある「大義の大規模悪用」に過ぎない。

 ちなみに、アメリカに標的に定められた政府が、どれほど酷く、暴虐かという、国務省の主張をオウム返しにする読者も、加担しているのだ。読者は、支配者が流布するのに何十億ドルも費やしている言説を流布するのに、無償で加担しているのだ。読者は、そうと知らずに無料奉仕の国防総省宣伝屋として活動して、帝国主義者の仕事を大いに助けているのだ。

 無料奉仕であれ何であれ国防総省の宣伝屋になってはいけない。帝国の懸念のアラシになってはいけない。人権を支持するふりをする地球最悪の人権侵害者を、ただで済ませてはならない。

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 Woke: A Field Guide For Utopia Preppersのハードカバー版刊行を祝って、お好きな金額で利用いただけるPDFを提供している。

 お読みいただいたことに感謝!インターネット検閲を回避して、私が発表する記事を読めるようにする最善の方法は、私のウェブサイトでメーリングリストを購読することで、そうすれば、私が掲載する全てのものについて電子メールで通知が行く。私の記事は完全に読者の支持によるものなので、本記事を良いと思われたら共有し、Facebookで「いいね」し、私のTwitter記事をフォローし、私のpodcastをYoutubeか、soundcloudか、Apple podcastsか、Spotifyでチェックし、Steemitをフォローし、PatreonPaypalに投げ銭していただきたい。更に多く読みたいとご希望なら、私の本を購入可能だ。私が一体誰で、私がどういう立場で、この場で何をしようとしているのかなどについて、より詳細をお知りになりたい場合には、ここをクリックください。人種差別的サイト以外、どなたでも無料で、お好きなあらゆる方法で、この記事のどの部分でも(あるいは私が書いた他のあらゆる記事も)再配布したり、使用したりされるのを私は無条件に許可している

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記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com/2021/05/02/worlds-most-tyrannical-regime-cant-stop-babbling-about-human-rights/

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 「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます」署名
既に29万人を、こえている。

 デモクラシータイムス 今回も、昼の洗脳白痴番組と対照的な正論。

場当たり「緊急事態」のむなしさ 「五輪中止」の声、沸騰!

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名も正論。

コロナ感染拡大。大局的にみて、対応は(1)コロナ感染検査、陽性者の隔離―中国、韓国、(2)外国人入国への厳しい措置。―台湾。米国・欧州等も実施、(3)ワクチンの広範な接種―イスラエル、米国、英国。日本は不徹底。感染拡大は安倍・菅政権の失政によるもの。

 日刊IWJガイド 国民投票法改悪に反対し、その危険性を訴え続けている。大阪の自分ファースト政治にも触れている。

■医療崩壊で入院できず、自宅療養中の死者続出が報じられる大阪府で、コロナ感染の維新府議が感染即入院!「上級府民」「維新でなければ人にあらず」とのネット上の批判に大阪維新の会代表でもある吉村洋文府知事は説明なし!

 日本人ほど「蛙の王様」が好きな国民、ほかにいるのだろうか。

2021年5月 8日 (土)

一時代の終焉?アフガニスタンは今や請負業者の墓場でもある。

 絶頂時、彼らはアフガニスタンで約90,000人の影の軍隊を構成していたが、彼らの問題ある権勢は終わりつつある。

2021年4月27日
Kelley Beaucar Vlahos
Responsible Statecraft


 9/11事件後の戦争請負業者、米軍向け警備や尋問サービスは言うまでもなく、食糧や輸送や燃料や建設や保守やIT提供業者の黄金の年月は終わりつつあるように思われる。

 9月までの(期待される)アフガニスタンに残る兵士3,600人撤退で、そのうち6,147人がアメリカ国民であるアメリカ給与支払い名簿上の約17,000人の請負業者にも注意が向けられている

 「我々が撤退するにつれ、アメリカ請負業者も撤退するだろう。それは現在の撤退計画の一部だ」と先週の記者会見で米中央軍司令官ケネス・マッケンジー中佐が述べた。

 政府が、企業と撤退期限を遥かに超える多くの契約しているという以前の報告にもかかわらず、アフガニスタンでのアメリカ作戦の攻勢は減っており、撤退が始まったように思われる。たとえそれが多少時間を要したり、アメリカが9月11日以降、アフガニスタンで何らかの駐留を維持するのに成功したりするにせよ、民間部門の規模は、アフガニスタンに90,000人以上請負業者がいた2011年の絶頂時ほど決して大きくはあるまい。現在を含め、時に請負業者の人数の方が制服組人員より多い。

 大局的に見ると、2011年に、イラクとアフガニスタンには、145,000人の現役軍人に対して、155,000人の請負業者がいた。請負業者が要員の62パーセントを占めていたのだ。請負業者に払われた金は気が遠くなるようだ。アフガニスタンだけで、業務のために、2002年以来、1040億ドル、過去5年だけで、ほぼ90億ドルだ。

 請負業者に、それほど依存したことで、問題がおきた。KBRなどの子会社を持つハリバートンのような巨大企業が、そこにつけこんだ。駆け出しの頃、不当な高値を付け、詐欺の現場をおさえられただけでなく、更にひどいのは、彼らはもっと金をもうけるために手を抜いた。イラク中で兵隊を感電死させた、頑丈でない、欠陥シャワー電気設備を誰が忘れることができるだろう?基地の危険な飲料水傷んだ食物

 更に、アブグレイブで被収容者を拷問にかけるのを助け、ニスール広場で一般人を虐殺した請負業者がいる。秘密裏にCIAと活動した武装傭兵が、兵士を訓練し、高官を警護した。

 多くの人々が新聞で言及もされずに亡くなり、国防総省や退役軍人省の医療保険の恩恵もなしに、負傷し、病んで帰国した。民間部門に頼ることで、アメリカ政府が、より安く、より長く、数カ国で戦争ができる方法の大規模実験で、彼らは本当に影の軍だった。だが、それは安上がりだったわけではなく、費用はドルだけではない。請負業者がアフガニスタンで行った肯定的なものに、我々が去った後には、文字通り、持ちこたえられないだろう学校や病院や、何らかの施設。タリバンに対抗するのが可能でないだろうアフガニスタン保安部隊、崩壊するだろう橋やインフラ。援助は腐敗しやすいもので、腐敗した。

 ハリバートンやKBRやブラックウォーターは過去の名前だ。だが連中は金を手に入れ、「帝国の墓場」を気にかけない。現在アフガニスタンで軍に物流支援を提供しているフルーア・グループなどの連中は宴が終わるのを見るだろうし、彼らはそれを感じつつある。

 その多くがアフガニスタンで働いている政府請負業者400社を代表するProfessional Services Council理事長のデイビッド・ベルトーが「これを適切に実行する線表は既に余りにきつい」と述べた。「我々には何年もない、我々には数カ月しかない。」

 どんな良いことにも終わりがある、そうではないか?

Kelley Beaucar Vlahos

記事原文のurl:https://responsiblestatecraft.org/2021/04/27/end-of-an-era-afghanistan-is-now-graveyard-of-contractors-too/

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 「ベゾスのブログ」と呼ばれるワシントン・ポスト、通常全く読まないが、ぼったくり男爵、Baron Von Ripper off記事はさすがに読んだ。

  五輪開催中止 署名サイト、やっとみつけた。

 恫喝男速記者会見、時間の無駄なので見なかったが、今朝の日刊IWJガイド報道で「ひどさ」は十分わかる。

 日刊IWJガイド・連休特別公開版「コロナ無策と国民の苦しみにつけ込む惨事便乗改憲による戦時独裁体制樹立を許さない! 真実を報じるIWJに皆さまのご支援をお願いします!」2021.05.08号~No.3159号

 かなり長く引用させていただこう。是非、全文お読みいただきたいもの。

 そのような中で、産経新聞のスギモト記者が改憲による緊急事態条項について、以下のように質問しました。

 「総理は5月3日の集会で、緊急事態条項について『極めて重い、大切な課題である』というふうに発言をされました。さらに新型コロナウイルスの対策で国民の関心も高まっているという発言をしたと思いますけど、現行憲法下においても政府は国民の私権を制限するような感染対策を行なっていると思います。緊急事態条項がなければ取れないような感染症対策、具体的にどういったものを念頭に置かれていますでしょうか?」

 改憲大賛成が社論の産経の記者の質問です、改憲による緊急事態条項によって、思い切ったコロナ対策の手が打てる、こんな手がある。だから改憲に緊急事態条項導入が必要であり、そしてそれによってコロナ禍から日本は救われるのだ、と言わせたかったのでしょう。

 しかし、この産経記者の、総理を「アシスト」するはずの質問がアダとなりました。

 この質問に対して菅総理は、以下のように回答しました。

 「まず、これ、憲法改正につながるわけでありますけども、まあ具体的内容については、内閣総理大臣の立場で、私、記者会見していますので、えー…。

 まあ、緊急事態に対応する規定っていうのは今、参議院の緊急集会しか、これ、ないわけでありますので、現実のこのコロナ対策を行なっていく中でですね、このまん延防止、この、コロナの感染が拡大する中で、海外の国を見ると、強制的な私権制限がない中でできるということもあります。

 そういう中で、やはりこの緊急事態に備える中で、やはりえー、コロナ禍に、中で、備えるのかでですね、やはり緊急事態の、国民の皆さんは、関心は高まっているだろうというふうに思ってます。

 えー、政府として…、例えば…、そこの、ワクチンの、治験についての、非常に、国内治験というものも、これ、求められてます。えー、どしても、3、4ヶ月くらいはかかってしまいますので、なかなか、摂取も遅れてしまうとか、いろんな問題が、今回のことで、えー、浮き彫りになったというふうに思ってます。

 特にこの、感染症ということを考えた時に、落ち着いたら、そうしたことを検証して、対策を考える必要がある。こういうふうに思ってます」

 菅総理はかなり慎重に言葉を選びながら、なおかつしどろもどろになりながら、まったく中身のない答えを繰り出しました。

 緊急事態条項を憲法に新設しなければできないコロナ対策など、何もないことを、はからずも露呈してしまったわけです。

 にもかかわらず、改憲による緊急事態条項を進めようとするのは。コロナ対策のためではなく、米国の求めに応じて対中国との戦争のための戦時独裁体制を作り出すためであり、それをストレートに国民に表明して、賛成や納得を得ることはできないとわかっているからこその「しどろもどろ」だったのではないでしょうか。

※菅内閣総理大臣記者会見(首相官邸)
https://youtu.be/JQToREhmf-c

 昼の洗脳痴呆番組、終始国民投票法改定案に全く触れていなかった(と思う)が、最近若い男が出る。(もちろん音声は消している。)検索してみると、軍港市長の伜、環境大臣のお友達。他には、忖度弁護士、政府広報担当者、自称ジャーナリストや御用タレント。番組を見ていれば自動的に現状維持、いや破壊の言説を吹き込まれる。大本営広報部の報道を装った呆導、聞くだけ無駄。聞く価値がある発言は、書店でお金を払うか、図書館で借りて読む必要がありそう。もちろん、上記のような、商業マスコミでない組織の活動もある。

2021年5月 7日 (金)

今中東でゲリラ戦争に直面するアメリカ占領軍

2021年4月28日
ウラジーミル・ダニーロフ
New Eastern Outlook

 最近数十年、アメリカ合州国は、破壊的行動によって混乱に陥れた国々の住民の利益を全く無視することで知られている。このような国々には、アフガニスタンやイラクやシリアが挙げられるが、問題は、この無視のおかげで、ワシントンが反米感情の着実な増加だけでなく、これらの国の人々が始めた報復的軍事行動に直面していることだ。

 原理上、第二次世界大戦中、外国の敵対的勢力に圧迫されていると感じる人々の間で、パルチザン運動が圧倒的な支持を得て、占領軍に対して類似の攻撃が世界各国で行われて以来、この進展は、ほとんど驚くべきものとは言えない。

 国防総省が、それらの国々でしていることを、占領という用語を使わずに表現する方法は、まずない。それで、盗んだシリア石油をイラクに輸送するために、タンクローリー300台の軍用車列の使用に加え、4月11日、アメリカ軍は、ハサカ県からイラクまで、盗んだシリア石油を輸送するために使うタンクローリー41台の小さな軍用車列を編成したとシリア政府機関SANAが報じている。

 石油泥棒の絶え間ない非難に加えて、地元博物館からの古代遺物の組織的略奪や、シュメール-アッカド文明時代に作られたパルミラのユネスコ文化遺産遺跡破壊のかどで、シリア当局と公共団体がアメリカを告発している。典型的には、アメリカは特定地域に空襲を開始し、そこは親欧米派過激派戦士に占領され、彼らが古代建築をあさり回り、略奪品を最寄りのアメリカ基地に持ち込み、そこから古代写本が軍用機によってアメリカに空輸される。メディアの情報提供者によれば、約2.8兆ドルの価値の歴史的遺物が、既に、このようにしてシリアから盗まれた。他の人々は、シリア国民の遺産丸ごと既に彼らから盗まれ、ワシントンに売られたと主張している。

 ダマスカスが繰り返し、国連安全保障理事会に提出する、アメリカはシリア国富略奪をやめるよう要求する主張に加えて、最近、シリア外務省は、アメリカ外交政策の結果、シリアに与えられた損害と破壊に対し、ワシントンの補償を要求した。

 4月初旬、シリアとロシア当局は、シリア・アラブ共和国領で継続中のアメリカ軍駐留に対する、いかなる正式理由も、ワシントンに欠けていることに注意を当てて、国際社会に、この事実を説明をするようアメリカに促した。ロシア・シリア調整本部の共同声明は、国連安全保障理事会の適切な決定がなく、ダマスカスからの公式招待がないシリア領における米軍駐留は、シリアと地域全体で状況を悪化させる占領だと指摘した。同時に、シリアにおける米軍駐留が、既に中東全体でテロ活動再開を招いていると付け加えた。さらに、文書は、アメリカが「シリア・アラブ共和国の天然資源や他の宝物を略奪し続ける」ため、シリアで混乱と混迷を維持することで利益を受けるのは明確だと強調した。

 アメリカや、多くの国際機関から、目に見えるいかなる対応もなく、米軍が全くお咎めなしでシリアを略奪するのを可能にしているため、シリアの人々はゲリラ戦術を用いている。それで、4月15日、デリゾール北に位置する米軍事基地の一つは、誰も攻撃に対する犯行声明しないことを意味する「出所不明」ミサイル攻撃の標的になった。イラクのテレビ局Al Etejahによれば、現地情報源を引用して、この攻撃の結果、多くのアメリカ軍人が負傷し、速やかに近くの病院に搬送された。

 メヘル通信社や他の地域メディアによれば、ミサイル攻撃は「シリア石油違法輸出に責任がある本部」に標的を定めていた。この攻撃の犯人は不明なままだ。それがバッシャール・アル・アサド側で戦っている親イラン派民兵か、ワシントンがシリアで採用しているアメリカの路線と意見が違う他の過激派組織によって行われたと想定される。同時に、これまで数カ月間にわたり、シリアの東と北東で、多くのアメリカ施設に行われた類似の攻撃があった。これまでのところ、ワシントンは九つの軍事施設を建設している。四つは、デリゾール県と、隣接するハサカ県に五つだ。地元住民が占領軍と見なすものに対し、更なる行動をしようとしているのを知って、アメリカは、昨年9月以来、シリアにおける施設を強化しようとしている。

 シリアの米軍に対する地元住民の暴力行為の他に、隣接するイラクでも益々類似の事実が見られる。イラク・メディア報道によれば、4月中旬、アル・アサド空軍基地は、三機の無人飛行機による攻撃を受けた。中東地域で「抵抗勢力」に近いイラクのTelegramチャンネル、Sabereen Newsは、エルビル地域での攻撃後、アメリカ施設に対して行われた一週間で二度目の攻撃だと報じた。二日後、イラクの更にもう一つの空軍基地、バラド空軍基地が攻撃を受けたが、地元の人々は、アメリカ軍人がその軍事施設周辺に住んでいるのを知っていた。ジョー・バイデン就任以来、総計40以上あった、この種のミサイル攻撃は、米軍や外交要員を標的にイラクで実行されている。通例、誰もこのような攻撃の犯行声明をせず、時には誰も知らない集団によるとされるが、一部の専門家によれば、長い間イラクに存在しているイランに支援される組織の「偽装」かもしれない。ダーイシュ(ロシアで活動を禁止されているテロ集団)を撃退する狙いで、テヘランの支援で2014年に設立された人民動員隊(Al-Hashd Al-Sha'abi)の高位の親イラン派人物、カイス・ハザリは、最近「アメリカ占領に対する抵抗戦力は、アメリカに対し多くの攻撃を実行したが、もしアメリカがイラクの全地域から全ての戦闘部隊を撤退させなければ「彼らは必ず攻撃を強化する」と述べた。

 ウラジーミル・ダニーロフは政治評論家、オンライン誌「New Eastern Outlook」独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/28/american-occupation-forces-are-now-facing-partisan-warfare-in-the-middle-east/

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 洗脳痴呆番組で続々大臣が出演し、ウソをまくしたてる(と思う。音を消しているので。)。昼のゴミ番組、ただほど高いものはない。

 ウソのつき方も前任者をしっかり引き継いでいる。速記者会見は、スルーかウソ、二者択一。

 LITERA

菅首相が「人流は間違いなく減少」と真っ赤な嘘! 東京駅前は昨年の1.8倍、大阪駅前も2.6倍、感染者減少も検査数が大幅に減っただけ

 植草一秀の『知られざる真実』

立憲主義破壊に加担する立憲民主党

 IWJは、首尾一貫して、憲法改悪問題を追求している。

日刊IWJガイド・連休特別公開版「昨日6日、独裁条項を憲法に盛り込むための、国民投票法『改悪案』が衆院憲法審査会で可決!IWJはこの改憲案の危険性を世に訴え続けます!」2021.05.07号~No.3158号

 日刊ゲンダイDIGITAL

コロナ禍で改憲目論む 自民案「緊急事態条項」の正体とは

 LITERA

コロナのさなか自公が高齢者の医療費負担を2倍にする法案を強行採決へ! 厚労委でコロナ対策の議論より医療削減優先する異常

 今日の孫崎享氏のメルマガ題名

ワシントン・ポスト・コラムで、バッハ会長を「ぼったくり男爵」と呼び、「IOC収益を自分達に、費用全て開催国に押し付ける。今莫大な医療負担を日本に強いる。日本は“損切”で対応すべし」と強調。別途桑港クロニクルも世界コロナ下、今夏の東京五輪中止すべし

2021年5月 6日 (木)

緊張が悪化し、直接対決に向かうイスラエルとイラン

2021年4月29日
ウラジーミル・プラートフ
New Eastern Outlook

 イランとの「核合意」へのアメリカの復帰可能性を背景に、テルアビブは、最近明らかにテヘランの核開発計画を傷つけ、この産業のみならず、イスラム共和国全体に損害を与えるため諜報機関の活動を強化している。同時に、イスラエル当局は、彼の前任者が2018年に離脱した核合意を復活させたいバイデン大統領の希望に対する不快感を隠そうとしていない。4月11日、ベンヤミン・ネタニヤフは、イランとその「衛星諸国」に対する戦いは、イランの軍備増強同様、ユダヤ国家の「途方もなく大きな課題」だと述べた。

 イランを主な敵国と考え、イスラエルはテヘランの核施設を以前破壊工作し、サイバー攻撃から、昨年11月の重要な開発者の待ち伏せ攻撃を含め、核開発計画の多数のイラン核科学者を殺す直接の暗殺まで様々な方法を開発している。

 ジョージ・W・ブッシュ大統領政権以来、イラン核開発計画を妨害する秘密協力の長い歴史で、イランに対する妨害行動で、テルアビブは常にワシントンの支援を得ている。おそらく、この共同作業で最も有名な作戦の一つは「オリンピック」という暗号名を付けられたオバマ政権時代のサイバー攻撃だった。結果的に、イランのナタンズ核センターで約千基の遠心分離機が運転中止となり、イランのウラン濃縮計画を何カ月間も遅らせた。

 4月6日、両国間で進行中の宣戦布告なし海戦の形で、もう一つの対決が起きた。紅海のジブチ海岸近くで、ニューヨーク・タイムズによれば、イスラエル軍が、イラン船サヴィズ号に対する機雷攻撃を始めた。イラン側報道によると、この船はイランにとって「物流ハブ」役を演じるこの地域の海上警備と、地域で活動する海賊からイラン商用船舶を守るため、紅海とアデン湾に配備されていた。3月に、ウォールストリート・ジャーナルが報じたように、既に2019年以来、テルアビブが、少なくとも12隻のイラン船舶、特に石油製品をシリアに輸送する船舶に対する攻撃を実行していることを想起すべきだ。だが、その期間、アメリカとEU制裁を迂回し、イランからシリアに石油製品を輸送していたタンカーに対する数十の攻撃があったのだから、ウォールストリート・ジャーナルは「イスラエルが、これまで二年半にわたり、イランに対して行った経済戦争の氷山の一角」を明らかにしたにすぎないとイスラエル新聞ハーレツは主張している。結果的に、イランは何十億ドルもの損害を受けたと、イスラエルは指摘している。紅海からシリア海岸までの様々な地点で、イラン船舶は、あらゆる方法で攻撃されたことが書かれている。

 サヴィズ号事件以外に、4月11日、イランのナタンズのシャヒード・アフマディローシャン原子力発電所で、もう一つの人為的事故があり、ニューヨーク・タイムズによれば、アメリカとイスラエル諜報関係者による犯行だ。

 このような状況下で、テヘランは、またしても、攻撃が報いを受けずには済まないことをイスラエルに知らせるための対応で極めて困難な選択に直面している。当然のことだが、イランは、その報復が、欧米が核合意を復活するのを阻止しないことが確実な方法を見いださなければならないのだ。

 4月12日、イラン外務省のサイード・ハティブザデ報道官は、ナタンズ・ウラン濃縮工場破壊工作に対し、イランはイスラエルに報復するつもりだと述べた。「この事件に対するイランの対応は適切なときに適切な場所での報復だ。もしこの発想の狙いが、イラン核能力を弱めることなら、それは逆効果だ。我々は故障したIR-1遠心分離機を先進的なものに置き換える。」同時に、イランのモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外務大臣は、アメリカが核計画に関する現在の交渉で、イランに対する経済、核テロを手段に利用するのをやめければならないと述べた。

 イスラエル秘密情報機関に対するイラン報復の現実を理解して、4月12日、イスラエル総保安庁(シャバック)とモサドは、国外でのイスラエル人誘拐や殺人計画というイラン諜報機関活動について、インターネットで国民に警告した。だがイランはイスラエル諜報工作員を一度も拉致しておらず、他方イスラエルは活発にそのような方法を使い、イラン核科学者のみならず多くの政界実力者をも誘拐し殺害していることを明確にすべきだ。

 わずか数日後の4月13日、イラン通信社FARSは、非公式情報源を引用し、北イラクで「武装集団」が、イスラエル諜報機関モサドに属する諜報センターを攻撃し、数人のイスラエル兵士を殺害し負傷させたと報じた。

 4月13日、イスラエル車両輸送船ハイペリオン・レイがUAE海岸付近で攻撃され、軽度の被害を受けたことも知られるようになった。

 イラクでのイスラエル諜報センターやイスラエル船に対する攻撃は、イスラエル諜報機関によるナタンズ原子力発電所に対する攻撃や他の最近の破壊活動に対するイランの報復だったかもしれないと、アラブ・メディアは推測している。

 それにもかかわらず、イスラエルは石油をシリアに輸送するイラン・タンカーに対し、宣戦布告無しの軍事行動を続けた。そして、4月24日土曜日、バニス近くのシリア沖で、石油輸送船で火事が発生した。シリア人権監視団によれば、3人が爆発で亡くなった。テルアビブとテヘラン間の宣言されない海戦の、これ以上の悪化を避けるため、ロシアはイラン石油タンカーや、シリア向けの様々な貨物船を防衛すると決めたと、軍情報部専門のDEBKAfileウェブサイトを引用して、イスラエル・テレビ局9TVが報じた。

 先日イスラエル空軍は、再びシリアのイラン基地を攻撃した。これに応じて「不明な部隊」が、イスラエルに向けて旧式のソ連製対空ミサイルを発射し、一発がディモーナのイスラエル原子炉から約30キロの地点に着弾した。

 最終的に、お互いの直接軍事行動をもたらしかねないので、イスラエル・イラン対決の最近のエスカレーションは中東地域だけに重要なわけではない。彼らの脅威は、二国がお互いの行動が、地域の国々のみならず、世界の大きな部分に非常に深刻な影響を及ぼしかねないそれぞれの原子力発電所を益々巻き込みつつある事実によって悪化している。

 今日、既に両国とも互いの原子力発電所を難なく攻撃できることを示している。だがイスラエル攻撃は、現在のレベルのイラン核開発計画では、さほど壊滅的でない損害をもたらすが、イスラエルのディモーナ核センターへのイランによる攻撃は、この施設のプルトニウム原子炉に損害を与え、深刻な結果をもたらすだろう。

 この状況で、世界共同体にとって、このようなイスラエルとイラン間の対立進行を止める必要性が、これほど緊急だったことはない。アメリカと全世界は、イスラエルがイランに対する挑発行動やイラン原子力発電所や核科学者に対する10年以上に及ぶ攻撃を奨励するのを止め、核合意更新を含め全ての問題を交渉で解決しなければならない。

 ウラジーミル・プラートフは中東専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/29/israel-and-iran-tension-spiraling-into-a-direct-confrontation/

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 コロナ流行につけこんでの、ショック・ドクトリン。憲法破壊、緊急事態条項導入進行中。

 音声をださずに昼の痴呆バラエティー、見ていたが、当然ながら憲法破壊の策謀に触れるものは皆無だった。穴埋めはドンファン問題や、花火自動車。それが仕事。

 植草一秀の『知られざる真実』

国民投票CM規制を先送りするな

 日刊IWJガイドは触れている。

日刊IWJガイド・連休特別公開版「本日、コロナ禍を悪用しての自民党改憲のための国民投票法「改悪」案の採決! IWJは、国民投票法「改悪」案採決に明白に反対します!皆さまからのご支援で活動を支えてください!」2021.05.06号~No.3157号

 一部をコピーさせていただこう。

まともな政治家、まともな政党、まともな民主主義者、まともな愛国者であれば、真っ先にそうしているはずです。比喩ではなく、庶民は菅政権によって落とさなくてもいい命を落とし、その上でこの悲劇を、次の悲劇の準備のための仕掛けに利用しようとしているのです。

 繰り返しお伝えしていますが、国民投票法改悪案の成立を急ぐ理由は、国民に真実を知らせないまま、戦時独裁体制の樹立につながる緊急事態条項の入った自民党改憲案を成立させるための手段です。IWJは、国民投票法「改悪」案採決に強く反対します! 

 さらに、これまで、米軍と自衛隊は国会のコントロールや、メディア、国民の監視の届かないところで、密かに垂直に統合され、対中国との戦争準備を重ねてきました。米中覇権争いの道具として自衛隊が使われ、日本列島が戦場となるというシナリオです。

 自民党改憲案の中に埋め込まれた「緊急事態条項」が、国会発議、国民投票を経て憲法に書き込まれ、発令されてしまえば、国内的には、戦時独裁体制の確立、対外的には、米国の手先として対中戦争に自発的に参戦させられ、日本が戦場となることを、IWJはこれまで多くのコンテンツを通じて指摘し続けてきました。

 しかも、日本は原発54基を抱えたまま、戦争に突入しなければならなくなるのです。日本列島が核汚染されれば、日本国民はこの列島に生きてゆくことができなくなります。

※コロナ禍に便乗した邪悪な改憲への悪質な誘導はもう始まっている! その先には独裁と「原発を抱えたまま破滅的な戦争への突入」が待っている!!(日刊IWJガイド、2021年5月4日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/48745#idx-5

 田中康夫氏は鋭い。

 

2021年5月 5日 (水)

ワシントンは熊のわなにエルドアンを誘い込んだのか?

2021年4月29日
F.William Engdahl
New Eastern Outlook

 先進的なS-400ロシア防空システムをトルコが購入するのを阻止し損ねた後、ここ数カ月、ワシントン外交は、ウクライナ、アフガニスタンやリビアからアルメニアまで、いくつかの重要な国々におけるアメリカの権益を支持するよう、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の「姿勢を変える」のに、まんまと成功したように思われる。リラ急落で、トルコ経済は大惨事の瀬戸際で、ワシントンの身勝手な戦略家が、手練手管のエルドアンを、命取りの熊のわなに誘い込んだように益々見えてくる。

 ワシントンや、トルコが重要なメンバーであるNATOから、ロシアやイランや中国に寝返った政治的カメレオン、トルコのエルドアン大統領は全ての相手を自分に有利に動かす名人と呼ばれている。

 2016年、忠誠を度々裏切るエルドアンに、ワシントンがうんざりして、彼を暗殺して、CIAが支配する亡命中のフェトフッラー・ギュレンのネットワークを権力の座につけるためクーデターの企ての背後にいたと彼はCIAを非難した。クーデターは失敗し、ロシアの諜報機関が情報を傍受してエルドアンに伝え、彼の命を救ったと報道された。その後、モスクワとの関係は著しく改善した。2015年11月、シリア領空で、トルコのジェット戦闘機がロシア戦闘機を撃墜した戦争行為に対する報復として、ロシアはロシア観光客にトルコへの厳しい旅行禁止令と、トルコの輸入食品に禁止令を課した。ロシア制裁は、トルコ経済に強烈な打撃となった。

 そこで、エルドアンは、モスクワに向かって移行を始めた。2017年、トルコはワシントンとNATOが繰り返す抗議を無視して、世界で最も進歩していると言われる先進的なロシアのS-400航空防衛ミサイルシステムを買うことに同意した。同じ時期、2016年10月、ロシアが、トルコ向け黒海ガス・パイプライン、最初の二本のトルコストリーム建設を始め、更にアンカラとワシントンを遠ざけた。

2018年リラ危機

 2018年までには、ワシントンとアンカラの関係は、控え目に言って緊張していた。アメリカの三大格付け会社、フィッチ、ムーディーズとS&Pは、全て、エルドアンの最近の敵対的な政治的動きを引き合いにして、トルコ国債を「ジャンク」級に格下げした。その結果、リラが自由落下し、中央銀行に利率を急激に引き上げるよう強いて、その過程で経済成長が締め殺された。2018年8月までに、アメリカは、2016年のギュレン・クーデターの企てのため、アンドリュー・ブランソンとスパイ活動のかどで告訴された他のアメリカ国民の保釈を要求して、トルコに経済封鎖を課していた。インフレーションが進む中、トルコの鉄鋼とアルミニウム輸出は、二倍になったアメリカ関税で打撃を受けた。エルドアンの同盟者で仲間の、ムスリム同胞団の後援者カタールの、トルコに150億ドル投資するという公約が、問題を鎮静することに成功し、それに続く、エルドアンの北京訪問が、中国の支援で、数十億の追加支援を確保した。トルコ外務大臣は、政治的な理由で、リラ危機の背後にいたと「外国勢力」を非難した。

 2019年、イスタンブール市長という重要な政治的とりでの衝撃的に失った後、エルドアンは明らかに、欧米、特にワシントンに対する彼の「有用性」を改善しようと試みた。彼は2023年末、重要な国政選挙に直面するが、もし経済が低下し続ければ、彼は権力を失いかねない。トルコが特にロシアの権益に打撃を与えた際、ドナルド・トランプと、今はジョー・バイデン両者が、トルコの支援を歓迎しているように見えた。それで、2019年に、ロシアに後援されるハフタル大将の軍との戦争で、NATOの承認を得て、ワシントンが支援するトリポリ政府に、トルコが物資と軍事援助を与えて、腐敗したトリポリ政権の破たんを避けた。エルドアンはプーチンとロシアに間接的に反抗したのだ。

 同様に、2020年9月「アルメニア-アゼルバイジャン戦争」発生時には、ロシアのユーラシア経済連合のメンバー、アルメニアに対する、イスラム教同盟国アゼルバイジャンに、トルコは極めて重要なドローンと軍事顧問を提供した。今回はロシアのすぐそばでの、もう一つのロシアの戦略的権益に対する間接的なトルコ攻だった。

 2020年10月、ナゴルノ・カラバフでの、アゼルバイジャンの重要な軍事進撃後、エルドアンはアゼルバイジャンの「自身の領土を守り、占領されていたカラバフを解放した偉大な作戦」を称賛し、トルコは「友好的な兄弟のようなアゼルバイジャンに、全力と全身全霊で」と共にあり続けると述べた。報道によれば、プーチンは、喜んではいなかった。

 トルコとアルメニアの関係は敵対的だが、それはオスマントルコが民族浄化で150万人以上のアルメニア人を絶滅した責任を課された第一次世界大戦に遡る。1920年から、1991年の崩壊までソ連邦の一部だったアルメニアに対し、トルコは現代も大量虐殺の責任を激しく拒絶している。

 4月10日、バイデン・ホワイトハウスが、ウクライナに、現在ロシアの一部であるクリミア半島同様、独立したドンバス地域を取り戻すため軍事行動をするよう圧力を強化する中、エルドアンは、軍事協力で会談するためウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領をトルコに招待した。イスタンブールでの会談後、エルドアンは二人の大統領が、ドンバスを、ロシアの黒海艦隊基地クリミアと同様、キエフに戻すというウクライナの要求に対するトルコの支持を含む20項目の戦略的合意に署名したと発表した。ウクライナでのCIAが支援したクーデター後、2014年3月、クリミア住民が住民投票を行い、圧倒的にロシア加入を票決し、控え目に言っても、NATOにとって不快なことをしていた。加えて、エルドアンは、4月10日、ウクライナがNATO加入を目指すのを、トルコは支持すると発表したが、これはモスクワに対する直接的な戦略上の脅威なので、極めて危険な問題だ。

 既に2020年1月、トルコとウクライナは、ウクライナが6億ドルの巡航ミサイル・エンジンをトルコに提供する合意を含む本格的な軍事貿易協定に署名した。ウクライナは、S-400を巡るアメリカの対トルコ制裁を回避して、トルコ軍にドローンのエンジンも提供する。最近トルコはドンバス戦士に対して使用を計画しているウクライナ軍に、バイラクタル TB2無人戦闘航空機を再販した。要するに、エルドアンは、ここ数カ月、ロシアに対するアメリカ行動を支持する多くのことをしてきたのだ。

 大量虐殺のミステリー?

 だから、4月25日、アメリカのバイデン大統領が、NATO同盟国トルコに対し、1915年に、アルメニア人大量虐殺の罪でトルコを告発する最初のアメリカ大統領になったのは一層不思議だ。トルコがNATOに加入して以来、アルメニア人大量虐殺の話題は、アンカラが繰り返して明らかにしている通りタブーだった。アメリカ政権の反ロシアの思惑で、エルドアンが鍵となる支援役を果たしている、まさにその時、バイデンや補佐官が、なぜ106年前に行われたアルメニア人に対する大量虐殺を、オスマントルコのせいにする必要があると考えたのだろう?

 先月エルドアンが、中央銀行総裁を解雇し、党のお仲間で置き換えて以来、リラ危機が再燃し、トルコは2018年より更に脆弱になっている。この時点で、ワシントンが手練手管のエルドアンを熊のわなに追い込んだように思われる。もし彼の新中央銀行総裁がリラ危機の中、経済を浮揚させるために利率を切り下げようとすれば、何百億という欧米の投資資金がトルコから逃げ出し、2023年の国政選挙前に、経済を、おそらく2018年より、もっとひどい状態に陥りかねない。何年もの間、トルコ企業は、トルコよりはるかに利率が低いドル債券市場に頼ってきた。経済がコロナ危機で打撃を受け、covidリスクを口実に、しかし明らかにエルドアンの最近の対ウクライナ行動に関連して、観光事業が再び六月までモスクワに阻止される中、リラ下落は特にドルでの返済を遥かに高価にする。

 エルドアンは、この侮辱に即座に反撃した。戦略的に重要なNATOインジルリク空軍基地の外で抗議が始まり、トルコ人はアメリカ兵撤退を要求している。

 4月24日、ワシントンが予定しているアルメニア人大量虐殺文書をエルドアンに通知した一日後、エルドアンはイラクとシリアで軍事行動を開始した。トルコ軍は、トルコ南部のシリアとの国境におけるテロの脅威を「完全に終わらせる」クロウ・ライトニング作戦を再開したと発表した。それはダマスカスに対して、アメリカが支援しているPKKクルド人陣地への空襲を伴っている。トルコは、PKKクルド人はトルコを脅かすテロリストだと主張している。同時にトルコ軍は、戦車、歩兵戦闘車、大砲、ロケット発射装置、監視システム、ジャマーや防空システムを含む重装備武器や何千という兵隊がいる大イドリブにおける彼らの陣地を強化した。2018年以来、トルコのイドリブ駐留は、ロシアと共同でシリア領での相互の段階的縮小を監視するとされていた。

 アラブ諸国との関係修復

 より驚くべきは、アラブの近隣諸国との関係を修復すべく、エルドアンは素早く動いていることだ。4月26日、エルドアンの報道官イブラーヒム・カリンは、トルコは、2020年、2018年10月、イスタンブールで、サウジアラビアのジャーナリスト、ジャマル・カショギを残酷に暗殺したというエルドアンの挑発的で極めて公的な非難や、サウジアラビアのボイコットのさなか、カタールに対するトルコの支援を、サウジアラビアが敵対的なトルコの行動と呼んでの、サウジアラビアによるトルコ商品公式ボイコットで、二国間貿易が驚異的に98%も下がったサウジアラビアとの関係改善を期待していると述べた。2013年以前、リヤドは、シリアのアサドに対する戦争で鍵となる当事者だったエルドアンの主要財政支援者だった。トランプ時代からの大きな変化で、ワシントン新政権は、これまでのところ、サウジアラビアに対して非常に冷たい。

 同時にアンカラは、ムスリム同胞団のアメリカに支援されたアラブの春に対する2013年の反クーデターで、エジプト軍がムルシを追放し、アッ=シーシーを支持した時以来、緊張しているエジプトのアッ=シーシー大統領との関係を再構築しようと努めている。もしエルドアンが、サウジアラビアを含め、アラブ湾岸諸国の支持を取り戻すのに成功すれば、湾岸諸国に対するトルコ軍の支援は、中東地政学を、ワシントンに不利なように変えることができるかも知れない。過去二年にわたり、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の女婿セルチュク・ バイラクタルの家族が所有する実戦で証明されたバイラクタル TB2無人戦闘航空機を通して、トルコは驚くべき主要な軍隊として出現した。リビアやナゴルノ・カラバフやシリアで、彼らは決定的だった。

 最初首相として、今は大統領として、20年近く権力を維持しているレジェップ・タイイップ・エルドアンの激動する支配では、次に何が起きるかは益々不確実だ。国政選挙が2023年に予定されており、経済が下落し続ければ、全て帳消しになる。バイデンの「大量虐殺」宣言は、2023年よりずっと前に、ワシントンが彼を吹き飛ばすかもしれないことを示唆している。だが現時点では、結果は確実からはほど遠く、非常に多くが、有効な新同盟を推進するエルドアンの能力に依存している。

 F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/29/has-washington-lured-erdogan-into-a-bear-trap/

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 今日の孫崎氏のメルマガ題名

高木仁三郎氏(2000年死亡)は物理学者。福島原発等に『考えられる事態とは、地震とともに津波に襲われた時 』を警告していた。老朽化原発についても、強い警告を出している。高経年原発の復活の動きがある中、彼の警告を聞くべし、著書『原子力神話からの解放』

 『原子力神話からの解放』については、2011年3月30日に掲載した翻訳記事「福島のメルトダウンが地下水に到達すれば、チェルノブイリより深刻」の後記で触れた。

 デモクラシータイムス 下記番組も、全くの無能政府・首相に全権を与える「緊急事態条項」を、コロナを口実に導入しようという悪辣さを、どなたかが批判しておられた。

【国会女性会議 No16】森×紙×舟山×福島 再選挙・補欠選挙を終えて コロナ禍の東京五輪 20210428

 日刊IWJガイド から 引用させていただこう。

自民党・下村博文政調会長がコロナを緊急事態条項の対象にと発言! 菅総理も権力強化ばかりを口にして「お願い」を「命令」に変えようとする一方、必要な医療体制の拡充はなされないまま!

 5月3日の憲法記念日、改憲派の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が開いた「公開憲法フォーラム」のウェブ会合に参加した、自民党の下村博文政調会長が、自民党の「憲法改正案4項目の一つに掲げる緊急事態条項の対象に、新型コロナウイルス感染症を含めるべきだ」との認識を示し、「『日本は今、国難だ。コロナのピンチを逆にチャンスに変えるべきだ』と強調した」と、4日、共同通信が批判を加えることなく、報じました。

※コロナのピンチをチャンスに 自民下村氏、改憲巡り(共同通信、2021年5月4日)
https://this.kiji.is/761967683903111168?c=39546741839462401

 しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を逆手に取って政治的に悪用し、改憲へとすり替えようとする下村氏の発言に対してSNS上などでは下村発言の内容に批判の声が噴出しています。

2021年5月 4日 (火)

高い発射速度が必要な時は何かおかしいのだが、ミサイルは1発5億ドルする

2021年4月28日
Moon of Alabama

 北朝鮮は、アメリカ合州国を、どのように破壊しかねないか想起させてくれた。

新たに公表された数字によれば、国防総省は、バイデン政権の最初の主要な国防物資調達として、ほぼ180億ドルを使って、北朝鮮やイランから飛来する核弾頭ミサイルを止めるための新型迎撃ミサイルを開発し、生産し、支援する計画だ。
・・・
新迎撃ミサイルは、北朝鮮やイランのような敵から飛来するミサイルに命中し、破壊するよう意図されている。それらはアラスカを本拠とするミサイル基地に配備される予定だ。31機の迎撃ミサイルは、一機約4億9800万ドルと推定される。

新迎撃ミサイルは、2023年の配備が予定され、オバマとトランプ政権にわたり、2019年8月、中止されるまでに、プロジェクトに12億ドルが費やされ、失敗した弾頭計画の失敗を修正するよう意図されている。

 31機の迎撃ミサイルの10機は実験用で、配置されるのは、わずか21機だ。

 飛来する弾頭やデコイに命中する95%の致命確率に達するためには、3発の迎撃ミサイルを発射しなければならない。21機の迎撃ミサイルは、7機の標的を破壊できる。それは、おそらく北朝鮮が持っている数より多い。

 だが、北朝鮮は、ミサイルをMIRV化できる、つまり多目標爆弾を、各ミサイルに搭載するのだ。彼らは高価な核弾頭を搭載する必要はない。七つのデコイを搭載した一機のミサイルは地上のミサイル防衛(GMD)サイロ全てを空にするのに十分だ。それは飛来するか、しないかわからない次の攻撃に対し、アメリカを無防備なままにするだろう。

 おそらく数百万ドルで製造できる一機のミサイルが、新しい180億ドルの防衛ミサイルを簡単に無駄にできるのだ。

 金正恩はMIRV化した朝鮮ミサイルを示す何枚かの写真を発表できるだろうか?彼は、より多くのミサイルを見せ物にするパレードを行うことができるだろうか?それはアメリカを、より多くの迎撃ミサイルを買う気にさせるかもしれない。同じことを繰り返せば、アメリカは破壊される。

 米国会計検査院は、ミサイル防衛庁に関する2020年報告を発表した。予想通り、ミサイル防衛庁は計画より少ししか製造せず、計画より少ししか実験せず、その多くが失敗した。この政府機関丸ごと、目に見える成功の道がない膨大な金の無駄だ。

 ミサイル防衛は兵器製造業者のための浪費事業だ。それが議会が資金供給し続ける唯一の理由だ。

記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2021/04/something-is-wrong-when-you-need-a-high-rate-of-fire-but-the-ammunition-costs-500-million-per-shot.html

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 昨日の東京新聞朝刊「筆洗」話題は、カエルの王様。木片にはあきたらず、強力な王様が欲しいと神様に頼むと、神はへびを与え、カエルは皆飲まれたという逸話。憲法記念日に、憲法を破壊する緊急事態条項を導入するための国民投票法案成立への警告。良い事だろうが、縦横20センチほどの大きな記事を連日掲載しなければ危険は伝わらない。テレビは、憲法破壊のためのあらゆるコマーシャル収入が、政党から財団から企業、あらゆるところから期待できるので、全く触れない。テレビは完全な売国犯罪反社会組織。

 イギリスの新聞The Guardian、理不尽な方針への看護士の方々の怒りを報じている。

Japan nurses voice anger at call to volunteer for Tokyo Olympics amid Covid crisis

 全て五流の傀儡政権、人命を軽んじる上ではジャパン・イズ・ナンバーワン。コロナであれ改憲不沈空部化であれ。

 LITERA

菅首相が日本会議系改憲集会で自らのコロナ対応失敗を「緊急事態条項」にスリカエる詐欺的メッセージ! 国民投票法も強行採決へ

 日刊IWJガイド 再配信記事

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!5月6日改憲国民投票法強行採決を許すな!!】本日午後8時から2018年収録「いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!~5.21 岩上安身によるインタビュー 第872回 ゲスト 永井幸寿弁護士(2)」をフルオープンで再配信!
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

2021年5月 3日 (月)

アメリカ-トルコ関係の越えてはならない一線

2021年4月28日
ウラジーミル・オディンツォフ
New Eastern Outlook

 第二次世界大戦後、トルコは、この地域で何年もアメリカの「右腕」と見なされていたにもかかわらず、最近二つのNATO同盟国、ワシントン・アンカラ関係は目立って悪化し始めた。

 前世紀中、アメリカは様々な状況で、トルコを、典型的に、ワシントンの利益になるよう、アメリカの指示に従うことが期待される目下として扱うのに慣れていた。時折、二国間の絆を悩ませる、どんな些細な問題も、アメリカの強硬手段で処理されていた。結果として、この「同盟諸国」間に重大な意見の相違はなかった。

 近年、トルコは経済的、政治的、軍事的な必要で、アメリカとNATOに依存し続けているが、二国の戦略計画は益々分岐している。2010年代初期、アラブの春が始まると、トルコ指導部の野心が増大し始めた。レジェップ・タイイップ・エルドアンは、この混乱のさなか、更なるイスラム主義と、ワシントンから一層独立した国家主義外交政策を追求する機会を見出した。こうした試みは、ワシントンには非常に否定的に見なされ、二国間関係に悪影響を与えた

 アメリカ-トルコ関係は、2016年、トルコ軍内の派閥が実行したクーデター未遂後、特に目立って悪化し始めた。トルコ指導部は、アメリカに暮らすあるトルコ人が背後におり、彼を匿ったとワシントンを非難した。結果として、アメリカとトルコ間の対話は、それほど建設的でなくなり、それぞれの出来事で、二国間の紛争が悪化するにつれ、アンカラは、ワシントンの同盟者から、ライバルへと変わり始めた。

 ロシアからS-400ミサイルシステムを購入した時、トルコは更に、もう一つのアメリカ指導部から見た超えてはならない一線を渡ったのだ。その後、ホワイトハウスはアンカラに対し、更に、より多くの圧力をかけた。アメリカは、トルコをF-35次世代主力戦闘機計画から排除すると、アメリカ指導部は、レジェップ・タイイップ・エルドアンを「正気に戻す」のに使えるアンカラの他の弱点を探し始めた。

 当初、トルコ指導部、はジョー・バイデン大統領に率いられる新アメリカ政権下で、両国間関係が改善することを期待した。だが多くの政治評論家は、現在のアメリカ外交政策は、新指導部で変わらないと確信していた。ワシントンとの親密な結びつきを持ったメディアのおかげで、トルコの欧米同盟国は異議を唱えるアンカラの人権実績に関し、アメリカの新大統領は、より強硬路線をとるつもりである事実をトルコ政府は、かなり早期に警告されていた。

 それ故、最近のアルメニア人大量虐殺のジョー・バイデンによる正式承認は決して驚きではなかった。そのうえ、4月24日、バイデンはエルドアンと電話会話をし、明らかにトルコを恫喝した。彼は彼が支配しているマスコミを通しても恫喝し、ワシントンの支配から逃れようと試みるトルコ大統領に、もう一つの警告を出した。

 アメリカ報道機関は、ジョー・バイデン大統領が「1915年のアルメニア人皆殺しは、大量虐殺だったと宣言する最初のアメリカ大統領になり、「地域の軍事衝突や外交努力で」アメリカ・トルコ間の協力を傷つけかねないと報じた。報道は、レジェップ・タイイップ・エルドアンと現在のアメリカ大統領は、トルコ大統領がドナルド・J・トランプから受けた「概して温かい待遇と対照的に、過去いくぶん気まずい関係だった」と書いた。

 2019年時点で、50のうち49のアメリカの州が第一次世界大戦中のアルメニア人大量虐殺を認めていた。ドナルド・トランプが大統領だった2019年10月に戻ると、米国下院は第一次世界大戦中のアルメニア人大量殺人を大量虐殺と認めることに賛成投票をした。だが、公式政策になるには、決議は上院で可決され、次に大統領に署名される必要があった。その後まもなく、米国上院は虐殺を大量虐殺行為と認め、満場一致で決議に賛成投票をした。そして最近、ジョー・バイデンが、この政策を公式に認めたのだ。

 多数の専門家によれば、バイデンの宣言は「トルコに恥をかかせ、必然的にホロコーストとの比較でその歴史を傷つける以上の、いかなる明白な罰則」も伴わないはずだ。それでも、この動きは、ジョー・バイデン政権と最近のアメリカ外交政策全般が、アンカラでは非常に否定的に見なされているので、明らかにトルコの超えてはならない一線を越えたのだ。この公式宣言に対し、トルコ指導部やトルコ社会のエリート・メンバーだけでなく出現した反応が、既に前述の発言を証明している。

 多くの専門家の意見では、公式にアルメニア人大量殺人を大量虐殺として認めるジョー・バイデンの最近の動きによって、アンカラ・ワシントン間の緊張が増大しかねない。例えば、前トルコ大使ジェームズ・F・ジェフリーは、これに答えて、アメリカ軍艦が「ウクライナ支援任務で、ボスポラスとダーダネルス海峡を通過する」必要があるだろうから、エルドアン大統領は「バイデン政権を悩ませるため、特にシリアや黒海で、たやすく特定の政策を妨害したり、遅らせたりしかねない」と述べた

 加えて、一部の人々は、トルコがNATO内での役職を再考する可能性が高いと考えている。ジョー・バイデン大統領がアルメニア大量虐殺を認めた後、トルコの愛国党委員長ドグー・ペルニチェクが、トルコ指導部は「即座にインジルリク空軍基地完全支配を確立し」、そこに駐留するアメリカ軍が15日以内に撤退させるよう要求している。

 最近「兄弟のようなウクライナと戦略上の関係を促進し、発展させよう」としているレジェップ・タイイップ・エルドアンにとって、ウクライナ内務大臣アルセン・アヴォコフが作成した文書で、ウクライナもアルメニア人大量虐殺を認める必要があると発言したのは意外だった。

 全く予想通り、アメリカ大統領の決定に熱烈に反応した最初の指導者の一人はアルメニアのニコル・パシニャン首相だった。ジョー・バイデン宛ての彼の書簡は、この動きは「公正で寛容な国際社会を築く」ことを望む「全ての人々にとって勇気づけられる例」だと述べている。オスマントルコによるアルメニア人大虐殺が世界中で大量虐殺として認められれば、世界の様々な地域のアルメニア人が、トルコに責任があると決めても驚くべきことではない。こうした進展のあり得る結果は色々で、アルメニアとの関係正常化に関心があるトルコが関与し、アゼルバイジャンとロシア大統領とアルメニア首相が2020年に停戦協定に署名して終わったナゴルノ・カラバフ紛争の解決もあるかもしれない。エレバンとアンカラの関係は近い将来改善すると期待されたが、トルコ指導部は、以前、殺害を大量虐殺行為と認めるバラク・オバマによる声明と、ジョー・バイデンの威嚇な声明かは判断して、アルメニア人大量虐殺の日である4月24日に予定されているバイデン政権による動きを待ち受けて、ためらっているように見えた。もしアンカラが、今エレバンとの対話を始める積極的意欲を示せば、トルコでは、そのような動きは、ジョー・バイデンの決定から生じたものと見られるだろう。だから、トルコ指導部が近い将来こうした動きをすることはありそうにない。

 アメリカ大統領がアルメニア大量虐殺を正式承認したので、トルコがロシアや中国からより広範囲の支持を求め、将来アメリカに依存するのをやめるのは非常に明白だ。

 世界舞台における超大国アメリカの影響力が急速に衰え続ける中、アルメニア人大量殺人を公式に大量虐殺と呼ぶ決定は、アメリカ外交政策が将来進む可能性がある方向を示している。結局、この動きは、アンカラのみならず、他の「反抗的な」国々を懲らしめるため、つまり、アメリカ政策の大きな構図の中で自分の立場を知ることの重要性を教えるために行われたのだ。それ故、どんな形の不従順も、より独立して動こうとする願望も、アメリカに適切に罰せられることになる。言い換えれば、ジャングルの正当な権力者シーア・カーンの側近集団には、ハイエナのための余地しかないのだ。

 だが、これら「ハイエナ」は、彼らのまさに本質から、本当に忠実ではないことを念頭におかねばならない。新指導者が出現するやいなや、彼らは、あっけなく前の指導者を捨て去るのだ。 日に日に、アメリカ覇権の終わりは近づいている。

 ウラジーミル・オディンツォフは政治評論家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/28/red-lines-in-us-turkey-relations/

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 「目くそ鼻くそを笑う」 手元に『アメリカン・ドリームという悪夢 建国神話の偽善と二つの原罪』がある。是非お読みいただきたい本。

 恫喝でトップにのしあがった男を見るたび、上野動物園サルの電車を思い出すと何度も繰り返している。電車に乗る子どもには、オサルが電車を運転しているように見えるが、実際は係員が全て操作している。オサルと係員の関係は人形と腹話術師と同じ。

 古い本だが、宮本政於・佐高信両氏の対談本『官僚に告ぐ!』に宮本氏の重要な発言がある。宮本政於氏はアメリカの大学の精神分析で助教授をされた人だ。帰国して医系技官になり、役所のことなかれ主義におどろいて告発本を書いた。最初が『お役所の掟』。大臣が役所をコントロールしているのではなく、役人が大臣をコントロールしているのだ。

日本で大臣となる人の多くは去勢された人がそのポストに就きます。だから、リーダーシップが取れない。要するに虚構の上に座った権力者で、実際には権力を持っていない。そして大臣となる人はブランドをほしがる。

 現厚生労働大臣も前厚生労働大臣も実質オサル人形。反対する官僚は「異動してもらう」のでなく、反対する大臣は「異動してもらう」

 今世界はコロナ流行と戦っている。軍隊による戦争では軍が全てを支配する。コロナに対する戦争では、日本では厚生労働省が大本営。その大本営が、昔と同様、頽廃の巣窟。しかし、その事実、大本営広報部、別名マスコミは全く報じない。目をそらす。

 田中康夫氏の「田中康夫 ココだけの話」vol.26 5月2日(日)を偶然拝聴した。(32分すぎから)「コロナ患者を受け入れない民間病院が悪い」と非難する日本経済新聞の「コロナ医療の病巣」という記事を「指示待ちさせる医療行政を続けていた政府こそ元凶。」「厚生労働省こそ」「医療記者全員東京軍事裁判。」と断言。「日本の医療マスコミは厚生労働省と薬品メーカーのポチ」と指摘しておられた。

 官房長官記者会見に、東京新聞の官邸記者クラブメンバーではない望月記者が参加したことで、恫喝男の下劣さが広く報じられた。記者クラブの連中はタイコモチ。権力の宣伝担当。記者クラブが続く限り、洗脳痴呆テレビが繁栄する限り、日本は日々滅亡の道をつき進む。

 憲法記念日にも、速記者クラブ、大本営広報部マスコミは改憲策動も報じない。対照的にIWJは報じ続けている。日刊IWJガイド

■共同通信世論調査で57%が改憲での緊急事態条項新設に賛成!? 浸透する自民の惨事便乗改憲プロパガンダ! 大手メディアは5月6日の衆院憲法審査会での国民投票法採決が「流動的」と報道! 強行採決の危険性を指摘するべきではないのか!?
■<本日の再配信>本日午後8時より再配信する、岩上安身による永井幸寿弁護士へのインタビューは全日本人必見! 自民党の改憲案の緊急事態条項はこんなに恐ろしい!! 事実を直視せよ!【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!5月6日改憲国民投票法強行採決を許すな!!】「いつでも独裁が可能!? いつまでも独裁が可能!? 憲法で堂々と独裁を肯定!? より危険性が高まった自民党新改憲の緊急事態条項!~5.21 岩上安身によるインタビュー 第872回 ゲスト 永井幸寿弁護士(1)」
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2021年5月 2日 (日)

中国との不必要な経済戦争で犠牲になるオーストラリアの利益

2021年4月27日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 今週オーストラリア政府は、予想されてい措置を行い、オーストラリアのビクトリア州が中国と署名していた一帯一路構想協議を中止した。動きは予想外ではなく、しばらく前に政府が示していた。キャンセルの表向きの理由は、オーストラリア安全保障の利益に反するということだった。それがどんな形でオーストラリアの安全保障を脅やかすかについては明らかにされず、二つの組織、この場合、中国とビクトリア州の貿易を促進する合意に、保安上の脅威を確認するのは困難だ。

 オーストラリアはBRI参加から公式に脱退する最初の国になった。BRI参加国は、主要な国の名をあげれば、フィジー、インドネシア、ニュージーランドやパプアニューギニアなどのオーストラリア地域の12カ国を含め世界のあらゆる地域の140以上の国々で構成されている。

 公式に言われている「国家安全保障」という理由は、もちろん政治決断を正当化するため、でっちあげられたものに過ぎない。オーストラリアは、外交政策のあらゆる有効な狙いの上で、もう一つのアメリカ合州国なのだ。日本が第二次世界大戦に入り、オーストラリアがアメリカ軍に国境を開いた時以来、それは明白だった。彼らは以来ずっとここにいて、今ノーザン・テリトリー、パイン・ギャップの重要な電子的スパイ活動基地を含め、推定8つの軍事基地を占領している。

 その間に、オーストラリア部隊がベトナム戦争への関与から撤退した1972年から1975までの3年間のホイットラム支配下の、短期間の独立の混乱があった。この政権の転覆は総督の地位にあり、それをホイットラム政権を解散させるために使った長年のアメリカ諜報機関工作員ジョン・カーが画策したものだ。

 その時以来アフガニスタンやイラクやシリアの侵略と占領へのオーストラリア部隊関与でみられる通り、アメリカ外交政策の立場から大きく逸れたオーストラリア政権は皆無だ。オーストラリアの二大政党の超党派的手法は(皮肉にもマレー・中国系出身の)ペニー・ウォン労働党外国問題報道官が政府決定に与えた無条件の支持で見ること可能だ。

 この動きは予想外ではなかった。中国とオーストラリア間関係は、少なくとも、2020年、オーストラリアのスコット・モリソン首相が、世界中で荒れ狂い始めたコロナウイルス流行の「中国起源」調査を要求した時以来、基礎は脆かった。

 オーストラリアが、なぜ中国政府を悩ませようとわざわざ努力するかを理解するのは率直に言って困難だ。中国は、次に大きな日本との規模の二倍という大差で、オーストラリア全体の輸出収入の40%以上に及ぶオーストラリアの最大貿易相手国だ。政府の無分別な発言に対する対応や、他の懲罰措置として、中国政府はオーストラリアからの広範囲の輸入を停止し、ワインなど他のものに懲罰的制裁を課した。

 中国が極めて重要な貿易相手国なのは輸出だけではない。2019年(コロナ流行前)中国はオーストラリアへの外国人観光客の最大源で、外国人学生の最大源(年間100億ドル以上の価値)で、海外投資でも三番目に大きな源だった。それらの数字は全て急落し、近い将来回復することはありそうもない。

 オーストラリア政府による最近の動きは、それゆえ全く驚きではなかった。それは中国政府による辛らつな口調の回答をもたらした。中国外務省は、オーストラリア政府に即座に、その「間違った決定」と呼ぶものを反転し「無責任な言葉と行為」を止めるよう促した。オーストラリアそうしなければ、中国は「断固と、力強く」対応する。

 4月22日、中国の公式メディア環球時報が、論説で、中国政府が長い間、オーストラリア政府に両国関係を駄目にする、それ以上の行動をするのを避けるべく緊急措置をとるよう促していたと指摘した。彼らは、オーストラリアが中国製品に対して、100以上の反ダンピング、反助成金調査を開始した事実を無視して、四つの重要な商品に対する中国の行動に不平を言ったと、オーストラリア政府を非難した。

 この貿易上の行動は、中国に対して敵対的なオーストラリア行動の長い歴史に習っている。オーストラリアは、中国企業ファーウェイの5G装置を国内で使うのを禁止する世界最初の国になった。オーストラリアは、中国の香港と新彊地域に関連する問題に関し、アメリカと一部の他の西側諸国が行うプロパガンダ戦争でも積極的参加者だった。後の例では、オーストラリアは、この主張が、政治目的の動機で、信用に欠けるという明確な証拠にもかかわらず、新彊のウイグル人に対する「大量虐殺」の主張に加わった。

 2021年4月22日、ロシア人筆者リューバ・ルルコはプラウダ記事で、オーストラリアが中国の増大する経済グローバルパワーに対するアメリカ聖戦の「犠牲にされた」と述べた。ルルコは中国との貿易戦争で、オーストラリアは、これまでに200億ドル(観光客と学生の損失の影響を含まずに)の代償を払ったと指摘している。

 中国外務省の汪文斌報道官は「即座に、その間違いを改め、即座に、誤った決定を覆して、既に複雑な中国-オーストラリア関係の事態をいっそう悪化させないよう」オーストラリアに促したとされている。

 アメリカとオーストラリアの行動の密接な結び付きを、王晰寧公使がこう言ったとされている。

「中国は雌牛ではない。結局殺そうとたくらみながら、好調時に、中国を搾取しようとするなど、誰も考えつくとは思わない。」

 明らかに衝撃的な経済的影響を与えるはずのオーストラリアの行動の背後に理論的根拠を認めるのは困難だ。ルルコは、記事で、オーストラリア・エリートは「中国の竜を殺すためにカンガルーを送る前に、じっくり考えるべき」ことを示唆して結んでいる。

 これは良い助言だ。悲しいことに、耳を傾けられる可能性はありそうもなく、オーストラリア政府のアメリカに対する頑迷で、やみくもな忠誠のため、オーストラリア国民は犠牲にされるだろう。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/27/australian-self-interest-sacrificed-in-a-needless-economic-war-with-china/

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 まさに他山の石。

 「オリンピックを強行し、その余波で選挙じ勝利し、権力の座にい続ける」こと以外、彼の頭にはないのだろう。自分に都合の良い情報しか聞こえない。

 LITERA

菅首相が「休んでいる看護師がいるから五輪に500人派遣できる」妄言の直前、ワクチン業務の看護師“募集難航”を聞かされていた

 週刊金曜日最新号、投書欄「言葉の広場」で「意識的な「老人削減計画」なのか」という投稿を拝読。全く同意。

いま進められている施策は意識的な「老人削減計画」であり、「中小企業つぶし計画」ではないかと思う。

 大本営広報部は愚にもつかないたわごと、てんこもり。さすがに日中テレビをつける気力は消えた。モアイ像で有名なイースター島の文明崩壊を不思議に思っているが、イースター島滅亡のさなかに生きているような気分になってきた。コロナ無策と憲法破壊による独裁パシリ列島に未来はない。

 日刊IWJガイド

緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!5月6日改憲国民投票法強行採決を許すな!! 3】本日午後7時から「『国家を守り、人権を制限するのが国家緊急権。多くの国で権力に濫用されてきた過去がある』~岩上安身によるインタビュー 第599回 ゲスト 永井幸寿弁護士」を再配信します!
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

<IWJ取材報告 1>コロナ禍で苦しむ国民を横目に、与党がゴールデンウィーク明けの5月6日に採決、11日に衆院通過をもくろむ「国民投票法改悪案」! IWJ記者は質問を用意するも指名されず、他社の記者たちはこの件について質問さえもせず! ~4.30武田良太総務大臣定例会見

2021年5月 1日 (土)

ノマドランド:(ほとんど)経済的理由から路上に追いやられた人々

デイビッド・ウォルシュ
2021年2月19日
wsws

 クロエ・ジャオ監督;ジャオ脚本、原作 ジェシカ・ブルーダー


ノマドランドのフランシス・マクドーマンド

 中国系アメリカ人クロエ・ジャオ監督(ザ・ライダー、2017年)、フランシス・マクドーマンド主役の「ノマドランド」は、同題名のジェシカ・ブルーダーによるノンフィクション作品の半フィクション化された再構成だ。(より正確には、ブルーダーの書名は『Nomadland: Surviving America in the Twenty-First Century』邦訳署名「ノマド: 漂流する高齢労働者たち」)

 この作品はベニス映画祭で初上映され、更にトロント映画祭で上映された。12月に一週間ストリーミングリ上映され、既に多くの賞を勝ち取り、更に多くを獲得すると期待される。マクドーマンドの典型的な渾身の演技で感動的な映画だが、我々の考えでは、全般的な称賛評は、やりすぎだ。もう少し慎重で綿密な検討がを必要な要素があるのだ。

 ジェシカ・ブルーダーはHarper誌や、ワシントン・ポストや他でも書いており、コロンビア大学ジャーナリズムジャーナリズム大学院で教えるジャーナリストだ。2013年、彼女は図らずもエドワード・スノーデンのNSAの宝の山の受取人の一人だった。

 ノマドランドで、ブルーダーは特に、2008年不況によって、生活が劇的に変わった高齢アメリカ人と、彼らの様々な対処法の状態を調べ始めた。

 「多くの人々は街頭に出た」と彼女は書いている。「彼らの貯金が世界同時不況で壊滅した後。ガソリン・タンクとお腹を満タンにしておくため、彼らは長時間厳しい肉体作業で働いている。賃金が上がらず、住居費が上昇する中、彼らは切り抜ける対策として、家賃と住宅ローンから自身を断ち切った。彼らはアメリカで生き延びている。」

 マクドーマンドは、経済的、個人的な未解決の問題がある60歳の女性(元代用高校教師)ファーンを演じる。彼女は何十年も、亡くなった夫が働いていた、US石膏社が丸ごと所有するネバダ州、エンパイアという企業都市で暮らしていた。2011年、同社は88年間操業していた石膏鉱山を閉鎖し、コミュニティー丸ごと閉鎖した。エンパイアはゴーストタウンになり、郵便番号さえ消えた。

 映画は、主に2012年を舞台にし、彼女が、自分のバンやキャンピングカー(RV)で暮らし、ある程度の経済的、個人的安定を求めて、アメリカ西部中を旅する人々、他の不本意な「ノマド(遊牧民)」と一緒になったファーンを追う。最初は、アマゾンでの彼女を見るが、そこで彼女や多くの他の人々は休暇シーズン中、臨時労働者として働く。彼女は昔の生徒に、自分は「ホームレス」ではなく、むしろ「ハウスレス」なのだと語る。


 ノマドランドのフランシス・マクドーマンドとデヴィッド・ストラザーン

 リンダ・メイ、ボブ・ウェルズ、シャーリーン・スワンキーや他の人々を含め登場人物の多くが実際ノマドだ。リンダは2008年に自殺を考えたことを認めている。社会保障給付が一カ月たった550ドルだと悟った時、彼女は「それを信じることができなかった」。

 ファーンは、下がる凍りつく温度で、南へ運転するよう強いられる。「私は仕事が必要だ。私は働くのが好きだ」と彼女は誰かに言う。彼女は、何千人もの他のノマドと一緒に、アリゾナ州クォーツサイト近くの公有地砂漠で行なわれる年中行事ラバー・トランプ・ランデブー(RTR)に参加する。組織者のウェルズは「ドルの暴政」を激しく非難する。更に、彼は「タイタニックは沈没しつつある。」と言う。彼や他の人々は、「どのように道路で暮らすかについて」助言する。

 ファーンは、彼が彼女にタバコを求めて知人になったデレクのように、ずっと若い人々にも出会う。後の二度目の出会いは、映画でも最も感動的な場面の一つだ。静かな控えめな若者デレクは、「北の国」にガールフレンドがいると説明するが、彼女への彼の手紙はそれほど、もったいぶっていない。ファーンは、彼女に詩を送るよう提案し、彼のために(我々のためにも)英語で最も絶妙な詩の一つ、シェイクスピアのソネット集第18番を暗唱する(「君を夏の日に喩えようか」)。

 一連の先のない、時に骨が折れる仕事が(サウスダコタ州バッドランドの観光名所)ウォール・ドラッグの採石業者で、再びアマゾンで続く。誰かがネブラスカでのビート収穫を示唆する。これは、生き延びるためなら何でもして、全国あてもなく、しばしばぼうぜんと男女が彷徨った大恐慌時代を想起させる場面だ。

 シャーリーン・スワンキーは、自分はガンで、余命はおそらく7、8カ月だと発表する。彼女は荒れ地で一人で死ぬため、運転して去る。ファーンの車はエンジンが故障し、2,300ドルの仕事が必要になる。彼女は遥かに一般的な生活をしている妹から借りる。ファーンはデイブ(デヴィッド・ストラザーン)と会い、多少交流する。彼は彼女に「私はあなたのそばにいるのが好きだ」と言って、彼女に息子の家に滞在するよう求める。彼女は決断しなければならない。

 書いた通り、ノマドランドには魅力的な局面がある。マクドーマンドは、いつも通り、本物で、正直で、地味だ(彼女は役を研究した結果、ネブラスカ州の「ターゲット」店舗で「働かないか」と言われて喜んだようだ)。本物のノマドは正当で威厳があるのだ。

 ジャオは西洋風景を見る目があり、ザ・ライダーでしたように、人々を敏感に監督している。

 だが全体的には、ノマドランドは、それが触れるひどい状態への暗黙の批判と、ノマドの反発力や「辛抱強さ」や「開拓者」風ライフスタイルへの不適切な慶賀を交互に繰り返すが、不幸なことに、後者の手法が勝利を収めている。

 映画の全体的な感じと感受性は、「やむをえずしたことを自発的にした振りをする」という表現の辞書定義の一つ、つまり「意図的に、その価値ゆえ選択した、他に選択肢のなかった行動や状況を作り直したり、描いたりする」こと、しっかり対応する。

 ある評者のコメントは典型的なものだが、意図せずに、映画の最も重大な弱点を捕えている。「ノマドランドと同じぐらい多くが、本当に、死(ある人物は自殺に近いものについて心-悲痛な記事を話す)までに取りつかれる、生きることについて、それは、前に進むことについて生活についてだ。経済の絶望の圧倒的な現実にさえ直面して、2008年に経験豊かなそれほど多くの人たちとして、常にあなたがと選べるもう1つの道がある。」

 もう一つの審査がジャオの仕事が真髄でアメリカ製の何かについて「年代記であることを示唆する:道路での生活。土地、道路、それに沿って旅行する人々の美しさについての映画、共同体がそこ、砂漠と丘と山でアメリカの西が無くなったくことを見いだす遊牧民。必要によって、しかし同じく自由意志によって。」タイプが、見出しで、映画を「アメリカの独立への優しい頌賦」だと記述した。

 これは、描写された貧困と苦難に直面して、かなり惨めだ。なぜ今まで標準的なアプローチを修正して、ジョン・スタインベックの、不景気の間、新しいライトのかわいそうな借家人農民-の苦痛Joads-a家族に熱心な憤(1939)怒のブドウ、を、「一般道路での生活」についての「年代記」、「土地の、道路の、それに沿って旅行している人々の美しさについての」小説として提示するなどしないか?

 それは社会的に決然とした(変更できる)(人たち・もの)を「自然の」、避けられない(人たち・もの)に変えるために重過失、ひどい無責任、だ。意図的にあるいは、1人は既存の情勢のために弁証者になる。いくらどんなにジャオの映画の種々の遊牧民が-抱きしめるか、あるいはembrace-theirに新しいライフスタイルを試みて、それに楽しい、さらに「心を解き放つ」特質を授けたとしても、彼らは、何よりもまず第一に、アメリカの社交的なカタストロフィーの犠牲者のままなのだ。

 ブルーダーは彼女の本を、こういう風に始めている。「ノースダコタ州、ドレートンで、67歳の元サンフランシスコのタクシー運転手がサトウダイコン収穫で苦闘する。彼は畑からのトラックが、何トンものビートを吐き出すのを手伝って、氷点以下の温度の中、日の出から日没後まで働く。夜には、彼はウーバーがタクシー産業から彼を押し出し、家賃を稼ぐのが不可能になった時以来ずっと彼の家であるバンで眠る。

 「ケンタッキー州、キャンベルズビルで、アマゾン倉庫の夜勤シフトで、66歳の元ゼネコン社員が、コンクリートの床に沿って、車輪付きカートを何マイルも押しながら商品を積み込む。それは実に退屈でつまらない仕事で、首にされるのは避けたいと、彼女は正確にそれぞれの品物スキャンしようと苦闘する。朝、彼女は、彼女のような放浪労働者を泊めるためアマゾンと契約している、いくつかの移動住宅公園の一つに停めてある彼女のごく小さなトレーラーに戻る。」

 極めて弱者である高齢者の残忍な扱いを詳述するブルーダーの仕事は貴重だが、そうした状態からも励みになる「希望の兆し」を見いだす努力からは免れない。彼女は、このように続けている。「だが道路には希望がある。それは前進する勢いの副産物だ。国と同じぐらい広いな可能性の感覚。より良いものが起こるという徹底的な信念。それは、すぐ先、次の町、次の仕事、知らない人との次の偶然の遭遇だ。

 「誰かのバンが故障すると、彼らは寄付を募る。人から人へ広がる感じがする。大きな何かが起きている。国は急速に変化しており、旧構造は崩壊しつつあり、彼らは何か新しいものの震央にいるのだ。真夜中、キャンプファイアーの周囲は、ユートピアの一瞥のように思われる。」

 ノマドの状況の粛然たる様相を見るには、(ブルーダーも参加した)Brett StoryとField of Visionによる16分の映画CamperForceも見る価値があるが、それは同社の季節労働部隊のために何千人ものキャンピングカー・キャンピングトレーラー暮らしの人々を採用し、搾取するアマゾンの10年にわたる計画を詳述している。この映画は美しかったり、「鼓舞したりする」ものではない。それは容赦なく、啓発的だ。題名自身が説明する通り、「現在、65歳以上の高齢アメリカ人のうち5人に1人が、1986年の比率のほぼほ二倍働いている」「55歳かそれ以上の人が当主の家庭のほぼ3分の1が、年金も退職後のための貯金がない」。この短編映画は、アマゾンのジェフ・ベゾスが「2017年に世界で最も金持ちの男になった」ことも指摘している。


(Field of Vision)

 数十億ドルのウォルト・ディズニー社の一部門、サーチライト・ピクチャーズの代表、ナンシー・アトリーとスティーブン・ギラは、ノマドランドを「本当の映画的発見」として推奨した。ジャオは「我々を思い出させる」と、この映画会社経営者が続けた。「我々が、どれほど遠く離れているように思われるにせよ、この映画には我々をつなぐ力がある。我々はこの特別な映画が世界中の聴衆を感動させ、更に世界の映画を支援できるよう希望する。」

 ディズニーが映画や芸能界の実に多くを支配していたり、その幹部が予想通り陳腐なことを言ったりするのは、確かに監督の過失ではない。だが、北京生まれで、マウント・ホリヨーク大学で教育を受けた「独立」映画製作者(2020年のトロント映画祭によれば「アメリカ映画で最も重要な新しい声の一人」)が今2021年11月公開予定の惨めなマーベル・シネマティック・ユニバース(同じくディズニーの所有)で26番目の作品スーパーヒーロー映画、Eternalsを監督したのはジャオ自身の「自由意志」の問題だ。

記事原文のurl:https://www.wsws.org/en/articles/2021/02/20/noma-f20.html

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 この映画、見ようと思いながら、まだみていない。

 政府も厚生労働省も文部省も、本物の反社会集団。

 LITERA

正気か? 東京都が東京五輪の観戦に小中学生ら81万人を動員計画! 感染拡大最中に各学校に通達、観戦拒否すると「欠席扱い」

 日刊IWJガイド  小生、緑のタヌキが準備した「パンダ映像」ではなく、こちらのインタビューを見る。

<次回の岩上安身のインタビュー> ゴールデンウィーク国民投票法「改悪」阻止キャンペーンの一環として、岩上安身による日本共産党・山添拓参議院議員インタビューを5月3日にお送りします!

<昨日の岩上安身によるインタビュー報告>国民投票法「改悪」案、5月6日にも衆院採決か!?  国民投票法の次はナチスばりの緊急事態条項を含む自民党改憲へなだれ込むリスクが! 岩上安身による小西洋之参議院議員インタビュー第3弾をフルオープンでお送りしました!第1弾、第2弾とともにGW中公開し続けます!! ぜひ、SNSで拡散して、多くの人に5月6日の危機をお知らせください!

【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!5月6日改憲国民投票法強行採決を許すな!! 2】本日午後7時半から2017年収録「広告宣伝の制限なし!『異常に自由』な国民投票制度―― 憲法改正国民投票は改憲派に有利!! ~岩上安身によるインタビュー 第807回 ゲスト ノンフィクション作家・元博報堂社員 本間龍氏」を再配信します!

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