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2021年4月 5日 (月)

イランと中国にとって、貿易協定より重要なこと

2021年3月30日
ジェームズ・オニール
New Eastern Outlook

 数年の交渉後、中国-イラン協定は最終的に署名された。今後25年にわたり、中国はイランに対し、数十億ドルの投資をする。協定に署名して、中国は、全世界、特にアメリカに、イランに対する現在のアメリカの態度、とりわけ国連安全保障理事会の常任理事国とドイツと欧州連合によって数年前に合意したイランの「核開発計画」合意をアメリカが無視していることを意に介さないことをはっきり表現した。

 現在イランで何が起きているか検討する上で、なぜアメリカが今の見方をしているのか、なぜバイデン新政権が、それが元来署名した理由で、核合意復帰を急がないのか理解するのに役立つ歴史を思い出すのは重要だ。

 歴史は特に現状の理解に関係している。それは少なくとも、民主的に選出されたムハンマド・モサデク政権が、生産の利益がイラン国民のものになるよう、イラン石油を国営化するモサデク政策に怒ったアメリカ・イギリス・クーデターで打倒された1953年にさかのぼる。

 アメリカ-イギリス・クーデターで、民主的に選出されたイラン政府が、イラン国王に置き換えられ、1979年のイスラム革命に取って代わられるまで、以後26年、彼がイランを支配した。以来、イスラム革命の独裁的体制が、イランを支配している。

 イスラム革命の際、アメリカ大使館員が人質にされた。この措置は、イラン政権に対する敵意が以来ずっと明白なアメリカに、イラン指導部を好ましく思わせるには役立たなかった。その敵意は、1980年に起き、8年続いたイラン-イラク戦争の際に明らかになった。シリアとリビア以外、イランは一人で戦い、少なくとも百万人の命が失われた。一部の推計は、死傷者をその二倍と見ている。

 この戦争の皮肉の一つは、イラクがアメリカに支援されていたことだが、イラクが1990年にクウェートを侵略して、その支持は消滅した。イラクが撤退を強制されて、この戦争が終わった後、イラクに対する制裁が続き、いくつかの推計では、50万人の子供が死亡した。この子供たちの運命は、当時のアメリカ国務長官マデレーン・オルブライトが、破廉恥にも「その価値がある」と表現した。

 イラクは後に、息子ジョージ・ブッシュにより、2002年に侵略され、19年後、アメリカ人はまだそこにいる。彼らのオーストラリアの同僚と同様に、彼らは全ての外国軍隊が国を去るべきだというイラク議会の決議を無視した。

 イランは直接侵略されてはいないが、イスラエルとアメリカ両国の絶えない圧力の対象だ。それは2020年1月、イラン人将軍ガーセム・ソレイマーニーが外交任務の帰路、バグダッド空港で暗殺された時に頂点に達した。無人機攻撃は、彼の一団の他の数人も殺害した。当時のアメリカ大統領ドナルド・トランプは、この暗殺について投稿した。それは、数人の人々を殺したこのような違法攻撃を命じたことに対し、彼が無傷で逃れているのは国際法の一部領域の弱さの目安になる。

 国連安全保障理事会の他の常任理事国とドイツが署名したイラン核合意からアメリカを脱退させたのもドナルド・トランプだった。トランプは制裁を強化して、イラン政府に対する圧力を大いに強化した。それら制裁は、シリア政府に対する支援を、イランに思いとどまらせるのを意図している。イランの支援は、アメリカが支援する反抗分子に対して10年にわたり戦っているシリア政府の要請で与えられている。

 違法にシリア領を占領しているのみならず、シリア政府と戦っている反政府勢力を支援しているのは、アメリカの国際法無視の目安だが、アメリカは露骨にシリア石油を盗み、それを自身の儲けのために売っている。イラクの継続的占領と同様、アメリカは国際法を受け付けず、主権を有するイラク政府の正当な要求を受けいれず、手に負えないならず者国家を演じている。

 これが、中国がイランとの貿易協定に署名した環境だ。中国は明らかにアメリカに課される法的制裁には、もう我慢しないと決めたのだ。

 イランは中国の一帯一路構想に加入しており、中東、更に先への中国商品輸送で重要な役割を演じている。この全域でのイランの地理的重要性は地図さえ見ればわかる。

 イランの地理的重要性は、アフガニスタンとパキスタンと国境を接していることもある。イランは長い間、アフガニスタンから百万人以上の難民に避難所を与えてきた。世界のヘロイン供給の約90%を生産しているアフガニスタンとの近さの結果、イランはヘロイン中毒という継続中の問題でも苦しんでいる。

 アメリカ軍のアフガニスタン撤退とされていることに関する欧米メディア議論で、ほとんど完全に欠けているのは、「帳簿外」CIA収入の重要な源であるアメリカ/CIAが支配するヘロイン生産と流通に何が起きるかだ。

 ドナルド・トランプ前アメリカ大統領は、今年5月までに、アフガニスタンからアメリカ軍を撤退する意図を宣言していた。これは現在大いに疑問視されている計画で、彼の後継者ジョー・バイデンが、その公約に守る可能性はほとんどない。

 アフガニスタンは、アメリカに決して友好的ではないが、アメリカが影響を与えたいと望んでいる国々と複数の国境を共有するだけでなく、ほぼ20年占領しているこの国を去るのをアメリカがいやがっている語られない大きな理由は、CIAがヘロイン生産支配を失い、それとともに主要な非公認の収入源で失うことだ。

 アフガニスタンと国境を共有する中国は、国境を越えるヘロインの流れを抑制することにも関心を持っている。今回署名されたイラン-中国協定の一部に、この悪質な貿易に対する両国の対応が含まれているのは確実だ。過去に、決して、その繰り返しを見たいとは思えない、住民に対する社会支配の主要機構としてヘロインが、イギリスに利用された方法について鮮明な記憶が中国にはあるのだ。

 中国・イラン間で署名された新協定が、この問題に対処するのは確実だ。両国にとって、単なる貿易協定以上に、遥かに重要な問題があるのだ。結果として、アフガニスタンに対するより多くの圧力が予想される。

 ジェームズ・オニールは、オーストラリアを本拠とする元法廷弁護士で地政学専門家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2021/03/30/more-at-stake-for-iran-and-china-than-just-a-trade-deal/

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 RTのクリス・ヘッジズのインタビュー番組の新しいものの中に、アフガニスタン駐留体験があるアメリカ人とのインタビューがある。士官学校時代の考えと、全く違う現実。民間人殺戮と、その隠蔽体験にうんざりして「Un-American: A Soldier's Reckoning Of Our Longest War」という本まで書いている。無辜の人を殺すための徹底的な洗脳についても語っている。この洗脳、ミヤンマーの軍や警官でも徹底しているはず。時間は約29分。

On Contact: America's endless war

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