中国は、アジアをどのように造り変えようとしているのか
2021年4月1日
Salman Rafi Sheikh
New Eastern Outlook
中国とイランが、今後25年で数十億ドルの協定に署名し、中国自身の経済政策と、いかなる国の参入も許さない欧米と西アジアの余りに親密な結びつきの理由から、かつて、とうてい想像できないと思われていた形で、中国が西アジア/中東で、存在感を増すのは、ほとんど否定できない。中国が発揮している経済変化の力は、イランに対する強力な後押しとなるだけでなく、イランは、イランのライバルであるサウジアラビアやUAEのような国を含め、中東での中国の更なる拡大の玄関となろう。中国にとって、中東におけるその存在と拡大は経済的利益だけが狙いではない。この存在感は、新たに出現しているアメリカ-中国の世界的ライバル関係と、第二次世界大戦以来のアメリカ覇権と中東支配を巻き返したいという中国の願望によって引き起こされている。
従って、先週、中国外務大臣が中東歴訪をした際、彼はイランとの協定署名だけを期待していたわけではない。彼は何よりもまず、経済関係と接続性に焦点を当てる新しいゲームのルールを提起するのに一層関心があり、狙いだった。伝統的な湾岸諸国の緊張ではなく。そのため、王毅がサウジアラビアのMbS皇太子に会った際、内政に対する、どんな外部の当事者による、いかなる「干渉」にも反対するサウジアラビアの姿勢を支持したが、王外相は、現在ジョー・バイデン政権と良い関係ではないMbSに「自身の条件に合った発展の道筋を探究し見いだす」ため中国と協働する機会を申し出た。この道筋は、王外相がサウジアラビア国営ニュース局アル・アラビヤでのインタビューで強調したように、湾岸諸国が「大国間の地政学ライバル関係の影からから抜け出し、地域の現実に合った発展経路を独自に探求する[のが可能になった]時にのみ」見出すことができる。
今の所、中国はサウジアラビアに、イランと署名したのと同じ道筋を申し出ている。それで、中国は、ペルシャ湾における地政学ライバル関係の蜘蛛の巣に巻き込まれるのは望まないが、この地域の国々が、ムスリム同胞団のような組織を含め、スンニ派・シーア派信仰や、地経学と地政学、および/または、イデオロギー的ライバル関係と厳密な分離を維持する方針を継続できる新しい路線を示すことを目指している。
従って、中国は開発計画や石油生産と供給の増加を含むイランとの数十億ドル協定に署名したが、中国のサウジアラビアとの増大する結びつきにも、中国への石油供給拡大や、石油化学製品や原子力発電や他のエネルギー分野や、5Gや通信やデジタル技術のような新分野に対する中国投資を確保したいサウジアラビアの願望が含まれている。サウジアラビアも中国と湾岸諸国間の自由貿易交渉を推進する中国との協力に乗り気だとMbSが述べた。
そのため、地政学的緊張とライバル関係を回避する経済開発の多少似たパラダイムをライバル両国に提示し、中国はアメリカが過去何十年もしてきたような部外者が自分の利益のために湾岸諸国を操作し続ける余地を最小限にするような経済環境を構築している。
従って、イランに対する中国投資は、中国には、経済封鎖で、アメリカに押し付けられた経済的束縛を破る機会となるのに対し、ジョー・バイデン政権がMbSを将来の国王として受け入れるのを好まないよう見える中、中国はサウジアラビアに、アメリカとの関係を作り直す機会を提示している。
湾岸諸国に、彼らの外部地経学的結びつきを多様化し、アメリカへの依存を減らす機会を提示することで、不安定な地政学状況を、自身を軍事的に強固な状態に保ち、何よりも、アメリカ軍産複合体に役立つ関係を維持するために利用するのに依存していた西アジアにおけるアメリカの地位に対し、中国は重大な挑戦となっている。同時に、中東諸国にとっては、中国の経済の道筋は、何十年にもわたり国民所得の源としての石油依存から抜け出す方法だ。
ジョー・バイデン政権が、四カ国戦略対話、クアッドというアメリカ、日本、インドとオーストラリアを含む国々の集団で反中国連合をまとめようとしている中、中国は中東に軸を移しつつある。中国は、サウジアラビア、イラン、トルコやUAEのようなライバル諸国に同時に接近し、アメリカによる世界レベルでの中国を「封じ込め」実現を一層困難にし、アメリカの野心への挑戦となっている。
中国の数十億ドル協定が非常に温かい歓迎を受けた事実は、湾岸諸国自身が、どれほど地経学状況を本気で変えたがったいるかを雄弁に物語る。この意味で、中国・湾岸諸国のつながりは、アメリカ・湾岸諸国のつながりと異なり、合流して、いくつかの相互利益をもたらす道筋の果実なのだ。
イランと中国の協定や他の湾岸諸国との深まる結びつきは、従って、支配的な地理経済状況を完全にひっくり返す可能性がある。彼らの結びつきを多様化し、アメリカに対する過剰依存を根本的に緩和する湾岸諸国の能力は地域の地政学状況も劇的に変化させかねない。
だから、中国-イラン協定を、孤立した出来事と解釈するのは誤りだろう。王外相がイラン、サウジアラビア、トルコ、オマーンとUAEを歴訪した事実は、主に経済発展に支えられる政策という一つの枠組みを通して、この地域全体を中国が受け入れているかを示している。中国にとって、実に嬉しいことに、中国のウイグルに対する「大量虐殺」へのアメリカ・キャンペーンを支持するのを、サウジアラビアが拒否した事実は、アメリカにとっては大いに失望だが、中国がどのように益々受けいれられつつあるかを示している。
Salman Rafi Sheikhは国際関係とパキスタンの外交、国内問題専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/04/01/how-china-is-going-to-reshape-west-asia/
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地獄の沙汰も。今日の孫崎氏のメルマガ題名
島根県知事、県内の五輪聖火リレー、今夏の五輪開催そのものに反対の意思を表明していた。 だが「コロナで大打撃下の飲食店を国の予算で救済を最優先に考えた」と翻意。金で政策を変更させるのは原発、在日米軍基地でいやというほど実施、その手法を五輪でも採用。
小池都知事昨年度広報費11億円超。我々が払った税金を使って自己宣伝。そういう組織が本当の検査結果データを出すだろうか?全く信じていない。
日刊ゲンダイDIGITAL
イソジン氏が「博多にわか」を扇子にしたようなもので会食を奨励する画像を見た。正気か。昼の呆導番組は揃って真顔でマスク会食を勧め、有名人「逝火」を呆じる一億総白痴。音声を消しても耐えられない愚劣さ。
その一方、日刊IWJガイド冒頭で、資金不足を言っておられる。
大手メディアのように五輪利権に組せず、NHKのように国家と支配層のための報道に堕落せず、ひたすら、民主主義と自由のために報道して10年の岩上安身氏とIWJの皆様は資金不足で困っておられる不思議。今日は大島堅一教授の講演再配信。
<タイムリー再配信>2021年現在も国は原発が最安価と主張!! 本日午後8時より「『日本は、この機を逃したら永久に変われない』――『原発割安』を強く否定する~岩上安身によるインタビュー 第112回 ゲスト 大島堅一氏 (立命館大学教授 ※収録当時)」を再配信します!
全く唐突だが、この鉄道模型による演奏はすごい。
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