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2021年4月15日 (木)

火事を消す放火犯のように、ウクライナでの戦争を終わらせるNATO

Finian Cunningham
2021年4月8日
Strategic Culture Foundation

 アメリカと、そのNATO同盟国によるウクライナに対する甘やかしと干渉は、犯罪的に無謀であり、緩慢な、ひどい焦土戦紛争へと向かいつつある。放火犯は去る必要がある。さもなければ、ロシアが行動しなければなるまい。

 ウクライナ大統領になるため政界に入る前、ヴォロディミル・ゼレンスキーはTVコメディアンとして有名だった。彼は不条理劇での能力を維持しているように思われる。今週彼は、ウクライナで戦争を終わらせる最良の方法として、NATO軍事同盟へのウクライナの迅速な加盟を要求した。

 ゼレンスキーは、ウクライナは「ロシア侵略」に直面しており、これは「全てのNATO加盟諸国の安全保障とヨーロッパ全体への重大な挑戦」だと途方もない主張をした。

 NATOの文民長官イェンス・ストルテンベルグとの電話で、ウクライナ大統領は、連合加盟は「本当の信号をロシアに」送るはずだと断言した。彼は黒海地域へのNATO戦力の、より本格的な派遣を要求した。

 東ウクライナでどのように戦争を終わらせるべきかについてのゼレンスキーの実につまらない発言は平和のための処方せんからはほど遠い。それは逆のことをもたらす。長時間煮えたぎる紛争はロシアとアメリカが主導するNATO圏間の全面戦争へと拡大するだろう。NATOに戦争を終わらせるよう要求するのは放火犯に火を消すよう要求するのと同じだ。

 NATOのシュトルテンベルクは、ウクライナの主権と領土保全に対する「変わらない支持」を宣言し、支援するように聞こえた。アメリカのジョー・バイデン大統領、イギリスのボリス・ジョンソン首相や欧州連合からも、盛んに類似の発言があった。

 だが、これは見せ掛けだけの姿勢だ。正気の誰も、NATO加入というゼレンスキー要請に同意しなかった。集団防衛という原則のもとで、ウクライナ加盟は、必然的に、この軍事同盟を、ロシアが支援するドンバスとして知られる東ウクライナの分離主義者に対する戦争に引きずり込むだろう。モスクワは、この旧ソ連共和国のNATO加盟は、ロシアの国家安全保障上の問題から、容認できないと首尾一貫して警告している。

 問題は、欧米メディアとNATO擁護のシンクタンクが、混乱と誤った判断を勢いづけるよう言説を歪曲していることだ。ここ数週間、いくつかのメディアの報道が、ウクライナ国境沿いのロシア軍の増強が脅威となっているという、キエフでゼレンスキーと彼の政府が発表する主張の信ぴょう性を高めている。モスクワはその国境内にある軍隊は誰に対すしても脅威ではなく、作戦行動は妥当な内部問題だと述べている。

 だがこれは欧米の評論家が、2と2を足すと5になると言うのを阻止しなかった。しっかりNATOと提携する大西洋協議会は、今週、バイデン政権とキエフ政権への支持の決意を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が「試した」と非難した。評議会はロシアがウクライナを侵略しようとしているかどうか思案し、警報を鳴らした。欧米メディア報道は、こうして反ロシア・ウクライナ国家主義者がでっちあげた物語に燃料を供給している。

 バイデンやジョンソンやNATOのシュトルテンベルクや欧州連合によるキエフの甘やかしは、2015年のミンスク和平協定を実行して、紛争を解決しようとしない、キエフの強硬姿勢を更に鼓舞している。ロシア、ドイツと、フランスが参加者ではなく、起草者で、キエフが参加した、その協定は、ドンバスに地域自治を与えることを義務付けていた。キエフ政権が、断固協定実行を拒否し、それ故、紛争が続いているのだ。

 だが、いかにして、この情けない状況に至ったか想起しよう。2014年2月、選挙で選ばれた大統領に対するNATOが支援するクーデターがキエフの超国家主義政権をもたらした。この政権は、それから、クリミア半島とドンバスでロシア語話者に対する激しいキャンペーンを開始した。ドンバス地域がウクライナ軍や様々なネオ・ナチ旅団が行う攻撃に対する武装抵抗を開始する中、2014年3月に、クリミアは、国民投票で、ロシア連邦に加入する選択をした(欧米が繰り返し「併合」と誤って表現している)。

 ウクライナでの戦争は終わる兆しがないまま七年目に入っている。実際、エスカレートしかねない兆しがある。2008年に、NATOが最初に、ウクライナを加盟に誘った時以来、ジョージアとともに、この国は混迷と紛争の中に落ち込んでいる。

 ドンバスからの信頼できる報告が、過去数週間にわたる暴力の再発は、NATOの支持を巻き込む策略として、キエフ政権軍が引き起したのは確実だ。

 公益施設へのウクライナ軍による砲撃のため、ドンバス共同体は電気と水が遮断された。4月2日、アレクサンドロフスコエでの無人飛行機攻撃で、5歳の子供が亡くなったと報じられている。侵略者はドンバス市民軍ではなく、ましてロシアではない。キエフ政権が、NATO支援で勇気付けられたのだ。

 今週、ドネツク市の民間住居地域に激しい砲撃があった。自称ドネツク共和国のデニス・プシリン大統領は、NATOに支援されたキエフ政権軍による安全保障違反が「急激に」増加していると述べている。

 東ウクライナの不安定な停戦への違反が、バイデン新政権が、ウクライナへの1億2500万ドルの軍事援助を発表した頃、始まったことは指摘する必要がある。もう一つの1億5000万ドル相当のアメリカ軍事支援は、今年末に送付される予定だ。2014年に、ジョー・バイデンがオバマ政権で副大統領だった時に権力の座について以来、ワシントンは、キエフ政権に、合計で、少なくとも10億ドルの兵器を提供している。

 ドンバスで進展している人道的危機という現在の文脈で、ロシアが軍隊をウクライナ国境に移動していることが驚きだろうか? 自宅で殺されている人々と、ロシアは何世紀も文化遺産を共有している。かつて、このような卑劣な状況が迫ったのは、ウクライナの反ロシア国家主義者が可能にした、ナチによるホロコーストの時だった。

 欧米メディアとNATOシンクタンクが生み出す身勝手なわい曲やニセ情報にもかかわらず、モスクワは、その民族的の兄弟姉妹を保護する当然の義務がある。

 ワシントンとNATOは、彼らの軍事同盟へのウクライナ加盟を認めるほど向こう見ずではないかもしれない。それは大惨事を意味し、彼らはそれを知っている。にもかかわらず、アメリカと、そのNATO同盟国によるウクライナに対する甘やかしと干渉は、犯罪的に無謀であり、緩慢な、ひどい焦土戦紛争へと向かいつつある。放火犯は去る必要がある。さもなければ、ロシアが行動しなければなるまい。

記事原文のurl:https://www.strategic-culture.org/news/2021/04/08/nato-ending-war-ukraine-like-arsonist-putting-out-fire/

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 タヌキ、とうとう「買い物は三日に一回」と言い出した。それでもオリンピックは行う自分ファースト。ひるオビMC「イソジン知事、これまで色々政策を実施してきた」とヨイショ。正気か?

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